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そうだ!温泉へいこう。7



最後にぴっちりと胸に絡み付く、ブラのフロントホック代わりの紐を外して、払いのけ、太股で止まっていた弛められたショーツを足下に落とすと、京はあられもないその身を恥じらいもせずに晒して、伸びを大袈裟にして見せた。


全てを脱ぎ捨てて、京が楽になったからだと思われるが、その一部始終を見せ付けられた凛子は羞じらう様にカーッと、瞬間的に顔を真っ赤に染めて、自然と声に出していた。


「え、えええっ?」


「女同士で恥ずかしがる必要、ないでしょ?」


火照った様に顔を真っ赤に染めて、羞じらう凛子の鼻先まで近づいて覗き込む京がからかう様な口調で自らの体を見せ付けるぽく、うねうねと身をよじってそう言うと、


「・・・男、いるじゃん。」


両手で覆うようにしながら凛子が京のこんじきの瞳を見詰めてモジモジと口ごもりつつ答えた。

一瞬、京が固まって逡巡していたが、パッと明るく表情を変えると、


「あ、忘れてた!へへ。」


そう言って普段の京の顔に戻って誤魔化す様にいけねっ!と頭を掻いて笑う。

目眩く、京と凛子だけの世界に入り込んでいたので、本気で忘れていた様だった。

タオルに胸を包んで、長い黒髪をスポーツタオルに押し込むと、京と凛子は温泉に向かって歩き出した。


すると、既に温泉に浸かっていたクドゥーナが声を掛ける。


「入らないのぉ?きっ・・・持ちイイよぅ・・・♪」


実にだらけきった、惚けた様な顔をして。

その後ろには岩の影でゲーテと、ジピコスも体を伸ばして寛いでいて、それに京は気付かないふりをした。



デルラ山の麓にこんこんと湧くこの温泉は、村の人達が整備したのか解らないが、周囲を荒く削った岩や石が覆うように埋め込んであり、広さは10人入ってもゆったり入れるくらいには広く、クドゥーナの後ろの岸には、その時に切り出した岩の残りなのだろう、丘の様に大きな岩塊が聳えたっている。


「それ、邪道じゃない?」


そう言うと、じぃっと刺すように見詰める京の視線がクドゥーナの胸に止まり、同じ様に凛子も足元の岩場に突っ伏して寛いでいるクドゥーナに目を落とす。


その視線に射抜かれている先には、クドゥーナの着ているワンピースの水着があった。

つまり、京が邪道と言っているのは・・・クドゥーナが裸体を晒さずに、にへらと温泉に浸かっている事に不満があるのかも知れない。

それに気付いて凛子がクドゥーナに近寄り、


「クドゥーナ、・・・水着はダメだよ。」


そう言って注意する凛子が前のめりになると。

ふぁさっ!

纏っていたタオルがずれて、覆い隠されていた膨らみが蕾が外気に晒される。


「ひぁっ?」


「んぇ?」


「んっ、お願い、水着脱ごう?」


それに気付くと凛子は、瞬間的にゆでダコぽく真っ赤に染まり、思わず口を突いて小さく叫声を上げて素早く元の様にタオルを巻き付けた。

すると、叫声を聴いてやっと惚け顔のクドゥーナは顔を上げて、すぐそばに居る凛子を薄ぼんやり視界に捉え反応を返す。


そのクドゥーナの態度に、凛子が必死にタオルを巻き付けながら、ぎゅっと自らの両手を握り締めて頼み込む様にそう言うと、やっぱり不思議そうにコテンと小首を傾げて、凛子の後で空気がキンと爆ぜる様に変わった事など気付かないクドゥーナは、白いワンピース水着の襟元を掴んで自慢気に見せ付けながら、


「可愛いでしょぉ?ギルマスから貰ったの。」


「いい、うん。凄いね、可愛い。でも、さ。今日は脱いで、ね?お願い。」


そう言ってまた、にへらと微笑む。

後ろが怖い凛子は困った様にたどたどしくも声に出すと、白いワンピースを脱がせ無いとせっかくの温泉なのに、空気が悪くなると思い、クドゥーナに手を伸ばす。


「えーーー。」


「クドゥーナの為だよ?チラッ」


非難の声を上げて抵抗するクドゥーナに、今避けないといけない恐怖を知らせる為に肩越しに後ろを窺った。

凛子の視線の先には勿論の様に京が居て、婀娜めいて微笑う。


「・・・うちの、水着ぃ。」


結局、クドゥーナの白いワンピース水着は京が温泉に入って後ろから羽交い締めにすると、スポンと強制的にパージした、脱がされたのだ。

すぐに、クドゥーナはメニュー画面を出すとクリック、タオルを巻き付けて温泉にちゃぷんと音を立てて鼻まで浸かる。

恥ずかしがるのを隠す様に。


「解ってないわねぇ、クドゥーナ。温泉は裸が基本なのよ。」


「・・・そう?」


「裸のお付き合いっていうでしょ?こうやって、肌と肌をくっ付け合って親密になりましょうね。って、深い意味が込められてるの、きっと、多分そう。」


「ふーん。」


それでも京と凛子が温泉に入って来ると、空気も緩んで会話が弾む。

裸のお付き合いを、京が説明するのを大人しく相槌を打ち聞いていた。


今の京も凛子もクドゥーナも裸に纏っているのはタオル一枚で、温泉に胸の膨らみが浮くと、そのタオルから見えそで見えない程度にしか、隠せていない状態になる。


それに気付いた凛子は足を腕で抱き寄せ、三角座りの様になり京とクドゥーナのタオルをチラチラと横目で窺ってから自分の胸に目を落とすと、ぷしゅぅと音を出すぽく一段と足を抱き寄せながら照れたのか、唇を波線の様に結んで頬を朱に染めた。



そんな穏やかな時間がゆっくり過ぎていくとやがて、騒ぎが起こる。

京を『姐御』と言って敬っているとは言え、美少女が並んでわーきゃー、きゃっきゃっうふふしてれば少しでも近寄り傍で見たくなって当然だったのかも知れない、ゲーテとジピコスも男なのだ。


「こっちくんな!男はそっち入れって。」


「そっちは熱くって入れってレベルじゃ無くってね、姐さん。隅で大人しくするんで入らせて下さいっ。」


最初に気付いたのは声の主である京だった。

向こう岸に背を預けて、寛いでいたゲーテとジピコスがいつの間にか温泉の真ん中までやってきて、京達三人のやり取りを覗いていた。

この温泉の底は深くても1㎡程しかない、ほふく前進しながら近付かれていたら、濃い湯気も手伝ってかそうそう気付かない。


熱過ぎて湯に浸かるのは勘弁して欲しいのかゲーテは苦笑いを浮かべてすがり付く様に弁解した。






そんなゲーテとジピコスを暫く目を細めてキツく見詰めて居た京が、視線を左右に居る凛子、クドゥーナに順繰りに向けて、


「隅から動かないなら、許そうと思うンだけど?」


仕方無いなぁと言いたげにそう言って同意を求めた。

「ちょっ!・・・っいいの?」


「うちはね、見られなかったら、まぁいいかぁーってカンジ。」


右に座る凛子は、京のその言葉に驚いた風だったが、クドゥーナは逡巡すると頷いて同意するとそう言って胸を抱く。

まさか許そうと、言い出すとは思っていなかった京に裏切られた気持ちで恨めしそうに見詰める凛子は、


「え、嘘。・・・」


思わず本心を呟いてから、唇を結び口をつぐむ。

それから、逡巡する様に頭を抱えてゲーテとジピコスに視線を向け、味方が居ないので諦めた様に、


「うー、解った。いいよ、いい。視界に入ってこないならいい、そうだ、うん。」


そう言いながら視線を京と、クドゥーナに戻して難しい顔になる。

それを気付いてかどうか、満足げな京は右手をすっと伸ばすと、掌をヒラヒラと上下に振る。

それを見てゲーテとジピコスは、へこへこと頷きながら元居た向こう岸まで戻っていった。


「ちょっと熱いわね。でも、疲れも取れそう。」


「ふー、のぼせそぅー。」


「じゃぁ、あっち入る?」


「ゲーテもジピコスも無理って言ってたのに、そんな事言うって鬼なんですか?」


「冗談よ。にひ。」


にへらと惚けた顔で岩場に突っ伏してむにゃむにゃと気持ち良さげにどちらかと言うと微睡(まどろ)んで寝る勢いのクドゥーナを横目に京と凛子はきゃっきゃっと会話に、温泉を楽しんで寛いでいるようだった。


「いいお湯だよねぇ〜♪」


湯の色は薄い水色で、三角座りの凛子が両手で掬うと溢れて落ちる。


「そうそう、まるで日本に居るみたい。」


岩場に背を預けて寄りかかり、肘を岩の上に乗せ両手を広げてすらりと長くて白い足を伸ばす京からそんな言葉がポロリとこぼれると、


「・・・。」


黙って凛子が京の顔を見詰める。


「んー、・・・帰りたいよね。」


見詰める凛子を愛しげに見詰めかえすと、首を岩場にもたれ掛かって天を見上げながらポツリと呟いて。

すると、何を思ったか細長い左腕で凛子を首抱きに胸元に抱き寄せると、


「そうよねぇ、早く帰って・・・あ、帰りたいよーな、帰りたくないよーな。ビミョー?」


急な事に吃驚して固まっている凛子に、目を落としてクドゥーナに聞こえるか聞こえないかくらいの声量で囁いた。

まだプロットが消えた影響を引き摺って、

全く違う話になってるなと思いつつ、

今日はここまで。


京が帰る理由的なのをちょっぴり回想してます。

勿論、前のプロットには無かったでふ。

どうしてこうなった!

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