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人魚姫という難儀な生き方

「二人共早くっっっ!!」


必死に急かすシェリルさんの叫び声が背中に響き渡る。

視線を移すと三人は既に池に入っていて、アスカムはシアラの指差した壁の向こうに続く穴を目指して潜っていた。

それを見てこれは確実にヤバいと、わたしが急いで池に飛び込むと、ヘクトルも潜って来る。

シェリルさんの姿は人が大の字になったら通れないかくらいの穴の前。

ペリディムは運良くまだこっちに気づいてな・・・


いやぁ!


シアラは?と思って振り返るとギョロリとした巨大魚と眼が合う。


『早く!急げ!』


チャからシェリルさんの必死そうな檄が飛び、目の前にオレンジの文字が写し出される。

振り替えると水面近くでシアラが死骸を使ってペリディムを引き付けている所で。

それでも1匹がこちらに迫る。はぐれたのかあっちが旨そうと思ったのか知らないけど。


気付いたシアラが物凄いスピードで泳いで、わたしに噛み付こうと大きな口を開けた巨大魚に手にした二股の槍で抉るように勢いそのままにエラの辺りに衝突し、会心の一撃を与えると、

その後ろにまた1匹、食事を終えたペリディムがシアラに狙いを定め忍び寄ってくる。

まるで、甘いデザートを求めるように。


彼女は人魚ならではの素早い泳ぎを見せ巨大魚を置き去ると、水着を掴んでグイグイと引っ張って一生懸命連れていってくれようとしていた。恐怖で固まり唖然と情況を見ているだけになっていたわたしを。


我に返って振り返り全身の力を振り絞って、穴へ飛び込むとすぐ後ろでズン!と水の中を振動が走る。間一髪、ペリディムが穴に体当たりをしてくる所だった。

シアラに助けられず、あのまま見てるだけだったら今ごろは巨大魚の腹の足しになっていたのは間違いなく。


あぶなっ!振り返って池の方を見ると、二度と見たくないトラウマものの光景が。並んだ鋭く尖った牙がガジガジと獲物を逃してさもうらめしそうに蠢いている所だった。





「素晴らしい。お強いですね皆さん。我々に是非お力を貸して貰えないでしょうか。

詳しくは隊長から話して貰うとして、イーリスの真なる教義として『全てを平らで開かれた平等の世界』の為に。」


ペリディムに追われ命からがら穴の奥へ逃げ切り、その先に光の指しこむ明るい水路にシアラに誘導されて辿り着き、水からやっと上がると何事かシェリルさんとアスカムが言い争いを始めている所だった。


「イヤよ。誰があんた達みたいな狂信者に。それにねわたしたちは、私たちの故郷に帰るだけ。」


心底嫌そうな顔をしてアカンベーをした後で、フンッと口から吐き出すように喋るシェリルさん。


「教団は教団以外には迷惑なだけだからな。」


「あなたはブルボン人と同じ姿をしているのにそんな事を言うんですか。」


無表情で同意するヘクトルを見て噛み付かんばかりに前に出たアスカムが苦虫を噛むような顔つきに変わって。

えっと、どーしよっかなあこの雰囲気。見てるだけで何とも言えなくなった場の空気に嫌気が差して横を見るとシアラも嫌悪感丸出しの表情を顔に張り付け情況を窺っていた。


「ただの、魔人だよ。ブルボン人じゃあない。」


「アスカムそんな事より童貞でしょぅ、あなたの初めて貰ってもいいのよ?にやり。」


面倒に巻き込まれたくなさげに、勝手にやってくれと言いたげにヘクトル。

相変わらずのアスカムが説く有難いらしい教義に、飽きてイライラしてきたシェリルさんがからかう様に嘲りを含んだ言葉を吐いて、ぺろりと艶っぽく舌舐めずり。


「な、何を言ってるんですすすかっ。・・・イーリス神に支える身です。それは教義に反します。」


酷く狼狽して犬耳をピクピク微動させるアスカムはそれでもすがり付きたいのか、咄嗟に信徒の証しである首から提げたペンダントを握りしめると、段々と平静を取り戻していく。

右の掌をふるふると震えるほど力を込め拡げて喋りながら。

うっわ、シェリルさん何言ってんの・・・ふいにシアラの方に視線を移すとジト目になってバカな事やってるなと言いたげで。


「それを平たい世界を作るっていう導師が言っちゃう?用は誰とでも寝るってことでしょうが。」


口撃は終わらない。顔が悪い人になったシェリルさんは心を抉りアスカムを撃退しようと言うのか、にたりと微笑んで辛辣な言葉を浴びせかける。

本心なのかも知れないけど・・・ま、それは解んない。


「シェリルさん、違うでしょ。」


見てられない、そう思って口を挟んだ、それだけ。


「シェリルの頭は下半身についてるんだよ。」


「御話し中申し訳無いです。早くエウレローラ様のとこに行きませんです?」


退屈そうに口を挟んできたのはヘクトル。

その間に痺れを切らしたのか、この話の決着所が無い事に気付いたのかシアラが強い口調で口を挟んで場の空気を変えた。

イライラしてたんだね、やっぱり。アスカムしつこいから、無駄に時間使っちゃったし。


お、おう。すると頷く一同。機嫌変わらず先を歩き始めるシアラ。


「シェリルさん、よく知ってるね。」


気になったので歩きながらシェリルさんにヒソヒソと近づいて話し掛ける。

身長差があるのでシェリルさんが背を屈めないと聞き取れない、この状況。


「ヒソヒソ話するならフレチャしない?」


「いいよ。」


シェリルさんに返事を返すと直ぐにフレンド登録の御誘いが届いた音がしたのでメニュー画面を開いてフレチャを始めた。



◇◇◇◇フレチャ◇◇◇◇


Sheryl 》》凛子、イーリス教団だけはダメー。


まぷち》》クエストでよっぽどトラウマとか?


Sheryl 》》そ。


Sheryl 》》あいつら。教団以外は全滅してもいいって思ってるんだから


まぷち》》全滅しても?


Sheryl 》》そのままの意味で取っていいわ


Sheryl 》》わたしの会った教団はまぁマシだった。それでも救いを待ってる目の前の人を間に合わないからって皆殺しにしたの


まぷち》》うええー。それは、トラウマなるわ。


Sheryl 》》ノルンって妙にリアルだったから目の前で死んでく人がリアルなのよ、瞼に焼き付くくらい


まぷち》》今は全部リアルでしょ、みやこちゃん言った


Sheryl 》》体温とか匂いとか、感触とか無かったのにね


Sheryl 》》そいつ大幹部でさ、非道を働く教団を根刮ぎ殺して回ってるみたいで


Sheryl 》》何回か会ったけど毎回死屍累々なの


Sheryl 》》ま、そいつが殺してる団員は有無を言わさず他人を殺しまくってる奴等なんだけど


まぷち》》耐えれない話になってきたからまた今度でいいかな・・・


Sheryl 》》いいわよ。こっちもイヤな事思い出しちゃって気味悪いわ


まぷち 》》ごめん。。。」


Sheryl 》》いいわよ、謝らないで凛子




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




チャットを終えて横目に窺うと嫌な事を思い出したと言っていたシェリルさんは歩き続けては居たけど俯きがちに何か思案してて。

わたしも悪いことしちゃったかなーと憂鬱な気分に。

煩いことに二人が勝手に暗くなった間もアスカムはヘクトルとシアラに如何にイーリスが素晴らしいのかを説いていた。

ヘクトルは聞いている風では無かったけど。


「あ、あっ。着きました。ニクスの町です。」


指差し振り返ってシアラがやっと煩い勧誘が終わると思ったのか、朗らかに声を掛けてくる。

見ると中から光が溢れ出していて明るい。地底湖の奥の奥、他人種との喧騒を避ける為かそれとも好き好んで陽の光の届かな・・・地底の割りに地上と変わらないくらい明るいな?見上げるとそこにはおっかしいなぁ、地底にはあるはずの無い太陽が燦々と照らしていて。

そして回りは山々に囲まれていて森の恵みや恩恵を受けているんだろうと想像。


町並みは普通に小さな町と変わらない。平屋の家が道の脇を埋めるように立っていて地底湖から流れ込むのか地底湖に流れ込むのか家が建っている後ろには川まで流れているのを確認。


古くからの商店が並んだ通りなのかどの店も使い込んだ看板が見える。

誰が迷い込んでこの景色を見て人魚の街なんだとは思えない現状。


シアラの歩く後ろに着いて辺りを窺いながら夢が壊された気分になっていた。

他の三人がどう思っているか横目で窺うとシェリルさんは立ち直ったのか、興味深げに辺りを仕切りにキョロキョロ。

ヘクトルだけは見た目が魔人なので、すれ違った人から奇異の目で見られるようで。

アスカムは、あっ・・・あんなに後ろを歩いて、勧誘を頑張ってんのかなー。


エウレローラに会ってから人魚が人魚で無くなっていく感覚、これはそうだ。エウレローラが言っていた


『人魚は人類の一種で、ニクスは人魚です。』


正にその通りだった。道行く人を見ても尾びれで歩く人魚は居ない。皆、自らの足を持って足で歩いている。


すれ違った人はそう多くは無いけど・・・でさ、わたし達浮いてない?結局水着のまま街中を歩いてるんだよ?おかしいよ。


すれ違った人が皆が皆テカテカした素材で原色の服ばかりって言うのも何かおかしいけど。

変な目でわたし達を見てくる人は居ない。水着のまま歩くのはこの街では変じゃない?解んない。






「これって。」


シンデレラ城の様なゴシック、バロック、ルネサンス、アールヌーボー、ロココあらゆる建築様式をごちゃ混ぜにした重厚な容姿の洋風の城が目の前に現れ、次第にその距離が近づいてシアラはその門を潜っていく。

つまり?


「エウレローラ様、話してませんでしたです?ニクスの女王です。」


不思議そうに首を傾げてわたしに尋ねるシアラ。

だよね。そーゆーことだよね。


「うん、聞いてません。」


頭を抱えるわたし。エウレローラがお姫さまかよっ。

この格好・・・水着のまま城にも入るの?


「いいわよ。行きましょう。」


シェリルさんは意気揚々とガッツポーズを決めるとそう言って門を潜る。

シェリルさん、着替えた方が良くない?絶体露出狂がー!って言われると思うんだ。


「話は中でエウレローラ様からです。」


門を抜け城の扉を横に立ち止まったシアラは振り返ってしゃんと立ち直し一同に視線を変えるとそう言って、彼女なりの敬礼なのだろうか左胸に手を当て、お辞儀をした。

貴女からもシェリルさんに言ってあげてよ、シアラ。変な目で見られるよ。


「お前は入らないのか。」


ヘクトルがシアラに問い掛けた。

ヘクトルも変な感じだからね?半袖シャツに海パンって。


「わたしの役目はここまでです。中で女王様と団長が待ってるです。」



「団長?」


お辞儀をしたままでシアラは淡々とそう言う。

あれ、キャラかわった?さっきまでのシアラとなんか違うなー。聞き返したのにスルーされたし。


「行ってくださいっです。」


暫く黙ってシアラを窺っていたら、ちらりと伏し目から見上げてきた彼女と目が合い強引に押されて扉の中へ。

そんなに怒らなくてもいいじゃんね。

中は竜宮城もかくやという豪華絢爛・・・ではない。ちょっと大きめのお屋敷かな・・・日本家屋というか。

「これ・・・」


「うん。」



「まるで旅館だ。」


外観からイメージしていた内装と余りに欠け離れた光景に三人。

アスカムだけは初めて見る雰囲気にテンションが上がっている様で辺りをあちこち弄り廻していた。

扉を開けると吹き抜けロビーを想像していたのに玄関で靴を脱ぐ事に。

そしてさも当然の様にメイドがわらわらとスリッパを持って現れ、スリッパを並べるとメイド達が整列し、その後ろから貫禄のあるびしっとスーツの男が歩いてきて自己紹介を始めた。・・・これもまた揃えたように全員が色こそ違うけどテカテカしたゴム服で。

もう驚かないよ、エウレローラがどんな風に現れても。


「お待ちしてました。俺は親衛団長でアドル。ここではまぁ、・・・エウレローラ様の世話役遣らせて貰ってます。」


アドルと名乗った男はエウレローラの世話役だと言った。

やっぱりエウレローラの家がここなんだね。

旅館じゃないよヤクザの屋敷だよ、相当するのって。外観は普通におしゃれな城なのに中はヤクザの屋敷って・・・親衛団長がヤーさんの幹部みたいなアドルなら、団員はチンピラなのかな?電化製品こそ見当たらないけどここは日本だよ。

そう錯覚させるくらい何もかも純和風で今アドルの後ろに着いて城内を案内されているんだけど、廊下の脇には欄間と襖がずらりと並んで何部屋あるんだろう?


やっと中庭らしき所に着いたらやっぱり、日本の庭の様なやたら大きい武骨な石をそのまま置いてあったり立派な松があったり竹林が繁ってあったり鹿威しとそれにぴったりのこじんまりとした池があったり。


「このミスマッチ感。まるでそうね、ラブホみたい。わたし、落ち着くわ。」


何かうっとりと日本を思わせる中庭や、襖しかない廊下を横目にシェリルさんは呟く。

ラブホってこんなところ何ですか?ドラマで見るヤーさんの家じゃないですか?


「気に入って貰えて嬉しいですよ。お客人。」


「約一人だけだよ、気に入ってるの。」


先を行くアドルはにこにこと振り返って、そう言ってまた前を向いた。

そんなことより、わたし達の格好にツッコミはまだですか?誰かが言わないとシェリルさんは着替えたりしませんよ。


「でも日本みたいで懐かしいかな。」


歩き疲れたのか伸び序でに欠伸をしてヘクトルはそう言った。

この風景は懐かしくもあり、懐かしいわけでもない。こんな庭先ある家はわたしの周りには1人くらいだったし。

ヘクトルはヤクザなんですね、そーなんですね?そんなこと思ったりしないけど。


「アドルが作務衣着てたり、紋付き袴だったらそのままヤクザ屋敷よね。」


ここまで見てきてのシェリルさんの素の感想なんだろう、ぼそりと呟いたその言葉は的確に、今の状況を表しているんじゃないかな。


「ホント。でもエウレローラもね、ゴム服着てたしここの人魚はゴム服が定番なんじゃ。」


苦笑いを浮かべシェリルさんの呟きに答えていた。

まず普段わたしの着てたようなポリエチレンや化学繊維が無い異世界にわたし達の思うスーツはどう考えても作成不可能なんじゃないの。

袴とかはシルク?絹、あるのかなー。



「この中です。エウレローラ女王、客人をお連れしました。」


「はーい。」


目的の部屋に着いたのか、先を歩いていたアドルがぴたりと立ち止まり、お伺いを立てると中から返事が聞こえ。


「では、お通しします。どうぞ、お客人。」


襖を引いて、振り返るとアドルはにこにこと笑いながら手で勧めてくれる。


エウレローラは居た。熱っぽいのかそれでも着飾って。座布団の上で正座を苦しそうにしている。

見事にテカテカのゴムの様なあの素材で良く作ったなー、和服というか着物。

エウレローラが着ている着物は黒を基調としながらもエウレローラが好きな色何だろうピンクも帯としてラインとしても使い、金刺繍みたいな何かで見事な竜が描き上げられていて、シックな中にも可愛らしさと攻撃性の共存を押し出したデザインでどういうわけか所々シースルーの様に透けて肌が見える。ヤクザの姐さんですか?


「崩していいですか?アドル。」


皆は気付いたか解んない。けど、わたしは見えちゃった。

エウレローラがアドルに向かって難しい顔をして睨んでいるのを。



「お客人に無様晒しちゃ駄目ですよ、エウレローラ様。」


にこにこと笑いながら、エウレローラの頼みを断るアドル。


「だって、もぅ。」


言い訳をして正座を勘弁して貰おうと頑張る彼女は涙・・・汗なんだっけ、を流して頼み込んだけど。


「だってじゃありませんよ。」ぴくっと眉を動かしただけでまだ笑いを顔に張り付けたままアドルはさらりとエウレローラの頼みをはね除ける。


「そんな、一時間もこのままお待ちしてたんですよ、怒りますよ。」


「ですから、無様晒さないで下さいよ。エウレローラ様。」


綺麗に整った顔をしたエウレローラがアドルを見つめ、困っている表情から少しずつ怒りの表情に変わっていく様はまるで台本に書かれたコントで。

怒ろうと許しませんよと言う笑顔のアドルが段々と凄みを帯びてどこかオーラを纏ったような。


「ひーん。」


軽く泣きの入った彼女は頬を伝う汗?は七色に光って正座を崩したいのに、できなくてヒクヒクプルプルしながら。


「アドルさん、可哀想で見てらんないです。」


真剣な顔で言ってやった、どうだアドル。

この無駄な問答いつまで続けるのよ。エウレローラも可哀想だしアドルそろそろ許してあげたら?


「甘やかしたらつけあがりますから。相当の振る舞いをしていただきませんとね。」


張り付いた笑顔のアドルは凄みを保ったまま視線をわたしに向けて説き伏せる様に告げながら、後半はエウレローラに横目で。


「話、聞かせてもらえるかな。」


大人しく話を聞いていたシェリルさんが真顔になって、いい加減に話を進めようと口を挟む。


すると、アドルがポンっと手を叩いてメイド達がわらわらと姿を表し、人数分の座蒲団を敷いてまた姿を消す。

その間、無言のまま。


にこりと笑うアドルがエウレローラに目で促し、どうぞと、わたし達に着席を勧めた彼女。

それにぞろぞろと従って思い思いに座っていったんだけど、アスカムなんで体育座り?あ、シェリルさんも体育座り?座った時にカップがずれたのか右手でついぃっとカップを持ち上げて直す。


「地上の人に助けて欲しいのは、竜神様の事なので、ツぅッ!す、すいません・・・」


彼女もう限界なんだけど。アドル・・・


「ヘクトル?ドラゴン倒せないじゃない。」


「違うクエストの時もあるんだろ。大体、人魚と違う。」


「エウレローラ、竜神様の異変を見てきて治して欲しいって言ってたね。」


あの後、限界を越えたエウレローラが座ったまま前に倒れ込んで場が固まり、アドルがメイド達に目配せをして彼女を介抱し始める一幕も挟んで『龍神様の事くれぐれも、よろしくお願いいたします。』と、アドルから頼まれ、凄みとその場の空気に飲まれて了承してしまうわたしとシェリルさん。


そして帰りはメイド達にわらわらと見送られ今は城の扉の外。

話が違うとシェリルさんはヘクトルに突っ掛かっていて、でも怒ってる風でも無い。

ヘクトルも無感情に只、言い訳を伝える。

助けられるなら助けてあげたいじゃん。と、でも皆思ってくれているのかな。

わたしの言葉に反応したシェリルさんは深い溜め息ひとつ。


「行くしかないか。」


ジト目で見詰めてくるシェリルさんはしょーがないなー。のニュアンスを含めた言葉を吐き出して。


「そうと決まったら戦闘準備よ。着替えるからわたし達はあっちの木陰行くから男子はその辺で済ませなさい?こっちに来たら、いい?」


真顔で命令を下すかの様に喋っていたシェリルさんは後半眉尻が上がりだし、最後は悪い顔になって『殺すわ。』とつけ加えるとわたしの手を引っ張り、木陰に連れ込む。


鎧姿になった彼女は『何でわたし達、水着のままここまで来たんだろうね?ふふっ。』と、笑った。

ここの人達が変わってるからですよ。と、答えると。そうなんだ。とだけ言って着替え終わって催促の声を掛けてきたヘクトルの元へ駆け出した。


「で、この底に居るの?」


行く事は決まったもののどこへ行けばいいか、わからないのでアドルに聞きに戻った後、わたし達は城の東側の洞窟へ足を向ける事になった。

アドルの言うにはここの奥に龍神様が居るのでと言うこと。

もっと近くに龍神様連れてくればいんじゃん?


「お待ちしてましたです。」


「シアラ!」


シェリルさんの声に気付いて出てきたのか、単に地底湖の時みたいに寝てて、出ていくタイミングを逃していたのか解らないけど、声を掛けてきたのはばっちり深青い鎧姿に身を包んだシアラだった。

この先に何が待ち受けているのかまだわたしは知らなかったよね。

また無駄にプロットと変わっておかしな事になった件…

その結果、文が長くなったよね…

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