あふたーすくーるあくてぃびてぃ㊲
昨日、あまりの時間のなさ故に加筆もままならず、中途で停まったままになってしまいました…
本来は分割予定ではなかったので『あふたーすくーるあくてぃびてぃ㊱-2』とでもしたいところですが…分けさせていただきます…。
「…生徒会執行部…ですか? 」
うん、そう執行部。
学院内の事なら大体にして執行部が関与しているからね。もしかすると先生や職員の方達よりも詳しいかもしれないよ?
…って、なんでそんな不安そうな顔をしているかな?
「あの…執行部のお姉さま方って…なんか…怖くないですか? 」
…怖い…?
怖いとな!?
「そうだよね、なんか近寄りがたいっていうか… 」
ええぇ……?
そういう感想?
二人揃って?
「ち、近寄りがたいかなぁ? ボクも全員を知っている訳じゃないけれど、皆さん優しい方達だよ? 」
「ほ、ホントですか? 始業式の時、怖い顔で睨んでいたじゃないですか…? 」
ええ…?
そんな事はないと思うけれど…
いや、そうか…新生活が始まるという緊張感と初等部とは明確に変わる学年の差。それに加え高等部まで同じ敷地内にある所為で、ずっと年上のお姉さまがいるんだ。言うなれば先生に次ぐ“大人”な訳で。で、その“大人”は先生方よりも直接的に自分の学院生活に関わってくるのだから、より近い脅威ととらえらても仕方ない。
そしてその“大人”が壇上から自分達を見ていた、と。
なるほど“希望”より“不安”が勝っていたのなら、真剣な眼で辺りを見回している人が居て、その視線が自分に向けられた一瞬を『睨まれていた』と感じる事だってあるかも…しれないなぁ…。
「あ〜、あれは睨んでいたんじゃないと思うよ? 貧血や緊張で気分が悪くなる子が居ないか見廻していただけで。」
まぁセリナ様はボク達を見てたけれど。
あれは例外でしょう。
うん。
「…そうなんでしょうか…? 」
そうなんです。
初等部の時だって先生方が列の横や後ろから見てたんですよ。
何時も何時でも見守られていたんだよ、生徒側は気づいていないかもだけれどね。
「まぁ、君達が“お姉さま”と呼ばれる頃になれば理解るんじゃないかな? 」
ちょっと意地の悪い言い方だったか? …暗に『君達はまだ子供だから』って言っている様なモノだからなぁ。実際子供なんだけれどさ…って、いかん。これ以上は説教臭くなっちゃいそうだ。
話題変えよう。
「…っと、昇降口着いたよ。ここが『雨女』こと『雨垂れの少女』の舞台だね。」
「え? あ、ここが…? 」
「うん。キミ達も使っているでしょう? 昇降口。」
そう、ここが最も古い七不思議のひとつ、『昇降口の雨女』の出現場所。雨の日に扉前の軒先で雨宿りしていると、見慣れない制服の娘がいつの間にか隣に立っていて……ってやつ。真偽はわからないけれど七不思議では目撃者が一番多いらしいよ。
「あまりそういう雰囲気の場所ではないですよね…。」
キョロキョロと辺りを見回しているのはそれらしい痕跡でも探しているのだろうか? 残念ながら痕跡なんて無いと思う。
あったのなら既に大騒ぎになっているだろうからね。
第一、日常的に使う場所が雰囲気出してたらイヤでしょうに。
さてさて、ボクはそろそろ皆の所に戻らないと。
小梅さんも一人では寂しかろう。
いやそれ以前に、現時点でボクは全くの役立たずなんでね? 少しくらいは貢献しないと面目が立たないというか…え? 保つ体面なんて持ってるのかって? …いや、それは、ほら、アレだよ、ボクの気持ちの問題? みたいな? ま、まあ良いじゃないか、その辺の事は。
「じゃあボクはそろそろ戻らなきゃいけないから、ここ迄だけれど…2人は? 」
どうするのか、と問えば
ふと顔を見合わせて、うんと頷きあった。
「はい。さっきお姉さまが仰っていた図書室に行ってみようと思います。」
「七不思議、調べてみる? 」
「はい!」
うんうん。オカルト好きなんだねぇ。
ボクも聞くだけなら好きだよ。聞くだけなら。
今でも自分と関係ない所でおこるモノなら平気なんじゃないかな。
…経験するのは全力で回避したいけれどね!
「じゃあボクはこれで…っと、忘れてた。」
立ち去りかけて、まだやっていない事があるのに気付いてしまった。
…ちゃんとしておかないとね自己紹介。
たとえ相手がボクの事を知っていたとしても。
「ボクは『鈴代なずな』よろしくね。で、お名前教えてくれるかな? 」
ボクがそう言うと二人はハッとしたように姿勢を正し、ボクに向き直った。
「しっ…!失礼しました!え、と、私は『カクタ ユズ』と申します!」
「わ、私は『ツノダ ユズコ』です!」
カクタ ユズちゃんに、ツノダ ユズコちゃんか。
二人ともユズちゃんなんだ。へぇ。
うん、名前が似ていると親近感覚えるよね。それキッカケで仲良くなれたりするだろうし。もしかして二人もそんな経緯かな?
「教えてくれてありがとう。それと付き合わせちゃってごめんね? 」
「いえ、いいえ!とんでもないです!」
「そうです!お話し出来て嬉しかったです!」
いやアイドルじゃないんだからお話しくらいするでしょうよ。ってかアイドルだって学校の子とはお話しくらいするんじゃないの? え、しない? …するよね? あ、そもそもお仕事が忙しくて学校通えてないとか…?
あ〜、あり得るのか…ボクだったら、それはイヤだなぁ。
「そう? なら良かった。じゃあ…またね。ごきげんよう。」
「はい!ごきげんよう、お姉さま!」
昇降口で2人と別れ、早足でグラウンドへと急ぐ。
思いの外時間食っちゃったなぁ…まぁ後輩の子達は初々しくて可愛かったし、部活をやっていないボクにしてみれば下の学年の子と話す機会そのものが無いに等しいからね、貴重な時間をではあったわけで。
話した内容は正に“雑談”だったが。
カクタ ユズちゃんとツノダ ユズコちゃん…
ユズとユズコ。漢字で書くと…あれ? もしかしてどっちも『柚子』なのか?
…ん?
……んん?
カクタとツノダって言ってたよな?
もしかして…2人とも角田って書くんじゃ…
え、じゃあ漢字で書いたら『角田 柚子』で読みが違うだけ?!いやいや当然字が違う可能性もあるのだけれど、もし正解ならばこれ名簿に載ってたら読み方、迷いそうだねぇ。
あ。もう一人『すみだ』さんとか居たりしないだろうな…?
なんてくだらない事を考えながら、グラウンドをぐるりと周って先程と反対側、南側に回り込む。
えっと…あ、いたいた小梅さん。
すンごい暇そう。
みんな部活やってて話す相手も居ないんだから当たり前か。
ふむ。
どうやらまだ休憩には入っていないみたいだね?
間に合ってよかった。
では合流して…話し相手になるとしましょう。
もう少し加筆します。
P.M.14:00
加筆致しました。
本日はここまで。
次話は明後日01:00予定です。




