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愛鴨  作者: 山本 宙
5章 EXCITE
35/70

35話 郡上八幡section7 写真に写るありのままのkokoro

 二人は東京にようやくたどり着いた。

長い旅路はようやく終わりを迎える。最後の最後にヘイヘイは橘美姫とご対面することになる。


ついでと言ってしまえば、ついでになってしまう。

偶然が重なった関係性は、藍野を取り囲んでいた。藍野にしかできないことを、また橘美姫にしかできないことをヘイヘイに捧げる。


「郡上八幡は本当に楽しかったわ。ありがとう」


「こちらこそありがとう。とても楽しかった。」


余韻に浸るヘイヘイに藍野が一言告げる。

「そのまま、ここで待ってくれないか」


「う・・うん」



しばらくたってから一人の女性が歩み寄る。


「あなたがヘイヘイさんね。キラキラ★Dreamの橘美姫です」


ヘイヘイは目の前にいる女性が本物なのかと疑った。

あの有名アイドルが目の前にいることを全力で疑う。


「はじめまして、ヘイヘイと申します。失礼ですが・・・本当に橘美紀さんですか?」



「えぇ、そうよ」


ヘイヘイはその言葉を聴いても、疑いが晴れないもどかしさを感じる。

両手で自身の顔をパンパン!と叩いた。


「うそーーーー!!!!!藍野さん本当に友達だったのですね」


驚きが大胆にむき出しになる。

隣で見ている藍野が苦笑いになった。


「美姫、本当に有名アイドルなんだね」

「高校時代を共に過ごしたあなたには想像がつかないでしょうね」


ヘイヘイは握手を求めて、美姫はそれに応じた。

「でも、事務所的に大丈夫ですか?」


ヘイヘイが業界人の見えない事情を心配する。


「ヘイヘイさん心配しないで。私は藍野さんとは高校の時からの友人なの。藍野さんには、当時いつも心配してくれていた。それに答える為に今こうしてお願いに応じたのです」


「藍野さん、あなたいったい何をしたのよ」


「別に何もしていないよ。美姫の心の大きさによってこの機会が実現しただけさ」


藍野と美姫の二人の間でしか存在しない「橘ななみ」との繋がり。

それは互いが心の片隅に常に残っており、忘れてはならない絆であった。



ヘイヘイは涙ながらに喜び、その場を喜び舞う。

記念撮影は美姫から求めた。


「大切な機会です。一緒に記念撮影しましょうか」

美姫にとってヘイヘイは他人でしかない。でも、ファンであるヘイヘイに会わせた藍野の期待に応えるかのようにサプライズを提供した。


スマートフォンで写真を撮り、3人でちゃんと取れているか確認をする。

その時、藍野が美姫に言った。

「ありのままの美姫だね」


写真に写る美姫の顔はありのままの姿だった。

それはもう「ななみ」の仮面を被っていない内心から美姫があらわれているのだろう。


「ありのままの私にしてくれたのは藍野くん、あなただからね」


郡上八幡の旅行はこれで最後となった。

今後の藍野は、いったい誰に告白するのだろうか。


今まで知り合ってきた女性はもう何人かあげられる。

ヒデとの再会を機に色々なことがあった。

すべて繋がっている。



「東京に帰ってきたことだし合鴨料理、また今度食べよう」


藍野の独り言は、はしゃぐヘイヘイと美姫には聞こえていなかった。


また藍野はLove Duckに足を運ぶのだろう・・・。


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