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点心中華編  作者: せみ
3/3

第3回

 いやぁ、こりゃたまげた。ランチタイムのときの人の出入りが、ハンパなくやばかった。よくこの店の料理が食えるなぁ、感心感心と。儲かってるんだからそれ以上のことは言わないけれど、コアなファンっていうのは怖いねー。

 さらに驚きは続く。店長があまりにも普通なこと、店長だけ普通のコックさんの恰好をしてること、不思議なことにお昼ご飯がこの上なく上手いこと、などなど。

 しかしほんと、このお昼ごはんは感激しちまったぜ。キャベツにもやし、ハムにベーコン、ニンジンかまぼこちくわに豚肉、ナルトにたまねぎ、その他いろいろを中華スープで煮て、そこにご飯を入れて10分くらい。仕上げに溶き卵をかけて、立派な雑炊の出来上がり。あっ、やば。思い出しただけでよだれが。これが冬ならなおよかったな。

 



 ランチタイムがすぎて小休止。単純作業なだけに意外と疲れた。

「或クン、こちらが店長の椎名佑大(しいなゆうだい)さんだよ。料理も上手いし、奥さんも美人だし、なんかもうパーフェクトな存在だよ」

 料理が上手いってのは何かあれだけど、なんと言うか柄にあってるな。人に優しいってか、金貸してっていったら貸してくれそうな感じ。ま、実際には言わないけどね。

 因みに、このカンフースタイルにもなれてきた。しかしいいねーこれ。生地は滑らかで、肌触りがさらさらで、なんか欲しいなこれ。



 さて、午後の営業。

 6時ぐらいから客がちらほらと、店に吸い込まれるように入ってきた。また言うけど、コアなファンって怖いっす。

 注文数が多いのは、ラーメンプラス餃子のセット。6割がたこれを頼んでいくよ。次に多いのが、麻婆豆腐にご飯。いかにも通っぽい人は、麻婆豆腐の中ににご飯を入れて食べてた。自分の中ではマーボーライスという名前になった。

 結局9時現在で、100人弱は客が来ただろう。言っちゃ悪いんだけど、意外と人気だな。味が微妙なのに、よくもまぁ客が来るもんだ。そこまで安くもないし、隣には他の点心グループがあるのに、わけわからん。




 普段こんな仕事に慣れてないせいか、腕やら足やらが筋肉痛に。体力はあるほうだと思ってたけれど、疲労感がハンパない。

「おやおやぁ、ずいぶん疲れてるみたいだね」

「うん、簡単そうに見えても意外と疲れるんだねこれ」

「まぁ、初日っつうのはこんなもんだよ。私も始めた頃は、帰りフラフラだったもんね」

「フーン、そうなんだ。ところで、菊音ちゃんはいつからバイト初めたの?」

「高校は行ってからすぐからかな。今年の4月ってことね」

「と、いうと、3ヵ月半かぁ。先輩だね、バイトの」

「バイトのって、どういうことかな?」

「いやだってさ、学年的には同級生じゃん」

「えっ、同級生なの?てっきり、2,3上かと思ってたよ」

 いやぁ、意外だなぁこれは。上級生に見えてたのか。あぁ、なんか言わなきゃよかった。てか、いいねぇ、こんな後輩がいれば。仕事もきっちりやってくれるし、何よりかわいいってのがいいね。これは自慢できるよ。特に自分のものじゃないけれど。

 しかしこの疲労。明日に堪えそうだな。腕や腿の筋肉痛は、日常生活にも被害が及ぶからなぁ。腕が痛くて何にも出来ないとかいったら、マジでしゃれになんないしね。




 さて、9時も回ったし、そろそろ帰るとするか。

 と、言っても、まだ9時。人の出入りは衰えることを知らない。どうするか?ここで帰ったら、残りの客に菊音ちゃんが全て対応しなくてはならなくなる。彼女にとっては負担なはずだ。筋肉痛なんか跳ね除けちまえ結城或。お前はやれば出来るんだ。

 いやぁ、しかし、相手は菊音ちゃんだ。ここのバイト暦は3ヵ月半。私から見りゃ結構な玄人だ。だいいち、私が来る前はそれ以前の客を菊音ちゃん一人で対応してたはずだ。とくに、私が消えてもさほど代わりはないだろう。いや、私がいたほうが邪魔か?足手まといか?

 あぁ、迷う、迷う。帰るか否か。受験以来の難問だな、これは。

「あのぉ、或クン」

 あぁ、くそう。帰りたいけど帰れない。目の前のものが取れないのとおんなじか。うぅ、どうするよ、どうする?

「或クン!」

 うわぁ、びっくりした。てか、気づかない方が悪いのか。

「ごめんね。で、何か用でもあるの?」

「うん、そろそろ帰りの時間だよ」

 あ、そうっすか。用無しっすか。いや、本当に用無しか?まだやれるぞ。

「いや、別にまだ大丈夫だよ。一人じゃ大変じゃない、この客の量は?」

「それなら大丈夫だよ。9時から11時までの間は、店長の奥さんがやってくれるんだ。だいいち、或クンがいなかったときは一人でやってたしね」

 あっ、そうなんだ。それじゃあ帰りますかね。

「ところで、この服はどうすればいいの?」

「その服は持って帰ってね。そんでもって、明後日持ってきて。明日の服はきちんとあるから。」

 



 更衣室で着替えてから外へ。空気が生暖かいな。やっぱ夏か。

「おまたせぇ。そんじゃ、帰ろう」

 こっちはくたくたなのに、菊音ちゃんは元気だなぁ。

 生温い風が吹いた。まだまだだなぁと、笑うかのように。

或>いやぁ、更新に時間かかったね。

菊音>作者が受験生らしいよ。

或>そうなんだ。そりゃ、大変だね。

菊音>あれ?なんか冷たくあしらってるね。作者はとくに、そういう系の属性ってのはないらしいよ。

或>いや、意味わかんないよ。

菊音>うん。私も意味わかんないから。でもなんで?

或>いやだってさ、作者は受験生なんでしょ。これ執筆してる暇あったら、勉強しろっての。

菊音>それもそうだね。でもなんか後味悪いなぁ、今回。

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