あふたーすくーるあくてぃびてぃ②
「なづな!せり!聞いて聞いて!」
はいはい、なんですか桂ちゃん。
っていっても、さっきの嬉しそうな表情の理由を話してくれるんでしょう?わかってます、是非聞かせて下さいな。
現在SHRが終了し、皆さん帰りの支度やら部活の準備やらをしています。あ、当然だけれど、新歓祭チームは纏まって素材集めに行く事になっています。一応、今日の終わり際にざっと作ったPFを残った子達で鑑賞する予定なのだけれど、さて、どんな風になっているのやら。
因みにSHRでは週明け最初の実力試験の事、来週からは通常授業が始まる事、来週末の新歓祭に向けての準備の事等々の申し送りと注意を受けた程度でサクッと終了。
…と思いきや。
『なづな、せり。お前たち放課後、職員室な。』だそうで。
いやまあね?呼び出される心当たりはありますけれどね?
どっち方面で叱られるのかなぁ?授業抜けちゃった事か廊下走り回った事か…どちらにせよやってしまった事は仕方ないので、ちゃんとお小言はいただきましょう。うん…仕方ない…。
という訳で、ボク達は後ほど新歓祭チームに合流です。
…とまぁ、ちょっとガックリきていたボク達の所にですね、桂ちゃんが満面の笑みでやってきた訳ですよ。
まぁ凄く嬉しそうなんで、へこみ気味だった気分もちょっと盛り返したね。
…なんか栄養ドリンクみたいな子だな。
うん。で、何があったのかな?いい事なんでしょう?
桂ちゃんはウフフと、それはもういい笑顔で柔かに寄って来てですね なづなの机に手をついてググッとと身を屈める様な格好になったんです。ボク達も釣られてちょっと前のめりになると…
「んふふふ〜えっとね…… 」
ん?あれ?どしたの、キョロキョロして?
なに、聞かれちゃマズイ話なの?
え?嬉しい話なのにナイショにしなきゃいけないの?
なにそれ、どゆこと?
ああ、いや、取り敢えず内容の方を窺いましょう?
そう言うと、こっそり耳打ちをする様に
「あのね、夏の大会、ダブルスで出られるかもしれないの。」
…え?!凄いじゃん!
新人戦前に公式デビュー?!
ホントに?!いや疑う訳じゃないけれども!
部活絡みであろうとは思っていたけれど…まさか選手に選抜されるとは…予想より凄かったよ!おっと、大きな声は出さずにヒソヒソっとね?
「ま、まだ“かもしれない“だから、大きな声では言えないんだけどね?嬉しくてさ、誰かに聞いて欲しかったんだけど部の子に言う訳にもいかないし、その点、なづなと せりなら黙っててくれるだろうし?それでも一緒に喜んでこんでくれるだろうし、もし駄目になっても慰めてくれるかなって。」
そりゃ喜びますよ、ボク達の親友が頑張って実力でもぎ取ったチケットですよ!コレを喜ばずしてなんとする。
「桂ちゃん頑張ってたもんねぇ。なんかお祝いしなきゃ、かな?」
「ううん、それは本決まりになったら…かな。まだ顧問の先生とお姉様に『そう考えている』って言われただけだから…それでもさ、やっぱり嬉しくて、こう、なんか、やるぞ〜ってなっちゃって!素振りしてたら遅れちゃった。てへっ。」
てへっ…って…まぁ気持ちは理解らなくもない。
テンション上がってジッとしてられなかったんでしょ?
実に桂ちゃんらしいね。
しかし、そうか。お祝いはちゃんと決まってから、かぁ。こういうのが本決まりになるのっていつ頃なんだろうね?試合直前とかなのかな?それとも事前に決めて置いて、大会に向けて練習するのかな?
「公式の試合はねぇ、早いところだと6月くらいからかな?地区大会、県大会、全国ってあるからね。シングルは人数多いから早いよー。明之星のあたりは地区予選7月の頭くらいじゃなかったかな?だいたい期末の前くらいなんだよ〜。」
あ〜そうなの?
そりゃ大変だ。
ふむ。修学旅行前後には確定情報が出ると思っていても良さそうだ。それより早いかもしれないけれど…いずれにせよ、その頃になにかしらのお祝いを考えておかないと、だね。
「んふふ〜頑張るよ〜。」
うん、がんばれ。でも無理はダメだよ?
怪我や故障なんかしたらコトだからね?
「そうそう。せりの言う通り、疲れたらちゃんと休む事。なんだったら私達がほぐしてあげるよ?」
パパ直伝の技術でね。ふふん。
「あ…いやぁ…それは、ちょっと… 」
…ええ!?なんで!?
ママやすずな姉ちゃんには超好評なんだよ?
っていうか、桂ちゃんにだってした事あるじゃん!?
「あ…あるよ。あるけど…あるけどさぁ…。」
え…もしかして痛かったとか?!あれ、でもあの時はそんな事言ってなかったよね…あ、まさか遠慮して言わなかった…いや言えなかったとか!?
「ち、違う違う!痛くなんてなかったし凄く楽になったんだよ!それはホント…!ただ、ただね…。」
ただ…?
桂ちゃんは口ごもり、その先を言おうか言うまいか逡巡しているようにも見える。えぇ…そんなに言い難い事なの?なんか凄く気になる!
「…~!ごめん…!言えない!言えないけど、それだけは遠慮させて!」
ぐぐぐ・・・そこまで固辞されては仕方ない…なんか釈然としないけれど無理強いする様なことでもないしなぁ。なづなも何が何だか理解らなくて首傾げてるけれど、言いたくない事をわざわざ聞くのも野暮ってもんだしね。
「あ、でも、手のひらマッサージはまたお願いしたいかも。」
おお、そのくらいなら何時でもするよ~。
ラケット握ってるから前より手の皮が厚く硬くなっちゃってるんだろうなぁ。去年の夏ごろはマメが潰れてタコになって結構痛々しかったけれど…今はどんな風になってるんだろう?
桂ちゃん曰く『変な形にタコができるのはちゃんと握れてないから』って言ってたしね。あれか随分経つけれども、今はちゃんと正しく握れるようになってるのかな?
「今からやろうか?」
「なに言ってんの。2人とも職員室行かなきゃでしょ?あ、もしかして私をダシにしてバックれるつもり?ダメだよ〜?そんな事おねえさん許さないからね?ちゃんと行かないと後でお仕置きだよ?っていうか、すずな姉ちゃんに言いつける。」
おぉう!?
いや、元より逃げる気はなかったけれども、その通りですね。え?忘れてないよ?ちゃんと行くつもりだったよ?ホントだよ?いや待て、今微妙にお姉さん気取ったな?確かに誕生日は桂ちゃんの方が早いけれど…こういう風にマウントと取ろうとする時って、大概なにかを誤魔化そうとしてるんだよね〜…まぁボク達をと言うより、自分をって感じだけれど。ふむ…今回はさしずめ、さっきのマッサージ拒否の理由か?
…それなら敢えてツッコむ事もないか。
野暮だって結論づけたばかりだしね。
「ちゃんと行くよぅ。」
「先に椿さん達と打ち合わせてから、だけど。」
「そっか。ならよろしい。」
腰に手を当てて、にぱって笑う。ちょっと照れてる。
ぬ。一生懸命“お姉さんムーブ“のロールプレイをしていらっしゃいますね?それでもちょっとぎこちないのは…あゝいやいや。可愛いから別にいいや。うん。どーでもいい。親友の照れ顔、頂きましたから。
「ところで桂ちゃん。」
「なに?」
「月曜日の放課後は大丈夫なんだ、よね?」
「大丈夫だよ〜。テストの日は部活休みだからね、ちゃんと参加するって。なに?サボると思ってたの?それはちょっとひどくない?!信用無さすぎじゃない?!」
いやいや、そんな事思ってませんて。
単なる確認だよう。
まぁ、月曜日は全員の集合部分の他に、今迄あまり参加できてない子達を重点的に撮るつもりだからね、桂ちゃんにはいてもらわないと。
「う、うん、わかった。」
桂ちゃんは今日もこれから部活でしょ?
練習頑張ってね。けれども無理しちゃダメだよ?疲れたら休む事、体壊したら元も子もないんだから、まずそうだったらちゃんと言って?ボク達が念入りにほぐしてあげるから。
「うん、わかっ……って、だから遠慮するって言ったじゃん!?なにしれっと言質取ろうとしてるかな!?」
……ちっ…気づいたか。残念。
「…もう!私、部活行くから!なづな!せり!ちゃんと職員室行くんだよ?じゃね!」
一気に捲し立てて、すっ飛んで行っちゃったよ。
返事くらい聞いていってもいいのにねぇ。
はいはい。わかってますよ。
ちゃんと行きます。
けど、先に打ち合わせ、です。
A.M.11:55
加筆終了。本日はここまでです。
ちょっと短編を挟みます。




