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プロローグ
どうぞよろしくお願いします。
深夜1時、会社からの帰宅中。ある男の携帯に連絡がきた。疲れ切った目、前に曲がった背、目の下まで伸びたボサボサの髪の毛。3コール目でようやくズボンの携帯に手を伸ばす。5コール目、非通知からの電話に対応した。
「はい、もしもし」
男の母親だった。泣きじゃくりよく聞き取れないような声で男に話した。
「母さん、落ち着いて。どうしたの。」
落ち着くように母親へ言う。一息ついた母親の口から父親の死を知らされた。男の表情は変わらない。
───わかった。男はそう言い電話を切った。立ち止まった男の背は一層曲がり、ため息をつく。その後背筋をできるだけ伸ばし、歩き始めた。
何を考えているかわからないその男は、ふらふらとした足取りで帰宅を再び始めた。
男は24歳。身長は178センチ。田舎から上京するも仕事でつらい目に遭っていた。昔は明るかった性格も今は見えなくなり、常に暗い表情でネガティブ思考になってしまっていた。
男の不運は、まだ始まったばかりだった。
不定期ですが頑張ります。