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第一話 「Rise of the hero」③

変身ヒロイン百合アクション、第一話ラスト。続きます(予定)。



 その光景を全く異なる空間から見ていた者がいる。

 古代の建築物を思わせる神殿の中、眼下に箱庭のような人の街を見下ろす者。その両目から涙が流れていた。黄金の髪と白い長衣をまとった美しい女性だった。地上から立ち上り、彼女のいる天上の世界すらも越えて遥かに立ち上る光の柱に照らされる。だが彼女の体は直立した透明な棺に納められていた。棺は壁に固定されているのみならず、奇妙な文字が並ぶ黒ずんだ真鍮のような金属の鍵で施錠され、蓋も完全に閉ざされている。棺の中、ああ、と女性の唇から吐息が漏れる。

 「時が来たのですね」

 かすかな喜びと、そして沈痛さすら漂う表情。胸の上で両手を組むと、両目を閉じて祈りの言葉をつぶやく。

 「あの子達の行く末に、どうか幸あらんことを…」

 その祈りは、アキラ以外にだれに向けられたものだったのか。



 アキラは閉ざしていた目をゆっくり目を開け、周囲の光景を見て呆然とした。無数に並ぶ巨大な青い宝石の柱がほのかに輝き、足元は美しく磨かれたこれも青い大理石の床。上空には無数の星が輝く群青の夜空が広がっている。柱が発する光のおかげで視界は明るく、自分の周囲がはっきりと見えた。空気も信じられないほど澄んでいた。2メートルほど先の空中に青の宝石が浮かんでいる。じっと見ていると、その中から小さな光の玉が現れて膨れ上がり、はっきりしたシルエットを形作って30センチほどの大きさになった。光が消えて目の前に現れたのは。

 「………わんこ!?」

 宙に浮く、チャウチャウかサモエドの仔犬によく似た丸っこい姿だった。体毛の色は鼻の周りや腹が白く、それ以外は淡いブルーという珍しい色だ。顔は昔のシワの寄ったむさくるしい映画俳優に似ているが、何しろ仔犬なので愛くるしい。犬好きのアキラはその仔犬を両手でモフッとつかむ。もちろん首を絞めたりしないよう手加減している。

 「も、モフモフだぁ…わんこがモフモフだ…モフモフ…わんこモフモフ…かわいいなあ」

 「ち、ちがうプル…わんこではないプル……」

 「あ、ごめんなさい」

 仔犬の申し訳なさそうな抵抗を見て我に返り、アキラは素早く手を離した。離したが、またモフモフできるように準備だけはしていた。

 仔犬はアキラの体をくまなく点検している。黄色の少女のピッケルで貫かれた脚の傷口が完全にふさがっていることに、彼女自身そこでやっと気が付いた。点検が終わったところで仔犬に訪ねる。ちなみに犬好きのアキラは、目の前の仔犬が宙に浮いて人語を話していることを全く気にしていなかった。

 「あの…ここはどこなの?」

 「契約のための空間だプル」

 「契約………あたしもあの子みたいになるの?」

 契約と聞き、黄色の少女の表情が思い浮かんだ。だが仔犬はすぐにかぶりを振る。

 「ならないし、そもそも契約の義務なんて無いプル…それよりここから他のところに出れば、キミは逃げられるプル。傷も治したからもう大丈夫プル」

 「逃げる…」

 「ごめんなさいプル…キミを巻き込んじゃって」

 仔犬はしょんぼりとうなだれながら謝罪した。だがアキラは怒りも嘆きもせずに微笑み、仔犬の頭を撫でた。

 「気にしないで、首をつっこんだのはあたしの方なんだし。それに決めたんだもの、キミもあの子も助けるって」

 「でも…」

 「何がどうなってるのか、詳しいことは後で教えて。まず今はあの子のモヤモヤをなくしたい。キミにお願いすれば、それができるようになるんだね?」

 「……うん」

 顔を上げた仔犬と視線を合わせ、アキラは力強く微笑む。

 「力を貸してほしい。あの子のモヤモヤをなくして…それともう一度……」

 脳裏に一人の少女…先ほどまで目の前にいたのとは別の、赤色の似合う少女の姿を思い浮かべ、アキラは少しだけうつむく。だがその表情は微塵も力強さを失わず、決意に満ちていた。

 「わかったプル!」

 「よし! じゃあキミの名前教えて、あたしはアキラ。葵 晃!」

 「ボクはプル! 青いジュエルの精霊の、プル!」

 アキラとプルは握手を交わした。そして手を離すと、プルの背後に浮かんでいた青い宝石がアキラの右手に吸い寄せられる。力を籠め、その宝石を握りしめた。手の中で再び宝石が光を放つと、周辺の柱も輝きを増した。誓いの言葉が自然と胸の内に浮かんでくる。

 「叫んでアキラ、誓いの言葉を!」

 「うん」

 うなずき、息を深く吸う。


 「―――エンゲージ! 『プリマ・サフィール』ッ!!」


 右の拳を顔の前に掲げて叫んだ。直後、アキラの全身が青い輝きを放つと衣服が瞬時に変わり、鮮やかな青のドレスに包まれた。上半身はボディラインが浮き立ち、スカートはたっぷりとフリルをあしらわれている。このシルエットは見覚えがあった―――ウェディングドレスだ。手に握った宝石は、いつの間にか青くきらめく宝石で形作られたブーケに変わっていた。真上にブーケを投げ上げると、砕けて無数の宝石のかけらが飛び散り、周囲に渦巻く。同時にスカートが足にまといつくように渦巻きながら、動きやすそうなキュロットスカートに変化した。腰の後ろには長いリボンが結ばれている。

 舞い散る宝石のかけらを全身に浴びるように両腕を大きく広げると、渦巻いていた破片が急速にアキラの体に吸い寄せられ、肌を包み込んでさらに別の装束に変化していく。脚を包み込んだ宝石は腿からつま先までを包み込むハイソックス、両足のスニーカー状の靴、両膝の膝当てに。腕には両腕を肘の近くから手を包み込む手甲に。胸周りは丈が短く前を閉ざした袖なしジャケット、そして両肩の肩当てに。

 一度両目を閉ざして再び開くと、その瞳が鮮やかな青色に変わる。次いでポニーテールの髪も青く染まり、結んだリボンが長く伸びた。右の拳を突き出すと、先に腕にまとった手甲をさらに宝石のかけらが覆い、甲虫を思わせる丸みを帯びたより大きなガントレットが手の甲から肘までを包み込んだ。そして右の手のひらを胸の前にかざすと、強烈な輝きとともにジャケットの胸元に青い宝石が現れた。


 それはあらゆる邪悪と災禍、そして呪いを祓うための姿―――『プリマ・サフィール』。青い宝石とその精霊プルの力を借りた、アキラの新たな姿。


 装束に身を包んだ全身を改めてアキラは眺めた。体中に暖かな力がみなぎる。黄色の少女と対等の力を持ちながら、彼女にまとわりつく呪わしい黒い濁りを祓えるという確信、そして今立ち向かい彼女を救おうという勇気が生まれる。

 プルが再び小さな光の玉となって胸の宝石に飛び込んだのを確認すると、目の前の空間に輝く門が現れた。

 「行こう、あの子を助けに!」

 アキラは駆け出し、門から飛び出た。



 無人の雑居ビルの踊り場で、黄色の少女は今しがた振り上げたばかりの巨大なピッケルを構えて周囲を見回した。青い宝石を持った少女が突如姿を消した直後のことだ。焦りと苛立ちが彼女の顔を醜くゆがめる。宝石の輝きに包まれて少女が消えた。何が起こったのか、考えられるのは唯一つだ。再び現れ次第、ピッケルで叩きのめしてやるつもりだった。そして警戒を強めた直後、彼女の横で何かが光った。すかさずピッケルを振りかぶり、発光と共に現れ飛び出てきた青い姿に向けて振り下ろす…そして、美しい金属音とともにその先端が何かに止められた。

 黄色の少女は目の前の相手の姿を見た。自分のものと似た装束。違いはプロテクターの形、装束の色、そしてピッケルの先端を止めた右手の大きな手甲。瞬時に、自分の不安が的中したのを理解した。

 「お前ぇぇッ……『契約』したなぁ!!」

 両手に力を籠め、無理やりピッケルで青の少女―――鮮やかな青の装束をまとった、『プリマ・サフィール』ことアキラのガードを押し切ろうとする。だが巨大な鈍器を振り回す腕力こそあれど、膂力そのもののにおいてはどうやらサフィールの方が上であったらしく、数秒間つばぜり合いのように押し合った末、ピッケルは弾き飛ばされ壁に激突した。

 「プル、どうしたらいい? あの子をケガさせたくないし、顔も殴りたくない」

 サフィールは宝石の中のプルに問いかける。何しろこんな戦闘など初めてで、だからこそ一つ間違えば相手に大けがをさせてしまうかもしれない。

 《あの子は『プリマ・アンベリア』。あのピッケルが武器みたいだけど、ただ力任せに振り回してるだけみたいプル。戦うのにはなれてないプル》

 「じゃああれを取って、何とかして動きを抑え込めばいいのか…」

 《考えがあるプル。ボクがナビするから、まかせてプル!》

 「わかった!」

 サフィールはボクシングの構え…いわゆるピーカブースタイルのように、両腕を顔の前に上げた。激高した黄色の少女ことアンベリアも、再びピッケルを両手に持って構えた。防御用のガントレットを身に着けているとはいえ、長柄の鈍器を持った相手に徒手空拳で挑むサフィールの姿は、一見すると大いに不利に見える。

 「お前…誰と話してる!」

 アンベリアはピッケルのヘッド側を左手で支え、槍のように突き出した。決定打というほどではないが、サイズがサイズだけに力を込めてぶつければ大きなダメージになる一撃だ。サフィールはそれをガントレットで左側に弾き、一歩踏み込むと自らの右肩をアンベリアの左肩にぶつけた。ひるんだアンベリアの肩に、さらにガントレットで裏拳を当てる。2発の打撃を立て続けに受けたアンベリアの左手から力が抜け、サフィールに向けたヘッドがあらぬ方向を向く。すぐさまアンベリアのふくらはぎ内側を刈り取るように左の下段回し蹴りを叩き込んだ。強烈な蹴りの威力にアンベリアはうめき声を上げ、壁際まで飛びのいた。だが再び構えるも明らかに右側の脚にだけ体重がかかっており、左脚をかばっているのが目に見えた。

 (そうか、このやり方なら…!)

 頑丈な体と強い腕力で相手の攻撃を防御し、武器は捌いてなるべく関節や顔には打撃を当てず、また関節を砕いたりはせず、あくまでも手足の表層部に打撃を当てることで武器を持つ腕、体を支え動くための両脚を封じる。プルの考えを、サフィールは瞬く間に理解した。だが一方、自分も的確に当てる技量が求められる。気を抜かず、すぐに構えた。

 アンベリアは今度は柄尻の方で殴りかかった。左の腕で防ぎ、ピッケルを奪い取ろうとサフィールはつかみかかる。だがアンベリアはピッケルのヘッドをサフィールの胴に引っ掛け、力任せに持ち上がると階下に投げ捨てた。金属のドアに激突し、突き破って空室に転がり込む。追ってきたアンベリアはピッケルで入り口を破壊して無理やり入ってきた。そのまま半ばでたらめに振り回すのを、サフィールは当たる寸前で転がって回避する。狭い踊り場と違ってある程度の広さがあるため、アンベリアの方も戦いやすいと見たか少し表情に余裕があった。

 空室には窓の付近にスチール製のオフィス用の机、そしてキャスター付きの椅子が一つずつ置かれているだけだった。どこかの会社が閉鎖なり移転なりした際に置いて行かれたものだろうか。抜け殻のようでどこか寂しげな景色だが、今は気にしている暇は無かった。サフィールは立ち上がり、もう一度構えた。

 途端、アンベリアが大きく踏み込んでピッケルを右から左へ水平に振り抜く。サフィールはヘッドの先端をガードするが、頑丈な体になっても腕が強烈にしびれた。力任せなだけに振りの速さは尋常ではなく、ヘッドを直撃させる間合いも自然と心得ているようだ。戦いなれてはいないが、戦う場所さえ選べば実力を発揮できるタイプだ。アンベリアは体を反転させ、回転の勢いを付けて今度は左から右へと振り抜く。今度はそれを右腕のガントレットでガードし、ピッケルの柄をつかんだ。アンベリアは直後に両手を離し、ピッケルを引き寄せようとしていたサフィールは後方に倒れそうになる。アンベリアが目の前で垂直に跳ぶ。

 「ッしゃァアッ!!」

 叫び声と共に、アンベリアのドロップキックがサフィールの顔面を直撃した。倒れ掛かるサフィールからピッケルを奪い返し、垂直に振り下ろして先端を腹に叩き込んだ。貫かれこそしないものの、みぞおちにめり込む強烈な痛みにサフィールはうめき声を上げる。その背が壁に当たった。

 「死ねぇぇぁあああ!!」

 ヘッドの先端の反対側、斧のような刃を叩きつけるアンベリア。すかさず前に出て間合いを詰め、サフィールはピッケルの柄に右のフックを叩き込む。サフィール自身の頑丈さと腕力、さらにガントレットの強度を合わせた打撃を横から受けて、頑丈なピッケルの柄が一撃で曲がった。驚愕したアンベリアの一瞬の隙を突き、柄をつかむ手を手刀で叩くと指が緩んだ。今度こそサフィールはピッケルを奪い取って投げ捨てる。

 「ちょっと痛いけど、我慢してね!」

 さらに前に踏み込み、強烈な右の後ろ回し蹴りをアンベリアの脇腹に当ててひるませる。立て続けに飛び掛かり、空中回し蹴りを肩に当てて壁際まで吹き飛ばした。壁に激突したアンベリアの口から悲鳴が出る。動きを止めたその瞬間をサフィールは見逃さなかった。胸の青い宝石が輝くと、同時に右腕のガントレットも強烈に輝く。アンベリアの宝石に渦巻く黒い濁りを祓う、清めの一撃だ。

 《アキラ、あの子の胸の宝石に浄化の光を打ち込んで! 『ピュリファイア・フラッシュ』を!》

 「判った!」

 拳を構え、大きく踏み込み、青く輝く右の拳を突き出す。アンベリアの顔が恐怖にゆがみ、防御のためかその胸の宝石からは黒い濁りがあふれ出て体を覆い隠そうとする。だが、その濁りはサフィールの拳の光に当てられてむなしく霧散していった。


 「―――ピュリファイアッ! フラッシュ!!」


 輝く拳がアンベリアの胸の宝石を直撃した。閃光が宝石を貫き、アンベリアの背後に黒い濁りがあふれ出すと醜い顔の形となって、絶叫のような音を上げ―――そして、消え去った。恐らく今のが彼女の宝石に宿っていた黒い濁りの全てだろう。

 気を失ってもたれかかってくるアンベリアを支える。胸の宝石からは濁りが消え去っていた。本来の色であろう、透明感のある蜂蜜のようなオレンジ寄りの黄色がまぶしい。表情も穏やかで、まるで眠っているようだった。口元に手をかざすと緩やかな息が当たる。ケガも特になく、どうやら本当にただ気を失っているだけのようだ。倒れさせないように気を付けてアンベリアを座らせ、壁に寄りかからせる。

 「…プル、もうこれで大丈夫だよね?」

 《うん、もうイヤな気配も感じない。もう大丈夫プル》

 「…………っはぁ~~~~~よかったぁ~~~…」

 サフィールは安堵に大きなため息をついてしゃがみこんだ。アンベリアの顔を改めてのぞき込むと、先ほどと変わらず安らかですらあった。今しがたまでのゆがんだ表情とは大違いで、別人と見紛うほどだ。そして彼女を悪鬼と化した、宝石に宿ったあの黒い濁りを自分が払った。昨日からのわずかな時間で起こったことを思い返し、サフィールは軽く混乱する。

 「あとで話聞かせてって言ったけど、今日はもうムリ…すんごい疲れた」

 《ボクも疲れたプル…》

 「すっごい良く寝れそうだけど、明日ちゃんと起きられるかなぁ」

 また目覚まし時計の大音量で目覚めるか、下手をするとそれでも目が覚めないかもしれない。寝坊したら学校を休んでしまおうか…サフィールが明日の朝に思いをはせたその時、背後で音が聞こえた。慌てて立ち上がり、空室の入り口に目を向けて身構える。階段を駆け上がっていく背が見える…腰のリボン、そして赤い髪。昨日の赤の少女だった。サフィールは一度アンベリアの方を向くと、目覚める様子が無いのを確認して赤の少女を追いかけた。

 一歩で数段を飛ばして駆け上がり、アンベリアが破壊した天井に飛び上がってビルの屋上によじ登る。

 「待って!」

 呼びかけると、赤の少女は背を向けたまま立ち止まった。

 「あの……堂本さん、堂本 緋李さんだよね? あたし、昨日の朝の」

 「………私は」

 サフィールの問いには答えず、赤の少女は振り向いた。風になびく髪、赤い瞳の射貫くような強い視線、日の沈みかかった暗がりでもはっきりと見える白い肌。やはり美しく、そして髪と目の色こそ違うが間違いなく堂本緋李だ。だが、彼女があの装束をまとい、そしてその胸元に宝石を宿しているということは―――彼女とも、今のアンベリアのように戦わなければならないのか。サフィールの胸に言いようのない不安が生まれた。

 だが、赤の少女の方は今すぐサフィールに襲い掛かる意思は持っていないようだ。

 「私はプリマ・ルビア。もう少ししたら貰いに行くわ。貴女のそれ」

 赤の少女、ルビアはサフィールの胸元の青い宝石を指さす。隠すようにサフィールは宝石に触れた。

 「少し様子を見させてもらうわね。貴女の力が『デュエルブライド』の中でもイレギュラーなのか。それとももっと別の何かなのか」

 「『デュエルブライド』…? 別の…何?」

 いぶかしむサフィール。だがルビアは答えず、再び背を向けてビルから跳び立った。日の沈んだ夜の街のなか、その姿はあっという間に消え去ってしまった。

 改めて、サフィールは自らの宝石を見下ろした。宝石の力で装束を纏う少女が、自分を含めて3人。先刻も薄暗い中、わずかにルビアの宝石には陰りが見えた。二人が宝石を狙って戦っていたが、自分だけは最初から濁りの無い宝石を胸に宿している。そして、ほかの少女の宝石から濁りを取り去ることができる。

 神への願い。『デュエルブライド』の中でも、とルビアは言っていた。ということはもっとたくさんの『デュエルブライド』がいるかもしれない。彼女たちが持つのは、少女を邪悪と化す宝石。そして、自分にはそれを浄める力がある。同じ宝石を持つはずなのに、自分は全く異なる能力を発揮した。

 頭の中が混乱する。サフィールは不安と困惑の中でつぶやいた。

 「プル……これからどうなるのかな…」

 《アキラ…》

 胸の宝石を握りしめ、風に吹かれながらサフィールは夕暮れの街を見下ろしていた。



―――〈ジュエル・デュエル・ブライド:第一話 「Rise of the hero」 END〉―――

とりあえず第一話終了。女の子が女の子に一目ぼれした以外は百合要素が少なめでした。第二話から増えるかと訊かれれば若干の不安。

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