すいんぐばい⑨
後程加筆します。
近々、すいんぐばい⑧の加筆を行いたいと思っています。
ちょ~っとボウリングの内容を書きたいな…と。
そんな事より、もっと真面に投稿するのが優先なのですが…
「ひゃ…120乗った…あ〜良かった…って。いや、そうじゃなくて!なんなの?!アンタら上手すぎない?!そりゃなづな達が上手いのは知ってたけどさ?!なんか前より上手くなってない?!なってるよね?!なってるでしょ?!いつの間に練習したの?!何よスコア180超えって?!小梅さんまで!しかも三人とも途中から手ェ抜いてたでしょ!? やっぱりプロなの?!プロが三人で素人を弄んだの?!ヒドイ、あんまりよ!」
桂ちゃんは一気に捲し立てたあと、ヨヨヨと大袈裟に顔を覆って泣き真似をする。
…もう、何言ってんだか。
そんな訳ないでしょーが。
確かに途中から実験というか、色々と試してみてはいたけれど、決して手など抜いていないからね? そもそも“遊びは真剣にやるから楽しい”とか“手を抜かれて嬉しい訳がない”とかボクらに言い続けてたのは桂ちゃんだからね? その桂ちゃん相手に手ェ抜いたりはしないよ? ゲームやスポーツの勝負事をやっていて、若干甘目な判断をする事は稀にあるけれど、それも『厳しいLv5』を『厳しいLv3』くらいにする程度だからね。
これは状況を見ての判断だからね、決して手抜きではないのだよ。
あぁ、それとね?
適当なところでその泣き真似やめようか。
さっきから小梅さんがさ、桂ちゃんが本気で泣いているんじゃないかって心配してるから。
ほら、オロオロしてらっしゃる。
「ん。わかったー。」
パッと顔を上げ、何事も無かったかの様な顔で応える桂ちゃんを見て一瞬驚き、次にホッとして、やがてなんとも形容し難い複雑な表情になる小梅さん。
うん、まぁ、気持ちは理解らなくもない。
「それにしても…小梅さんがこんなに上手かったとはねぇ。」
まぁねぇ。正直あれ程とは思っていなかった。
予想を遥かに上回っていたもんなぁ…久し振りと言っていたのにあんなスコア出すなんてねぇ。桂ちゃんじゃないけれど、プロ並みなのかもしれない。…プロボウラーがどのくらいのスコアを出すのかは知らないんだけれどさ。
と…そんな事を考えながら、ボクは今、靴を履き替えています。
元々ボクは1ゲームで離脱の予定だった訳だけれど、プレイ中に少しずつお客さんが増えて来て現在は全レーンが埋まっている状態だ。こうなると何となく2ゲーム目に突入するのが憚られてしまってねぇ…相談の結果、1ゲームで終わろうという事になったんですよ。
「ほら桂ちゃん。混んできちゃったし待ってる人がいるかもしれないから一度ロビーに出よう? 話はお茶でもしながらって事で。小梅さんも、それで、いい? 」
「ええ、もちろん。あ、私、先にボール片付けてくるね。」
「ちょ、ちょっと待って、靴履き替えるから。」
慌てなくていいよ~。
ボールはボクが片付けておくから。
自分の分と桂ちゃんの分のボールを両手に下げて、ロビーとレーンの間にあるラックへと向かう。あれ? 重さ毎に並んでるんじゃなかったけ? なんかバラバラに入ってる様に見えるんだけれど……まぁ、いいか…並べ直してたら時間かかりそうだし、後で直すであろうSTAFFさんには悪いけれど適当に戻しておこう。
ごめんなさいと心の中で謝っておく。
2個のボールをラックに収め席に戻ると、ちょうど桂ちゃんがボールを片づけに行くところだった。小梅さんは靴の履き替え中。
「あ、せり。ボールありがとう。はい鞄。」
む、かたじけない。
ところで、清算どうする?
一旦集めて代表で払いに行く?
「ん〜…その話もロビーに出てからにしようか。次の人、来ちゃいそうだし。」
え、あぁなるほど、確かに呼び出しのアナウンスが流れているね。モタモタしていたら次の人達の迷惑になっちゃうな…うん、じゃあサクッと移動しましょう。
という訳で、ボク達はラウンジの一角に落ち着いたのだけれど、なんかここフードコートを兼ねているんだろうか? 其処彼処から良〜い匂いが漂って来るんだよなぁ…。運動した直後にこの匂いは拷問に等しい。
「う…うう…良い匂いが、する…。」
うん、ボクもそう思うよ桂ちゃん。
特に桂ちゃんは部活でたっぷり運動して、更にボウリングだもんね。お腹も減ろうってもんさ。
しかし。今ここで食べてしまったら晩御飯が入らなくなってしまうからねぇ。ぐっと我慢なのでしょう?
「…え? いや、ここで食べても、晩御飯はちゃんと食べるよ? 」
食べるのかい。
桂ちゃん、そんなに大食いだったっけ?
「いやぁ最近お腹空くんだよね…成長期ってヤツ? 」
横に成長しないとイイデスネ。
「なんて事言うの?!くっ…自分が太りにくい体質だからって…!」
「…私は最近ちょっと…お肉ついてきちゃった… 」
小梅さんお肉ついちゃったんだ。
でも小梅さんって、ふっくらしてはいるけれど、とてもバランス良くお肉が付いている様に思うんだよね。そうだな…女性らしいって言ったら良いのかな? こう…母性が滲んでいるというか? 曲線がさ、柔らかいんだよね。
「え、ええ…? そうかしら…? 」
うん。ふわふわしてそう。
「ふわふわ…それ、褒められてるの…? 」
もちろん褒めていますよ?
褒め言葉以外に聞こえまして?
「う〜ん…微妙? 」




