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愛鴨  作者: 山本 宙
4章 望月拓斗 編
22/70

22話 真実の恋

 突然にお付き合いすることになった拓斗と心美。

いつも昼になると一緒に公園に行って弁当を食べた。

そして今日も二人はビルを出て公園に向かった。


「拓斗くん、いつもコンビニのお弁当だから、私作ってきてもいいかな」

「えっ?いいの!?心美の弁当いつもおいしそうだから食べたいよ」


仲良く昼食を食べる二人は、カップルらしいやり取りをしていた。拓斗からすれば、決して当たり前の光景ではない。



「心美、お弁当ありがとう」

(藍野さんにしっかりと報告しよう)




プルルップルルルッ

自宅でコーヒーを飲みながら、パソコンでネットサーフィンをする藍野に着信が入る。

ピッ!

「拓斗か、どうした?」

「藍野さん、報告が遅くなりました。僕とうとう彼女ができました」

「何!?もしかしてアニメ婚がうまくいったのか!?」

「いいえ・・・、アニメ婚は何もなかったのですが・・・」


拓斗は肝心の街コンの結果も報告をしていなかったことに気が付き焦った。


「実は同じ職場の・・・」

「同じ職場!?」

驚いた先輩の藍野の反応を聞いて拓斗の口が止まる。

「誰だ!?いつの間に付き合ったのだよ!!すごいじゃないか!」

「藍野さんのおかげですよ。きっかけは相手の積極的な行動かもしれませんが、僕はLove Duckだと思っています」

「そうか・・・。で、相手は誰なのだよ!?」

「えっと・・・心美ちゃんです」

「林原心美さんか!?・・・えっ・・・」


藍野は心美のことを知っていた。同じ職場で働く従業員であるから、すぐに誰なのか分かった。しかし、昨日の心美を思い出して沈黙した。


「藍野さん、どうしました?」

「あっ・・いや・・・身近すぎて驚いただけだよ。おめでとう拓斗」

「ありがとうございます!これも藍野先輩の励ましがあったからです。本当に感謝しています」

拓斗は嬉しそうに話し切って電話を終えた。


電話を終えた藍野はしばらく立ちすくむ。

呆然と静止する藍野には、昨日の記憶がよみがえっていた。


昨日の記憶とは、心美が男と腕を組んで歩いていた光景を藍野は見ていたのだ。


「心美が一緒に歩いていた男性は拓斗ではなかったな。これはまずいな・・・」

藍野だけが知っている真実。心美にとってどちらの男性が本命かなんてどうでもよい。

藍野は後輩である拓斗が浮気をされていることに憤りを感じていた。


グググゥッ

藍野の握りこぶしは力強く震わせていた。

「何て酷い・・・」


恋愛の感覚は人によって違うのだろうが、浮気をする人間はどうして欲を抑えきれないのだろうか。

相手を何人も持つ人間は理解ができない。

藍野は拓斗にどんな声を掛けてあげればよいのかわからなかった。


深夜の時計が音を鳴らしながら時を刻む。

藍野は天井を仰いだ。



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