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愛鴨  作者: 山本 宙
6章 Next Stage
41/70

41話 同棲 section2 銃を封印

 同棲とは他人同士が一つ屋根の下で男女が共に生活をすることをいう。

それは藍野からしたら初めての体験で、しかも相手は亜子である。


二人はまだ出会ってからたいして日が経っていない。


しかし亜子からの要望であった同棲に

藍野は受け止める決意をした。


どうしていきなり同棲なのだろうか。

そんな疑問は浮かんでくるが、同棲してみてわかることも

色々あるはずだ。


思い切ってやってみるのもいいのではないだろうか。



そして、いよいよ亜子が家を訪れる日。


「ピンポーン」


しずかな部屋にインターホンの音が響いた。


藍野がゆっくり立ち上がった。

少し緊張しつつ、藍野は扉の前まで歩む。


一人暮らしの住まいは廊下が短く、すぐに玄関までたどり着く。

玄関までの歩みも緊張ものだ。

同棲がいよいよ封を切るのだから。


そして藍野はゆっくりと扉を開けた。


「こんにちは、亮介」


明るい日照りによって亜子の顔が輝いて見えた。

亜子は笑顔だが、内心は藍野と同じ緊張している。


「どうぞ、あがって」

そう言って扉を大きく開けて亜子を中に入れた。

亜子の荷物は後から業者が届けに来る。


それまでの時間はゆっくり話をすることにした。


「部屋に物が少ないわね」

「亜子が住むから、減らしたんだよ。前もって持ってくるもの聞いたから、亜子の荷物を置けるようにしたんだよ」


「ありがとう。私も一人暮らしだったから荷物減らしたけど、もともと荷物が多かったから」


共存は意見を出し合わないと難しいものだ。

意見を出し合う中でも、見えていない何かにも気を遣うものだ。


それを苦に思えば同棲は窮屈さを感じるが、

今のところ二人は問題なさそうだ。


「ところで亜子は料理するの?」

料理をするかどうかは藍野にとって関心なかったが、

ここにきて聞いてみる。


「初めて会話した時に、合鴨料理が好きって言ったでしょう。私は自分でも鴨肉を取り寄せて作っているわよ。店長のようにはいかないけどね」


そうだった。

亜子は合鴨料理が好きだからLove Duckに働いているのだ。


「でも、毎日鴨肉じゃないよね」

「当り前じゃないの」

冗談を交えながら会話をしていると、再びインターホンが鳴った。


ようやく業者がきたのだ。


「荷物少ないね」

最初に見た印象が言葉に出た。

段ボール5つほどだろうか。

「半分くらいは実家に送ったわ」

「なるほど・・・」


段ボールを開封して荷物をあちこちに置いていく。

藍野も手伝っていたが、気づいたことがあった。

「あれ?銃がないね・・・」


大好きなサバイバルゲームの道具がどこにも無い。


「私は銃を持ってこなかったわ。今は要らないの」

「銃を持たない亜子なんて、らしくないよ」


「いりません!女らしく住もうと思ってここに来たのだから・・・」


大事な道具だったに違いない。

亜子は何か心を決めてここに来たのだろう。


それでも亜子のキャラだった武装少女が、その道具を持ってこなかったら

印象が薄くなる。

「これからサバイバルゲームはどうするの?あれだけ好きだったのに」

そこだけが心配にしていた藍野だった。意外と大事な質問なのかもしれない。


「いいの。私はサバイバルゲームを封印します。私らしくは、これから見つけ出していくわよ。心配しないで」


「なんだか、さっきのセリフかっこよかったよ」


荷物を全部整頓できた。


いよいよこれから藍野と亜子の二人暮らしが始まった。


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