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えぴそーどおぶおーでぃなりー②

短くてすいません…








「では放課後、部活等が無い人は素材撮影に行きますので、教室に残って下さい。」


はーい、と元気な返事が返ってくる。

みんなやる気があって大変結構。


どうも、こんにちは。鈴代せりです。

授業開始初日。滞りなく、恙無く、終了いたしまして、現在は帰りのSHR(ショートホームルーム)中です。

…朝の話はどうなったのかって?

そりゃもう、のらりくらりと(かわ)しましたよ。

事情を知っているとはいえ、本人が口にしていない事をペラペラ(しゃべ)るほどゴシップ好きという訳じゃないし、満さんから(もたら)されるであろう“その後”もまだ聞いてないんだもの。

…まぁ満さんの事だから、それほどかからずに周知される様な気がするけれど、それはそれで。周知された後に補足説明するくらいはね、しようとは思うよ?

ネズミに引っ掛かりを覚えていた光さんも、結局原因はよくわからなかったみたい。ただ昨夜見た夢が少し変わった夢だったらしくて、それに関係あるんじゃないか…とは言っていたけれど。

その話を聞いて なづなも(しき)りに首を傾げていたのだが…何かあるのかと聞いても『夢の話が気にはなってるのだけど、何故それが気になっているのかが理解(わか)らない。』のだそうな。

…本人にわからない事がボクに分かる訳ないもんなぁ…。

妙な夢ならボクも見た…ような気がするのだけれど、正直内容はまるで覚えていないんだよね。みんな一緒に妙な夢をみたり、揃って内容を覚えていなかったり。

…不思議な事もあるものだ。

こういうのなんて言うんだっけ…ああ、そうそうシンクロニシティ?だったかな?

…また、盛大に脱線したね。

ごめんね。

…直んないんだよなぁ…この脱線癖。


ま、そんなこんなで最終的に満さんの件は、本人が話すまではノーコメントって事にしましたって言って全スルーです。

さて、それで最初の話に戻るとね『今日から新歓祭の素材集めを本格的に始めましょう』という事になっているのだけれど、実はボク達には特にやることがなかったりする。

みんなが校内でワイワイと楽し気に過ごしている映像が撮れれば良いだけなので、演技の必要もないし難しい注文がある訳でもない。

まぁ『自然にしてて』というのが簡単かと言われれば、疑問ではあるけれど。

で、ボクはというと人止めとか場所取りとかの雑用全般。ボク達が映ると目立ち過ぎちゃうので“ここぞ”という場面以外はいらないって言われちゃって…ちょっとショック。

まあ後で撮りたいシーンがあると椿さんに言われてはいるので、“ここぞ”の構想は既にあるみたいなんだけれど。何をさせられるのか教えてもらえなかったので、ちょっとビクビクしてるんだよね。


そんな訳で なづなとボクは殆ど見学です。


まずは他のクラスの子やお姉さま方の迷惑にならない場所、有体に言えば教室前の廊下や階段、踊り場、昇降口に中庭、その辺りでクラスメイト達がワイワイと談笑したり歩き回ったり走り回ったり…と、そんな場面を次々と撮影してゆく。


やはり“自然に”という部分が一番の難関らしく、いざ撮ろうとカメラを向けると皆ガチガチに固まっちゃってね、緊張をほぐそうとすればするほどギクシャクするという悪循環。

結局、撮るとは言わずに常時カメラを回しておく…という方法で乗り切りました。

おかげで本当に自然な姿が撮れたと椿さん達はホクホク顔だったのだけれど、ボクとしては『上手に誘導するものだ』と感心しきりでしたね。


最初こそ難航したものの、常時撮影にしてからは順調そのものと言って差し支えないレベルで進み、これなら思った程時間はかからないんじゃないのかなぁなんて考えてました。


「あまいですよ、せりさん。」


椿さんに、ばっさりと言い切られました。


「シナリオも絵コンテの様な物もない状態で見切り発車してるんです。映画みたいに必要な部分をピックアップして撮影しているんじゃないんですから、撮っている素材の7〜8割は使えません。今のじゃ全然足りてません。」


…2〜3割しか使えないの?!

それ効率悪くない?!

台本があれば、もう少し…と言ったところで、椿さんがピッと手を上げて制した。


「コスパは劣悪ですけど仕方ありません。自然に振る舞う事すら出来ない素人なんですから、数を撮って良いものを使うのが一番早いんです。」


さっき見てたでしょう?と言われれば、まさしくその通りですと納得せざるを得ない。なるほどなぁ…映画だって一発でビシッと決まる訳じゃないんだもんねぇ。ましてやボクらはズブの素人な訳で…それだけ時間と手間はかかると覚悟しなきゃいけないんだって。

確かに『自然にお喋りしてて』という指示でも、チラチラとカメラを気にしたり、『歩いて来て』というだけなのに、どこかぎこちなかったり…全く演技は出来てなかったもんね。

こりゃ大変だ。


「…でも、私達も演技出来る自信ない、よ?」


そ、そうだね…さっきのを見ると、似たり寄ったりドングリの背比べだと思う…。


「そこは心配しなくて大丈夫です。」


そう言って椿さんいか演出チームが笑う。

…演技しなくていいの?

どゆこと?


「ちゃんと固まったら、話しますよ。」


まだ構想が固まってないのか…。

あの、お手柔らかにお願いします。


「あ、椿さん、アレだけは今日撮った方が良くないかしら?」


アレ?


「アレかぁ…確かにそうかも…。」


アレって何?


「日が高くて、人目がないのだから好条件だと思うのだけど。」


ね、ねぇ、アレってなぁに?


「そうね。皆んなのを撮り終えたら、アレ、撮ってしまいましょう。」


だ、だからアレって何?

ボク達とは関係ないのかな?


「と、いう訳で、なづなさんと せりさんは最後まで付き合ってもらいますね。」


あ、はい。

それは勿論構いませんけれどね?


アレってなんですか?











AM11:20の更新で本日は終了します。

大変申し訳ございません。

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