ゆっくり帰ろう
「寒い?」
「うん、寒い」
「早く帰ろ」
「うん、んふふ」
「何だよ」
「いやぁ、まだ帰りたくないなぁって」
「バカ言うな。凍死する」
「えー、良晴の寒さへの抵抗力低すぎない?」
「うーるーさーい。ケーキ食うんだろ」
「そうだねぇ、早く食べたい」
「ん」
*
高校生活最後の冬休みは、受験生にとっては気の抜けないものだ。クリスマスだお正月だと浮かれていたら、すぐに入試が迫ってしまう。ラストスパートだとか、ここが踏ん張りどころだとか、担任が煽るたびにピリピリとした空気が流れる。それでも、そんな教室から抜け出せる2週間を楽しみにするなというのも無理な話だ。休み時間には年末年始の計画を立てる声が聞こえていた。クリスマスだけ、初詣だけ出かけよう、と控えめな予定。
おれもその声を聞いてクリスマスや年末年始のことを考えてみたけど、何も思いつかなかった。弥太郎のことも考えてみたけど、具体的に何をしたらいいのか真っ白だ。
「付き合うってなんだろなぁ…」
窓際の席で零れた呟きは誰も拾ってはくれない。
試験は黙ってたって本番が来て、合格と不合格に分けられる。
でも、今おれが抱えている問題は放っておいても解決しないし、むしろお互いむず痒い思いを長くすることになるだけだ。
浮き足立つ教室の中で、おれの意識はふわふわと浮いていた。
雪でも降りそうな重たい雲行きを見ていると、ますます答えは分からなくなっていった。
『こちら見てください!開店早々長蛇の列ができています!』
白いコートを着込んだアナウンサーが、テレビの中でわざとらしく興奮した声を上げる。テレビにはクリスマスに開店するという挑戦的なラーメン屋が取り上げられていて、アナウンサーと同じ様にもこもこした人達が寒空の下で列を作っている。番組は生放送のようで、後ろにはクリスマスのイルミネーションが見える。まだ明かりの灯っていないガラス玉は、太陽の光で時々チカチカと光った。
「わざわざクリスマスにラーメン食べに行かなくてもいいのにね」
隣に座った美晴の呟きに、母さんが反応する。
「夜にはオシャレなディナー食べるんじゃない?」
「なるほど、昼は出費を抑えてるのね」
女二人、どうでもいいキャッチボールを繰り広げている中、おれは黙々とうどんをすすっていた。うちだってクリスマスの昼にうどんを食べてるんだから大差ないだろうに。
それにしてもこんな寒い中並ばなくてもいいのにとは思った。最後尾の人なんて何時に昼飯にありつけるんだろう。画面の端には誰も並んでいない別のラーメン屋も映っていた。
「うどん食べながら言うのもあれだけど、ラーメンってテレビで見てると無性に食べたくなるのよね」
母さんの言葉には同感だ。和風のだしが香るダイニングで、多分三人とも豚骨スープのことを考えている。
「今夜ラーメンにしちゃう?」
「えー、やだよ私。クリスマスにラーメンって」
「冗談よ、もうチキン予約してあるから」
我が家では昔から、クリスマスイブにケーキを、クリスマスにチキンを食べるというのが定番だった。2日に分けることで楽しみを分散させるという母さんの持論は、この家の風習としてずっと続いている。
『こんにちはー。お話伺ってもいいですか?』
アナウンサーが手を繋いだカップルに声をかける。二人共ラーメンが好きで、とか、今日来ようと決めていた、とか、そんなインタビューが流れた。
「ラーメン屋さんにデートだって」
「若いわねー」
おれも若いなぁ、と自分と同い年くらいのカップルを観て思った。
「ごちそうさま」
画面に映るラーメンに色々と話している二人をよそに、先にカラになった器を台所まで持っていった。母さんがあ、と声を上げて台所のおれの所まで視線を運んだ。
「良晴、5時半になったらお店にチキン取りに行ってくれる?」
「ん、いいよ」
「じゃあよろしくね。勉強頑張って」
「ありがと」
ひらひらと手を振りながら、でもやっぱりラーメン食べたいわねなんて名残惜しそうに零す母さんを背に、おれは2階に引っ込んでいった。
コンコン、ガチャッ
「良晴ー開けるわよー」
「…ドア開けてから言うのやめてくれない?」
午後2時、長い髪を後ろで一つにまとめた美晴が顔を出す。
「開けちゃいました。ねぇ、あたしの下着がないんだけど知らない?」
「知るわけないだろ…!!何言ってんだ!?」
こういうことを平気で言うものだから、聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
「一枚パンツがないの。あんたのに挟まったまましまってるんじゃないかと思って」
「…そういうことなら勝手に捜索してくれ…」
部屋に服や下着を置きっぱなしにするのは好きではないので、全部タンスにしまってある。探すならそこしかないだろうし、別に見られて困るものがあるわけでもないから、おれはあっさりと美晴を部屋に入れた。美晴はモコモコと動物のようなルームシューズで部屋に入ると、おれのタンスの中を探し始めた。
下着泥棒みたいだからできれば見つかりませんように、とひっそりと祈りつつ、おれは勉強の手を止めた。美晴がいてはどうせはかどらない。
「勉強はどーお?」
「まぁまぁ、順調。模試の結果も悪くなかったし」
「そう」
時々美晴は全てのものに生命でも与えてしまいそうな、優しい声を出す。でも、それは一瞬だけだ。すぐにいつものハキハキとした声量に戻るので、気のせいだったような気もしてしまう。
「分かんないとこがあったらあたしが教えてあげてもいいわよー」
一番上の引き出しはハズレだったようで、もう一つ下の引き出しを開ける。なんだか珍しい光景だなと思って、その後ろ姿をぼんやりと眺めていた。
「へぇ、分かるの?」
「やだ、A大主席卒業をなめないでよ?」
得意気にウインクを飛ばしてくる姿には、不思議と嫌味や驕りは感じられず、ただそれが事実なんだということをおれに突きつけていた。
そうだった。この姉はとんでもなく頭が良いんだった。
A大は中学から大学までの一貫校で、全国的に見ても偏差値は高い。有名な医師や弁護士になった卒業生を数多く輩出していて、この辺りでは当然一番のエリート校だ。知らない人の方が少ないくらいだろう。
小学生の時から成績優秀で天才肌のおれの姉は、難なく中学の入試をクリアし、大学でも様々な記録を残して卒業した。おれの志望大学の入試なんて、今でも楽にパスできるだろう。
「でも、あんたにA大は似合わないわ」
「何だよそれ、皮肉?」
まぁ確かに、今のおれの成績では無理だろうな。いや、今に限った話でもないか。
おれも美晴の後を追って、A大の付属中学を受験したことがある。
結果は見事に不合格。
分かってはいることだが、ハッキリ言われるといい気分ではない。
「違うわよ。あそこは大学のくせにルールが多すぎるから」
中学から通ってたからそれが普通かと思ってたけど、周りの話を聞いてると全然違う、あの学校は…と一通り文句を並べ始めたので、おれは適当に相槌を打ってそれを聞いた。もちろんそのほとんどが愚痴だったけれど。途中、話すのに夢中になって探す手を止めるので、タンスを指さして早く終わらせてくれ、と催促した。
「…まぁ、もういいわ、そんなことは」
熱が一気に冷めたようで、美晴はまたくるりとタンスの方に向き直って、3段目の引き出しを開けた。
「縛るものは少ないほうがいい。あんたには」
背中越しに聞こえたその言葉に、え?と振り返るが、一方的に会話は打ち切られてしまう。
「あった!」
美晴の言う通り、下着はおれの下着の間に隠れていたらしい。黒のレースのパンツを掲げてくるので思わず目をそらす。
「お母さんが畳んだ時に一緒にしちゃったのね。あー良かった」
目のやり場に困る薄い下着は、窓の向こうの太陽の光も透かしてしまう。
それは下着の役割を果たしているのか疑問に思う。
「そんなん履いてて彼氏なんにも言わないのかよ…」
それどころか、弟の部屋に押し入ってレースの下着を捜索するような女だということを承知しているんだろうかとため息が出る。
顔も見たことはないが、職場で捕まえたという一つ年上の彼氏を話題に出すと、美晴は錆びた機械みたいにギギ、と動きを止めた。
ああ、面倒なことを言ってしまったとおれは悟った。
「え、もしかして…別れた?」
「…違うわよ、倦怠期よただの」
「そりゃあご愁傷さま。クリスマスだってのに」
もともと美人で学歴のいい美晴は、いくら器量がよくても恋愛はなかなか難しいらしい。大学時代も何人かと付き合っていたようだが、長く続く人は少なかった。同レベルの男がそう簡単にいるわけでもない。出来すぎるというのも苦労するようだ。
(おれが彼氏なら絶対に美晴は選ばない、劣等感で死ぬとおれはいつも思っている)
「もーなによバカにして!自分はやたちゃんとうまくいってるからって……」
「はあ!?八つ当たりすんな……」
…………あれ?
…………ちょっと待てよ。
「………………あっ」
二人の間に流れていた時間が、時計が壊れたかのようにぴたりと止まった。
美晴は笑ったような、困ったような、変に顔を歪めてその表情を作るとペロリと舌を出した。そんな顔じゃ自白したも同然だ。
「み、はる…っ…知って……っっ!!」
いつから?何で?
無数の疑問が頭に浮かぶが消化しきれない。
なにか迂闊なところがあっただろうかと脳みそを回すが、秋は弥太郎と会ってもいなかった。バレるような要素はないはずだ。
いや、そもそも高校に入ってから疎遠だった幼馴染みとまた急に一緒にいるようになったことからおかしいのか?
「ちっ、しまった…もーうちょっと様子みてからかおうと思ってたのになぁ〜」
美晴は小さく舌打ちをしながら悔しそうな表情で、何かをブツブツと呟いている。
おれはといえば、口からはいや、とか、何で、とか、文章になりきらない音が出てくるだけだった。美晴はつまらないといった顔をしながら一人で説明し始める。
「夏休み前に気づいちゃったのよね。なぁんか怪しいなぁと思って夜中に見ちゃったのよね〜二人が一緒に寝てるとこ♡」
一緒に寝てたのは夏の間。ということは告白されてすぐ?とっくの昔にバレていた?
よりにもよってそんな決定的瞬間を見られたというのか。いやもう、大事件だろ。
「そもそもあんたに恋人ができたことにびっくりだわ〜 ねぇやたちゃんのどこが好きなの? ね?」
「だからそういうのが嫌だったんだよ…!」
家族に自分の恋愛のことなんか話したことなかった。たった一度だけできた彼女のことだって、この家の人間は誰も知らない。初めての展開にどう接していいか分からず、苦い顔をするおれをニヤニヤと見つめてくる視線が痛い。
居心地の悪くなる笑顔に目をそらし続けるが、おれはあれ、とまた美晴の顔を見た。その目が既に何かを訴えていたのだろう、美晴も反応する。
「なに?」
「いや…偏見とかないんだなと思って…」
「私がとやかく言っても仕方ないことでしょ?」
なぜか自信満々に胸をそらす美晴に、やっぱりおれは目を合わせていられなかった。でも、いつも通り、いやいつも以上のハツラツさを備えた美晴は上機嫌に話を続ける。
「何でもいいけど、やたちゃん泣かせたらあんたぶっ殺すわよ?」
「何でそうなる」
「やたちゃんは二人目の大事な弟だからね」
「別にいいけどもう少し血縁関係大事にしてくんない?」
「ふふふ、では命令よ愚弟」
「あと話聞いてくんない?」
「今日はやたちゃんとディナーに行きなさい!」
美晴の決めのようなセリフで、恥ずかしさが消え冷静さが戻ってきた。
いやいやだから、何でそうなる。
「お前一回落ち着けって…」
「あたしのことバカにする前にあんたから誘ってみなさいよって言ってんのよ~~っ」
小さい頃のように頭をぐりぐりと撫でられる。からかってくるくせに、バカにはしてこない。何でも出来てしまうくせに、同じレベルは求めない。この姉はおれを見下すような態度を一度もとったことがない。だからいつもおれは頭が上がらなくて、結局は言うことも聞いてしまう。
「やーめーろ!わかった!わかったから!」
嫌がるおれの頭から手を離すと、美晴はにんまりと満足気に笑った。意地の悪さと人の良さが混ざったような、そんな笑顔だ。
「じゃあお母さんには良晴夕飯いらないって言ってきちゃうわね〜」
「え、待て、断られた場合どうすんだよ」
「多分断られないから!早く電話しなさいね!」
レースの下着を揺らしながら、美晴が飛ぶように階下へ降りていった。
いや、おれがいなくなったら誰がチキンを取りに行くんだ。
そんな言い訳が脳裏をかすめたが、そんなの美晴が行けば済む話だ。効力のない言葉はすぐに喉の奥へと引っ込んでいった。
部屋には荒らされた割にはきれいなタンスと、沈黙。観念しておれは携帯のアドレス帳を開いた。
電話は昨日の夜もしたし、別に緊張するようなことでもない。
ただ、おれから連絡をとることは少なかった。あと、おれからどこかへ誘ったりすることもあまりない。
メールの方がいいだろうかとか、落ち着きなく動く指を制して「弥太郎」の文字を押す。電話のマークが表示されて着信音が弥太郎を探す。
ガチャ。
「あ……」
弥太郎はのんきにどうしたの?なんて聞いてくる。さてはクリスマスの事なんて忘れてるんじゃないのか、こいつ。
それならそれで好都合と、おれはニヤリと笑ってしまう。たまにはこっちからびっくりさせてやろうと、ガキっぽいことを考えながら一言聞いた。
「夜さ、空いてる?」
*
「おっす」
「おーっす」
おはよう、の言葉が封じられてしまうこの時間は、挨拶が窮屈になる。こんにちはやこんばんはは言いづらいしなぁ。家の前で先に待っていた良晴は黒のダウンで着膨れていたけど、寒そうに縮こまっていた。
「何食べようね。あんまり考えてなかったけど、クリスマスだしどこも混んでるかな?」
「わかんないけど、前に弥太郎が行きたいって言ってたラーメン屋あるだろ?」
そこに行ってみよう、と良晴が先に歩き出す。すぐに隣に並んでおれも同じように影を伸ばす。
「よく覚えてたね」
「お前テスト期間のたびに言ってただろ…」
「あはは、そういえばそうだ」
街まで出るとそこかしこにイルミネーションが張り巡らされていて、夜だというのに静まる気配はまるでなかった。駅から少し歩いたところにあるラーメン屋は、おれが前から行ってみたいと話していた店だ。帰り道とは反対方向になってしまうし、いつも行くタイミングを逃していた。
「日本もすっかりクリスマスに毒されてるよな…キリスト教信者って日本に1%しかいないらしいぞ」
どこまでも現実主義者なおれの幼馴染みは、黒いダウンのポケットに手を突っ込んだまま白い息を吐いた。
「楽しいことならなんでもいいんじゃない?それに今日本からクリスマスを消したらきっとカップルが暴動を起こすよ」
右も左も、特別に着飾った男女が腕を組んだり、手を繋いだりして歩いている。男二人は少し浮いていたかもしれないが、みんな自分の恋人に夢中で気づいてもいないだろう。クリスマスという付加価値がついたことで、街は一層輝きを増していた。
「弥太郎はクリスマスなくなったら困る?」
ピカピカに光る辺りを見回していたおれに良晴が聞いた。
「なんで?」
「いや、こういうイベント好きそうだし」
おれはうーん、と少し考えた。
イベントは好きだけど、もうそこまで子供でもないし、なくてもいい気もする、けど。
「ちょっと困る。だってこうやって良晴とラーメン食べに行く口実がなくなっちゃうでしょ?」
その言葉に、良晴はまん丸にした目でこっちを見つめた。おれは普通のことを言ったつもりだったけど、良晴にとっては意外の範疇に入ったんだろう。
おれ達は結構、価値観とか違うから。
「別にラーメンくらいいつでも食べに行けばいいだろ」
赤く光る看板を見つけて、あそこだっけ、と良晴が指を指す。弱く油くさい光は、イルミネーションとは違うきらめきを持っていて、腹の虫が二匹ぐぅと鳴いた。
「あー美味しかったーーー」
「ラーメン久々に食べた気がするな」
時刻は午後7時半。駅の方へ戻ると、みんな店に入ってしまったのか人通りは少なくなっていた。
そこに、スーツ姿の男性が、リボンのついた袋を持って駅の改札に駆けていくのが見えた。
「あの人、プレゼントおっきいの持ってる」
「子供のプレゼントじゃねぇの?親は大変だなぁ」
「いいねぇ、楽しそう。クリスマスって感じ」
サンタクロースっていくつまで信じてたっけとか、お互いのクリスマスプレゼントを自慢しあっていたこととか、キラキラした想い出が溢れだしてきた。懐かしい話に花を咲かせていると、いつの間にか住宅街まで来ていた。この分かれ道を右に曲がれば、おれ達の家に帰れる。
そこで二人共ぴたりと足を止めた。
「お前さ」
「ん?」
「…嫌じゃないの」
「…何が?」
「こういう、微妙なの」
「…言ったでしょ?」
ゆっくりと視線を合わせる。良晴の頬は寒そうに赤らんでいた。
「おれは、おれの気持ちを拒否されなかっただけで十分なんだって」
ハッキリとした返事はまだもらっていない。でも当然だ。幼なじみの男と付き合うかどうかなんて、そう簡単に決められることじゃないだろう。
「良晴が真剣に考えてくれてるなら、それだけで嬉しい。というか、二つ返事されても不安になるなぁ」
目尻を下げて、口角を軽く上げる。いつもの気の抜けた笑顔。おれのOKサイン。最近の良晴には通用しないけど。
「あのさ」
「うん?」
「手、繋いでいいですか」
寒さのせいか、手も、言葉尻も、ぎこちなく固まってしまう。
「お前の行動にとやかく言う権利はないだろ」
でも良晴らしい答えにおれは安心した。クリスマスってこともあっておれは浮かれていたのかもしれない。
「そりゃっ」
良晴の無防備な左手を捕まえる。冷たい空気にさらされた指は少し乾燥していて、そっと包むとくすぐったそうにもぞ、と動いた。
「お、前なぁ…」
「うひひ」
いいリアクション。照れてる。
眉をひそめながらも、嫌がってる感じではない。
良晴はぐいっと左手を引っぱり、おれの手ごとダウンのポケットに突っ込んだ。当然二人の距離も近づく。肩がトンと当たって、でも緊張はポケットの中でするすると解けて、嬉しいドキドキだけが残る。穴の中にウサギ二匹みたいな温かさ。まるで二つの手が入るために作られたように、ポケットにすっぽりと収まった。人通りのない分かれ道で、街頭がスポットライトのように光を降らせた。イルミネーションみたいにキラキラしていないけど、無機質な光はきっとおれ達にお似合いだ。
「ね、ケーキ買って帰ろうよ」
「今からぁ?」
「多分コンビニにも売ってるよ。クリスマスなんだから一緒に食べよ」
おれ達はコンビニに向かう正面の道を選んだ。一つに繋がった影が、後ろ髪を引かれるように伸びる。
月闇の街に、きっと二人の影はよく馴染む。
読んでいただきありがとうございます。久しぶりの更新です
この暑いのに冬の話なんて書けるか!と自分に逆ギレしていたらだいぶ涼しくなってきましたね
またのろのろと更新していくので気長に待っていただけたら嬉しいです……




