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水の国へ愛をこめて  作者: 亜蒼行
豊穣篇
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第六四話「終戦の形」その2




 メルヒィーヴの月(第八月)の月末、モイ=トゥラ全土から全ムーマ人の追放が完了する。その報告を受けた七斗はその瞬間に全ての職を辞して自分の邸宅に閉じこもった。


「今後一切全ての政務には関わらない。研究に専念する」


 と、そう宣言して。七斗は逃げるように王城を去り、それを見送る武官文官の目は温かなものではなかった。


「……もう政務には関わらないだと? 本気か?」


「そこは信じていいだろう。そもそも、あの方のわがままにはこれ以上付き合いきれん」


「ムーマにこれほどまでに一方的に譲歩するなど……『導く者』でなければ叩き斬っているところだ」


「あの方のせいでコナハトの武威は地に落ちてしまった。我々はそれを取り戻さなければならん」


 主に武官連中がそんな陰口を叩いているのを、主に文官の面々が冷ややかに眺めている。コナハトの軍事力が侮られるようになったのはコールバが惨敗したからで、つまりは軍部のせいである。そのためにモイ=トゥラ全土で暴動が発生し、収拾の目途が全くつかなかったそれを根本的に解決したのが七斗の強権発動なのだ。

 何十万人というムーマ人奴隷がいたままではいつ彼等が暴動を起こすか判らず、準戦時体制を解除できず、武断から文治への移行も中途半端となってしまったことだろう。また、復讐という名目で奴隷を搾取し、酷使し、虐待し続けたなら、コナハト人の精神は腐っていく。それを疑問に思わず、それを当然の権利として行使し、百年経っても二百年経っても「ムーマ人への復讐」を続け――そして三百年後、ムーマの召喚した「導く者」によって、今後こそコナハトは根こそぎ滅ぼされることになるかもしれない。鉄杖党のムーマがコナハトによって滅ぼされたように。

 それら一切合切を解決するために七斗は全ムーマ人を追放し、ムーマ人とコナハト人が接触しない状態を作ったのだ。そのための強権発動だったが、こんなことは最初で最後だ。二度三度とくり返せば不満が高まり暗殺されかねないし、「またやるかもしれない」と疑われるだけでも危険である。全ての政務から退くのは自分の身の安全を守るためであり、


「ああ……もういいや。もう絶対に何もしない」


 そもそも政治に関わるのは立場上仕方なくであり、やりたくてやっていたわけではない。思う存分研究できる環境と、最愛の家族。七斗はそれ以外に何も必要とはしないのである。

 そして始祖暦二五〇五年イウールの月(第九月)、七斗の強権発動の邪魔をしないよう休養していたレアルトラが政務に復帰する。

 王都クルアハンの王城の、玉座の間。そこでは文武百官が林立し、物音一つ立てずに直立不動で待っている。そしてそこにレアルトラが姿を現した。静かに玉座へと向かう女王へと、彼等が熱い視線を送る。主には武官・将官の、期待に満ちた視線だ。


「これでコナハトの武威は取り戻せる」


「ムーマとのなれ合いもこれで終わりだ」


「コナハトを舐めたムーマに目に物を見せてやれる」


「今度こそムーマを滅ぼせる」


 それらの願望を一身に背負いながらもレアルトラは涼しげな顔で、音も立てずに玉座に着席した。文武百官が一斉に拝礼する。彼等が顔を上げ、


「――改めて、ムーマに宣戦を布告します」


 レアルトラは前置きも何もなしにそう宣言。武官は歓喜を、文官は懸念を顔に浮かべた。


「将軍コールバが敗北の責を一命をもって償ったのは良い心がけでした。わたしはこれから出征する将兵に同じことを命じます。ムーマに勝利する・・・・まで帰ってくるなと。敗れるなら死ねと」


 声にならない動揺が波のように玉座の間を洗った。レアルトラはそれに一切構わずに続ける。


「五〇万を動員します。それだけあればどんな無能でも勝てるでしょう」


 その口調は小春日和のように穏やかなものだったが、彼等は冬の魔物に襲われたかのように身も心も凍りつかせた。


「総大将を将軍ウアルヴィーアンに命じます」


 命令されたウアルヴィーアンは反「導く者」・対ムーマ強硬派の筆頭というべき人物だったが、彼はまるで死刑宣告をされたかのような顔となった。


「お……お待ちください、陛下」


 彼は大量の汗を流しながら、声を振り絞るようにして異議を唱える。


「今の我が国の状況からして、五〇万の動員は非常に困難です。どうかご再考を」


「外を見てみなさい」


 彼女のその端的なその言葉に誰もが首を傾げた。


「クルアハンの町を、その道々を。そこに何人の男手がいますか? 彼等を片端から捕まえて、引きずってでもムーマに連れていきなさい。抵抗するなら斬ればよろしい」


 無茶苦茶だ、と声にならない悲鳴が玉座の間を満たす。


「それでもできないと言いますか、ウアルヴィーアン」


「び……微力を尽くします」


 がっくりとうなだれるその姿は、まるで斬首刑を待つかのようだった。


「陛下! コナハト全土から五〇万を招集するには時間がかかります!」


 叫ぶようにそう言うのは文官筆頭、穏健派代表と目されるアルデイリムだ。


「どうか、どうかお時間を……」


「時間がかかるのは判っています。委細はあなたの仕事です」


 その答えに彼は「ありがとうございます」と土下座せんばかりに頭を下げた。

 この日、レアルトラの勅命がクルアハン中に広まるのに一時間も必要とせず――クルアハンの通りという通りからは一切の人影が消え去ったと言う。











 レアルトラの勅命は文書にしてコナハト全土に布告され、全てのコナハト人が熱狂的に歓喜した……はずもなく、むしろ恐怖に震えた。

 今年に入ってから、コナハト人のフラストレーションはたまる一方だった。ムーマ人に雪イナゴをばらまかれて戦争になるも連戦連敗。ムーマ人奴隷が暴動を起こすも鎮圧できず、追放という名目で帰国を黙認。敗北と譲歩を重ね、ムーマ人には侮られるばかり。それを覆してやらなければならない、ムーマ人に目に物を見せてやらなければならない――確かにレアルトラはその期待に応えてくれた。だがその期待は「自分に負担が及ばない範囲で」という条件付きだったのだ。

 かつてのコナハト人と違い、今の彼等は土地や財産を持っている。妻をめとり、子供もできた者も少なくない。普通に働けば満腹になるまで食え、たまのちょっとした贅沢も不可能ではない。それら全てを置き去りにし、何年かかるか判らない戦争に従軍し、場合によっては戦死する。いくらムーマが憎くともそれを喜ぶはずがなかった。

 コナハトは確かに人口四千万超の大国だがそれでも五〇万動員は容易いことではないし、「戦闘可能な年代の男性」の範囲では徴兵される確率はかなり高い。それと同時に、この戦争に伴う巨額の税負担は全てのコナハト人に課せられるのだ。


「いくら何でも無茶苦茶です」


 その日、アルデイリムとアン=アロールが連れ立って七斗の邸宅を訪問する。「今後一切政務に関わらない」とあれだけ大見えを切った以上二人を追い返すべきだが、レアルトラの勅命は七斗も聞き及んでいる。二人の苦衷も容易に想像でき、無下に追い返すことはできなかった。


「でも、不用意に僕に近付けば二人の立場がまずいことに」


 七斗の懸念にアン=アロールは「大丈夫です」と皮肉げな笑みを見せた。


「これは将軍ウアルヴィーアンにも依頼されたことですから。『導く者』から陛下を諫めてもらうことはできないか、と」


 もう一度強権を発動すれば戦争を止めることはできるだろうが、七斗にはそれをするつもりはない。


「今のコナハトで五〇万も動員できるわけがない。陛下だってお判りのはずなのに」


 頭を抱えるアルデイリムが延々と愚痴をこぼし、七斗はひとまず相槌を打ち続けた。それと同時に二人が持ってきた、文書化された勅命に目を通し、思考を巡らせ、


「ムーマの反応はどうなっていますか」


 愚痴が途切れたタイミングでそれを問う。返答するのはアン=アロールだ。


「恐慌状態というか狂乱状態というか……徹底抗戦、和平、それぞれが好き勝手なことを言って収拾がつかない、と聞いています」


「どうか和平を仲裁してほしいと、宰相ディーヴァスから矢のような連絡が」


 とアルデイリムは雑に肩をすくめた。七斗は顎に手を当てて考え込み、


「……これは多分、陛下による援護射撃だと思います」


 その推測は二人にとって意味不明であり、彼等は戸惑った顔となる。


「どういうことですか?」


「今ならムーマはどんな過酷な条件でも呑むしかありません。コナハトの面子が立って、陛下が満足する条件をムーマに呑ませて手打ちにできれば、この戦争を終わらせることができます」


「あの勅命はブラフということですか?」


 アン=アロールの確認に七斗は「おそらく」と、だが確信をもって頷いた。


「まさか、あれが口だけの脅迫で実際には戦争をする気がないだなんて」


 とアルデイリムは非常に疑わしげな顔である。おそらく大陸中の誰もが「コナハトの女王は今度こそ本気でムーマを滅ぼすつもりでいる」と考えるだろう。レアルトラのこれまでの実績を思えばこれをブラフだと思う方がおかしい。七斗がそうだと確信するのは、以前に二人だけで腹を割った話をしたことがあったからだった。

 また、頭に血が昇っていた国内の対ムーマ強硬派もこれで冷や水を浴びせられた。彼等も戦争に至らず事態が収拾することを切望しているに違いなく、さらに彼等が七斗へと向ける目も一変している。強硬派が七斗に頼ったことで七斗の立場は大幅改善。レアルトラのブラフは一石何鳥もの効果を見込んだものだったのだ。


「勅命のこの箇所を見てください」


 と七斗が指差す箇所には「ムーマに勝利・・するまで帰還を認めず」と苛烈な言葉が記されている。


「女王陛下が本当の本気なら『勝利』なんてぬるい言葉は使わない。『滅ぼす』とか『皆殺し』とかになるはずです」


 その断言に「確かに」と二人は完全に得心した。


「つまりはコナハトの勝利と言える、陛下の面子が立つ程度の成果があれば、実際の戦争はしなくていい……」


「そのはずです」


 なるほど、と頷くアルデイリムはひとまずそれを受け容れる。そして難しい顔をした。


「ムーマに譲歩を強いるのは容易いことでしょう。ですが、何を手にすればコナハトの勝利と言えますか? どんな条件なら陛下は納得すると思いますか?」


 その点について七斗にも妙案はなく、二人は腕を組んで延々と唸った。


「鉄杖党幹部の首級、賠償金、領土、都市……」


「どれも決定的とは言い難いですね」


 うーん、と悩む二人の一方、アン=アロールは最初から腹案を持っていた。


「あの……多分これならコナハトの勝利と言えるでしょう」


 そして彼女の出した案に、七斗はまるで毒杯を突きつけられたような顔となってしまう。


「こんなやり方、ナナト君には受け入れがたいと思いますけど」


「いや、他に方法がない。これが戦争を終わらせる唯一の方法だ」


 勢いよくその毒杯を呑み込み、七斗は苦い顔となる。一方のアルデイリムは希望を見出し晴れやかな顔である。


「すぐにムーマと交渉に入ります。これで戦争を終わらせられる、戦争にならずに済む!」


 喜び勇んだアルデイリムと、七斗を心配するアン=アロールが辞去し、七斗はそれを笑顔を作って見送った。二人が去り、七斗は沈鬱な顔で天を仰ぐ。天上では幾億の星々が輝き、そのうちの一つが流れ星となって光り、消えていった。











 レアルトラの勅命はほとんどのその日のうちにムーマ全土に広まり、全てのムーマ人を震撼させた。


「コナハト人め……これだけの血を流してまだ足りないと言うのか」


 エイリ=アマフが歯軋りをし、やがて重苦しいため息をつく。場所はムーマ王都カティル=コン=ロイ。かつての王城は三年前に徹底的に破壊され、再建されずにそのままだ。カティル=コン=ロイに帰還したエイリ=アマフにディーヴァスが自分の屋敷を献上したので彼はそこを仮王宮としている。そして今いるのはその執務室だった。

 三年ぶりに王都に帰還したエイリ=アマフを市民は熱狂的に出迎えた。神威魔法を復活させ、分断されていた祖国を勝利により再び一つとした。敵国の軍は全て撃破、イフラーン軍もコールバ軍もゲアラハ軍も殲滅され、もう影も形もない。賢王エイリ=アマフさえいればムーマは再び繁栄と栄光を手にできる――この三年、絶望にあえいでいた全てのムーマ人が、その顔を輝かせている。エイリ=アマフをまるで神のように信仰し、その足元にすがっている。

 が、当のエイリ=アマフにはすがるものも祈る相手もいなかった。自分にできることなどたかが知れていると、彼は嫌と言うほど知っている。


「それでも俺は戦わなければならない。この国の民を守るために」


 西ムーマはイフラーンにより搾取され続け、東ムーマはコールバ軍とゲアラハ軍により焦土と化している。この上に大量の奴隷がモイ=トゥラから流れ込んできて、元奴隷とムーマ市民との衝突も頻発した。今のムーマに戦争なんかできるわけがない。レアルトラの率いるコナハト軍五〇万が侵攻してきたなら、今度こそムーマ人は根こそぎ皆殺しとなるかもしれなかった。


「……焦土作戦しかないだろうな」


 他の方法などない。東ムーマ全土を破壊したあの戦法を、もう一度採るしかなかった。西ムーマ全土を焼け野原にし、何十万という市民を餓死させ、それをもってコナハト軍に飢餓と出血を強い続けるのだ。嫌気がさした彼等がコナハトに逃げ帰るまで。

 もちろんそれだけではない。硬軟両方、和戦両面でコナハトに当たっていく必要があった。

 エイリ=アマフは朝議の間(として使用されている大広間)へと移動する。そこでは大臣、将軍といった重臣が顔を揃え、エイリ=アマフを待っていた。ディーヴァスはコナハトの傀儡・国王ティティムの宰相だったが、帰国したエイリ=アマフに全面服従を申し出、彼もそれを受け容れて宰相として重用している。文官の筆頭が宰相ディーヴァスなら武官の筆頭はケアルトとなり、武官の多くは東ムーマからのエイリ=アマフの臣下である。文官と武官の対立は西と東の対立でもあり、東西ムーマは未だ一つとは言い難かった。

 朝議が始まり、まずはケアルトが焦土作戦の準備について報告。エイリ=アマフがそれを承認する。議題は次へと移り、


「宰相ディーヴァス。コナハトへの和平交渉の打診はどうなっている?」


「はい、宰相代理アルデイリムより条件についての通告がありました」


 エイリ=アマフが思わず腰を浮かし、それは他の多くの者も同様だ。一方のディーヴァスは沈痛な表情である。


「条件は何だ? この際だ、どんな条件だって呑む用意がある」


「はい……私も、この条件で和平を結ぶと返答しております」


 エイリ=アマフが怪訝な顔となり――次の瞬間、朝議の間に兵士がなだれ込んできた。兵士は剣を、槍を、杖を、銃口を己が国王へと突きつける。


「どういうことだ。まさか……」


「コナハトの要求は国王エイリ=アマフの身柄の引き渡し」


 ケアルトが「馬鹿な!」と罵声を上げるが、彼もその仲間も武装した兵士によってその身動きを封じられている。できるのはディーヴァスを罵ることだけだ。


「陛下抜きでどうやってコナハトと戦うつもりだ! この先ずっと、未来永劫ムーマを奴隷とするつもりか!」


「ここで戦争を回避しなければ今度こそムーマ人は皆殺しとなりましょう。陛下も言われたように、どれほど過酷な条件だろうと呑まなければならないのです……!」


 ディーヴァスはさらに手振りで兵士に命令。兵士の人垣が開き、その向こうから何人かの兵士がやってくる。彼等は何かを運んでいた。シーツに包まれた、小柄な女性――


「ディーヴァス!」


 そのとき初めてエイリ=アマフの瞳に怒りが宿った。兵士が連れてきたのは、眠らされたスィールシャだ。最愛の少女はディーヴァスの手中であり――エイリ=アマフは杖を投げ捨てた。その彼を複数の兵士が縄で拘束する。


「その子には手を出すな」


「判っております。身の安全は保証しましょう」


 エイリ=アマフの身柄がコナハト軍へと引き渡されたのは、それから五日後のことだった。彼は今、コナハト水軍の船に乗船している。離岸までは縄で拘束されていたが今は自由である。ただしそれは船という檻の中の自由だった。船は一路クルアハンを目指しており、陸地は水平線の彼方である。周囲全てがコナハト人で、何十という目が彼の一挙手一投足を見張っていた。

 船の甲板で潮風を浴びながら、エイリ=アマフは沈鬱な目を北へと、故国の方角へと向ける。その彼に一人の男が近づいてきた。


「ご不便をおかけしますがしばしのご辛抱を」


 エイリ=アマフにそう声をかけるのはコナハト水軍の提督で、名をゴーラと言う。ただ彼はまるで商人のように線が細く、また常にへらへらとした笑みを浮かべており、どう見てもコナハトの武将とは思えない人物だった。


「あなたのことは賓客として遇するように宰相代理より厳命されております。逃げようとしない限りは危害を加えるような真似は絶対にいたしません」


 判っている、と彼は面倒そうに答えた。


「カティル=コン=ロイには人質がいる。俺一人で逃げられん」


「ああ、その件で本国より連絡がありました」


 エイリ=アマフの訝しげな目が、ゴーラの胡散臭い笑みへと向けられた。


「投獄されていた将軍ケアルト等が脱獄し、ディーヴァス打倒を掲げて反乱を起こしたと。今、ムーマ軍は二つに分かれて殺し合っているとのことです」


「ば、ばかな……」


 愕然としたエイリ=アマフが声を震わせ、ゴーラの笑みは嘲笑となる。ディーヴァスはスィールシャを人質にしたままだがケアルト達はそれを無視したのだ。彼女が王妃ならともかく現状ではただの寵姫扱い。しかもその心は壊れ、回復の見通しは立っていない。ケアルト達にとってその生命を尊重する理由が乏しく、仮に死んでもそれでエイリ=アマフが自由に動けるようになるならその方が好都合、と判断したのだろう。


「戦いは拡大の一方で、再びムーマが二つに割れる勢いだとか。人質の方がどうなるか予想できませんが、どうなったとしてもムーマ自らのせいであってコナハトの責任ではないことはご理解いただきますよう」


 言いたいだけ言ってゴーラが離れる。一人となったエイリ=アマフは、吠えずにはいられなかった。


「精霊よ! 一体どれだけムーマを虐げれば気が済むのだ! ムーマ人はどれだけ苦しめば許される!」


 エイリ=アマフの周囲には何人ものコナハト兵がおり、彼の悲痛な雄叫びはその耳に届いていた。彼等は一様に嘲笑する――百年分には全然だ、と。




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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、ドンドンと陰鬱な展開に突き進んでいきますね。 なろうに多い「明快・爽快なザマア系」が好きな読者(私もそうですがw)は離れていきそうな心配もありますが、これはこれで秀逸な作品だと思って…
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