あふたーすくーるあくてぃびてぃ㊹
グラウンドの中に居たら部活動の邪魔になるだろうという事で、ボク達はグランドの隅の方、南側の外れへと移動する。
おそらく他の子達も同じ事を考えるだろうから、すぐに合流出来ると思う。
一旦の目的は果たしているので慌てる必要はない。故にまったりとお喋りしながらの移動である。
「さっきの…ヘアバンドのお姉さま、随分と せりさんの方を気にしていらしたわね。」
「だねぇ。なんか凄い見られてるなぁとは思った。まぁどんな噂かわからないけれど、方々から耳に入って来たんでちょっと興味が出た…とかじゃないかなぁ? 」
“だと良いな”という希望的観測ではあるが。
「どうかしら…セリナお姉さまみたいに侍らせたいと思ってらっしゃるかもしれないわよ? 」
いやいやそんな事は………待って? 今何て言った?!
セリナ様みたいに?
侍らせたいと思っている?
…誰を…? …ボク達?!
え? なにそれ?! 何処からそんな話が出てきたの?!
「…少なくともウチのクラスではそう言われているわよ? 違うの? 」
えぇ…? ボクはセリナ様じゃないので『違う』と断言する事は出来ないけれども、あの人はただ単に『使えそうだから囲い込みたい』って思っただけでしょう、執行部の為に。
まぁ、ホントはボクより優秀な子はいるのだけれど、一々調べるより推薦されたボク達に声を掛けた方が手っ取り早かったって程度の事でしょうよ?
「その程度の認識で名前で呼ばせるものかしら? 」
…あの、何でそんな事まで知ってらっしゃるのでせうか?
「え? だって せりさん“セリナ様”って呼んでいるのでしょう? 私はそう聞いたのだけど。」
そ、それはそうなのですが…
あれ? ボク誰かに話したっけ…?
「確か彩葵子さんが『そう呼んでる』って言ってたはずよ。あ、椿さんもだったかしら? 」
あ…あ~…彩葵子さんね…。
一緒に生徒会室に行ってる上に、その時にはもう『セリナ様』て呼んでたハズだし…彩葵子さんが出処じゃあ仕方ないかぁ。
椿さんの方は…二人きりで行動した事もあったから、もしかしたらポロっと言っちゃっているかもしれない…ってか、ボクの事だから言ってるんだろうなぁ…。
うん。もうこれはボクの所為だね。
呼び方に関してはそれで良いです。
でもですよ?
“侍らせる”と言うのは何なのでしょうか?
「侍らせる』というと、なんかこう、アラビアンとかエジプシャンな衣装で長椅子に寝そべって水煙草燻らせてる女主人に、極薄の衣装を着て絡みつく様に甘えている女の子達…みたいなイメージしか浮かばないのだけれど?
「よくわからないけど、たぶん違うと思う。」
あ、左様で。
違うのか。ふむ。
侍る…ってどういう意味だっけ?
「…えっと、『身分の高い人のそばにつき従っている。かしこまってその席にいる。』ですって。」
小梅さん、あっという間にスマホで検索して教えてくれました。ありがとうございます。
つまりアレか? 付き人みたいに連れて歩きたい、みたいな解釈で良いのかな? ふむ。それならば、まぁ…理解らなくもない、かな。
や、しかし、自分がその対象になるってのは如何にもムズ痒いというか…なんか照れちゃうね。
「要するに、秘書さんとか執事さんみたいな感じでいつも傍に居る状態が『侍る』なのね。




