第十三話Part4⑩
「あき、ら」
つい先日まで、朝の目覚めから夜の就寝までを共に過ごしたはずの恋人が、答えてくれなかった。ルビアMの両目から、知らぬうちに涙がこぼれた。
そこにあるのは、プリマ・サフィール・Mの装束を纏った、愛する少女の骸であった。
「アキラ! アキラ!! アキラ!! いや、いやああ、いやああ!!」
ルビアMの絶叫が、広場の広大な空間に空しく響く。その傍らに立つディセイヴィアは、泣きわめくルビアMを沈痛な面持ちで見下ろしているだけだった。
「何で―――いや、だめよ、ダメ―――アキラ、アキラ! アキラあああああ! ああああ、ああああああ!!」
「…こうでもせねば、止めることはできなかった」
ディセイヴィアの声に、しかしルビアMは答えなかった。それにかまわずディセイヴィアは話を続ける。泣きわめく子供をあやすような、どこまでも優しい声だった。
「幸い、お前達十五人のジュエルは貸与されただけだ…サフィールのジュエルほどの力はない。お前達が命を差し出す必要は無い。―――もう二人来たな」
ディセイヴィアがそう言って虚空を振り向くと、視線の先の空間が突然ねじ曲がり、二人のブライドの姿が現れた。エメルディMとクリスタMだ。二人は泣き叫ぶルビアM、そして床に倒れ伏したサフィールMを見て、すべてを悟った。
「アキラ…!!」
駆け寄った二人がサフィールMの骸に触れた。既に体温を失い、微動だにしない友の姿に悲しみ、クリスタMは拳を握りしめ、エメルディMが床に手を突いてうなだれた。ディセイヴィアは三人に向けて手を差し出した。
「サフィールが斃れた以上、最早闘う必要は無い。ジュエルを私に返すのだ、三人とも」
だが、それに対してクリスタMは首を振るだけだった。
「…ちがう」
「何が違う。ジュエルの管理者は私だ。サフィールのために曲げてしまった制度を元に戻す、それだけだ」
「ちがう。これは、とうさまの物じゃない」
「……かつての所有者か」
クリスタMは座り込んだまま、ディセイヴィアを見上げた。その目は涙に潤んでいる。友を失った悲しみ以上に、愛を奪う父への怒りが彼女を動かした。
「それを管理するのが私の仕事だ」
「さわらないで!!」
クリスタMは、差し出された手を避け、守るようにして胸のジュエルに手を添えた。彼女は知っている。神、ディセイヴィアは人を愛さない。そして人を愛せぬ者が、愛の結晶であるジュエルにわずかでも触れることは絶対に許されないと、心の底から思っている。
「とうさまには触らせない。絶対に触らせない」
クリスタMは立ち上がった。その手にはサーベル状に硬化されたリボンが握られている。そして真っ向からディセイヴィアとにらみ合っていた。闘う気だ、とエメルディMは理解した。友がいなくなっても、彼女は諦めていなかった。それは武器や拳を振るっての闘いだけではない、彼女自身が抱く心の中の『父』との、完全な決別にも踏み切ったのである。
「何……?」
「とうさまはステラ達を愛してくれなかった。天使さんたちだってそう、一度も迎えにこなかった。みんな、使い捨てにしてる」
「否定はしない。平和のためなら手段を問うてはいられぬのだ。心を曇らす愛や情など以ての外」
「だから!! …そんなだから。とうさまには渡せない。ジュエルに触れる資格なんて、とうさまには無い」
かつての『娘』であるクリスタM…ステラに正面から否定の言葉を叩きつけられ、彼は動揺していた。そしてクリスタM自身、彼の全てを否定する言葉を告げることに、少なからず恐怖を抱いていた。ディセイヴィアは彼女の育ての親である。例え愛されなかったとしても、彼女の人生の大半を共有した存在だ。それを否定することが、まだ心の幼いクリスタMにとってどれだけ恐ろしいことか。彼女を愛するエメルディMには、痛いほど理解できた。
「そんな人に、このジュエルは…前のブライド達の大切な『こころ』は、渡せない。渡さない!」
「同感だわ」
エメルディMが立ち上がり、クリスタMに寄り添った。険しかったクリスタMの表情が和らぎ、隣に立つエメルディMを見上げると、二人の視線が交差した。ディセイヴィアは黙ってそれを見ている。
「このジュエルは恋心から生まれた。遥か昔のブライド達が託してくれた、大切な心の結晶よ」
「だが強大な力をお前達にもたらす。それが世界の秩序を乱すのだ」
「そんなものに興味はない。―――かつてのブライド達もそうだった。だからあの時まで何の力も持たず、ささやかな願いだけを叶えていた」
そう言ったエメルディMの、ディセイヴィアに向ける視線が変化した。それまでは強く抗う意思を見せていたのが、急にどこか悲し気に…というよりも、どことなく哀れみの漂う視線だった。ブライドが何をと一瞬ディセイヴィアは思ったが、それを言う前にエメルディMが口を開いた。
「それに、あの闘いで集まったブライド達の中には、異なる星で生まれながら愛し合ったひとたちがいると聞いたわ」
「様々な星から寄り集まり、徒党を組んだのだ。そうまでして母星の軍隊に抗った」
「いいえ。別々の星で生まれても愛し合えると、彼女たちは証明しようとしたの。闘いの後で軍隊の人たちを説得し、敵対する星へと渡って、戦争をやめさせようとしていた」
「……話したのか。昔のブライド達と」
ディセイヴィアはそれを知らなかったようだ。平静を保ってこそいるが、彼のわずかに上ずった声音に、動揺が見えた。
「ええ…彼女たちにとっても一か八かだったそうよ。でもあなたは、その可能性を完全に奪った。その先にあり得たかもしれない、本当に平和な世界さえも」
「……」
「神様、あなたは平和を守ろうとしているんじゃない。恋も愛も勝手に危険視して、手当たり次第に押さえつけているだけ」
戦争をやめさせたところで、本当に他の惑星の住人を説得できたかどうかは判らない。だが神であるディセイヴィアには、起こり得たその可能性を考える余地があったはずなのだ。ジュエルと精霊を封じ込めた末にその可能性を捨てた神を許せず、二人はどこまでも闘うつもりであった。
そして二人の背後。ルビアMはサフィールMの遺体の傍らに座り込み、未だに呆然としていた。三人のやり取りが聞こえていなかったわけではない。だが、それでもなお彼女は立ち上がれずにいる。
アキラがいない。
仮に神を倒し、アキラが願いが叶ったとしても、そのアキラが居ないのでは生きる意味など無かった。さらに目の前で、サフィールMの遺体が少しずつ消滅していく…ダシルヴァが事前に説明した通り、地上の物質は神の世界では存在できないのだ。すぐに消滅しないのは、精霊による防護がまだ残っているからだろう。だがそんなものは何の慰めにもならなかった。愛する者の骸すら奪われていく事実に、ルビアMは最早全ての気力を失っていた。
「アキラ…アキラぁ…」
《―――おい、アカリ!》
そんな彼女を立ち直らせるべく、ジュエルの中からパミリオが呼びかける。その声も届かないと知ると、パミリオはジュエルから飛び出し、パートナーの顔を丸っこい小さな手で叩いた。しかしルビアMは何の反応も示さなかった。
「おいアカリ! しっかりしろってんだヨ! アカリ!!」
パミリオは頭からルビアMの顔にぶつかった。ここでやっとルビアMはパミリオの存在に気付いたが、その視線も声も虚ろだ。
「……パム」
「立てヨ! オマエが立たなきゃ、だれがあの神サマをぶんなぐるんだヨ!」
パミリオは何度もルビアMの頬を叩く。だがどれだけ叩いても声をかけても、その反応は変わらなかった。
「…アキラが」
「っ…でもアカリ!」
「アキラが、いないの。もう、意味なんて…」
細い指が彼女自身の胸のジュエルに伸びる。銀のリング…婚姻の銀輪に囲まれた赤の宝石を、彼女は自らむしり取ろうとしていた。その手をパミリオが押さえる。
「ダメだ、あきらめんナ!」
「…どうしろと言うのよ。だったらどうすればいいのよ!!」
悲痛な叫びが響いた。絶望の涙で濡れた瞳と向き合い、パミリオは答えに窮した。どうにかして、パートナーの心を救いたい。そのためにできることを探し、そして―――見つけた。最後の希望は、まさに目の前にあるのだ。数秒の逡巡。だがためらえばサフィールMの骸が完全に消滅し、ルビアM、エメルディMもクリスタMも神に殺されてしまう。
パミリオは意を決し、ルビアの瞳を覗き込んだ。
「ジュエルに願うんダ…」
突然言われて、ルビアMは一瞬呆然とした。
「願うって…なにを。何を叶えたって、アキラはもう」
「アカリ!」
捨て去ろうとしてジュエルに添えられた手を、パミリオは小さな体全体で抱きしめた。
「アカリ。チョウチョの奴に言われたこと、憶えてるカ?」
「………おぼえ、てる」
その姿の衝撃と共に、以前の持ち主であった巨蝶からジュエルを託された時の言葉は、ずっと心に残っていた。
―――ジュエルはあなたに託します。
―――サフィールのために、そしてあなた自身のためにお使いなさい。
巨蝶の言葉。目の前で少しずつ消えていく、サフィールM。胸に宿る真っ赤なジュエル。何も言わぬ精霊。それらを順に見て、ルビアMもパミリオが意図するところを理解した。成功すれば、恐らくブライドでも初めての行いだ。少しずつ、ルビアMの胸に希望が宿る。
「できると思う…?」
「できる。このジュエルはオマエのなんだからナ! あのチョウチョから託されたんだから!」
「……私の」
託すとは、すなわち彼女を信じ、全てを委ねるということだった。力を籠めてルビアMはジュエルを握りなおした。赤い瞳が再び輝く。
「私が、願えば……―――」
「そうだ、アキラは神サマの呪いを解いたんダ。だったら、もっとスゲエことだってできるんだ!」
「もっとすごいこと… ええ。できる!」
「いくゼ、アカリ。腹くくれヨ!」
パミリオが飛び込むと、ジュエルがルビアMの手の中で鮮烈な輝きを放った。その光にディセイヴィアが、そしてエメルディMとクリスタMが気づいた。何が起こっているのか、三人とも理解はできていないようだ。だがルビアMが両目を閉じ、全身全霊で祈る姿を見て、エメルディMらは気づいた。希望がまだあると。
ルビアMは顔を上げた。
「緑川さん、ステラさん。時間を稼いで頂戴」
「どのくらい?」
エメルディMは詳細を聞かぬうちに問い返す。
「十…いえ、五秒。それだけあれば充分」
「五秒ね。やってみせるわ」
「まかせて、アカリ!」
承諾してくれた二人にうなずき返す。その眼前、サフィールMの骸の上に、石造りの門が突如出現した。普段なら変身完了後、異空間から外に出るための門だ。それがゆっくりと開き切るのを、ルビアMは膝立ちになって待ち続けた。そしてここにきて、ディセイヴィアが彼女の意図に気付いた。
「まさか」
初めて、彼の顔に明確な焦りが浮かんだ。手を伸ばし、念動力で阻もうとする。だがルビアMのスピードには追いつけなかった。
「待て、やめろ! よせ!!」
「アキラ―――今行くわ!」
ルビアMは、砕けたはずの両膝に力を込めて立ち上がり、門の中へと飛び込んだ。直後に門は重々しい音を立てて閉じ、かき消えた。ディセイヴィアは残されたサフィールMの骸を消滅させるべく、光球を発生させようとした。
「死者をよみがえらせる気か…!」
真に彼が恐れていた瞬間の一つ。それは、人類であるところのブライドが、命の理を…すなわち神が定めし世界の法則を破壊する瞬間であった。
焦燥のままに光球を放とうとした瞬間、ブライド二人が正面からぶつかってきた。次元の壁に阻まれて激突することこそ叶わなかったが、焦るディセイヴィアの気を逸らすには充分であったようで、光球は見当違いの場所に出現し、床の石を消し去るのみに終わった。
ディセイヴィアは怒り、強烈な念動力を二人にぶつけた。まだ命を奪わぬほどの理性は残っていたが、二人の動きを咄嗟に封じられないほどに彼は焦っていた。結果として、二人はただ吹き飛ばされるだけで、すぐに姿勢を立て直した。
「ステラ、あと四秒! 絶対にアキラを守るわよ!」
「うん!」
《ワガハイ達も全ての力をふるうモフ!》
《やってやるぷきゅ!!》
エメルディMは銀の矢を放ち、クリスタMはリボンを振り下ろして飛び掛かる。どちらも次元の壁に阻まれ、しかしそれを知ってなお手を止めることは無かった。二人のブライドが、そして精霊達が一丸となって立ち向かった。
神に抗うための、希望の五秒間。たった五秒の間に、少女達は全てを懸ける。
群青色の星空の下、足元の感覚が消失した直後、アキラはゆっくりと落下していった。宝石の柱を並べた大理石の足場…契約のための空間が、少しずつ遠ざかっていく。
先ほどまで纏っていた『デュエルブライド』装束はほどけ、ジャケットの下にまとっていたアンダースーツが、白くシンプルなドレスに変わっていた。何かで見覚えがあった…そしてすぐに思い出した。いつか幼い頃に、父方の親戚の葬儀で見た、棺の中の大叔母が纏っていたドレスだ。カオルと並んで、綺麗だけど何だかブキミだね、などと話していたことも思い出す。聞きなれない名前だったので、却ってよく憶えていた。
(死装束…だっけ…)
「…あ、そうだ。あたし死んだんだ」
ジュエルと心臓を貫かれ、即死した瞬間が脳裏に浮かぶ。全身を痛めつけられた挙句の即死であった。
後悔がつのる。緋李にもう会えない。仲間達にも。神様を一発ぶん殴って、自分の恋を普通の恋にする願いも潰えて…頭の中を様々な思いが駆け巡り、混乱した。だが、全てが遠くまで行ってしまった。もう何を思っても遅い。何より、心の底からアキラは疲れ切っていた。
「…眠いや」
とろとろと心を溶かす眠気が襲ってくる。眠ろう。もう眠ろう…そう思って目を閉じると、胸元にふわりと何かが触れた。横着に目を開けると、見慣れた友の姿があった。仔犬に似た姿の、パートナーの精霊プル。ジュエルを貫かれたのだから、恐らくプルも消滅してしまったのだろうと、アキラは思った。その頭を優しく撫で、ふわふわの小さな体を抱き寄せてやる。
「プル、一緒に寝よっか。あたし、すごく眠いの」
「…アキラ」
「つかれちゃった…ねえ、疲れたよ。もう寝ようよ」
「アキラ、もうホントにだめプル?」
プルの問いかけに、アキラは閉ざしかけていた目を見開いた。プルの目は悲しそうに伏せられていた。
「あたし、もう死んじゃったんだよ」
そしてダシルヴァの説明通りであれば、地上の物質は神の世界では消滅してしまう…残る遺体もそのうち消えてしまうだろう。だが、プルは食い下がる。
「ボクはアキラの気持ちを訊いてるプル」
「あたしの気持ち?」
「もう本当に、お願い事も捨ててしまうプル…?」
願い。そう聞いて、アキラは胸の奥にズキリと痛みを感じた。緋李との恋を『普通の恋』にすること…決戦に臨む直前、テレビ局のリポーターに言った自分自身の言葉を思い出す。脆弱な恋でも、特別とぼかされる曖昧な物でもない、バカにされたり無い物呼ばわりされる筋合いも無い、ただの恋。それを叶えに来た筈なのに。叶えることなく、死んでしまうのか。アキラの瞳から涙がこぼれた。
「……いや、だよ。そんなの嫌だ」
「…アキラ」
「でもさ、あたし死んじゃったんだよ。もう…」
プルを抱く両手に力が籠る。こぼれた涙は遥か天上へと消えていく。
「もうどうしようもない。ジュエルも壊れちゃった。プルが形にしてくれたのに」
「アキラ……」
「壊れちゃった、あたしの恋が。あたしの恋が…!」
プルはこぼれおちる涙を拭い去り、アキラの頬に自身の額をすりよせる。諦めと慰めを込めて、二人は視線を交わした。
「お願いしようプル。誰かが何とかしてくれるようにって」
「………うん…」
「もうすぐボクの力もなくなるプル…そうしたら、何も…」
精霊が施した防護も、遺体から完全に喪失する。何も残さずにアキラは消滅してしまう。せめてその心だけは残せたら…緋李は大丈夫だろうか。自分の骸の前で後追い自殺など考えてはいないだろうか。それだけが最後の心残りだった。
(せめて、せめてあと一回、会いたかったなあ……)
契約のための空間が、視界から消えていく。視界の全てが灰色に褪せ、そして暗くなっていく。闇の中にいるのか、自分自身が消えていくのか、区別が付かなくなる。終わったんだ…アキラがそう思った、正にその時。
遥か彼方上空に、鮮烈な赤い光が見えた。モノクロの視界の中で、光点は徐々に大きくなり、アキラの視界を明瞭にしていく。愛しい人の色。熱く、どこまでも優しい鮮やかな色。
(…緋李ちゃん)
ダシルヴァに殺されかけた時、傷が癒えるのをこの空間で待ったと緋李は言っていた。つまりこの空間に入り込めるのは、契約、変身、そして今のアキラのように命尽きようとしている時か、緋李のようにそれが癒えるのを待っている時。自由に入れる空間ではないのは、その経験が無いことからすぐに判った。
ならば、今緋李の光がここに見えるということは。
「アキラ…アカリが、来てくれたプル…?」
「うん…見間違えるはずも無い。あの真っ赤な光は、緋李ちゃんだ…!」
アキラはプルを胸に抱いたまま、上空に向けて空いた方の手を差し出した。赤い光が像を結ぶ。出会った瞬間に運命の恋で結ばれ、誰よりも愛し合う最愛の少女の姿。二人の手がつながり、アキラは引き寄せられた。
『エターナルジュエル』は、恋のための願いを叶える、無限の力を持つ石だ。ならば命尽きたアキラを取り戻せるのも、全くの道理だ。死んだからどうしようもないなどという常識は、運命の恋の前では塵にも等しい。そう―――緋李は願ったのだ、アキラを取り戻すと。
「あたしを、連れ戻しに来てくれたんだ…… 緋李ちゃん!!」
アキラと赤い閃光…緋李は、強く抱きしめ合った。視界が輝きを取り戻す。群青の空、無限の色に輝く星々。精霊を伴って群青色の空を舞い、二人は天へと昇っていく。眼下に並ぶ宝石の柱は、アキラ自身のジュエルの色、鮮やかな青に輝いていた。
「プル、帰れる。あたし達はまだ闘える。緋李ちゃんにまた会える!」
「うん!」
死装束がほどけ、アンダースーツへと変わり、プリマ・サフィールの装束の姿を取り戻した。銀色のリングに囲まれた胸のジュエルが、今再び輝く。
「いま行くぞ、緋李ちゃん、みんな…!」
やがて、天井の巨大な門が開いた。視界がまばゆい光で埋め尽くされ―――
―――〔続く〕―――




