黒翼は王様?
物凄い人混みの向こう、大通りの真ん中をきらびやかな人達が歩いてる。
ゆっくり、ゆっくりと。
時間をじっくり使って、集まった人達があげる歓声に笑って応え、包まれてる。
キャァアアアーーーッ♪
オオオォーっっっ、て。
人々の叫びが地鳴りに似た震動を作り。
張上げる声が、集団の意識が、大きな通りを手を振りながら歩いてく役人たち、飾り付き馬車に乗ったそれより位の高そうな人達を歓迎してるみたいに一層大きくなってその場を支配してく。
その場のノリって怖い。
わたしだってまるでよくわかってないのに、『わぁあああーい♪』って自然と叫んでたり。
愛那だって、アスミさんも思い思いの何かを声に出して歓声を上げてるし。
「いったれーっ!」
「ドラゴンズ、ばんざぁーいぃっーーー♪」
とかね。特に関係無いようなことだけど、今、この二人は周りの誰よりノリノリで。
あれは……興奮をあらわしてるんだろーか。
そう、なのかな?
抑え切れなくなったのか、眉を跳ね上げてぎゅっと瞳を力を込めて閉じる>Ⅴ<♪
これな表現がぴったりな顔して、持ってたタオルをぶんぶん頭の上で振り回すアスミさんに真似してすぐ、愛那もタオルっぽい長い布を振り回してる。
って、愛那が振り回してるあれ、マフラーじゃない?
この二人は楽しければその時間をいつもこんな調子で全身で表現して楽しんでる感じだし、この反応は当たり前だったか。
に、しても。
にしても、だよ……誰か知らないエルフの首に近くに居たからってだけで腕を回して跳び跳ねるアスミさんは自重しようか?
それはちょっと、ダメなんじゃない?
アスミさんにがっちり押さえられてるエルフの女の子も迷惑にしてるかって思ったら、でも無いみたいで真逆でなんかニコニコしてる。
その上、がしっとアスミさんに同じように腕を回して一緒になって跳ねてるや、ぴょんぴょんと。
お祭り、だからかもね。
普段とは違う、そんな反応でこたえてくれるのは。
「……………………////」
みやこちゃんはってゆーと、まだ特に変化は無いけど頬はリンゴみたいに赤っぽく染まってて興奮はしてるっぽいんだよね、乗りきれてないだけかも知んない。
「王様万歳!」
「サーゲートっ万歳、デュンケリオンっ万歳!」
万歳三唱がそこからもあちらからも聞こえる、もちろん対面からも上がってるんじゃないかな。
人をこれでもかってぎゅう詰めに押し込んだ体育館で大合唱してんじゃないのってくらい、万歳、万歳、万歳って周りのあちこちに反響して耳鳴りまでしてくるんだもん。
ここは大通り、外なんだよ、なのに。
歓声が止まないから高くても3階くらいの建物がずらっと並んだこの通りに声がそのまま留まってるわけでもないのに、声に声が反響しあってるのかな……難しいことは解んないな、とにかく大音量のスピーカーよりも万歳って叫ぶ人達の歓声はどれより大きな声で、物凄い音だったんだよ。
飾り付き馬車に乗った気品のありそうな人達があちこちに視線を投げ掛けながらやっぱり手を振って歓声に応えてる。
馬車の飾り付けって言っても宝石とか、金とか、銀とか、そーゆーものだと思うでしょ?
違うんだな、ここってノルンだから───宝石より高価い石がある、マナ。
それもぴんきりだってゆーことなんだけど、目の前の馬車が付けてるのは──イライザに後で聞いたんだけど、眼が飛び出る位、高値のマナで魔法シャットアウトだったり、魔法反射だったり。
物騒だね、ってその説明してくれたイライザに返したんだよね。
彼女が言うには、備えあれば憂いなしですわ。だって、さ。
ま、……そうなんだけどね?
銀っぽい装飾だって一級品のセライアを使ってるとか。
金、銀の5倍はするし、モノ自体の流通が珍しい金属、っていうことらしい。
その珍しい金属のインゴット塊で積木をしてる人もいたんですけどね?
一般的じゃない金属だって、幾万の竜狩りをしてたみやこちゃんに掛かればたちまち『有り余ってる金属』ってことになっちゃう。
竜の巣で湧く敵、湧く敵を軽ーく撃退してレベル上げしてたのにそれは当然なことかも知んない。
レベル上げに選べる敵が、竜ってだけでこの国の今のスケールを遥かに上回ってるって、解んないわけじゃないから簡単にはみやこちゃんはセライアを売ったりはしないって言ってたけど……、だからってオモチャ代わりにしなくてもいんじゃないかなー。
銀のインゴット塊だけでも珍しいってことにみやこちゃんが気付いたのは、酒場のテーブルでたまたま積木をしてたのを他の客に注目された時だったっけ。
あの時、鉄の輝きじゃないよな?銀塊がなんでそんなにあるんだよって凄く驚きの声上げられたんだよねー。
まさか、さ。
セライアとは思わなかったんじゃないのー?
銀塊ひとつで、50日何もしなくても生活に困らないって教えて貰ったから……、銀にしか目に映らなかった、そう言っていんじゃないかな。
ふぅん。
なんだー、そういうことかぁ……。
聞いてみると、あの一際目立ってる人達が昔、大きな戦争が起きる前は各部族の王だった血を継いでる末裔なんだってことなんだって、さ。
リザードマン風だったり、ヤギみたいな大きくて立派な角を生やしてたり、肌の全部がテカテカしてたり、ながーいウサギのような耳が生えてたり、とにかく色々な人種の展覧会っぽい。
そっか、各部族ってそれもまた獣人なんだもの、この光景はそう考えると至ってふつー。
な、……なんとかそうやって思い込まないとやってられないんだよー。
じわりと急に汗ばむ。
まず日本じゃ見られない、ふつーじゃない景色なんだよね……仮装行列だって、カーニバルだってまだ人間な部分はちゃんとある。
でも今、馬車から優雅にヒラヒラ手を振るリザードマンはサイズから人間とは掛け離れてるし。
身長差は1メートルは高そう、なんたって馬車が他の末裔のより特注で大きい。
リザードマン風だから、鱗こそ退化か進化かしんないけど無くなってるんだけど体型が、さ……イメージそのもののリザードマンで、ちらちら見える舌が細長くて先割れしてんの。
ああ、あれは人間には無いよ。
口の中で舌噛んじゃいそ……!
他の人たちも変わってるっちゃ、中々変わった見た目だったんだけど。
例をあげてリザードマンで、この各部族代表の人達がいかにわたしをビックリさせる姿かたちをしてたかってのを説明させて貰いました、以上!
説明終わり!
目の前にある光景、とてつもない数の人々を呼び込んで、壮大なスケールになってるこの、仰々しいパレードも元はってゆーと、国王様の公式発表を受けてのもので───
時間を少し、巻き戻して。
その公式発表がされた瞬間、わたしと愛那が二人で散歩ついでに出かける先で聞いたそのあの時間に───別にそれは特別ななにかってわけでも、デートってわけでも無いよ。
数日、図書館に通いつめてたわたしはすっかり日課になってる、起きると朝日を見上げる。
サンサンと降り注ぐ昼間の陽ざしってほどの暑さってわけじゃなくて、なんてゆーか春の日差しのよーにぽかぽかしてて、お気に入りだったりする。
陽のひかりもまだ強くなくてこの時間は柔らかい。
少し、まどろみを孕んだ気持ちをぷるぷるって振るって払い落とす。
ふわーぁ……あ、あぁ………………ん、……んんっ!
自然と開きそうになる口をぎゅっと閉じた。
あくびを噛み殺す。
しちゃったらまた眠くなっちゃうし、あくびって。
気合いで起きないと、時間に縛られないノルンの生活はだらっけそうになる、そんなわたしのよわっちい性根が悪い。
ま、それはそうなんだけど……。
そんなわたしがトイレを済ませて部屋に戻ろうとした目線の先、宿の二階と三階とをつなげる踊り場。
そこは、広い庭に置かれてそうな白いテーブルが見える。
同じように白塗りの椅子が三脚。
その内ひとつには見間違えようのない知った顔が見える。
愛那だ。
ぽやっとして、細い両手で頬を支えてテーブルに肘付き。
まだ起きてそう経ってないのかも、とにかくなんか眠そうに見えたんだよね。
そこで───
特になにをしてるわけでもなさそうに、暇そうにしてるように見えた愛那に声を掛けただけなんだ、
「たまには一緒、しよっか?」ってね。
それが───まさか、あんな事と出くわすなんてそんなのちょぴっとも思うはずないんだよー。
「うっ───」
う、ぇえええぇええぇぇーーーっっっつ!!!
驚きついでに、呼吸が止まる。
ううん、それどころじゃない──心臓が引っくり返るイメージってか、そのまま弾んで中から飛び出す、破裂してしまいそうなわたしのちっさな心臓……そんな感覚!
どくんどくん……っ!
ビックリした、そんな簡潔な短いフレーズでは伝えられないくらい、でも改めてその簡潔で最も伝わりやすい言葉で締め括るしかない、ビックリした!!!
どくんどくん、どく……っ!
予想の斜め上をいくとぽかんとして、時間がゆっくり……、または止まる感触を味わうんだってゆーけど、ホントそれっ!
どく、どくどく…………っ!
叫び声が出そうになって、でも絞り出そうにもぴたりと、酸素というか空気そのものが無くなったみたい……それに近い感覚で声が一瞬出せなくて。
目の前にある、でも届かない、そんな絶対的な無力感!
それでわたしの中の音以外、わたしに届かなくなったみたいに周りの音まで掻き消えたみたく、シーンという表現がぴったりな物凄く静かな一瞬。
ガーン!
……ガーン!
…………ガーン……!
耳元でそんな吹き出しによくあるフレーズが、ううん、耳元でなんかじゃなく耳の中で響いたそれが急速にボリュームが下がってフェードアウト、して周囲の喧騒がぐわっと戻ってきてビクッとなる。
少し、震えてる。
「うわぁーい。やっ、ちゃぁっ、たぁー、ねぇー」
声の聞こえた方に振り返ると後ろには愛那。
トレードマークで碧色の大粒の瞳が収まりの悪そうに瞼を押し上げている。その動揺は隠そうとしない、右っ、左っ!と、キョロキョロと忙しなく動いてる。
今、わたしは愛那に連れられて愛那の親しくなったとゆー、駄菓子屋のお姉さんのとこへ向かっていた。
最近の定番イベントになってた、シロイに連れられて図書館に行くのはまぁ、うん……とりあえずお休みかな。
肉のストックもあれだけあったのに……今は、減ったなー……って感想。
あれだけあったのに……………………。
大通りを避けてなるだけ、人混みのない方、けど……全く無いのもそれはそれで女の子としては心細いわけじゃん?
人並みは点々と、ぽつぽつと。
露天も立たないような小さな名も付いてないような通りを歩いていた。
「駄菓子屋っていってもアメしかないんだよね?それ、駄菓子屋ってゆーの?」
「ま。そぉー、なんだけどーっ」
そんな、特に取り上げてこれって話題も二人の間にあるわけでもなく。とりとめもない、ほんとどーでもいい場繋ぎの言葉を並び立てながら愛那と二人。
そしたら、ポロンポロンポローン♪
琴でも引いているような音が響き渡って。
町中に大音響をかき鳴らす琴の音。
ざわざわ、……なんだなんだ?
ぽつぽつと動いてた人並みも、足を止めて注目する。
これはいわゆるあれかな、ぴんぽろぱんぽろ〜〜〜市役所からお知らせです。○○から××であれしてアレなので──公的放送をお伝えしました!と、重要なそれでいて特にそれって聞く意味あるのかなって感じの定期放送。
だけど、前を歩いてたドワーフ風のカップルのざわつく感じと、なんだなんだ?
何か始まるのかっ?
て、とても住んでいる人たちに浸透しているとは思えない反応を見るに物凄く嫌な感じがした。
え、なんかあったの?
そんな、ごくふつうに以前から定期放送のお知らせを耳にしてた時と同じ反応をして。
これって、後で思うと刷り込みなんだよね。
繰り返し繰り返し行われるから勝手に体が覚えてて自然と耳がそっちを気にするように、はい!どうぞ!と、いうように準備OKを出す。
そうなるように、体が慣らされてる。
もう、習慣なんだよねー。
習慣になってるから、その──
『本日はー、国王様からー、大切なー、お言葉があります』
という、ぴんぽろぱんぽろの後に続く、耳に痛いほどの大音響がすうっと体に染み着いた習慣のように入り込んでくる。
ザワザワと周囲の喧騒が一気にボリュームアップしてく、大盛り特盛メガ盛りに段階を分けて、そんな周りの騒ぎ立てる声のボリュームが───どどわっと、はねあがった。
『ただいまー、国王様はー、新しく配下を加えた事をー、改めて表明いたしました』
ぉおおっ!?
ざわっ!
『新しくー、配下になられたー、ご幸運な方のー、陛下のー、ご尊眼にー、認められた方のー、その名はー、その名もーーー黒翼!』
ぉおおおっ?!
誰だ───それ?
ざわっ、ザワワワワ!
ざわつき始めた喧騒を一層さらに騒がしくさせる放送。
わたしたちの努力はなんだったのかな、かなーり貢献したと思うんですよ。
そりゃね、デュンケリオンに着いてから特に何か動いたりしてないんだけども。
その後に続いた放送の内容にわたしは息をすることもできなくなる程度にビックリ!
『この度ー、国王陛下がー、退位をー、表明ー!
陛下はー、昨日突如現れたー、黒翼!この強大なー、次代に破れー、退位なされることを決定なされました!』
信じられない。
その後、もう一度。
公式放送は、ええっと思わず聞き直したくなる宣言が公式に公布されたって大音量で発表しちゃって……うん、……も……ダメ……!
国王様が配下の黒翼に破れて、姿を消したとかそんな……。
いくらみやこちゃんと、言ってもそんな……事になるわけ……なるわけ……うーん……なっちゃうの?
思考が折れる。
頭ん中くるくる、ぐるぐる。
普通ならそんな事ないよねっていうとこを、みやこちゃんというキャラのカテゴリをそこに当て嵌めると自然と普通ならって事をねじ曲げちゃう、そんなイメージでも浮かんで来ちゃう。
な、何やっちゃったんだよー。
目立たない為に、シェリルじゃなくて黒翼。
その為にここに着くまで色々やってたのはずなのに……どうして、それやっちゃうかなー?
信用してないわけじゃないけど、みやこちゃんだし……というちょぴっと暗い思いはそうそう晴れないわけで。
心苦しいとこだけど、これってあれだよ……、みやこちゃんがサーゲートの国王になっちゃった。
つまり、みやこちゃんとはもう、軽々しく会えなくなっちゃうってことで……遠い存在に感じちゃうな……。
え、……そうすると……何?
もしかすると……だよ、みやこちゃん、このままノルンに居続けることを選んじゃったの………………?
そーんな風に思ってたのに、夕方近くにふらっと帰ってきた。
わたしというと、だらりとテーブル傍の椅子の背もたれに体を投げ出してズズンと、だよ?
しょげきってたのに。
わたし、これからどーなっちゃうのかなー……、みやこちゃん抜きで三人でカルガインに帰って……それで、ヘクトルとまた感動の再会をして……で、言わなきゃ……み、シェリルさんはサーゲートの…………どう思うかな、ヘクトル……なんて返してくるかな……、この場に居たらどうにかしてくれるかな………………って……え、ええっ?
そんな、どろどろとぶつけようのない暗い沈んだわたしの胸の内を知ったわけでも無いっぽい。
「びっけ、こっちのテーブルにいつもの二十ね〜♪」
そんな軽やかな、それでいて耳に凜と響く声が聞こえて頭を上げると、目の前の椅子には何よ?って顔したみやこちゃんが居たりする。
居るはずないのに。
国王になったはずの黒翼の中身の人が、みやこちゃんがわたしの目の前の椅子に座っている。
実に自然に、ふつーに、普段通りに、いつもの酒場で目の前にはみやこちゃんの姿がある。
「え……?
み、みやこちゃん?……王様を倒して王様になったはずじゃ……?」
なんか知んない。
知んないけど、じわりと汗をかく掌。
ぷるぷる震えるわたしの体。
ちなみに、愛那はってゆーと帰ってきてからは部屋に上がったきり酒場には降りてきてない。
かわりにアスミさんと、ぐーちゃんが別のテーブルで何か知んないのに大フィーバーしてる。
訳は聞かなかった。
大体がアスミさんと言えばあんな感じで、パーティー人間入ってるし。
あの輪にはわたしは今は入る気分じゃなかったし。
「あー……アレ?
倒してないわよ、決着つかず。でもそんなのはね……。それはどーでもよかったのよ、あの国王にはねー」
テーブルにちょうど置かれたばかりのジョッキの中身を確認して、ニカっと顔を豪快にほころばせながら、みやこちゃんがわたしに答えてくれた。
「…………?」
解らない。
ポカン、とした顔でみやこちゃんの顔を見る。
そんな疑問だらけなわたしの視線を感じつつ、くいっとジョッキをあおってからみやこちゃんが口を開く。
ぷはーーーっ
そんな、見るからに幸せって顔から一転して表情はきりっとした真面目な顔をして。
「シンボルとして黒翼が欲しかったってわけ!わかる!?どんな事情があるか教えないに聞かなかったもんだから知ーらない、わたしは。
でもね?息子たちに継がせるわけにはいかない!頼む、黒翼としてのシンボルを譲ってくれって言われちゃねぇ……うんって頷くしかないじゃない、そうじゃないかしらぁ?
あぁ、でも、イラつくぅー!!」
そんな、この国を根底からひっくり返ししてしまう事もあるかも知んない話を酒場で続けるってわけに行くわけない。
「ちょっと待ちい!ヤバそう〜な話してへーん?そーんな話も、気兼ねせんでええとこウチ、知ってんけどなー♪ラッキーやな、ついてるなぁ自分ら♪」
やたら浮かれたアスミさんが、わたしとみやこちゃんの間を割って顔を挟み込んでくる。
語尾が。
普段と違ってトーン高く聞こえるのがポイント。
これを浮かれてると言ってもどこもおかしくない。
180度周囲、全てから満場一致で“さっきからやたら浮かれた奴がいるな”ってアスミさんのテーブルは見られてたわけだし。
じろじろ、と。
わたしと、みやこちゃんの顔を交互に見回して、『なあなあ、今から行かへんー?』って聞いて来るから付いて歩いたってわけなんだ。
もちろん、みやこちゃんがお酒に未練がましくぐずったので説得するってひとこまが間にあったわけだけど。
みやこちゃんが愚痴っぽく口を滑らせたその内容は、とてもその場で話せる話題では無いので、アスミさんが色々やった闇の地下ギルドのアジトを使って話している。
地下ギルド?
おまけに、アジト……?
きょろきょろとわたしは見舞わしてみる。
「どっかで見た景色だー!それっぽいー」
うわぁ、コレ。
ちょっとスゴイよ、まるで何かの廃工場。
そう、ドラマの、アクションシーン挟むと大体こんなとこに場所を移すと思うけど大体そんな感じだよ。
薄暗い、埃っぽい、なんかカビ臭そうなそんな地下。
ん、イメージだとそうなんだけど埃っぽい……埃っぽくない。
カビの匂いも今は感じない。
この時は気づかなかったけど、後で気になって聞いたらやっぱり。
みやこちゃんの、魔法。
フィール、っていう周囲を浄化してくれる魔法なんだって。
生活魔法、ってカテゴリーなんだって、さ。
ふぅーん。
それって何かと便利かも。
匂いが無臭になるとか、汗をかいた時とか……トイレ後にぴったりじゃない!
覚えて損は無いから大きな通りに足を伸ばした、生活魔法・フィールの存在を聞いたその後すぐ。
アスミさん、ほくほくしていた理由が実はこれだったみたい、地下組織を壊滅させちゃったぽいの。
あぁ、ヒーローっぽい事したって浸ってるんだろーね。
そんな、なんだかよくわからない事情で国王退陣、続いて黒翼がこの国の王様になった……。
みやこちゃんはどこまでもみやこちゃんだったし、アスミさんは真っ直ぐストレートにアスミさんっていうカテゴリーを突き進んでた。
それはもう、わたしが何ていったとこで染み着いた性格が直せるか、ってことと同じ。
解としては、そんなの無理にきまってます♪
そう、答えるかなー。
実は、ひとつ前の話と前後逆になってたんです、ナンバリングしてないでしょ?
勘違い、しちゃったなー。
でも、ま、それもいっかなってね。
衝撃の事実、それは!
笹茶屋だけが気付いていた───イロイロ動くかも知んないし、動かないかも知んない。