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閑話 椿 独語り

椿 視点








ごきげんよう。

保坂椿と申します。


私、恥ずかしながら所謂オタクという人種でして、特にBL、GLモノを好んでいます。

何の事か解りませんか?いいんです。解らなければそれはそれで問題ありませんから。


今日、一緒にお手伝いをする5人

間島満さんと、鈴木菫さん、妹尾光さん、鈴代なづなさん、せりさん姉妹

光さんとは、初等部の頃同じクラスだった事がありますが、その頃は特に意識した事は無かったんですよ。

せいぜい可愛い子だな、くらいでしょうか。

それがどうです?

今や“西洋人形”と例えられ程の美少女です。

今の趣味に目覚めてからは、何故これ程の逸材を見逃していたのか、と、昔の自分を責めたい気分です。

今日はしっかり視か…ん、んん。コホン。観察して創作の糧にしたいと思っています。


噂の双子ちゃん、なづなさん、せりさん姉妹。

こちらも要注目です。

兎に角色々な噂がある姉妹で、遠目に見た事しかなかったんですけど、いや目立つ事目立つ事。

幸いにも同じクラスに中等部の10指に入る美少女4人が揃ってくれたのですから、目に焼き付けておこうと思ってます。


満さんとは何度か同じクラスだった事もあり、それほど違和感なくお喋り出来ました。出来たんですけど、まぁ濃くなってました。私も似たようなものですけど。

ジャンルが違うのでガッツリ話が噛み合う訳じゃないのが幸いでした。

噛み合ってたら、楽しいは楽しいんでしょうけど今日のお手伝いに影響が出そうですもの。


満さんとお喋りしてるうちに鈴代さん達が来たんですけど、あれは反則です。

噂通りなんてもんじゃないです!

遥か上です!

語彙が追いつきません!

ヤバイわぁ…これは捗りますね…

ただでさえ可愛い双子なのに手を繋いでいるんですよ?

手ぇ繋いで微笑みあってんですよ?!

百合姉妹かっ!!てぇてぇ!


…コホン。失礼しました。

この時点では菫さんと光さんはいらしてなかったので、ご挨拶出来てませんでした。


特に相談する事もないので取り止めのない事を、要するに雑談をしていたんですね。女の子らしいファッションの話とかネット動画に可愛い猫の動画があっただとか。

そのあたりは、まぁ人並みに知ってはいるんですが、私の専門分野は別なんですよね。

そっちは普通の女の子には、あまり受け入れられないでしょうし、話を振るのは止めとこうと思います。

目の前に最高のオカズ…いえ、素材…じゃない、モデル…そう、モデルがいるのに、それを誰とも共有出来ないのが勿体無いと思えてなりません。

そんな時です。

なづなさんが突然私を見つめてきたんです。

じぃ〜〜って。凄い近くで。

あまりの圧に思わず半歩下がっちゃいましたよ!それでもぐいっと寄ってきて、私の背後にある柱に手をついてじぃ〜〜っと。

壁ドンですよ!壁ドン!

相手は女の子です!ですけどっ!あ、あんな可愛い子にっ!壁ドンされて耐えられる訳ないじゃないですかっ!良い匂いはするし、目の前に碧と菫色の瞳があって、桜色の口唇が触れられる位置にあるんですよ?!無理ですって!

あれ、あと1分あの体勢のままだったら理性保てなかったと思います!

唇奪っちゃたかも知れません!ホントに!ヤバイんですって!

…ふぅ…すいません。ちょっと興奮しちゃいました。

私の、こんな至近距離に、こんな麗しい造形の少女が居るんですから。そりゃあドキドキもしますよ。

なづなさんが、せりさんに何か話し掛けていたのですけど、それどどころじゃありません。目の前の美少女に釘付けです。


…そう思っていたのは僅かな間でした。


せりさんが、目の前に現れたんです。

あの、綺麗な顔が、もうひつ、目の前に。

また反射的に退がろうとしちゃったんですが、せりさんはそれを許してくれませんでした。更に距離を詰めて鼻が触れそうなところまで寄ってきて、光る瞳に私の顔が映っているのがこんなにはっきりと近い近い近い!近いですって!

でも突き放す事も眼を閉じる事も出来ません。だって、見なきゃ損ですよ?!こんなシュチュエーションそうあるもんじゃないですよ?!右も左も、産毛がキラキラしてるのが見えるんです!テラテラと艶かしい唇がそこにあるんです!あああ、顔が熱いのはわかるんですけどっ、なんか、身体の芯から熱が広がって、お腹の奥の方とか、む…胸とか、あちこちが熱くなってきて、頭の芯が、痺れ…る…なにか、上が、って…あっ…



気が付くと満さんに頬をペシペシ叩かれていて、なんだか状況が掴めなかったんです。なんで、満さんに叩かれて…?

え、と。なづなさんに見つめられて…せりさんが近くに来て…あっ!

思い出したらまた顔が熱くなってきた…

あれはヤバイ。凄い破壊力だわ。

…ん?…あ…っ

…ごめんなさい。ちょっとお手洗い行って来ます。え?ついて来る?いえいえ!大丈夫!ホントに!大丈夫だから!今、その、ちょっと大変な感じになってるっぽいから、一人で行かせて、お願いだから!

うぅ…まさか、こんな…。

保健室に行けば、緊急用の替えが常備してあるって聞いたけど、先生いるかなぁ…?

…このあたりの事は私の沽券にかかわるので、詳しい事はノーコメントで。


その後、私の眼鏡が凄く高い物ではないかという話をされたんです。とても希少な材質で珍しい細工が施してあるって。

車が買えちゃいそうな値段を言われて、変な汗が出てきました…。手も震えてます。

そんな高い物を普段使いしていたなんて…。

ちょっと怖くなって、大切に保管しようかと呟いたら…なづなさんに叱られた。

おばあちゃんが私の為に誂えてくれた物なんだから、使わないのは失礼だ、と。おばあちゃんが、自分を身直に感じてもらえる様に身に付けられる物を贈ったんだと。

…泣きそうです。おばあちゃんに、そんなに想われていたなんて…気付いてすらいませんでした。愛されてるね、って言われて初めて意識するなんて。…帰ったらちゃんとお礼を言って、少し甘えてみよう…。


それにしてもこの子達…ホント凄いわ。

可愛いだけじゃなく知識も凄いんです。普通は知らないでしょう、鼈甲細工なんて。伝統工芸らしいですけど私、初めて知りましたよ?

中学生で目利きが出来るとか、おかしくないですか?私も雑学とかちょっとは自信あるんですけど、所詮は齧っただけの浅い知識です。

こんな専門的な事はまるでわかりません。どう学んだらこうなるんですかね?

口ぶりからすると骨董品にも詳しいかもしれないですし…。っていうか、渋すぎません?工芸品に骨董品って…あ。そういえば、お習字もかなり上手だって桂さんが言ってましたっけ。

体育祭でも球技大会でも活躍してたし、運動も出来るんですよ?

容姿が少し特別だけど可愛いくて性格も好くて、知識があって頭も良くて運動も出来る。

…なんなの!?主人公なの?!ヒロインなの!?

現実にこんなハイスペックな美少女っているんですね。

これだけ想いの機微に聡いなら、自分達は周りの人の想いをどう受け取っているんだろう、ふと、そんな考えが過りました。思い切って聞いてみようか?

「なづなさんも、こういう贈り物貰った事あるの?」


私じゃないです!聞いたのは満さんです!なんの裏もなくブっ込んで行きましたね!?

ある意味尊敬します。


2人を見ると、なづなさんは俯きがちに答えを濁していましたが、ちらりと せりさんに目線を送っていました…!え…そうなの…?ホントに…?

追い討ちの様に せりさんにも質問する満さん。

グッジョブです。

くわっ、って擬音が聞こえそうな勢いで せりさんに注目し、どんな答えが来るのか、誤魔化されるのか、どんな反応を見せてくれるのか…!


「ボクの1番大事なものは何時も側にあって、ボクの1番好きな人には、ボクを全部あげたから。」


嘘でしょぉぉぉ!?

言い切った。言い切りましたよこの子!

双子の姉が1番大事で、姉に自分の全部を贈ったって!凄いわ!なづなさんと せりさんって…リアル百合姉妹だったんですね!いるんですね!ファンタジーじゃなかったんです!2人の容姿が現実離れしているせいか、肉を感じさせないというか、凄く清らかな感じがするんですよね。

満さんはたぶん、わかってないと思うけど、これは…聞いてよかったのかしら?内緒の関係ってヤツじゃない?平気なの?ああ、でも、こんな綺麗な子達が寄り添っているのは眼福なので、是非続けて下さい。ああもう、自分でも何言ってるのか分からなくなってきちゃった!


せりさんと目が合ったと思ったら、唇に指を当ててシィ〜ってウインクされました。

ナイショだよ、って言われたんですね!

もう、激しく頷いちゃいましたよ。

せりさんは、私が正確に2人の関係を理解していると悟ったのですね。流石です。

その後 なづなさんがちょっと大変だったんですけど、まぁそれはどうでもいいです。

当然、可愛かったですよ?


それにしても濃い経験をしてしまいました。

まだ、1日は始まったばかりなのに、こんな満足感と精神的疲労が…

双子壁ドンの破壊力は本当に凄ったんですよ。それに加えて“全部あげた”発言。もし今日これから、こんなイベントが続いたらどうしよう?私、保つかしら?でもでも…う〜ん…あぁ、いけない、いけない。

このままじゃ。

更なる何かに目覚めちゃいそうです。




椿さんも、ちょっと変わった子でした。


前半部分を重点的に加筆修正しました。

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