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あわーくらするーむ⑭

クラス会議は盛り上がっていきますよー

そして堂々巡りはお約束ですね。








「やはり なづなさんと せりさんをメインとするなら、ビジュアルで推していくべきよ。」

「だから、それは前提なのよ。そのビジュアルをどう活かすかって問題なの!」

「だから、ダンスが良いって言ってるじゃない。」

「それだと全員参加が難しいんだってば。」

「みんなで歌って前で踊ってもらうのは?」

「合唱部と被らない?」

「それならダンス部とだって被るでしょう?」

「ミュージカル風にするのはどうかしら?」

「演劇部が何をするかによるんじゃない?」

「いっそ映画撮っちゃうとか?」

「映研と被るに決まってるじゃない。」

「背景にダンス映像流して、その前で踊るとか?」

「シンクロさせるって事?」

「なづなさん達の負担が大き過ぎるわよ。」


侃侃諤諤(かんかんがくがく)

喧喧囂囂(けんけんごうごう)


お…おおぉ…?ここまで熱くなるとは…

みんなヤル気満々だね?

いや、確かに本気でやらなきゃ楽しくないし、本気でやる以上は勝ちにいくとは言ったけど、こんなに皆が載って来るとはねぇ。

正直思わなかったよ。


「はい。少しよろしいでしょうか?」

「せりさん?どうぞ。」

「えと、部活勧誘に参加する人ってどのくらいいらっしゃるのでしょうか?」

「…予定のある方は挙手を。」

1、2、3、4……8人

「8名、4分の1ですね…。」

吹奏楽部が3人合唱部が1人、書道部1人に運動部が3人。へぇ、文化部の方が多いんだ。

桂ちゃんも部活勧誘のメンバーに入ってるのか。

運動部の勧誘って何するんだろ?

聞いてみよ。

「桂ちゃん、勧誘はどんな感じで?」

「私はテニス部だけど、ユニフォーム着て舞台に立ってるだけで説明は部長、副部長がやるんだと思う。あ、素振りくらいはするかも。」

他の部も同じかな?

「バスケ部も大体同じですね。」

「剣道部も似たようなものです。」

まぁそうだろうなぁ。運動部が舞台上で出来るデモンストレーションなんて限られてるもんね。

桂ちゃんはユニフォームで舞台に並ぶのか。

桂ちゃんのユニフォーム姿かぁ。

…そういえば見た事ないね?

明之星のテニス部ってどんなユニだっけ?可愛いんだっけ?かっこいいんだっけ?でもミニスカートだよね?たぶん。

元気っ娘の桂ちゃんはミニスカート似合うからね!

きっとね!

チア部とか体操部とかダンス部は派手なのが出来るから、人気出そう。…ん?チアリーディング部って中等部にはないんだっけ?初等部にはバトントワリング・クラブってあったよね?あれ?

ああ、いやいや、今はそれはどうでも良い。

被るのを避けるのはまず無理だというのはわかった。

部活勧誘と被るのは仕方ないと割り切ってしまう方がいいだろうね。

クラスの出し物は任意とはいえ半分ほどのクラスが参加するはずだから、ひとクラス15分前後。その中で出来る事…。

出来る事かぁ。

今まで出てる案は、ダンス、合唱、映画、ダンス+映画、う〜ん…。

最後のは良いかもだけど、時間あるかなぁ?

手品…マジック?

いやぁそんな大規模なもの演れないでしょ。

大道芸とか?

ボク達である意味ないじゃん。


「ちなみに合唱部は歌、ですか?」

「ええ、指揮者のお喋りと合唱、ですね。」

「吹部も?」

「例年通りだと思います。」

「書道部はあれですか?パフォーマンス。」

「ですね。やっぱり見栄えしますから。」

ですよね。

あれはインパクトあるもの。

揃いの(はかま)(たすき)鉢巻(はちまき)で大きな作品を目の前で仕上げる。これはかっこいい。和装というのもポイントが高い。普段、あまり目にしないからね。

ん…?

普段しない格好…か。

「あの…。」

おずおずと挙手したのは出席番号32番の渡邊(わたなべ)さん。

渡邊凛蘭(りら)さん

初等部の頃、3度程同じクラスになった事がある子で、とても大人しい印象の子。大きく一本に編んだ三つ編みがトレードマークみたいになってるね。

そうそう、高等部の文学少女お姉さま、あの方に似た感じ。

でもボクは知ってるんだ。

凛蘭さんってね、眼がカッコいいんだよ。

目が隠れるほど伸ばした前髪と伏し目がちな所為で普段はあまり見えないんだけどね、少し鋭い感じで名前の字にある通り“凛”としてるんだ。

本人はあんまり好きじゃないっぽいんだけど、ボクは好き。

凛蘭(りら)さん、どうぞ。」

「えと、ダンスにしろ合唱にしろ、全員で衣装を揃える、というのはどうですか…?」

「制服ではなくて、という事ですか?」

「え、はい、別の、何か…です。」

…何かアイデアがあるんだろうな…言いにくいのかな?

さっき言った和装…袴や浴衣みたいな?

合唱は兎も角ダンスは難しいよね。

ダンスしやすい格好でみんなで揃え易そうな…水着とか?

いやいやいや!ないでしょ。

そもそも、水着で合唱って何処にニーズがあるの!?

自分で言っといてなんだけどニッチにも程があると思うよ?!

皆で揃えるって言ったんだから自分も着るっていう前提での意見な訳で、流石に自分も水着で舞台に立つって覚悟完了しちゃってるんじゃない限り、そんな意見は出さないでしょ?!うん。ないね。ないない。

…ないよね?


「委員長、いいですか?」

「はい、なづなさん。どうぞ。」

「揃いの衣装というのは良い案だと思います。どんな衣装かは後々の課題として、何を演るか(・・・・・)を決めませんか?」

「…そうしたいのはやまやまですが… 」

チラリと黒板を見て

「これ以上の案が出るでしょうか?」

そう言われた なづなが、ボクを見てニヤァ〜と笑った。一瞬だったから皆は気づいてないみたいだけど…うわぁ…なんか、とんでもない事考えてる気がする。って言うか、たぶん皆を巻き込んで1番大変な選択肢をやろうとしてる。


「ダンス、合唱、映画…どうせなら、全部やってしまいましょう。」

…やっぱり。


「ぜ、全部、ですか?」

「ええ。先程どなたかが言ってらっしゃいましたけど、映像と舞台でのダンスをシンクロさせるというのは良い案だと思うんです。合唱なら全員参加も容易ですし… 」

「でも、それだと なづなさん達が大変だと思うのだけど…。」

「それは、まぁ頑張り、ます。」

なづながこっちに確認の視線を送ってくる。

ああ、はいはい。やりますよ。当たり前じゃない。

一度やるって言ったんだから、とことんやりますよ。全力でやりますとも。


「ただ、踊るのが2人だけだと、あまり舞台映えしないと言うか…貧相に見えるのではないかと。」

「なので、一緒に踊る、若しくはバックダンサーの様なものを配置したらどうでしょうか?」

「例えばボク達と一緒に踊る人を数名…数を絞ってやれば、映像とのシンクロも可能かもしれません。」

「ええ、やり方はあると思います。」


 シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

おぉう…やっぱりキツイ提案だったデスカネ?

練習期間はあると言っても、やっぱ舞台で踊るっていうのはハードル高いよね?

う〜ん、無理かなぁ?


「はい。委員長。」

「菫さん、どうぞ。」

「私、バックダンサーやるわ。」

え!?菫さんダンス経験あるの?

「なら、私も。」

光さんまで?


「お二人はダンス経験があるの?」

「私は小学校の時バレエをやってたから、そこそこ踊れますよ。」

……え?

「私は初等部で創作ダンスくらいしか…。」

そういえば授業でやったね。5、6年生の時だっけ?

委員長、かなり迷ってますね。流石に未経験者に任せるのは怖いけど、希望してくれる人がいないのでは話しにならないものね。

「…取り敢えず、お願いします。」

ええ、はい、と返事をする2人。

希望者がいないからと、進んで名乗り出てくれたのはとても有難いのだけれど、菫さん…なんで嘘吐いたんだろ?


「なづなさん、ダンスチームは何名必要ですか?」

委員長が質問してきたけれど、正直なところ必要な人数なんて考えてない。多くても良いのだけれど、多すぎると映像とのシンクロが…シンクロさせる必要はないのか?ボク達だけが映像とシンクロすれば良いんじゃないか?

いや、そもそもシンクロは単なる案であって、決定じゃないだろう。他に良い案が有ればそっちでもいいんだから。

疲れてきてるのかな?

なんか、余計な事に気を回したり、考えるべきところを見落としてる様な気がする。


「よし、間もなく時間だな。」

黙って見ていたマキ先生が、パンと手を叩いて立ち上がった。

「もうすぐチャイムが鳴る。一旦ここまでとして、仕切り直そう。皆、疲れて思考が鈍っている様だ。続きは明日以降だな。」

そこまで言った時、丁度チャイムの音が響いた。


「委員長。」

「はい。」



「起立、礼。」


『ありがとうございました。』













渡邊凛蘭さん

長めの髪を緩く一本の三つ編みにしている。

前髪も長め。

しっかり眼を開くと切長の眼が鋭い感じ。

人によっては睨んだいる様に感じるらしい。

本人もそれを気にして、いつも伏し目がちで前髪で隠す様に俯いている事が多い。


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