あふたーすくーるあくてぃびてぃ
本編再開です。
放課後です。
今日は散々な経験をしましたよ。
いやホントに。
緊急事態…だったかもしれない…とはいえ、下着姿で校内を駆け回るという、下手をすれば一生に一度あるかないかってレベルの痴態を演じてしまったんだから…。
…まぁね所詮下着姿なわけで?裸なわけじゃないんだし?考え様によっては水着姿と大差ないし?それほど気にする様な事でもないよって皆は慰めてくれたんだけれどね?
やっちゃった本人としては結構なダメージを受けている訳で…なづな なんて休み時間の度に机に額を打ち付けて『あ゛~う゛~…』って唸ってるもん。
ボク?
ボクはそりゃぁ…
消えてしまいたい……。
だ、だって、なづなはね?まだいいよ!?スカート履いてたんだから!ボクなんてスパッツだよ!?水着と変わらないって理屈も解かる!わかるけれど!水着の場合は大概周囲も水着姿なわけでね!?周囲から浮くなんて事もないはずだよね?!
今回はボクだけがそういう格好だったんだよね?!
つまり浮きまくってたんだよね?!
おおぉぉ…またやってしまった…!
「まだへこんでるの?」
あぁ、菫さん…ええ、凹んでますよ〜…。
絶賛へこみ中です。
「貴女達が話題になるのは今に始まった事じゃないでしょう?気にする方が損だと思うわよ?」
そぉねぇ…今に始まった事じゃないのはその通りなのだけれど、グッサグッサ心に刺さってクるからヤメテ…?
「それに。」
…それに?
「本当にカッコよかったんだから。誇るべきよ。」
…“格好いい”と言う評価は実にありがたいのだけれど、やっぱりねぇ、こう…羞恥の方が勝ってしまうというかなんというか…。
確かにねボク達が見ている側だったのなら同じ様にカッコイイと思ったかも知れないよ?けれど、それが理解っていてもなお割り切れないんだよぅ。
「…意外と豆腐メンタルよね。」
ぐはぁ!
せめて繊細と言って!?
「なづなさんも…ダメそうね。」
苦笑しながら光さんが声をかけてきた。
なんでも なづなは、授業中も無言で悶絶してたらしい。時々ビクッとしたと思ったら手首の痛いツボをグリグリ押したりこめかみをゴリゴリしたり、外的刺激で気を散らそうと頑張っていたみたい。逆効果だったみたいだけれど。
うん、まぁそうだろうね。
ボクよりも考え過ぎてグルグルしちゃうタイプだから、そうなると思ってたよ。こうなってしまっては致し方ない、ボクがしっかりしなきゃ。
…無理矢理でも。
「…いや、大丈夫。一旦忘れる…うん、大丈夫。」
と、宣言してみる。
ほらあれだよ、発した言葉には力が宿るっていう…そうそう、言霊ってやつ。今回のは自己暗示の方が近いかな?
「そう?なら良いのだけれど。」
「そうね。あんまりへこんでいると椿さんと凛蘭さんが困っちゃうでしょうし。2人とも戻って来てから話しかけるチャンスを伺ってたのよ?」
え、ホントに?
ボクらが撃沈状態だったから話しかけられなかったの?
ありゃりゃ、それは申し訳ない事をしちゃったな。
チラリと窓際の席にいるであろう椿さん達に視線を移すと…サッと目を逸らされた!あれ!?直前までこっちを見ていたっぽかったのに?!なんで?!椿さんだけじゃなく凛蘭さんまで!あれぇ?!
「目を逸らされたわね…?」
だよね?!気のせいじゃないよね?!
あ、もしかしてお姫様抱っこの事を誰かに揶揄われて恥かしくなっちゃった、とか?むぅ…有り得る。
だとしたら悪い事したなぁ…後でお詫びしておかないといけないよねぇ…ボク達の所為で揶揄われたって事だもん…。
「揶揄うとか…そんな事する子が居るとは思えないのだけれど…。」
いや、それはボクもそう思いたいけれど…じゃ、じゃあなんで目をそらされたんだろうか?なんか思い当たる事ある?
「そりゃ貴女達みたいな可愛い子に抱かれたんですもの。後から思い返して照れくさくなったんでしょ。あくまで想像だけどね。」
言い方、言い方ぁ!
抱かれたって言うと誤解を招くから!
「ダメよ菫さん。そんな言い方をしたら なづなさんが…… 」
「あ!そうね、ごめんなさい!悪気があった訳じゃないのよ?」
わかってます、わかってますよ!わかってますけれども!
なづなの精神は被害甚大っぽいです。湯気が見えそうなくらい赤くなってます。顔は見えないけれど、間違いなく!なので、そのくらいにしてあげて下さい!
とはいえ…なんか、なづながこんな状態なのにボクの方はちょっと落ち着いてきちゃった気が…?う~ん、やっぱり『テンパっている人が近くに居ると、かえって冷静になるの法則』は実在するんだなぁ…ん?『自分より焦っている人が居ると、』だったっけ?すずな姉ちゃんが言ってたアレ。
ま、まぁいいや、どっちでも。
有る無しは兎も角、冷静さを取り戻せるのなら有り難いね。
なづなには悪いけれど。
…うん、かなりマシになってきたぞ、よしよし。
多少落ち着いてきた事だし、制服を持って来てくれたお礼を言っておかなくちゃね。一応言った覚えはあるのだけれど、”ちゃんと“とは言い難い伝え方だったと思う。
なので改めて。
「光さん、制服持ってきてくれてありがとう。ホント助かりました。」
「いいえ、お役に立てて嬉しいわ。」
ほわほわ〜っと頬に手を当てて微笑む光さん。
くっ…眩しい…!
「私も行きたかったんだけど、彩葵子さんが『皆んなで行っても迷惑になるだけよ』って言うからさ…教室に残ったのよ。」
ちょっと拗ねた様に頬杖をつき口を尖らせて、そんな文句を言う菫さん。あらやだ可愛い。
しかしなるほど、それは道理です。お仕事中の保健室に大人数で押し寄せたら、邪魔以外の何者でも無いもんね。ボク達だけだって結構な騒ぎになっちゃってたんだから。
さすが彩葵子さん、ナイス判断。
まぁ、倒れたクラスメイトを心配する気持ちはよく理解るので、よくぞ踏み留まってくれたと褒めるべきかな?
…上から目線過ぎるな…やめとこう。
じゃあ、桂ちゃんにも…って、桂ちゃん見当たらないね?あれ?いつも通りならば、運動部の子達と談笑していると思ったんだけれど…はて?
まぁ、SHRもまだだし戻っては来るだろうから慌てる必要はないかな。ボクが忘れない様にすれば良い話だし。
なんて考えていたら丁度チャイムが鳴り、皆が一斉に席に着くのとほぼ同時にマキ先生が教室に入って来た。
あれ?桂ちゃん戻って来ないね?
ドタドタドタドタドタドターーーー
バァン!
「すいません遅くなりました!」
…もんの凄い勢いで扉を開けて教室に飛び込んで来たのは、当然、桂ちゃんです。
「やかましい!」
と、マキ先生に一喝されて、ビシッと直立不動になるところは流石体育会系だなぁと妙に感心してしまった。
それにしても桂ちゃんが遅れて来るというのは実は結構珍しい。アバウトというか大雑把というか、そんな風に見られがちな子だけれど、実は約束の時間に遅れた事はほぼないんだよね。少なくともボク達との待ち合わせとかだと一度もなかったはず。
学校でだって"3分前行動“を心がけているとかで、始業時に教室に居なかった事はないんじゃなかったかな?だから、今日のコレは非常に珍しい事だ。事件と言ってもいい。
よっぽどの事があったんじゃないかな?
…ふむ。後でお礼がてら聞いてみよう。
表情が明るいから、きっとポジティブな出来事だと思うんだよね。
「まぁいい。席に着け。」
「はい!すいませんでした!」
マキ先生のお小言を貰った桂ちゃんだったけれど、やっぱり何か良い事があったみたいだ。ボク達の方を見てニカッて笑ったもん。あれはかなり嬉しい事があったに違いない。
あ、もしかしてアレかな?
申し訳ありません
日中加筆します…
P.M.15:20
本日はここまで。
次話は14日01:00の予定です。
今度こそ…今度こそ…




