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唐突な非日常(修正)

以前の修正して読みやすく改行を増やしたものになります

いつものようにいつも通りに[ヴァンガード]の自動ドアを抜けてカウンターの前に。


いつもの店員さんが受付にいなくて『見ない顔だな。』とは思ったけども、それほど気にもせずに受付を済ませようと声を掛けた。


「いつものブースがいいんだけどー」


会員カードを見せながらそう言ってカウンターの上に置いてあるチケットを物色する。


割引クーポン付は人気なのか売り切れみたい。思わずため息を溢す。


「──! ……すいません。今日は埋まってて……」


その店員は受付リストと睨めっこしながら空いているブースを探してくれたみたいだけど、どうも目当てのブースは埋まってるみたいで。

代わりに新ブースのカードキーが出される。


「新ブース? ……高いンじゃないの?」


前回予約したよなぁ? 自分。

と、慌てて差し出されたカードキーを押し返す。


「常連に馴らしとして無料になってます」


さらにわたしに押し返したカードキーを、わたしの掌に握らせて店員はニヤリと良い笑顔でそう言うと新ブースに案内してくれた。


[ヴァンガード]はVRMMOをメインとしたいわゆるネカフェだ。

VRMMOもそこそこ普及したと言っても映像の滑らかさ、タイムラグ等諸々の問題を考えたら小型化で自宅で。とはいかない。


従来は球体のカプセル型。

な、コックピットに座って気分はパイロット……てか(笑)


で、うって変わって新ブース内は医療ベットの様な寝た状態でのプレイスタイルらしい。


「セッティングこちらでやりますよ」


じゃ、寝てください、とその店員に言われるままにベットに寝転がってみる。


変とか思わないけど、思えばあっち行ってる最中は『こっち』は身動きしないんだよ。

もう、なんかアレだけど入れ物みたい、わたし。


ぼやっとそんな事考えてたら、


『ひゃあっ』


ピッと言う音と共に頭から脚へと、シュイーンと伸びて現れたシールドによって全身が包まれたものだから吃驚して変な声出た。


外から見たら日サロマシンみたいなんだろな。


「楽にしてくださーい。すぐに繋がりますからねっ」


凄く遠くに聞こえる間の抜けた陽気な店員の声。

目を閉じて少し経つと瞼の上に何かが覆い被さった感覚。

ゴーグルかな。


『あっ』


ヒュイイーンと言う低い小気味いい音と共に、ふわりと宙に浮いたような浮遊感に襲われ。


『きたきたっ!!』


さあ今日もファンタジーの世界へGO!


VRMMOの世界へと旅立った。


……はずだったのに。



どうしてこうなった。

目の前には見慣れたカルガインの町並みが広がっていたよ。


風を感じるしなんだか匂いまである。

やたらリアルだ。


どこか呆けて混乱した頭で思い出してみる。


……わからない。


泣きそうになった。


『──返事してよぅ…』


そんな時だ。

ふいに声をかけられたのは―――



「おまえ何泣いてんの?」


顔を上げるとふてぶてしい態度の機嫌悪いですよーオーラを纏った男が見下ろしていた。

無意識に脱力したのか座り込んでいたみたいで。


声を掛けてきた人はヘクトル。

並んで立つとわたしの方がヒール高分高いかな。


見た目はその辺のお兄さんってカンジ。

肌の色を除けば。

魔人族特有の薄い紫の肌。

触るとヒンヤリ固い。


……そう、ヒンヤリ。

ゲーム中なら有り得ないの。

気付いて、ぶるっと身震いした。

温度を表すことなんて出来ないんだから。

ここは──ゲームじゃないなにか。


それとも、『あれ』なのか。


わたしは新製品のVRMMOを使用してNOLUNに入ったから、なにか別鯖に入ってしまってver.upしたとでも?


だからフレチャも広域チャットも反応なしなのかも。

ここはお試しの鯖なのか、きっとそうだ。

そうに違いない。


無理矢理納得させるようにうんうんと確認するようにしっかり頷く。


別鯖に紛れ込んだんだとすれば、お試し鯖だからログアウトも自分から出来ないのもしっかり納得出来てしまう。


『デバッグさせようっての?』


お試し鯖のデバッグを常連にさせようってことなのかー。

だからこそ無料で。

あぁ。

タダほど高いものは無いって言うのはあながち間違って無いかも知れない。

けど、……運営さん残念だったな―――


『わたし、チャットしに来てるだけの初心者だってば』


デバッグ出来るだけのプレイ経験も無いのだし。

これからどうしよーかなって思案を巡らせていると。


また、狩りに行くと言うヘクトル。

いやちょっと待って。

お願いします。

置いてかないで……


で、あれこれあってLVは上がりましたよ。

あっさり。

ザクザクと。

スケルトン相手に、経験値稼いでくれました。

感謝感謝です(笑)


やっぱり、なんとゆうか凄いよヘクトル。


話は戻って―――


「なっ……」


「わたし、チャットしかしてないんだよ、ね」


冒険らしい冒険なんて……してない。

したことない。


「……たむろしてる奴らか。」


心底嫌そうに舌打ちするヘクトル。

確かにたむろしてる奴らの方だけど。

だけど。


なにか悪いことしてる訳でも無いのに、この態度はなんだ。

気分良いものではない。


「なにか、気に触ることでも?」


トゲいっぱいに含んで言い返すと、 小さく溜め息を一つついて、


「なにも。だけどキミも奴らと一緒かと思うと、ちょっと引いた。」


それだけと言い終わると俯いてしまった。

ほんのさっきまでと明らか雰囲気が変わってズーンとした空気が辺りを覆う。

なにか悪いことしたのか、わたし。


しばらく無言になると、何かブツブツ呟いて顔を上げたヘクトルはどこかぶっきらぼうに口を開く。


「……謝れ」


「えっ……?」




何を謝れと言うのか。

固まって答えないあたしを直もジトっとねめつけてくる。


解らないから取り敢えず場を取り繕おうと謝罪を口に出す。

疑問符を含んだまま。


「ごめん、……なさい……?」


もう頭の上には?マークがぐるぐる飛んでいるだろう。

もし、アイコンが表示されるならだけど。


それほどあたしには理解することは出来なかった。

この謝罪の強要が。


「変だな。まるで謝ってない風に聞こえる」


ま、いいかと続けたヘクトルは、クイクイと人差し指を振る仕草であたしを呼ぶ。


「ついてこいよ。」


そう言ったヘクトルの表情は元に戻っていた。

裏では何を思ったかそんなの解らないけどね。





誰も居ない大通りを少し遅れて後を着いていくと、いくつか通りを過ぎて脇の路地にズンズン進んでいく。

目当ての店なのか歩調をちょっと、抑えて一軒の店に入っていった。


ふと入り口に立て掛けられた木製の看板に視線を落とすと[タイユランの雑貨店]と雑に掘りこまれていた。


店の中はちょっと埃っぽくて薄暗い。

蝋燭なり、魔光なり使えば明るくて見易いんだろーけど。

キョロキョロしつつ、見馴れない商品棚を物色しつつ奥へと進めるとぼやっと明るい所があった。


カウンターだろう、楕円形で真ん中のくり貫かれたテーブルの上に、カンテラが置かれ蝋燭が灯っていた。


テーブルの向こう側に、ギラギラした目をした小学生くらいの背丈の小人の店主がゴチャゴチャと雑貨だらけの椅子に座って(?)居た。

見た目はホビットで目付きはまるでコボルト。


「何見てんだい?お客さん。」


高い声だがドスの利いた声で店主に話しかけられた。


「えー・・・っと」


ぱちくりしながらドギマギしながら声の主の目を見ないように言葉を探す。

あれよね、ちょっと怖くて初見じゃこれはつらい。


何だか、蛇に睨まれた蛙ってこうなんじゃないか。 何しに来たんだっけ? んー……?


「お客さん?」


『あ、思い出した。』


「マナが欲しいんです。」


そうだよ、マナを買いに来たんだっけ。

店主の雰囲気とゆーかオーラに圧倒されて頭の中一瞬真っ白なったかも。


なかなかパニくったまま帰って来れないわたしを気にせず、店主はテーブルの下にしゃがんだり棚の埃を払ったりしながら商品を出してくれた。


「他は在庫切れさぁ。ウチもお客さんが帰ったら閉めて逃げなきゃ。」


テーブルの上に運ばれてきたマナに視線を移すと……マナ、……に、字が浮かんで、……映る。


っと、それよりも何か。

言ってなかった?


物騒なコト……


『逃げなきゃ?』


なんでだろう? NPCが逃げなきゃならない事情が出来るとか、それってどんなクエスト?


「決まったのか?」


そんな時だ。

色々ありすぎてごっちゃになった頭がショート寸前だったあたしの後ろから、見てらんなかったのか不機嫌なアイツが声を掛けてきたからさ。


ちょっと振り向いて舌打ちをした。

いやいや、今見てるから。

急かしたって決めらんないし。


「待ってみて」


ヒール、ペルナ、トレモー.....


これは……どれも0の数がめっちゃ多いんですけど。

ヒール以外、用途不明だしさ? なんなの、トレモー。

5000000グリムって。


「待ってたら財布でも出てくるのか?」


さっきより後ろの声がうわずってる。

そんなにイライラしちゃだめだよ。


体に悪いよ?主に胃とか。

ああ、ヒールでも10000グリムするんだ・・・。


なんかヤな汗かいた。


「これでいいか?」


「は……っ!?」


「これでしたら10000ですが」


モタモタしてる脇からテーブルの上のヒールを指差すヘクトル。


なんなの。

良く解んないけどヘクトルは取っとけと言いたげに軽く鼻息を鳴らしてヒールを手渡して来た。


「ありがとう……?」


わたしが固まってる間にサラッと支払ったよ、なにコイツ。

いいやつ。

最初からそのつもりだったの?


ヒール、奢られてしまった(笑)


やったい!!


帰り際に店主から言われた言葉も気になる。


「また来てくれよ。生きてたらなあ」


なんだろ、……ヤな感じだ。




店を出て周りを見渡すと、どこも閉店していて鎧戸が降りてる所もチラホラ。



「ねえ」



前を歩くヘクトルを呼び止める。

ヘクトルの足が止まったのを見て、


「変じゃない?」


ずっと気になってたんだけど、思ってはいたんだけど。

今、言わなきゃ。


「変なのは、ずっと……そうだな。おまえと会ったくらいからか」


チラリと周辺の様子を見て、ヘクトルはたいして慌てることもなく、


「何かイベントに入ったか。限定か突発型だったりかもな」


あくび混じりにそんな事より腹へったなーと言った。

えっ、そんな事って。



限定イベントか突発イベントか、そうかも。

参加したことなかったから気にしたことなかったっけ。


なるほど、それだと納得できるかも知れないか。


運営さんは突発イベントまでデバッグさせるつもりですか。


限定イベントの内容は全く知らない。

参加しないし、外側から観客って感じだ、今までは。

突発イベントは……そうだよ。

あれは!


「そうだよ、まるで似てる」


街がモンスターに襲撃されてプレイヤーがそれを早急に退治するイベントだったはず。

今の状況に当てはまってる、けどさ。


「……見ろよ」


ヘクトル指が差す方に顔を動かしまっ暗い空を見上げると其処には、不気味な竜とも蛇とも形容できるモンスターが近寄ってきている所だった。






色々書きたいことはあるけどまた次の機会に

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