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愛鴨  作者: 山本 宙
7章 折り箱
50/70

50話 亜子の思い

ヘイヘイが残した二つの泉は人々に心を満たしている。

そう思えるのは店が賑わっているからかもしれない。


ButterflyとLove Duckはどちらも人が多く集まり、

そこに働く従業員も汗を流しながら働いている。


どちらの店も客は満足するほど評価が高く、足を運びたくなる。


そしてなりより、ヒデや藍野の恋愛を支える場所となっていた。

これは二人がそうさせたと捉えることもできるが、

それでもLove Duckあっての恋物語だと言えよう。


ヘイヘイが店を構えてからこそ、この物語は生まれたに違いない。


ヒデも藍野もLove Duckから始まり、

恋という花が実るきっかけをつくりあげてきた。


そして、butterflyとLove Duckの所有者であるヘイヘイは全てを置いて、

中国に帰省するのであった。


藍野はすべてを知った。

何よりLove Duckの真実を。

それは昔から通い詰めていたヒデも知らなかった。




明くる日、藍野は亜子を食卓に呼んでは話をする。


「亜子、どうして何も話さなかった?全部知っていたのだろう?」


藍野は率直に聞いて、亜子の真相を聴く。


「私は亮介を信頼していたから、空港に送り出せた。そうじゃないとヘイヘイさんと会ってほしいと思わない」


「そうであっても、僕は何も知らずに今まで亜子と接してきたんだ。おかしいと思わないか?」


藍野は多くの疑問を抱いていた。

亜子に全てを打ち明けてほしいと思った。


しかし亜子の真相も理解し得る。

何も話せない亜子にも色々と思い悩むことがあってであろう。

それでも藍野は何か一つでも、打ち明けてほしい思いがあった。


うつむきながら亜子が言った。


「私はヘイヘイさんと同じ人を好きになってしまって、ずっと悩んでいた・・・。だって店のオーナーと恋人を取り合うなんてどうかしているよ。それでも私は亮介野が大好きだったし、ヘイヘイさんも私の気持ちを汲み取って店では何の仕打ちをしなかった」


「亮介には言えない、私とヘイヘイさんのお互いの気持ちがあるのよ」


亜子は亮介の目をじっと見つめた。そして次の言葉を述べた。


「私と亮介が今こうして付き合えているのはヘイヘイさんがいたからなのよ」



その言葉は藍野の心を叩くように響く。



「その通りかもしれない・・・。僕と亜子は何より、Love Duckで出会ったのだから・・・」


ヘイヘイが築き上げたものは、単に店だけではなく、人と人を深く結ぶものであった。

それは店員と客の関係に留まらない大きなものだ。


亜子が涙を流しながら言った。



「お世話になったヘイヘイさんに、お別れを言いたかった・・・」


その言葉は何を意味していたのであろう。

お別れを言えなかっただけでは済まされない、感謝の想いが込められているに違いない。

その言葉を重く受け止める藍野であった・・・。


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