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ほわいどんちゅーだんす⑨

「凛蘭さんの方はどうだった?」


「ステップをいくつか習っただけですけど…ちょっと動いただけで汗びっしょりになっちゃいました。ダンスって凄いですね。」


なづなの問いに、爽やかな笑顔で答える凛蘭さん。

うん、感想が若干ズレている気もしないでもないが、元々の目的がダイエットな訳だし…楽しく汗を流してくれているのなら、まぁ良しとしましょう。


あ、ちなみに今はお昼ご飯の真っ最中で、スタジオの端の方に陣取り、車座になってお弁当を囲んでいます。

持参したお弁当はといえば、多少疲れていしまっていても食べられる様にと小さめに切り分けたサンドウィッチ、甘い卵焼きにタコさんウインナーと、いかにもピクニック風なラインナップである。

サンドウィッチも種類が豊富でハムサンドにツナサンド、タマゴサンドや野菜サンド、ひと口大のカツサンド、デザートがわりの生クリームサンドまである。

モリモリと食べてはいるが、これが意外と減らなくて…女子3人分にしては少々量が多めだったかもしれない。凛蘭さんは自分で持ってきた ()()()() も食べているから、サンドウィッチの方はあまり食べられていない様だが。

まぁ…ちょっと残しておいて、帰り際に摘むというのも良いかなと思っているので、全部たいらげる必要はないんだけれどさ。


因みにこのお弁当は当然……ママが作ってくれました。

本当ならちゃんと起きて自分で作るつもりだったんだよ? けど、ほら、今日は朝がね、ちょっと遅かったからさ、色々とバタバタしてしまって…気づいた時にはママが既に用意してくれていたという…。

…いつもありがとうございます。

大変美味しゅうございますです、はい。



お昼ご飯を済ませまったりタイムに突入すると、先程まで午前中教わった事を楽しそうに話してくれていた凛蘭さんが、何故かモジモジとし始めた。

ああ、 お手洗いならその奥の扉…え? そうじゃない? 何か質問があるのならば、遠慮なくどうぞ?


「え、と…あの…今更なんですが… 」


はいはい。


「…私、午後も居て良いんですか? 」


ん?

何故にその様な質問を?

ちょっと意外な質問に なづなと顔を見合わせる。


「え、それは勿論、私達と一緒だもん。居ても良い…っていうか、居てもらわないと困るんだけど…どうして? 」


「いえ、その、私、体験教室で来たんですよね? 午後は体験教室じゃないんじゃないかなって…思って… 」


ああ、なるほど。

けれど、それは大丈夫。

何にも心配ないでーす。


「そ。大丈夫。なんてったって今日は()()()()()()って事で来てもらってるから。」


ねー、と なづなと2人、顔を見合わせて頷き合う。



「……いちにち…? 」


「うん。1日。」


「…たいけんきょうしつ? 」


そう。体験教室。


…いやいや、なんでそんなに不思議そうな顔をするかな?!

読んで字の如く、そのまんまの意味だよ?

えっとね、最初(はな)からボク達が1日お世話なる事になっていて、後付けで同級生をひとり連れて行ってもいいですかと問い合わせたのだけれど、『是非連れていらっしゃい 』と快諾して下さってね


「で、私達と一緒に来るのなら『一日しっかり面倒見るよ』って。だから今日一日はまるまる体験教室扱いだよ。」


「そ、そうなんですか… 」


そうなんですよ。

なのでなんの遠慮も御座いません。

た〜っぷりと体験して下さいな。


や、もちろんずっとレッスンに参加している必要はないよ? 疲れたら見学してたって良いし、参加したくなったらまた参加すれば良いし。まぁ自由にしててよ。…ってボクが言う事じゃないけれど。


「あ、帰りの時間がまずい? 一応私達も暗くならないうちにお暇する予定なんだけど…。」


おや、そうだったのか。確かに何時までいるとは言っていなかったけれど…ふむ、日が落ちる前というと18時前くらい。凛蘭さんを送り届けてって考えると…だいたい17時前には帰ろう、って事だね。

うん、その辺りが限界でしょう体力的に。

凛蘭さんが。


「あ、いえ、帰りの時間は大丈夫です。ちょっと遅くなるかもとは言ってきているので。」


あらやだ。大事な娘さんを遅くまで引っ張り回したりしませんよ。ちゃあんと適切な時間にお送りしますからご心配なく。

…と、今ここで言っても意味ないんだけれど。


「あの…ちょっと質問しても…? 」


うん?

なぁに?


「二人はどのくらい習っていたのかな、って思って。」


どのくらいと言われても…レッスンを受けていた時間で言ったらそれ程長くはないよねぇ?


「うん。始めたのは5年生の時だけれど、レッスンそのものはせいぜい月2回とかだったし。個別指導でもなかったから… 」


そうそう。

本格的に習った訳じゃないんだよ。

ウチのママが『卒業パーティーで踊れないのは論外。ダンスは嗜み。』って言ってさぁ、せめて人並みに踊れる様になっておけって薦められたんだよね。


「まぁ卒業パーティでダンス…ってママの国の伝統の話で私達には関係ない気がするんだけどね。実際明之星(ウチ)にはそういうイベント無いはずだから。」


少なくとも今迄は無かったね。

将来的にはわからないけれど、さ。


「…お母さんの国って…え、なづなさん達って…外国の人?!」


そこ?!

っていうか今更?!

じゃなくて!

なんで一足飛びに外国人って考えになるかな?!

いや、容姿が()()だからってのは理解(わか)るけれどね?!

違うよ?!

ボク達ちゃんと国産だからね?!この国生まれのこの国育ちで、国外に出た事だってほんの数回しかないよ。

まぁ、ママは結婚して帰化した元外国人だけれど、パパは純国産。


「あ、じゃあ…ハーフって事? 」


うん。そう。

ってか、今迄ボク達の事をどう思っていたのかの方が気になるわ。


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