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第一話 「Rise of the hero」②

変身ヒロイン百合アクション、第一話の続きです。



 帰宅し、アキラは自室で宝石を眺めた。硬く滑らかな手触り。海のように深く、空のように鮮やかな青色。蛍光灯の光が当たると、石の中の小さな粒子がかすかに淡い青に輝く。通販の番組や貴金属店の広告では見たことが無い、不思議な石だった。素手で触ったら指紋がついてしまうのではないかと心配になったが、この石に魔法のような不思議な魅力を感じてしまい、素手で触れずにはいられなかったのだ。宝石自体は確かに美しいが、それとは無関係に惹きつけられる。まるで早くその手につかめと催促されているような…

 (…なんて、呪いの宝石とかじゃあるまいし)

 ただ呪いかどうかはともかく、赤の少女は明確にこれを指して持って帰れと言っていた。少なくとも彼女はこの宝石のことを知っているのだろう。黄色の少女がこれをアキラから強奪しようとしていたのなら、凄まじい形相と見つけたという発言も納得できる。そこまでして求めるようなものか、という気もするが。いずれにしろ彼女たちのことはまったく判らない。あの妙な衣装も、武器を振り回して争っていたことも、そして彼女たちがそもそも何者なのかも。むしろ赤の少女はアキラをあの状況から遠ざけるような物言いだった…善意かどうかは判らないが。

 赤の少女にはあのように言われたが、やはり警察に届けた方が良いだろうと思い直した。持ち帰った事を咎められたら正直に説明しよう。宝石を机に置くと、夕食を知らせる母の声に応えて部屋を出た。部屋の照明を消した瞬間にその宝石が自ら光を放ち、直後それを抑え込むように黒く濁った煙が溢れ、そしてすぐ消えたことには気づかなかった。



 翌日はとにかく落ち着かなかった。高価な品をひろってしまったことを改めて実感したせいか、緊張で異様に早く目覚めてしまい朝食までは部屋でずっとベッドに座っていた。電池を入れ替えた目覚まし時計より早い目覚めで、鳴った直後にすぐ止めた。朝食後は自転車にまたがり損ねて家の前で転倒、学校に到着するまでに通行人にぶつかりかけること計4回、校門に激突すること1回、駐輪場に停まっている他の自転車をドミノ倒しにして慌てて起こすこと1回。

 教室に到着しても制服の内ポケットに宝石を入れているため、まったくもって落ち着かない。当然のように小波に突っ込まれた。

 「どしたん? 何キョドってんの」

 「あー…いや、うん―――…」

 素直に言うべきか。周囲を見回し、こっそり耳打ちする。

 「あのさ、今日放課後時間ある? ちょっと付き合ってほしいんだけど」

 「ごめん無い」

 「えぇぇぇ―――…」

 「ホントどしたの? さっきから何か変じゃない?」

 何もかも内緒にしようとした所で、アキラは全てを騙し通せるほど知恵が回るわけでもない。勘繰られればポロッと話してしまうだろう。仕方ない、と覚悟してある程度だけ話すことにした。

 「交番に行く」

 「えっ何!? 自首!? 何した!?」

 「違うよ! 昨日落とし物拾ってさ、ちょっとお高いっぽい物なんだけどさ」

 「ああー、そりゃ怖いね、途中落としたりしたらね。でも悪い、ほかの子と行ってきて」

 無情にも断られた。ほかの友達にも頼んでみたが(もちろん拾得物が宝石であることは隠した)、結局全員に断られ、やむなくアキラ一人でいくことになってしまった。

 放課後、胃袋がドッシリ沈み込むような気分にため息をつきつつ自転車をこいで、現場に一番近い交番まで向かった。

 「まあ仕方ないかー…よし、あそこで拾ったことと…高そうなの拾っちゃって慌ててつい持ち帰っちゃったことと、あとは…」

 後は―――赤と黄色の二人のことも言うべきだろうか、と気づく。黄色の少女がはるか上空から飛び降りてきたこと、赤の少女が人間とは思えない速さでそこから助けてくれたことを思い出した。もしあれが夢でなければ、二人ともその辺の人間どころか巨体のプロレスラーさえ平手の一発で叩き伏せてしまうような、いわば超人なのではないか。そしてそんな二人がこの宝石をめぐって争っているらしい…果たしてそんな話をして信じてもらえるのだろうか。そもそも自分自身まったく実感が無いことだ。

 このことは伏せておこう、と思い直した。素直に拾ったことだけ伝えれば良い。何だか都合の悪いことだけ隠すダメな大人みたいだなあ、と思いつつ内ポケット上から宝石にもう一度触れると…不自然な程に温かい。内ポケットに手を入れて直に触れる。明らかに体温が移ったものではない、しかし決して火傷するほどではない熱を宝石自体が発していた。

 (何、これ…―――!?)

 途端、胸騒ぎに駆られる。周辺ではごく普通に人々が行き交い、災害も犯罪も起こる気配は無い。だが自然に感じ取った、そして確信した。この微弱な熱は宝石が発する「警告」だ。自転車を降りてもう一度周囲を見回す。周りの人々はやはりごく普通に通り過ぎ…否、一人だけ自分に近づいてくる人物がいた。偶然こちらに近づいているのではなく、明らかに視線が合った。どこか見覚えのある人物だ。その人物…少女はアキラの目の前に立ち止まり、にやにや笑いながら顔を覗き込んだ。宝石の発する熱が少しだけ温度を上げる。

 「こんにちは~」

 「は、はい。こんにちは」

 「いきなりですみませんけどォ、まだ持ってますよね。あれ」

 アキラは少女の挨拶に警戒しながらも挨拶を返すが、続く問いかけに虚を突かれて答えに詰まる。面識のない相手に自分の持ち物を把握されていることの不審、一方で相手は確かに憶えているらしいという不思議な状況。何のことなのか理解できず、首をかしげた。すると少女の笑みが深く…というより、獰猛さと陰湿さが浮かんだ。

 「とぼけないでもらえます? 昨日拾ったでしょう。宝石」

 そういわれた瞬間、昨日の記憶がよみがえった。そしてその中のある人物と目の前の少女の顔が一致する。髪の色こそ異なるが、路地で青い宝石を拾った時、上空から飛び降りてきて鈍器を振り下ろした黄色の少女の顔だった。ぞわりと背中に走る悪寒。頬から首筋へと嫌な汗が滴る。アキラが思わず後じさると、追うように目の前の少女が迫る。見た目は自分と同年代、別の学校の制服を着ているの普通の女子高生だが、邪悪な笑顔にたがわぬ毒蛇の牙のような残忍さが彼女の全身から漂っている。彼女の前にいては危険だと、アキラは本能的に察した。

 「あのっ、ごめんなさい…何のことか」

 「とぼけないでもらえます? 出してくださいよ」

 胸倉をつかもうと突き出してきた少女の手を避け、バッグも自転車も置き去りにしてアキラは逃げ出した。追う足音こそ聞こえないが、まるで悪意が背中にへばりついたかのようにすぐ近くに感じられた。奇異なものを見るような通行人の視線を気にする暇もなく、無我夢中で街中を走っていく。商店街を駆け抜け、歩道橋を渡り、地下道を通り抜け、横断歩道を信号無視して渡りかけて目の前を通り過ぎる自動車に冷や汗をかく。時折後ろを振り向いても少女の姿こそ見えなかったものの、どこかから見られているのではないかという不安が抜けない。横断歩道を渡りながら夕方の帰宅ラッシュにまぎれ、運よく扉が開いていた無人の雑居ビルに入り、階段の踊り場に積まれカバーをかけられている建築資材の後ろ側に座り込んだ。

 息を殺して階下からの音に耳を澄ます。足音一つ聞こえないだけに、本当に逃げ切れたのか不安になる。冷たい壁に無理やり体を押し付け、震える足を無理やり抑え込んで資材の後ろに縮こまるが、宝石の熱はまだ収まっていない。

 あの少女から漂う残忍さは何だったのか。黄色い不思議な服を着ていた時…あの時、記憶が確かなら彼女の髪も黄色に変わっていた…と全く同じ表情だ。不良高校生程度の凄み、あるいは野生動物の類の凶暴さではない、もっと根本的に人間と異なる存在の―――人間を人間と見てすらいないかのようなおぞましさだった。どうやら赤の少女とは青い宝石をめぐって殺し合っていたらしいのだが、殺し合いまでさせるこの宝石は何なのか。宝石を入れた内ポケットをのぞき込むと、石は熱こそ出しているが特に光ってはいない。

 否、気のせいか少し濁っているようにも見えた。ポケットの中に入れているせいかもしれないが、昨日見つけた時のような輝きが見られない。少しだけ顔を出してビル内を見回し、だれもいないことを確認してこっそりポケットから出した。薄暗い蛍光灯の光を当ててみると、昨日と違ってつやも輝く粒子が無く、内側に濁ったドブ水でも溜まっているようにすら見えた。その濁りは内側でうごめき、鈍重な蛇のように緩慢にのたうっている。誰かに別の宝石にすり替えられたなどということはない。

 「何、これ…」

 内部で不気味な濁りがとぐろを巻く宝石と、相手を殺してその宝石を奪わんとする少女。何がと説明はできないが、自分があまりにおぞましい何かに片足を突っ込んでしまったことをアキラは今になってやっと理解した。赤の少女が言った通り、警察どころか人間に対処できる事態ではなさそうだ。このまま逃げていていいのか、赤か黄色の二人の少女どちらかに預けるべきではないのか…逡巡した時、上階から重い轟音が聞こえた。

 思わず上へ続く階段に目を向ける。するともう一度轟音が鳴った。今度はよりはっきり、大音量で聞こえた。そして、コンクリートの破片がガラガラと階段の上から転がり落ちてくる。そして、階段を下りてくる足音。

 「上からだとよく見えますからねえー。追いかけるのは簡単でしたぁ」

 隠れていたアキラを黄色の少女が上の踊り場からのぞき込む。昨日も着ていた装束に着替え、手には鈍器を持っている。ヘッド部分は鳥のくちばしのように湾曲し、先端がとがっていた。ハンマーではなく冬山登山に使うピッケルの形だが、その大きさは彼女の身の丈ほどもある。あれでわざわざビルの屋上や踊り場を粉砕し、最短距離で降りてきたのだ。

 そして彼女の装束をよく見ると、ジャケットの胸元には黄色の宝石が埋め込まれていた。その内側では先刻の青い宝石と同じく黒い濁りがうごめき、時折外側にあふれて彼女の体にまとわりついていた。あの宝石が力の、そしてあの残忍さの源なのだとアキラは直感した。青い宝石を渡したらより凶暴に、残忍になってしまうのではないか。そして殺し合いが激化して―――

 (…だめだ、渡したら駄目だ!)

 何が起こっているのかはまったく理解できないが、渡してしまったらさらに恐ろしい事態になってしまう事だけは本能的に理解した。

 アキラは意を決して逃げようとする。少女が踊り場からとびかかり、巨大ピッケルを振り下ろした。間一髪、頭部を逸れて背後の壁に突き刺さる。顔面にピッケルが突き刺さった光景を想像して冷や汗をかき、すぐに頭から振り払って階段を降りるアキラを、黄色の少女が突き飛ばした。悲鳴を上げて下の踊り場に倒れこむ。

 「うッ!」

 「だーかーらぁ。渡せって言ってるじゃないですかァァァ!!」

 苛立った少女が、倒れたアキラの脚にピッケルを投げつけた。硬いコンクリートを突き破る音。同時に、左の腿を貫通する重く鋭い衝撃―――。

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――ッ!!」

 遅れて感じた激痛に、アキラは絶叫を上げる。だが悲鳴も踊り場を破壊した音も外には聞こえないのか、誰かが来る気配は無かった。激痛と異物感、そして強烈な熱が左の腿に生まれた。腿自体もねじ曲がり、貫通と同時に骨が砕けたのが分かった。

 (痛い! 痛い!! 痛い!!!)

 昆虫標本のようにコンクリートの床に縫い留められ、逃げることもできない。宝石を渡せば解放されるかもしれないが、それは絶対に避けなければならない。恐怖と痛みに両目から涙が流れる。理性が飛びそうになるのを、歯を食いしばって必死にこらえる。歯の隙間から悲鳴をこらえた息が漏れ、制服の上から宝石を抑える手が震えるが、それでもアキラは手放そうとしなかった。

 ゆっくりした足取りで黄色の少女が下りてくる。

 「別に使わないでしょ、それ。じゃあ私がもらってもいいですよね? 私ね、お願い事があるんです。叶えたければその宝石を集めて、神様のところにお嫁に行かないといけないって言われたんですよ。わかります? お願いを神様に聞いてもらおうっていうの」

 にやにや笑いながら要求する少女に、しかしアキラはかぶりを振って拒否する。

 「ヤだ…ッ………いやだ…いやだ…!  これを渡したら、あなたはもっとたくさんの人を傷つける…!」

 「判ってるじゃないですか。この姿、宝石にお願い事を伝えたら神様が力をくれたんです。―――あなた別にお願い事無いですよね? じゃあわたしがもらっていいですよね」

 目の前にしゃがみこんだ少女が嫌味ったらしく言い聞かせる。その間もアキラは激痛にあがき、その体の下に血だまりが広がっていく。少女がピッケルの柄を小突くと振動が新たな痛みを産むが、少女の言葉を聞いた直後にアキラの頭の中は奇妙な程に冷静になった。どこかで聞いた言葉だったからだ。宝石と神様、お嫁に行く。どこで聞いた言葉だったか。記憶を掘り起こしていくと、幼い頃に祖母の家で読んでいた絵本…昨日宝石を見つける前にも思い出した、「花嫁と神様」だ。

 世界平和を願うお姫様が、神様に嫁いでその願いをかなえるべく、悪事をはたらく他国の女性たちを懲らしめて彼女の宝石をあつめ、彼女が神様に嫁ぎ世の中は平和になったところで話が終わった。美談のように語られているのだが、子供の頃はどうしても納得できなかったものだ。

 ―――おばあちゃん、何でお姫様は他の人と友達にならなかったの?

 あの時、祖母にはそう聞いた。そういうお話だから…などと無下にせず、祖母は一緒に考えてくれたのだった。

 ―――そうね。宝石を持った人とも友達になれば、友達の輪を広げて、みんなが友達になれたんだろうけどね。

 ―――なんでかなあ。

 ―――うーん…欲に目がくらんじゃったんじゃないかな。世界を平和にしたいっていう欲。願いがすぐに叶うって思った途端、自分だけが叶えるっていう欲になっちゃったのかもね。

 意表を突いた答えに、幼い頃は相当驚いたものだった。世界を平和にしたいと願う姫君を、まるで大金や宝石が欲しいと願う欲張りと全く同列に祖母は語った。それが理解できず驚いていたアキラに、祖母は続けてこう言った。

 ―――よく読んでご覧。お姫様は神様の言葉を、本当かどうか考えもせずに信じてる。神様の言葉だからって無条件に信じてしまったのね。国の人たちの言葉も聞かずに。

 ―――そして平和になったけど、お姫様の願うような平和なのかは判らない。神様が本当にお願いを叶えてくれたかは判らないの。

 ―――意地の悪い神様が、お姫様や人間たちで遊びたかっただけなのかもね。

 「神様が願いを叶えてくれるのかは判らない」……その言葉を思い出し、改めて少女の表情を、そして彼女の宝石や全身の黒い濁りを見た。願いをかなえたければ宝石を集めろという神様。他者を排除して宝石を集めようとする少女。絵本が現実になったなどと言い出せば世迷言と一蹴されるかもしれないが、しかし状況はよく似ている。

 叶えたければとは言っていたようだ。確かに叶えると約束したのだろうか。集めろと言っていたということは、宝石のことを知っている…つまり少女を悪鬼と化し殺し合いまでさせる宝石を、当の神様自身が地上にばらまいたかもしれないということだ。そんな残酷なことをする神様が、本当に少女の願いをかなえてくれるのだろうか? アキラは激痛の最中、消え去りそうになる理性と思考力を必死につなぎ止める。

 その時、また別の声が聞こえた。何と言っているかはうまく聞き取れないが、願いを言えと促すような声だ。目の前の少女は気づかない。まさか、とアキラは内ポケットの宝石を取り出した。

 「お、ゆずってくれます?」

 奪い取ろうとする少女を無視し、宝石をのぞき込む―――内側の黒い濁りが猛烈にうごめき、外側にあふれて宝石を握る手に触れては霧散する。願いを言え。明確な言葉ではない、脳内に無理やり流れ込んで言語中枢を直接操るような…それはむしろ、促すというより外側から頭の中をいじりまわされるような、何者かに無理やり操作されているような感覚だった。

 だが同時に、濁りの中にはかすかな煌めきの粒子があった。粒子は濁りにあらがうように、消えかかってはまた明滅する。そして願い事を促す声の中、全く別の幼い声が途切れ途切れに聞こえた。

 ―――願いを…

           『ダメ…きいては…』

         願いを言え、願いを言

                     『はやく…それをすてて…』

    力をくれてや

              『にげて…にげて……!』

         願いを…

                                『にげて! …』

 誰か『もう一人』が宝石の中にいる。アキラを助けようと必死になっている。何者かのどす黒いささやきの中、必死に声を上げて抗っている。『もう一人』は黒い何かと闘おうとしているのだ。

 その瞬間、アキラの意思が固まった。願いの一つが今できた。そしてもう一つ、それはすでに固まっている。アキラは改めて宝石を握りしめた。

 「願いなら…願い事なら、あたしにも…ある……!!」

 「はぁ?―――はぁ!?」

 握りしめた宝石が手の中で輝き、指の間から鮮やかな青の閃光が漏れた。その様子に動きを止めた黄色の少女の表情に、この瞬間初めて驚愕が浮かんだ。痛みにためらうことも無くアキラは続ける。

 「一つ、この子の黒いモヤモヤをなくすこと! もう一つは―――」

 「やめろぉ!!」

 もう一つの願いをアキラが言う前に、黄色の少女は巨大ピッケルを引き抜いて振りかぶる。だが振り下ろす前に強烈な閃光が爆発し、ビルの壁や天井すらすり抜けて空へと柱のように立ち上っていった。目が焼けるかのようなまばゆさに黄色の少女は両目をかばい、アキラから離れた。その表情は驚愕から恐怖に変化し、未知の光に明らかに怯えていた。

 巨大な光の柱は夕暮れの街を照らし、雲を突き抜け、宇宙に届かんとしていた。街中を行くだれもが立ち止まり、その光を見届けていた。

 そして彼女が後じさった直後、アキラの体は忽然と消失した。


―――〔続く〕―――


嫌な人を嫌な人、凶暴な人を凶暴な人として書くことは大変難しいです。自分の苦手なタイプのキャラクター造形ですね。

ちなみに作中に登場する絵本は架空の物です。80年代なら民名書房刊と書いておけば誰かが図書館や古書店に探しに行ったかも知れませんね。

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