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第十話「Defenders of the faith」①

変身ヒロイン百合アクション、第十話です。ついに2ケタ。

主人公を含む変身メンバー以外をメインにした話が何話か続きます。



 緋李と小波を加えて、学校帰りのブライド達が芽衣のマンションに集まったある日の事。最初に緋李からその話を聞いた時は、全員が仰天した。

 「『ディヴァインジュエル』は存在しない……?」

 「と、前の持ち主が言っていたわ」

 再契約の時、緋李がジュエルの以前の持ち主である巨大な蝶から聞かされた情報だった。ジュエルは持ち主の『恋』から生まれた物であり、神とは全くの無関係。かつてジュエルは一度封印されて、現代で神によって地上にもたらされ、今のブライド達と強制的に契約を行った…という、それまで彼女たちが聞かされたこととは全く異なる内容だった。その一方、ジュエルが生まれた経緯についてはアキラのこともあり、全員が混乱しながらもどこか納得していた。

 「あくまで事実だとしたらだけど、儀式自体がそもそも存在しないかも知れないということね」

 そう言って混乱を収めたのは晴だった。目的をアキラのジュエルの破壊に突然切り替える、呪いでブライドの能力を強化する、特定個人の殺害のためにブライドを投入するなど、契約時に知らされた『ジュエルを収集して神の許へ持っていく』というルールを無視した行いは、翻せば『ルールに沿って行われる儀式自体が存在しない』可能性も示唆している。

 「そうね…事実かどうか、私とパムだけでは判断しかねるわ」

 「オレも前の持ち主のことは知らなかったしナァ」

 「ステラも見たよ。白い人に『たくします』って言われた。ハルもだよね?」

 「ええ。人類かどうかは判らないけど」

 全員の視線がステラとその腕に抱かれたシプルゥに集まった。

 「でもアカリみたいなお話はできなかったぷきゅ」

 「何でアカリだけお話できたの?」

 「それは…」

 視線が緋李に集中する。答えあぐねる緋李をパミリオが見て、そして緋李はアキラの顔を見た。この理由は彼女の心の大切な部分に関わることで、いくら仲間とはいえ簡単に言うことはできない。まして緋李はつい最近この中に加わったばかりだ。だが、この謎めいた宝石に関して隠し事をするのは得策と言えない…何より先日楓が言った、『味方は二十人近くいる』という言葉が、そしてアキラと自分の恋を理解してくれた小波の存在が、緋李に決意させた。仲間達を信じ、自分の大切な気持ちを預ける、と。

 「…それは、前の持ち主と私が同じ気持ち…誰かに恋してるから、だそうよ」

 頬を赤く染めた緋李の言葉に、その場にいるうち数名を除いた全員が彼女の姿に見とれてため息を吐き、そして驚愕の声を上げた。



 ジュエル・デュエル・ブライド:

 第十話「Defenders of the faith」



 さすがに相手の名前は言えないと緋李は追及を拒んだが、それでも全員が彼女の話を真剣に聞いた。アキラの他、事情を聴かされている小波、事前に感づいていた桃が苦笑していた。

 その後は今後の方針についての話し合いに切り替わった。ブライドの浄化を最優先とする事は変えず、儀式からブライドを救出する事を念頭に置くべき、そしてジュエルかブライドを発見したら、変身できるアキラたちをすぐに呼ぶべきという意見に全員が賛成した。

 契約時に晴が聞き出した情報が確実なら、呪われたジュエルは残り四個。数は多くないが、全て浄化するまで油断はしないように。そう話がまとまり、解散となった。

 「…委員会っていうか、小学校の時の子供会とか班の集まりみたいだったなあ」

 その話し合いの帰り、小波とアキラとひまりは雑貨店の文具のフロアに立ち寄っていた。小波はメッセージ入りのメモ帳とポケットサイズのステープラ、ひまりは花のペーパークラフトのキットをかごに入れ、アキラは特に買うものが無かったので二人について歩いていた。小波のつぶやきを聞き、ひまりも懐かし気に答える。

 「自由研究のテーマの会議とか、お楽しみ会の出し物とか、色々話しあいましたね」

 「ねー、そんな感じでね。工作の材料の買い出しとかね」

 「完全に今やってることじゃん」

 アキラの発言に、そうだそうだと三人で笑いあった。

 アキラは周囲を見回し、こっそりと下に視線を向け、ジュエルの中にいるプルにも尋ねた。

 「精霊の学校にも班活動とか、お楽しみ会とかあったの?」

 《無かったプル。ボクが勉強してた頃は、ちょっとしかクラスにいなかったから》

 《ぼくの時はそれなりにいたけど、特に無かったキロ》

 キロロも当時の事を思い出したようだ。入学の時期はそれぞれ異なるが、精霊の学校は一定の期間で必要なカリキュラムをこなせば卒業となり、人類の世界に派遣され、次の世代の精霊達が入学するという話は聞いていた。今の話だと、いわゆるレクリエーションなどは一切無いようだ。会計に行ったひまりを見送り、アキラ達は会話を続けた。精霊を交えているので、周囲に聞かれないように声は小さめに押さえた。

 「つーか、精霊ちゃんにも学校とかあるんだ?」

 《うん。ボクはそこで勉強してる時にいきなりこっちに送り出されて、アキラに会ったプル》

 「いきなり? ってことは卒業は」

 《できなかったプル…クラスの子達も…》

 ションボリするプル。ジュエルの中のプルの姿が見られれば、悲しむチャウチャウの仔犬を思わせる顔にアキラは思い切り飛びつき慰めることだろう。が、以前も聞いた『いきなり』というのが気になるところだった。

 「もしかして、神様がジュエルを封印したせいかな。堂本さんが前の持ち主から聞いたっていう」

 《多分そうプル。ボク以外はどうなったのか…》

 どうやら相当な緊急事態であったらしい。プルの級友たちがどうなったのかは判らないが、恐らくジュエルが生まれたとしてもその瞬間に神に封印、回収されてしまったのだろう。そう考えると、アキラは自身とプルの幸運な出会いに感謝せずにはいられなかった。

 その時、突如後ろからドタドタと足音が聞こえてきた。何事かとアキラが振り向くと、大量のクリアファイルを抱えて、自分たちと同年代らしき少女があわただしく走ってきた。アキラと小波は慌てて駆け寄り、今にも落下しそうなファイルをいくつか持ってやった。

 「あっ、あり、ああり、ありがっ、ござっ、ます」

 どもりながらも感謝され、二人は微笑んでみせた。少女の目元は長く伸びた前髪で隠れているが、頬から下が真っ赤になっているのが判った。どもったことといい、人と話すのに慣れていないのだと小波は察した。敢えて少し強引に手伝いを申し出る。

 「気にしないで。そろそろウチもお会計すっから」

 「え、い、ゃ、ゃ、そんな」

 「一人じゃ持てないっしょ。アキラ、手伝おうよ」

 「いいよ。買う物はこれで全部?」

 少女が何度もうなずくと、三人は店内中央のレジに向かう。途中でひまりに少女の買い物を手伝うことを告げた。ひまりは自分もと申し出たが、小波は感謝しつつも近くで待つように頼む。三人は会計を済ませ、少女はファイルを入れた大きめの紙袋を両手で持ち、アキラと小波に何度も頭を下げてから店を後にした。その姿を見送り、小波は満足げにほほ笑んだ。

 「いやぁ、いいことをしたぜ…」

 「本当ですね。でも今時珍しいですね、あんなに沢山のファイル…紙の何かをまとめておくんでしょうか」

 《多分、何か資料でも集めてるキロ》

 三人と精霊達は今の少女について推測する。今の時代に敢えて紙の資料を集める理由は…と、小波は気になりだした。

 (また会えたら訊いてみるか)

 制服や校章を見た限り、自分たちとは全く別の学校の生徒だった。記憶が確かなら四駅ほど離れたあたりにある学校だ。そうそう会うことも無いだろうとは思いつつ、自身やアキラの学校に近いこの店に来たのだから、もしかしたら…と、小波は淡い期待を抱いた。



 再会の時は意外と早く訪れた。

 二日後の放課後、帰り道でアキラと別れて自宅近くの住宅街、小波が今いるのは住宅街と自宅マンションの間の、自動車歩行者ともにそこそこ通行量が多い道路だ。その道路の途中で何か撮影する人影を見つけた。被写体は電柱に立てかけられた看板だった。

 「んー…?」

 「あびぁ!?」

 「おわぁ!?」

 突然声をかけられて撮影者は跳び上がり、つられて小波も驚いた。よく見ると学生服姿の女子高生で、姿と声にどことなく覚えがあった。小波は記憶を辿りすぐに思い出した。

 「…あ、この間の文具屋の人?」

 「あっ、え!? あ!」

 文具屋の人こと撮影者の方も、どうやら小波の事は憶えていたようだ。

 「そっ、そ、そ、その、あの」

 「また会ったね。今は何してんの?」

 「あ、あああああああの」

 撮影者の少女は背後の看板に目配せ…をしているようだが、長い前髪のせいで視線は見えず、しかし顔の向きで何となく小波にはその視線が読めた。視線を追い、看板にかかれた告知を読む。

 「『*月○日より 交差点に押しボタン式信号機が設置されます』…お知らせか」

 「あ、ぅ、ぅ、ぅ、ぅ…」

 「市のホームページとか新聞に載せる写真? あ、じゃあ仕事か。ジャマしちゃったかな。ごめんね」

 「う、うぅぅぅぅぅぅ」

 少女は泣きそうな声で首を振り、足元に置いていたバッグを抱え、逃げ出そうとする。が、その中から一枚の紙がこぼれ出た。小波は慌てて少女を引き留めて紙を手渡した。感謝すべきか逃げ出すべきかと、少女は紙を受け取りながらパニックになっている。

 「あばばばばばば」

 「……おっけ、ちょっと落ち着こう。どうどう」

 「うぅぅ…す、すみません…」

 「こちらこそごめん…」

 ここで初めて、少女は明確に意味のある言語を発した。それでも目の前の小波がやっと聞き取れる程度の小声で、他人と話すことは相当苦手なようだ。小波は会話を無理に進めようとせず、まずは少女に深呼吸させて落ち着かせ、自分の生徒手帳を見せて怪しい者ではないことを説明した。

 「ウチは郡上(ぐじょう) 小波(こなみ)。よろしくね!」

 「……か、かりい、しおり、と申し上げます…」

 胸元にあるネームプレートを見た。校章と並んで雁井(かりい) 紫織(しおり)という名前が記載されている。

 「んじゃ座ろっか」

 小波は紫織を連れ、近くにある小さな公園のベンチに二人で座った。近くの自販機でジュースを二つ買い、片方を紫織に手渡す。すると紫織はバッグを漁り始めた。代金を支払おうとしているようだが、肝心の財布が見つからないようだ。探しているうちに中に入っている大量の紙が散らばり、気づいた彼女はすぐに慌てて拾い出すが、膝に置いたバッグを取り落として余計に悲惨なことになっていた。

 「あわ、あああああ…サ、サイフ…サイフ…」

 「いいよいいよ、こんくらいウチのおごりで。それよりこっち片づけなきゃ」

 見かねて小波は地面に散乱した紙類を拾い始め、土を払って紫織に渡した。紙には複数の写真、文字列、矢印などが記載されている。同じ地点と方向で撮影された写真がならんでいる。

 「でで、でも、代金…」

 「んー…じゃこうしよう。これはウチの必要経費です、ウチにしか支払いの義務はありません。それでおしまい」

 「う、うぅ…はい……」

 紫織は紙をバッグにしまい終え、気弱な返事を返すと小さなペットボトルを受け取った。隣に座った小波はすぐにボトルのふたを開け、一口飲む。

 「そんで、あの看板の写真撮ってたワケ、訊いてもいい?」

 「あ、あの…ブログ……」

 「ブログ。それってすぐ見られる?」

 紫織はわずかにためらってから素早くスマートフォンを取り出し、画面を操作すると小波に見せた。画面に出ているブログには、見覚えのある写真数枚の横に解説が書かれている。先ほどの紙と同じく、同じ場所を別々の時期に撮影し、現地の変化を解説していた。最新の記事は駅前に開店した新しい花屋の紹介だった。古い寝具店があった場所に、店舗を立て替えてつい二日前にオープンしたという内容の記事だ。

 「お店の情報…?」

 ちらりと紫織の顔を見て、小波はスマートフォンの画面をスクロールさせる。四日前にはどこかの高校の近くの道路工事予告。一週間前には小波が知らない公園の植樹。三週間と二日前に博物館のイベント。一か月半前にスーパーマーケットに紙ごみ収集ボックスの設置。二か月と三日前には集会所前の駐輪場設置。一見すると何の共通性も無い告知の記事が並んでいる。

 「……ん?」

 だが小波は記事の文章から、それらがこの市の情報であることに気付いた。物によっては数年越しの撮影、しかも市内でも全く異なる地点の情報だ。ちなみに管理者のハンドルネームは『おしり刈り』。何てハンドルだなどと思った直後、紫織の名前とほぼ同じ文字を使っている事に気付いた。

 「…おしりがり…… がり、し、お、り…かりいしおり。雁井さんのブログ?」

 紫織は控えめにうなずいた。目元は隠れているが、ためらいがちの首肯から自信の無さがうかがえた。小波は改めて画面をスクロールさせる。市内の様々な地点の写真を撮影し、街の変化を数年越しで撮影した、何枚もの写真が並んでいた。それが何ページも。

 「ちょちょちょ、ちょい待ち。え、これ一人で? 現場に行ったのも? 撮影も?」

 「は、はい……あ、あの、つまんない、ですよね…すいませ」

 「スゲーじゃん! え、マジすげーじゃん…」

 小波は思わず感嘆の声を上げた。実際に紫織が一人で、市の端から端まで自力と自費で移動して撮影までしているというのなら、すさまじい行動力と行動範囲だ。そして写真も、年月を隔てていながらほぼ寸分の狂いも無く同じ地点、同じ角度から鮮明に撮影されている。古すぎる写真は過去に撮影した物をスキャニングしたのだろうが、それを加味してもなお、その一つ一つを小波はスゲースゲエと絶賛した。決して豊かではない語彙故に賞賛はあまりにもまっすぐだった。

 さすがにこれだけの時間で全ては見られない。URLの送信を頼もうと思い立ち、小波は一度顔を上げて紫織の様子を見た―――恐らく嘲笑されるとでも思ったのだろうが、予想外に絶賛されて混乱したのか、口をパクパクさせていた。次いで意味を理解し、見る見るうちに顔を赤くしていく。褒められ慣れていないのは明らかだ。

 こんなすごいことをしている人は絶対に褒めちぎらなければならない。小波の中でいたずらな心が騒ぐ。

 「ねね、じゃあこれ、後で友達に見せてもいい?」

 「あひ゜っ!?」

 記事の数と開設時期に反して、閲覧数はこの日で三桁に届いたばかりとあまり多くはなかった。確かに地方都市のローカル情報に過ぎないが、この情報量の多さはもっとたくさんの人の知的好奇心をくすぐるに違いない、と小波は踏んでいる。

 「もっといろんな人に見てほしいからさ。この街のことも知ってほしいし。いいよね?」

 「えっ、えっ……えっ」

 「うっし! じゃ早速URL送るね。いきなり増えすぎるのもヤラセっぽいから、まず一人だけ」

 小波は自身のスマートフォンでブログを表示し、そのURLをLINU(ライヌ)でまずはアキラに送った。そしてすぐに紫織と向き合おうと顔を上げたのだが。

 「評判良かったら他の子にも送るね。…ね?」

 「……」

 「雁井さん? ………気絶してる…」

 紫織の全身が硬直していた。全く慣れない賞賛を雨あられと受けた挙句、自分のブログを他の者にも勧めるとまで言われ、彼女の頭はオーバーヒートを起こしていた。顔の前で手を振り、両手を軽く叩いて拝んでみたが、反応なし。事後承諾のために小波は紫織が復帰するまで待ち、その後も途中で倒れないか心配で、結局最寄り駅まで送ったのだった。



 次の日の昼休み。小波はアキラから件のブログの感想を早速聞き出そうとしていた。今の時点ではアキラの表情は芳しいものではない。

 「うーん…市内の情報とか言われてもなあ、行ったことの無い店がリニューアルしたとかピンと来ないし」

 「まあまあ。これ見てみ」

 小波が見せたのは同じブログの別の写真だった。商店街の中の小さな店の写真で、正直なところ古臭い店構えだ。外壁の色もだが、雰囲気からして田舎の商店のような『茶色い』とでも言うべき空気を醸し出していた。にもかかわらずどこか見覚えがあり、アキラは画面に顔を近づけて目を凝らした。しかし思い出せずに首をかしげた。

 「んー…ナニコレ? しなびた雑貨店?」

 「桃っちがいつもコスメ買ってる店」

 「マジ!?」

 「2年前までコレよ。ほら場所も店名も同じ」

 画面をスクロールさせて二年後の写真を表示する。場所も店名も周囲の店舗もそのままで、看板のデザインと外壁の色がすっかりオシャレ雑貨店風に変わっただけだった。アキラも小波もおなじみの百円ショップ、桃が化粧品をよく買いに来る店だ。アキラはもう一度二枚の写真を見比べたが、何度見ても同じ場所の同じ店だった。続けてアキラは次の記事を表示した。

 「ホントだ。へー…あ、こっちはひまりちゃんの行きつけのカフェだ」

 「こっちは…古い住宅地を三年前に一気に壊して、そのすぐ後に建てたってよ」

 「そういえばあのお店の周り、まだいくつか空き地があるんだ。じゃあこれから新しいお店ができるかも」

 その情報をまた紫織がブログに載せる。それを想像し、小波は理由なく胸に温かいものがこみ上げるのを感じる。

 「…いいなあ。いい!」

 「何が?」

 「何かさ、やりたいことを力いっぱいやってる人ってさ、カッコイイよね」

 小波はまるで自分の事のように楽し気だ。アキラはそんな小波を見ながら、アキラもそれが嬉しくてほほ笑んだ。

 「最近楽しそうじゃん。面白い事でもあった?」

 「ちょっとねー。この間いい出会いがあって」

 「なになに、教えてよ」

 「まだヒミツー」

 いたずら好きな子供を思わせる小波の笑顔と返答に、しかしアキラは不思議と不満は抱かなかった。小波の笑顔は、それこそ小波自身が言う『いい出会い』のおかげだろう。そして、それに夢中になる小波もまた、ある意味では。

 「…小波だってカッコイイよ」

 「え、何? おだててもゼロ円スマイルしか出せないよウチ。それにさ、ブライドのみんなの方がずっとカッコイイじゃん」

 「そうかな?」

 「うん。…神サマに呪われた女の子を助けるとか、ホントに強い人でないとできないもん」

 周辺に聞こえないように、小波は小声でささやく。

 「小波もその一人じゃん」

 「うん…でもなあ」

 曖昧にうなずくと、明るい顔が少しだけ曇った。ブライドの仲間達と喧嘩になりかけたことを負い目に感じているのか、とアキラは考えた。気にする必要など無いと思ってはいるが、それを整理するのは小波自身だと思い直し、アキラは敢えて何も言わなかった。気を取り直した小波は、またいつものように笑う。

 「…この子ともしばらく付き合ってみて、それから決めるから。ブライドになるかどうか」

 小波の懐から、彼女のパートナー精霊のウミミがひょこっと顔を出した。小波とはすっかり仲良くなったようで、喉元をモフモフする手に心地よさそうに身をゆだねている。ウミミもどうやら小波の傍にいたいらしいことが、その表情からうかがえた。小波のそんな申し出を、アキラは快諾した。

 「わかった」

 「ごめんね。もしブライド無理ってなったら、ジュエルは…」

 「いや、小波が持ってて。小波自身と、その子のためにも」

 ジュエルを引き離すということは、パートナーと引き離すということだ。既に友達である小波とウミミにそんなことをしては、二人とも納得はしないだろう。

 「うん」

 「―――まあ、それはそれとして。このブログどうしよう、皆にも教えようかな?」

 「教えたろ教えたろ。これは広めなきゃ」

 小波は早速、ブライドのLINUグループにアドレスを載せた。



―――〔続く〕―――

前回までクソデカ感情ポジだった親友キャラの救済のお話。今回はあまり面白い話ではないと思う…

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― 新着の感想 ―
[良い点]  新キャラクターが個性的で今後どう絡んで来るか楽しみです。 [一言]  面白くない話だと思うと書いてらっしゃいますが、そんな事は無いと思います。  良い点にも書きましたが新キャラの紫織は魅…
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