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弟子(凛子)から師匠(ジピコス)へ不器用なエールを






『ナボールさんの料理』って、ランチを食べてたんだよね。

お昼はこれしか出さないから、ここが食堂代わりにしか使われないのが、解る。

うーん、味は薄いかな?

味付けがんばりましょー、ナボールさん。


「よぉ、凛子。」


そんな事思いながらランチを平らげてたら、わたしを呼ぶ声が聞こえてそっちをチラ見すると、ジピコスが京ちゃんを荷物みたいに担いで立ってた。


それ自体は『いつも。』の事なんだけど、京ちゃんの顔色で解る、青い顔してて『いつも。』とは大分違うってことが。


「はーい、姐さん。宿につきましたよー、意識あります?」


「うっさいー、下腹に響く、止めー・・・。」


「こんな弱ってたら俺でも勝てそうだな。にしても、こんな軽い躰してて、バケモンかって強さなのは吃驚もんだぜ。」


京ちゃんとジピコスはなんか、『いつも。』みたいに憎まれ口言い合ってるまでは同じなんだけど。

気迫が感じられないんだ、京ちゃんから。


「凛子ぉ、バイトはもう降りたんだろ?姐さんが弱ってら、みてやってくれよ。」


あ、ジピコスが心配してるのも見たこと無いかも、京ちゃんが強がりぽく言葉を返せないのも珍しくない?


荷物みたいに床に転がされた京ちゃんは誰を睨むでもなく大人しい、まるで京ちゃんじゃ無いみたい、ふふふっ。


笑ってる場合じゃないや、取り合えず空いてるテーブルに座らせよっか、んー、わたしが食べてたテーブルしか空いてなかったりするね。

しょーがないから、ランチを寄せて京ちゃんを寝かせる。


「う?うん、弱ってるのに酒なんて飲むかなー?」


わたしは弱ってたってジュースは飲むけどね、濃縮してない100%果汁なら、風邪引いてたって飲んだよ、大丈夫。


「姐さんにとって酒は水みたいなもんなんだよ。俺らはドラゴンの方にいくからよ。これで、さよならかも知れねぇな、凛子。」


名残惜しそうな表情でジピコスが京ちゃんを見てる。


ドラゴン、居たら・・・いいね。

そっか、水と酒・・・変わらないんなら水でいい気がするんだけどな、この村なら、水の方が安いし。


それにちょっとは困るな、ゲーテとジピコスとはこんな別れはヤダ、ちゃんとお別れしたいから。


ベッドに連れていかないのかって?そだね、ジピコスとはお別れかも知れないじゃん?

だから、ちょっとだけ京ちゃんは待ってて貰おっかな。


「どして?」


でもサヨナラはまだじゃない?役人が確認して危険は去った!って村人に公表してやっと本当の意味で村の解放されるんじゃないの?だから、わたし達閉じ込められてるんだよね、きっと。

「しばらくは降りてくる事は無いだろーし。馬じゃ山上らないだろ?」


なんだ、そんな事かぁー、馬じゃ確かに二日掛けて上って降りるのにも同じくらいかなー。


考えてみれば荷物を運ぶにも馬が必要なんだよね、メニューに、アイテムBOXはこの世界に該当するものは無いからそれ自体チートって言ってもいいかも。


まるで○次元ぽけっとだもんね、ネコ型ロボットも居たりして。

まさかね?


「オレンジ使えば?」


シャダイアスだっけ?○ョコボみたいな巨大な鳥。

あれなら出てくるモンスターも気にしないで走れるし、半分で行って帰れると思うんだけどー?


「肉。」


そんなわたしが喋る声に耳を傾けてたジピコスが、大袈裟に人差し指を振って否定するみたいに口ずさむ。

ああ、ね。

肉ならわたし達行く先々でげっとしてたけど?ガルウルフとかロカ、オークなんかね。


ちょっと嫌な事思い出しちゃった、御冥福お祈りします、チーン・・・!


「・・・ん?」


「肉どーすんだ、あいつらすげー食うんだぞ?」


心配症か、ジピコス。

稽古を毎朝、わたしにつけてくれる時は自信満々なのにね、変なの。


「現地調達?」


ロカは逃げるから難しいかも知れないね、でもウルフやガルウルフは逆に向かってくるんだから、倒せる腕があれば肉の心配は無いじゃん。


「・・・ウルフくらいなら狩りも出来るだろうが・・・」


「ふふっ、ジピコス、逢ったときより弱くなった?ドラゴン退治するんだーって言ってたでしょー。」


わたしだって、京ちゃんだってあの日の事は帰ったって忘れない自信あるよ、凄い日だったもんね?ゲーテにジピコスだってバキバキに何もかも壊されたんだから、忘れない・・・忘れられる訳無いよね?


そう、思わず含み笑いが溢れる。


「んだよ?」


「ガルウルフでも、オークでも狩って餌にしちゃえばいいじゃん。」


ジピコス、あなたは一体何だったっけ?ドラゴン倒したいって、子供みたいに・・・わたしだって、ま、子供みたいなもんなんだけど、小さい子みたいに目をキラキラさせて、成功する自分達を疑わずにこの村に足踏み入れたんじゃないの?違うって言わせないけど。

この耳でちゃぁんと聞いたんだし。


「・・・。」


「ギーガだって戦ったでしょ?」


温泉からの帰り道、あれは中々強かったよね。


「姐さんも居ただろーが、凛子もクドゥーナも。」


言い訳ばっかりって、ジピコスださっ。


「わたしー、ジピコスより弱いでしょ?」


わたしが師匠って呼べるのはそんな弱腰じゃない人のはずなんだけどな?自信満々のジピコスと、豪快に笑って間違ってる、体を上手く動かせないわたしを注意してくれたゲーテなんだけど?


「そうだな。」


「なら、言わなくても・・・解るよね?」


漸く、昨日の朝に見たジピコスが帰ってきたよ、弟子に自信無さげなとこ見せんなよー、師匠。

あ、ジピコスには師匠ってのは言わないんだ、なんてーの?心の中の師匠でいいや。


「似てきやがったな、姐さんみたいに笑いやがる。」


「えーーー。」


えー。

わたしを何だと思ってるの?京ちゃんみたいに人をバカにした笑い方も、魅惑的に虜にするような笑い方も出来ないよ・・・あれは京ちゃんが綺麗で、・・・変態だから出来るスキルみたく思ってるからわたし。

そーゆーのは、普通な女の子じゃ身に付かないんだって本気で思うよ?


「そゆとこも、だ。ああ、思いだしたよ凛子、ありがとな。俺は、俺らはここに成り上がりに来たんだ。そうだ、やれねぇわけじゃねえよな。」



「そんなことを言ったわけじゃないけどねー。」


なんかね、ジピコスが自信をみなぎらせてまるで京ちゃんに会う前みたく、ギラギラしてた・・・うん、ケモの瞳だね、そんな感じ。

小さい子みたいなキラキラじゃ無かった、ま、ジピコスらしいったらそーなんだけど。


わたしを見詰めながらやる気になったジピコスは無駄に拳をワキワキさせてる。

それは、やめよーね。


「早く帰ってきたら、また逢えるよ。」


ちょっと長くなったけど、言いたい事は言えたかな。

名残惜しい?とはちょっと違う、弟子から師匠を送り出すそんな気分だった?解んないや。


えーと、とにかく山に上がるジピコスに向かってわたしは、バイト先でよくやってたスマイル100%の笑顔で送り出した。


すると、ジピコスはぶっきらぼうに、けど照れたように耳を真っ赤に染めて、去り際に一言だけ。


「ああ。」


って。








展開を急ぎたいのに、まだ村に居るんだよねー


遅筆なんだろーね、うーん


この後、京を凛子が看病したらこうなっちゃうね、そんな話。



えーと、夕方にはあげたいかな・・・

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