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あれ? ひょっとして、わたし……なんかさ……、負けてる?

この一年、ホントいろいろあって……人生がひっくり返されちゃったよ。


JK生活を謳歌してるはずのわたし。

人並みに恋したり、勉強につまずいたりしてたはずが。

ホントならね、今ごろ。


それが、どうして。


「もうそろそろ帰りたいんだけどなー……帰り道がわかんないかな……」


寝ないでダンジョン探索したり、


「いや、いやいやぁあっ!聞いてない、ないからっ!モンスターいるとかだったらおりる、おりるからぁあーッッ!」


お掃除って言われてモンスター退治させられたり(しかも二首ゴブリンとコボルト軍団)、


「これだけで、こんなにもらっちゃって……ホントにいいのかなー」


離れた街に荷物を運ぶような単なるおつかいに使われてるだけってゆー、


『期限がありますからね、期限を守ってくださいよ?き・げ・ん・を過ぎますと、お給料……払われませんよー?』


冒険者な生活をしてんのよ……、受付のファイアラさんのアニメ声がリフレインする、報酬は大事だもんね。

にしても、どこで盛大にズっ転ぶとこうなっちゃうかな……。


モンスター退治と言えば。

ゴブリンだったり、ガルウルフなら小物。

スカウトって名前で、人間大の巨大な鳥っぽいモンスターも一人で倒せた。

これなんかホント大物なんだよ、大きさだけじゃなくて他の冒険者も手を焼くくらいのものだもんね!


ダンジョン探索と言えば。

パーティーを組んで、安全にアイテムを拾ったり、お宝をゲットする夢のあるお仕事。

……の、はずなんだけど。

夢を掴めないタイプのお宝を求めるならそれもいいかな、ってくらいのダンジョンくらいしかわたしって行けないよね、今は。


ヒーラー募集中は見かけるんだけど、人間。わたしってそうでしょー……?

それだけで、嫌な顔をされるパーティーなんかこっちから願い下げ。そんなだから、みやこちゃんを連れ出すか、……わたしより低レベルの同業者をわたしが募集するっていうのが決まり事みたいになっちゃってて。


居心地悪い仕事場は、針のムシロはわたしには耐えられないの……お仕事の大変さを成人する前から味わってる、ここの人達どれだけ人間に悪いイメージあるんだか……。

そんなわけで、美味しいお仕事はわたしには降って湧いてくれないみたいです。うぅぅ……。


お使いと言えば。

ふふん。これは割と楽ちん、だってわたしにはシロイが居るんだもーん。

馬車より早いから、他の同業者の荷より早く届くってそれだけ喜んで貰えてわたしも嬉しい、商人さん達も嬉しい、正にWIN&WINな関係が築けてます、よ。

シロイ、の……餌代がかさまないともっと良いんだけど……そうも言ってらんないかぁ……。


あれだけあったオーク塊もシロイに食べ尽くされちゃった、……この子たちが不人気なのも頷ける。

維持するの大変なんだもん。

毎日、ガルウルフ3匹まるまる食べて足りないって言うんだよ。

………………はぁ。


『もっと、肉よこセヨ』






「まぷち。強くなろう、そのためにはここでお別れだ。……次、いつ会えるかわからん。だけど、その時はお互い強くなってようぜ……じゃあな」


これってゆーのも全部、ヘクトルと約束した、お互いに強くなって再会ってゆーのを実際に果たそうとわたしなりに動いた結果、こーなっちゃってる。


足手まといにだけはなりたくなかったんだよ。

実際、何もできないままじゃ足手纏いだしね、わたしってさ。


「ねぇ……誰か。説明してよ……」


……で、わたしも、さ。

なんとか色々受け入れてこれたけど、これは許容範囲外なんだけど……。


「……どぉゆーことぉーーー?」


アレ……?

おやおやぁ、おかしいよ?


今立ってるのは国民センター前。

灰色く色褪せた三階建ての大きな建物。

統一戦争前から使われてるってゆーから50年以上経って未だ現役なんだ。

大きな扉が嵌まった要塞風の外観で、実際にさ、その役目を果たしてたらしいんだから、一見すると歴史が刻まれた“味”なのかも知んない、これも。

そうなんだ、確かにわたしの前には国民センターだった建物がある、確かに昨日までは。


「報酬。ちゃんと、……出るよね?」


冒険者としてわたしがバイトしてるとこだったんだ。


冒険者。

うんぬんかんぬん、……早い話、派遣業ってことです。

うんぬんかんぬんは説明するとながくなりそうって思っておいてくれると助かります、いやホント長くなるから!


何でも出来る、派遣業。

さらっと説明したらこーなっちゃう。


何をやってきたか、は重要でなくて……何が出来るかってことの方に重要視されるタイプの。


『ていのいい派遣業よね。冒険者って』


バイトもしたことないし、みやこちゃんの受け売りなんだけどね。

わたし、出来ることってヒールとぷちファイアが使えて、それに少し、軽い弓とふつうの剣がそれなり。


……出来ることって限られてるなーって、あ!

あと、通訳ができますー、デュンケリオンと言葉が違う人達とも余裕で話せます、ってわたしじゃなくてもユーザーなら出来るお仕事なんだけど。


「○な××で、そこをなんとか。と、言ってます」


「こちらの方はそれで結構です。と、言ってます。商談成立ですね、おめでとうございます〜♪」


これが結構なお金になったりー、で、センターからも贔屓にして貰ってたり。


そこは、まぁ……デュンケリオンでは足りてないって事で商人さんたちからは引く手あまたなんだよー、わたしって(えへん)。


国民センターの業務の中には、国中のあちこちのトラブルを引き受ける、ってことも含まれてる。

害獣駆除、山賊とか賊退治、用心棒とか警備なんかがここでのトラブルかな。


『珍しいのじゃ、離婚で逃げ出した奥さんを探す、なんてのも受けてますねー。報酬も良かったらしいですよ?』


て、ファイアラさんが言ってたけどわたしとしては奥さんを助けてあげたくなるや。


まぁ、この引き受けたトラブルを解決するために動くのがその為の役人だったり、領主だったりするんだけど……って、わたしたちの意味合いの領主とはちょっと違うんだけどね。


ここでの領主とは、国とのパイプ、中間職ってことでみやこちゃんに言わせると、町内会の主ってとこなんだってさ。

役人が領主をすることにはかわりないんだ。

でも、権利とか発言力は無いような感じ。


国民センターが、例えば……危険なモンスターが出たからモンスター退治をしてきてね、って

領主役に言えばモンスター退治に動かないわけに行かない。

地域ごとに国民センターはあって、お仕事として領主から依頼を受けて地域の国民センター内に仕事として掲示板に張り出す。


その地域で抱えれないモンスターだった場合でも、なんだけど。


そうなると、領主から国民センターに依頼して。

仕事として……冒険者にこんな仕事入ってますよー、いかがですか?って初めて領地外の冒険者に公表されるっていう、実に面倒なシステムがあるわけで。


これにも理由があって、地域の冒険者を餓えさせない為にまずは地域内で頑張るよ、頑張ってやってみるよってこと。

外からいきなり来られて仕事を持っていかれないようになってるってゆー感じ。

ま、そーか。


『まぷち、まぷちさんまぷちさん。いい仕事あるんですよ、やりません?やってみません?勿論、誰にも話してないし、掲示板に張り出す前のですから報酬独り占めですよ?そ、れ、で、あの……コールドン・ブルーの新作をお安くしてもらえるように……交渉してくれませんかっ♪』


見たこともなくて、良く知らない他人より顔見知りの方に仕事回してあげたいだろーし、で……それってコネ?


異世界にもあるんだ、コネって。

コネ、って言うとなんか嫌な表情。

だから、人情っていうのが正しいのかも知んない。

顔見知りを餓えさせちゃったりしたら、助けることが出来たかもってちょっとアンニュイになっちゃうだろーし。


あ、例外はあるよ。

支配の竜……ぐーちゃんの件もこれだったりするけど、一目で地域内で抱えれない問題って解ると即、全国に公表されて冒険者が集められる。

凄く沢山の力があって初めてドラゴンは倒せるんだってことなのかなー……。



話を戻して元、国民センターの扉前。

石積みの壁に開かれた馬車同士がすれ違い出来る大きな門を抜け、数段の階段を登ると、立派な扉と扉の横には、扉と高さの同じ黒い板。

その板を看板に使っているんだ。



「んー……【クドゥーナ商工会】……何度読んでも、やっぱり。そっか……そーなんだ」


どーして、クドゥーナ商工会がわたしの雇い主になってるかな?


んー……、商会が凄く幅を利かせてるのは、ま……まあ、知ってはいたけど。

あのクドゥーナが忙しそうに最近は走り回ってて、ぐーちゃんが寂しい感じ見せてたし。


いつの間にかそれまであった地域毎の国民センター……あ、これって、近いのは市役所とか、ハローワーク的な立ち位置の役所だったってわたしなりに理解してるんだけど。

その国民センターまるまるっとクドゥーナ商工会が面倒みるよーになっちゃったんだよね、商工会も子会社なのにだよ。


市役所とかハローワークを買い取るって何よ?

愛那ってば、行動力ありすぎ。


「見て見てぇ、作っちゃったぁ♪うん、割といい出来っ♪」


「すぅーーー、──わ!いい匂い!!」


「んむ、美味しいから、どーぞぅー♪食べてみ?」


「うん、むぐ──っ!これって、あの?」


「そぅだよー。プ・リ・ン・♪」


良く良く思い返せば……、あの時出されたプリンだって、愛那って色々作れるんだから一度そっちに向けて進んじゃうと突き抜けれちゃうのも当然って言えば当然だったのかな。


あ、みやこちゃんのブティック【コルドーン・ブルー】もヤになるくらい順調。


デザイナーもあちこちから集まってきて、もうブランド化しちゃってるって感じ。

わたし、ファイアラさんに、さ。

みやこちゃんと仲良いってバレちゃって。

サービスするから、コールドンブルーの服が着たいって真っ直ぐな瞳をしたファイアラさんにせがまれるくらい、一般的に知名度があるみたい。


みやこちゃんが作ってる服が、だよ?趣味は露出なんじゃないかなってくらい、肌見せてるよーな服でしか外歩かないみやこちゃんの服なんだよ。


もの珍しいってゆーのがとにかくインパクトを与えてるんだと思う。

そのインパクトって、わたしには江戸時代にレディーガガがとんでもない悩殺スタイルで来日、くらいのインパクトなんじゃないかなって、思うんだよね、これってね。

だって、デザインとかない世界だよ?

機能重視しかない異世界。

そこにデザイン重視を持ち込んだら、意外にウケがよくって評価が凄いみたいなパターンっぽく。


更に、ビックリするのはアスミさんがね……アスミさんも、みやこちゃんにデザイン提供して和服売り出してるってことね……、和服だよ和服。

なんかわたしだけ何もないみたいで、……トホホって肩を落とす。


始め、和服を作ろうとしたのはアスミさんじゃなかったんだけど、色々な事があったんだよ、そこはね。

うん、……ま、……わたしって当人じゃないし聞いただけで、詳しく知ってるわけじゃないんだけど。

アスミさん、あんな外見なのにね……そっか、……はぁ……っ!


みやこちゃんだし?ブティックってゆーと、高級なものしかなくてお客さんも金持ちじゃないと、ってゆー路線てイメージだったけど。

注文を受けて作るシステムの服よりかなり安いものもあるんだよね。

高いものだってあるよ?

給料を払わないといけない立場になってるわけだから、赤字にならない程度に、買いたい人だけ買えば?的な高級品だって作ってるみたいー……、素材は大量に余らせてるっぽいからオリハルコンだって店には並んでるもんね。


イライザも客として来るみたいだけど、ダンゼに高いものは断られるって言ってたなー、値札の付いてない服とかはやっぱりそんな反応されるっぽいお値段しちゃうんだね。


そうそう、イライザと言えば、以前よりとてもがつく程度には仲良くさせて貰ってる。

ダンゼとも、当たり障りないくらいに話すよ?

付いてくるんだもん、でもね。

なんか、もどかしいんだ。

この二人見てると、ね?


どっちの気持ちも知ってるわけだし。





培ってきた地、が凛子だけ違います。しょーがないね、……例えるなら高卒と大卒の。

2年ゲームを冒険してるか、してないかはそれくらいの差になってるてゆー!


なんとか大逆転の芽はあるのでしょーか……、って次回は全然違う話になりそうです。




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