表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ど底辺恋愛  作者: 大原 慎太郎
3/3

憧れ幻想3

憧れ幻想3


その後の一日は最悪だった

自己紹介の後は質問責めに合うし 学校久し振りだったから勉強についていけなくて目が回るし

結果…


「大丈夫ですか? 里谷さとやくん」


横になっている俺を相変わらず無表情で見つめる委員長 俺は一応無言のまま頷いて答える


「急に倒れて保健室に運ばれたって聞いて 驚きましたよ」


元を辿れば委員長が朝から引きこもりである俺に走らせたのが原因だけど…委員長を責める元気もなく 当たり障りなく返す


「その…後は大丈夫だった?」


委員長は一瞬 不思議そうに眉が動いたがすぐに平然と答える


「何がです? 里谷くんがいなくなって困ることなんて一つもありませんけど」


ストレート過ぎる…確かにそうだけど言葉のナイフが俺を突き刺したよ…


「違うよっ! 編入生が一日目から保健室に運ばれて変に思われてないかなって…」


「あぁ そういう事ですか それなら大丈夫ですよ内原うちはらくんが事情を説明してましたから」


「内原…あぁ優一ゆういちか…ありがたい」


あいつ中学では普通の友達って感じだったけど最高だな

今度 親友になれるように頑張ろうっと


「本当に困りますよね」


「何が?」


「クラスメイト達ですよ 転入生だからって質問責めにして…里谷さんが倒れたのってあの人達のせいですよね」


委員長は凛々しく同意を求めてくる


「あぁ そうだな」


本当に誰のせいだよ


「ところで里谷さん今日 何か予定は入ってますか?」


今までと違って真剣な眼差しで見る委員長に対して少し息を呑む


「いや 何もないけど」


そう答えると委員長はホッと胸を撫で下ろして 少し考えて何かを理解した様子でポンっと手を叩く


「ですよね 引きこもりですもんね」


おっと辛辣 今のは結構 心にきました

でも正論だから否定出来ない…


「そっ…それがどうかしたの?」


「実はですね 今日の出来事で先生が心配しまして」


「…」


一日目から…先生 申し訳ない

俺は心でそう思いながら無言で相槌をして 委員長の話に耳を傾ける


「里谷さんに世話を頼まれてる私に相談してきたのですよ」


「…世話を頼んだ覚えは無いぞ」


「そこで私が言ったのですよ」


委員長は軽く無視を決め込む

でた! スキル 話を聞かない

本当に厄介だな どうにかしたい…


「…」


やるせない気持ちで俺は無言になったが委員長は気にせず…っていうか多分気づかず話を続ける


「里谷さんが学校に慣れるまで登下校をサポートしますって」


胸を張って言ったわりに普通だったため一応 棒読みで「…まじか」と答えておいた

それに対して委員長はうんうんと頷いている


「っていうか 登下校だけ?」


「何か不満なんですか」


「いや…不満じゃないけど 学校生活もサポートしてくれないのかなって」


「あぁ それは色々困りますので」


一瞬 表情を曇らせたように見えた委員長だったがすぐに元どおりの無表情になった

委員長も友達付き合いとか気にするのかな…


「ところで登下校って…まさかだと思うけど今日みたいに毎日走らないよね」


「はい もちろんです」


その答えに俺は息を吐き出しながら安堵する


「もちろん今日はウォーミングアップみたいなものですから明日からはもっと速くなりますよ」


「へ?…今なんて?」


「ですから 明日からはもっと速いペースで走りますよ」


「…オワタ」


俺の高校生活 終わった

毎朝 走るとか毎日保健室行きじゃん…はぁ…


「話は以上ですか?」


「あぁ うん」


俺の答えを聞いた委員長はふと立ち上がり 去ろうとする


「では 私はこれで また後で迎えに来ますね」


「あれ まだ帰らないの?」


「えぇ 委員会の仕事があるので」


「じゃあ俺は先に…」


「ダメです 待っててください」


くそっ流れで帰れると思ったのに

それにしても委員会かぁ…昔から俺には縁の無い話だったけど大変なのかな


「それでは」


あっこのまま委員長が出て行ってから逃げて適当に理由つければ…と自分の考えに浸ってニヤニヤしていると

委員長が振り返り 一言


「あっ 勝手に帰ったら起こりますからね」


エスパーかよ あと目が怖い

目で刺されてどうしようもなくしていると…ある考えが浮かぶが…


「…」


委員長がドアに手を掛け出て行こうとした瞬間


「ちょっと待って! それ俺もついて行っていいかな」


「え? 構いませんが…」


委員長は途中で言葉を止め 俺の体の方に視線を向ける


「体調なら大丈夫だよ ここにいても暇だし いいでしょ」


「分かりました…」


どっちみち俺には損しか無いんだから少しでも楽しい方がいい

俺は委員長と一緒に保健室を後にする


でもよく考えれば

この出来事があの最低女との出会いのきっかけになっていた











ご閲覧ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ