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はろーまいふれんど⑤

ケーキパーティーも終了

帰宅します。

おや?

同行者がいる様ですね。

あ〜あ

また壊れた

いいかげん飽きたよ

もっとマシなのはいないの?

“あの子”みたいなとは言はないからさ

もうちょっと

頑張ってよ

つまんないよ







「ごちそうさまでした。」

雑談しながらスイーツを堪能する事、約1時間。

特に実のある話はしなかったが、楽しかった。

ボクらはバス通学で家が近いのもあって、あまり友達と寄り道をして行くという事をしなかった。

寄る場所が少ないというのもあるけれど、学校からは真っ直ぐ帰宅。遊びに行くのは一度帰宅して鞄を置いてから。初等部の頃から割とそんな感じだったと思う。

今回は寄り道、というか、学校に居る間に校外のお店に来た、みたいな感覚なのだけれど。

登校中にスイーツ食べるとか、お嬢様みたいだよね

抹茶ショコラ美味しかった…


「じゃあみんな。ここで解散としましょう。直帰出来る子はこのまま帰宅しても大丈夫よ。」


どうしよう。

学校へ戻っても持ち帰る荷物がある訳でもないし、バスに乗るにしても、戻る時間と待ち時間を考えたらここから歩いても…いや、歩いた方が早いかもしれない。

「なづな、歩く?」

「…ん。偶に歩こうか。普段通らない裏通り、通ってみるのもいいね。」

あ、そうだね、中等部に入ってからは、あまりこっちを歩いたりしなくなったもんね。

こっちと反対側、駅の北側には大きな国道が通っているので、それなりにひらけている、というか栄えているというか。文房具屋さんとか大きな本屋さんがあるから、今でもちょくちょく行くんだけど…南側は田んぼと住宅しかないからなぁ。

正確に言えば、すごく大きなショッピングモールがあるけど、あれはほぼ駅南口前だから、南側としてはノーカウント。

いやいや、定食屋さんとか雑貨屋さんとか、お店はあるんだけど特に用はないというか、わざわざ行かないというか…ぶっちゃけ田舎だからね。


閑話休題(それはさておき)


「では、お姉さま方。私達は、ここで失礼致します。」

「あら、帰っちゃうの?寂しいわ。」

花乃お姉さまが、そんな事を言ってハグしてくる。

何度も言う様だけど、ボクとなづなはスキンシップ過剰気味かつウエルカムなタイプなので、こういうのはちょっと嬉しい。女の子限定。

「また会いましょう。近いうちに。」

う…何か怖い事が起こる気がするけど、花乃お姉さまと蓮お姉さまにはお会いしたいです。

「はい。是非。」

うん、とひとつ頷いて

「では、ごきげんよう。」

「ごきげんよう、お姉さま。」

お約束のカーテシー。きゃあと歓声が上がる。

今回も喜んで頂けた様で嬉しいです。

しばしお姉さま方を見送ってから、さあ帰ろうと振り向いた時初めて気付いた。

菫さんと光さんが居る!

思わずビクッってなっちゃったよ。

「あれ?!菫さん、光さん?バスじゃ、ないの?」

「ボクもバスだと思ってた…。」

「普段は駅までバスなんだけど、今日は歩こうと思って。」

「道中、お話ししたかったから。」

なるほどね。

「あれ?駅に行くバスならボク達も使うけれど、一緒になった事…あった?」

こんな美少女なら目立つと思うんだけどな。

「駅と言っても、あっちの駅よ。」

ボク達の向かっている方向とは反対を指して見せる。

「え!?あっちなの?2人、とも?」

「ええ、だからこちらに行くのは初めて。」

なんとまぁ、結構な遠回りなはずなのだけれど。

「そうなんだ。じゃあ電車の時間、調べておかないと。」

「大丈夫よ、まだ帰宅時間帯には余裕があるもの。」

この辺りの電車は通勤通学、帰宅時間帯はそこそこ本数があるのだけれど、その時間帯を外すと極端に減ってしまう。日中なんかは1時間に1〜2本しかない。

確かに急いで帰る必要がないのならば、時間を気にせず本数が増える時間帯までゆっくりしていても問題ないけれど。

4人で散策しながら裏通りを進んで行く。

この辺りは昔は水田がたくさんあったのと、湧水が豊富なため、そこかしこに用水路が張り巡らされているのだけれど、幅も広いし蓋もされていないので、余所見してたら落ちそうで怖いね。

あ、ここの用水路ガードレールもないや。余所見してたら、車も落ちちゃうんじゃない?

「見て見て!鯉が泳いでる!」

水路を覗いていた菫さんが楽しそうに声を上げてボク達を呼んだ。

見れば錦鯉だろうか、水が澄んでいるのではっきりと紅白の魚が見える。数も多いなぁ。

そういえば、昔は駅北の神社さんの池にニジマスがいっぱいいたって言ってたっけ。

今凄く少なくなっちゃったんだって。

なんでだろうね?

更に進むと、市内を南北に貫いている大きな川に突き当たる。ほとんど渓谷と言ってもいい高さのある橋を渡ると今尚残る水田が見えて来る。

ボク達が生まれる前は、一面田んぼだったんだって。

その田んぼの中に、ポツンとスイミングスクールがあったりしたらしいから、結構カオスな風景だったんじゃないかな?

そんなどうでもいい事を解説しながら歩いていれば、我が家はもう目前だ。

「ね、せり。」

「うん?なに?」

「2人にウチに寄って貰っていいかな?」

「それは良いね。電車の時間調整出来るし。」

「ん。じゃあ誘おう。」

1時間くらいお茶してれば電車の本数も増えてくるから、丁度良いと思う。ナイスアイデア。


「光さん、菫さんウチすぐそこだから、寄っていかない?」

「お邪魔して良いの?」

「お茶出す程度しか出来ないけど、よかったら。」

「ご迷惑でなければ。」

「なら決まり、だね。」


古めかしい潜戸を抜け玄関へ。

開いてるって事はママは居るんだ。

ウチは最近では珍しい引き戸の玄関で土間が広い。

4人で入っても余裕がある。

「「ただいま〜。」」

「おかえり〜。」

あ、やっぱりママは居るんだね。

パタパタと足音が聞こえてくる。

廊下の奥から顔を出したのは銀髪を結い上げた、和装に割烹着という出立ちの女性。ママだ。

「あら?お友達?」

「はい、同じクラスの鈴木菫(すずきすみれ)です。」

妹尾光(せのおひかり)と申します。」

「あらあら、まあまあ。御丁寧に。なづなと、せりの母です。さ、どうぞ、お上がりなさいな。」

2人を促し、パタパタと奥へ戻って行く。

「お母さん、外国の方だったのね。」

菫さんが、そんな事を言う。

いや、そりゃボクらの髪見ればわかるんじゃ…あ、パパが外国人だと思ってたのかな?

「うん。イタリア系のアメリカ人だったらしい、よ?」

「だった?」

「イタリア系でアメリカ生まれの現日本人って事。」

「パパと結婚して、帰化したの。」

「へぇ〜。」

取り敢えずリビングへと思い、そちらに向かおうと思ってんだけど…

「あの、せりさん…」

「どしたの?光さん?」

「あの…あの、不躾だとはわかっているのでですが…」

「うん?」

「その、お二人の…お部屋を、見せていただけませんか?!」

「はい?え?部屋?ボク達の?」

こくこくこく。凄い勢いで頷いてマスね。

「そりゃ、構わないけど、なづなは?」

「いーよー。」

軽っ。

「…じゃ行こうか。」

ママに部屋に行く旨を伝えて2階に上がる

「ここが私達の部屋、だよ。」

「どうぞ。」

ドアを開けて2人を中へ誘う。

光さんは胸の前で指を組み

「ここがお二人の…」

「愛の巣。」

「光さん?!」

今何て言った?!

「あ、ごめんなさい。お部屋って言おうとしたのだけど…間違えてしまったわ。」

えぇ…どういう間違い…?

「ベッド、大きいわね…」

「ダブルベッドってこんなに大きいのね。」

「あ、これダブルじゃない、よ?」

「確か、クイーン?…キングサイズ?だっけ?」

「キングサイズだったと、思う」

大きいよね。8畳ある部屋の三分の一を占拠しているくらいだから、そりゃ大きいよ。

「適当に、ベッドにでも座ってて。なづな、とちょっと下行ってくる。」

「ん、わかった。」

階段を降りリビングへ。

丁度ママがお茶を入れてるところだ

「ママ、時刻表ってあったよね?」

「あるよー。ボードに貼ってあるでしょ?」

あ、あったあった。

「ちょっと借りて良い?」

「いーよー。」

なづなとそっくりな答え方!親子って凄い!

時刻表とお茶を乗せたお盆を持って再び2階へ

「後でお菓子持ってってあげるからね。」

「ありがと、ママ」

2階に上がったはいいけど、ドアが開けられない!

ど、どうすれば…?

「あーけーて。」

声をかければ問題なかった。

「おかえり〜。」

光さんと菫さんがベッドに突っ伏して寛いで?いる。


「光さんはベッドがどういう物か見てみたかったんだ?」

「ええ、私、小さい頃からお布団を敷いて寝ているものだから、2人で寝られるベッドって見てみたくて…」

そういうものかね?

なづながベッドに寝転がり、ポンポンとベッドを叩く。

なんかミャンマーの寝釈迦みたいなポーズになってますがっ?仕方ないので隣に寝転ぶ。

「どう?こんな感じ。」

ああ、なるほど。2人で寝たらどんな感じ?みたいな質問されたのか。いや、別に2人で寝てみればよかったんじゃないの?

ベッドから起き上がり机の上に置いたお盆を示し

「取り敢えず、お茶にしよ。冷めちゃう前に。」

「頂きます。」

「それと菫さん、はい、時刻表。」

「あ!ありがとう。助かる!」


「4、5、6時台は15分毎にあるね。」

「でも、これは特急だから、ダメじゃない?」

「ホントだ、じゃあ5時台が1番本数多いのかぁ。」

まだ時間はあるんだから、ゆっくり決めればいいと思うよ。

しかし、今朝知り合ったクラスメイトをいきなり部屋に入れたの、初めてじゃないかなぁ?

2人とも昨日迄知らない人だったなんて思えない。

これから先も、良いお付き合いが出来ると良いな。

コンコン

ノックされた…ママだよね。

「は〜い。」

「開けてい〜い?」

「どうぞ〜?」

「ホントにい〜い?」

なんなの?どうしたの?

「…開けたら、みんな裸だったとか、な〜い?」


「「ありません!」」




鈴代姉妹のお母さん


イタリア系アメリカ人で結婚後、日本に帰化

銀髪碧眼で180cmの高身長

柔らかい印象の美人。

頻繁に和装をするので、近所の人は着物姿の方を見る事が多い。


髪と眼の色以外は長女の「鈴代すずな」にそっくりです。


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