おはようお姉ちゃん
何となく昔の落書きやら、ネームやらを見ていたら結構酷い話しだったり、キャラが可哀想だったり…そんなのばっかりだったので…
この子達に幸せな日常を過ごさせてあげたいな…と思って書き始めました。
さてさてどうなる事やら…
…ここは何処…?
身体が動かない……意識はあるのに指一本すら動かせない
視界は淡い緑色のフィルターが掛かったみたいにボヤけている。
ああ、わかった…
ここは、アレだ、カプセルの中だ。
辛うじて動かせる目で辺りを見回してみると、周囲に円筒形のカプセルが並んでいるのが見える。
その透明なカプセルの中のいくつかには4〜5歳だろうか?幼い子供が浮かんでいる。
これを見ているボクも同じ年頃なのだろう。
今よりずっと小さいな
…ああ、駄目だ、眠い、眠くて目を開けていられない。どんどん瞼が重くなってくる。
わかっている
今、現実のボクは眠っていて夢を見ているんだ。
そう。これは夢だ。
過去にあった出来事を夢として観ているに過ぎない。
ずっとずっと昔。ボクが生まれる前…ボクが今のボクになる前の記憶
ピピッピピッピピッピピッピピッ
「ぅん…」
けたゝましく鳴り響く目覚まし時計音で意識が浮上してくる。
布団に入ったまま手を伸ばして枕元にあるはずの時計を探すんだけど、何も手に触れない…
あれ?ないな?
確かここにあったはずなのだけれど…
2度3度枕元を弄ってみても手に当たらない…あれぇ?
ピピピッピピピッピピピッピピピッ
あ、まずい音が大きくなり始めた
仕方がない、と身体を起こし…重っ?!
起き上がれれない!何かがのし掛かっている!
何かは解っているのだけれども!
布団を捲るとそこには、プラチナブロンドとも白髪とも言える色合いの短い髪が見えた
うん。やっぱりね!
ポンポンと頭を撫でて、その綺麗な髪に向かって声をかける
「おはよう、なづな」
「…ん」
もぞりと頭が動き、顔を上げてボクを見る
暫くポヤ〜と見つめてきて二ヘラって笑う
「…おはよう、せり」
そう言って、またボクの上で寝ようとする
「ちょっと、目覚まし鳴ってるから、止めないと…」
ピピピピピピピピピピピピピピピピ
ああああ、また音が大きくなった
どこ?
どこにあるの?!
のし掛かられたまま首だけ回して周囲を探すも見つからない。
もう一段階音が大きくなる前に止めたいのだけれど、がっしりと身体をホールドされていて起き上がれない
「なづな、目覚まし止めないと…」
ピ…
あれ?
止まった…?
ふと見ると、なづなの右手がベッドの下に伸びている
なるほど、そこにあったのね
よかった。最終段階の音量は爆音というレベルなので、その前に止められたのは幸いだった。
で、だ。
「なづな。止めたのは良いけど、また寝ちゃったら意味ないよ?」
ほら起きなと布団を剥がす。
「…!ちょ…!」
ボクの目に飛び込んで来たのは一糸纏わぬ美しい裸身
きめ細かく色素の薄い肌に、窓から差し込む日の光が当たって…って、違う、そうじゃない!
形の良いお尻が丸見えだよ!
「なづな。なづなってば。起きないと」
「…あと五年…」
「五年後に起きたら治水工事でも始める気?」
「…ぅんぅ…」
目を閉じたままのそりと起き上がって、ボクの太ももの上に座る様な格好になると
こてりと首を傾げて薄らと目を開けボクを見て薄く笑ってみせる。
あぁ…この子やっぱり綺麗だな
…っと、いけないいけない。
これじゃ自画自賛だ。
何故なら
なづなとボクは双子の姉妹なのだから。
プラチナブロンドの髪も菫色と碧色のオッドアイも桜色の唇も、鏡に映した様だと言われる程にそっくりなんだ。
なづなを見ていると何時も思う
ボクってこんなに可愛いのか…って。
いやだから!
ボクの事はいいんだよ!
なづなは可愛い!以上!
それはさておき
「なづな、今日は進級式と入学式の準備に行くって言ってなかったっけ?」
「………あ!」
そうだったーーー!と勢いよく立ち上がりドアの方に向かって猛然とダッシュする
「ちょちょちょ!下に降りるなら服!せめてパンツ!」
全裸で駆け出した彼女に、せめて下着くらい履いてから行きなさいと慌てて声を掛けたら
ドアを開けたところでピタリと止まったかと思えば、ゆっくりと振り向きスススと扉の向こうに身を隠す。
「?」
顔だけ覗かせて頬を朱に染めながら
「…えっち」
自分で脱いでおいてそれかい!
可愛いけど!
学校の制服に着替え階段を降りてリビングへと向かえば、ママが朝食の準備をしている
「おはよう、ママ」
「おはよう、もう出来るから、顔洗ってらっしゃい」
「はーい」
洗面所ではなづなが歯を磨いているところだったのだけれど…気が急いているせいか制服が乱れている
タイは曲がっているしセーラーカラーもめくれてしまっている。
「まだ時間はあるんだから、ちゃんとしよ?」
そう声をかけてタイを解く
「ん」
タイを綺麗に結び直し襟を整えセーラーカラーの皺を伸ばして全体を眺めてみる。うん大丈夫かな。
「良し。」
「ん、あいあと」
歯ブラシを咥えたまま喋らなくていいよと笑いながらボクも歯を磨き始めた。
朝食も終えて準備万端…といっても今日は進級式と入学式の準備だから持っていくものは特にない。
「お昼はどうするのー?」とママ
「コンビニで買うから大丈夫。いいよね?せり?」
「うん。問題無し。」
「という事なので。」
「はーい、りょ〜かーい」
「…あれ?そういえば、すずな姉ちゃんは?」
言われてみれば朝から見ていないな
「とっくに行ったわよ?赴任2年目の新米教師といえど、やる事は沢山あるんでしょ」
ああ、そりゃそうか。
担任持ってなくても、顧問やってなくても先生って忙しいものね
「なら、早く行って手伝ってあげなきゃね」
そう言って笑いながらボクの右手を取る。
「行こ、せり!」
楽しそうに駆け出す彼女につられて走り出す。
…前世取る事が出来なかった彼女の手を握り返して
「「行ってきます!」」
拙い文章にめげず、お読み下さって有り難う御座います。
取り敢えず、、、がんばってみようと思っております。
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