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うーん、鬱かも知んない。
でも凛子の独白なのでフィクションです!
鬱じゃないかも知んない。
「ふぅ……」
んー……。
どれくらい時間が建ったか知んないし、時計を見てた訳じゃないから正確にはどーとか言えないと思うけど。
あれ?
さっきまでもっと明るかったような……。
パタン、と本の裏表紙を閉じる音を聞いて我にかえる。
我にかえるとゆーか、それは、気にならなかった周囲の音が耳に戻ってくる感覚。
気付けば館内の壁に開けられた窓から読書部屋?……休憩室?に差し込む陽の光が弱まっている……意外に途中から読みふけってたっぽく、読書に向かって超真面目に集中力を使ってたんだぁ、わたし。
と、思い出してメニュー画面を開く。
ここに時計あったよね?
初めてinした時だってメニュー内の時計に助けられた……ん……だか?……ら?
時計の表示がおかしい……。
時間が解らない、そこには横線が4本並んでるだけで。
まるで、まるで、……時計設定がリセットされてる携帯のウィンドウ画面を眺めてるみたい……え?嘘──
……嘘じゃないから動いてないんだぁってば……気づけ、わたし!そんくらいー……はぁー……。
「何となく……わかったような、そうじゃなくただ………………書いている事を押し付けられてるだけのような……」
率直な読みおわった感想。
人間がここまで嫌な顔されてる現状がどうして形作られてったかってゆーと……言っちゃえば、戦争に負けてからって、うん……そんな解に行き着くって……。
ああ、ファンタジーな世界でもかって、正直、酷く夢が傷つけられた、ぐずぐずに壊されちゃった……そんな気分。
まとめると、こう言う風に書かれちゃってたんだけどぉおおぉお!
書き手が獣人寄り、つまり人間に対して厳しい評価を付けられてしまうのも仕方ないのかも知んない。
それを解ってても……いい気分とは、それはとても言えない表現のされかたも多かったんですけど……。
ヨシっ!
気合いを入れて暗くなるテンションをアーップ!して無理矢理気味に持ち上げる。
さらっと書くと。
ことは50年前の人間の王国から始まる。
それはありがちな侵略。
大きな戦争と、荒廃していく豊かだった大地。
それまでにいくらか困難はありました。
だけども、獣人たちは立ち上がり結束して人間の国をやっつけました、めでたしめでたし……ってそんなお話。
お伽噺みたいに聞こえてしまうけど……そんなの、そう書かれてた風にしか取れないから文句は黎明の国って本の作者に!
作者のアドレスはこちらまで!
って、実際は下にそんなテロップは現れてはくれないんだ、”残念“……。
何が原因って、それは人間同士がまずは争ってた。
砂漠化してるのが悩みの南の方にある王国・ラミッドと、北の方に首都はあるのにデュンケリオンの辺りまでお城を構えてた、そんな勢い着いてた帝政・聖ナディア。
「それを知ってたら、聖ナディアはこの戦争、しなかったんじゃ……?」
まずは、ラミッドが聖ナディアを滅ぼすんだけど。
でも、それには裏があって……獣人たちも聖ナディアと戦ってた、と。
ラミッドと、獣人たちの両陣から執拗に削られてくナディアに、けれど、対抗する余力は無く……滅びそうになった聖ナディアは獣人たちと組んでラミッドと戦い始めるわけだけど。
周りからは勝ち舟に見えるのはどう見てもラミッドの方なので。
「……獣人たちも一度はナディアを見限っちゃうんだよ、ね……」
で、聖ナディア王国の人間たちはラミッドに良いようにされちゃう。
具体的なことは省きます、すいません……気分、悪くなりそうだもぉん、”それ“を説明するのは……。
そこまで追い込まれて、首都だか首都にあるお城だかははっきり書かれてないけど……落ちる、その間近に。
王様は重い決断をしたみたい。
「どうしてもありがちだけど、そうなる前に何も出来ないわけないと思っちゃうな。
建前上の問題って、それってプライドぉ?……そんな目に見えないもののせいで皆傷付いた、そんな歴史があったんだ……異世界なのに……っ?」
異世界での黒幕は大抵、魔王。
それじゃなかったら悪魔とか魔族とか、人間たちじゃ太刀打ち出来ない存在。
それが異世界っていうファンタジーの決まり事だと思っちゃってたのにな……決着をつけないといけないのは人間同士って、……そんなオチ、ないわー!
我慢できずにエクトプラズムみたいな呟きが洩れだす。
ホントに一緒に魂ぬけかけたかも知んないんだし、怖い怖い。
王様は獣人に降伏。
それには獣人たちからはある条件が付けられるんだけど、それを王様は飲んじゃう。
「……仲直りしなよ。いい加減、さ……」
今より酷い事は起こらないと思ったから、ラミッドの兵隊に殺されたり、酷い目に会う人がひとりでも減るのを願って、王様はどんな条件だって飲んじゃうんじゃ無いかな……。
獣人たちは、人間の態度から不当に嫌な思いをしていたからそれを逆のひっくり返した立場にしたい、とそんな条件を出して来たんだって。
「握手して、はい!仲直り!って子供の時に教わってないから、こうなっちゃうのは当然で。その仕方じゃ納得したくないってそゆことなんだ?」
んー……。
何かそんな話って、地味に身近で聞いた事が無かったっけ?
それが何かは、うーん。
忘れちゃった!
忘れちゃうくらいだから、大した事無いんじゃないかな?
「どこにでも、ある話なのかも知んない。そだね、うん。……きっと、そう」
やってる側は気付かない。
やられてる側は堪ったものじゃない。
そんな食い違いだったんじゃないかなって、わたし的には……どうして、いつも仲良くやれなかったかなって。
そんな事言っちゃっても、本能なんだよ、それは。
ってことも解っちゃうし、根は深いとゆーか。
生物なら皆が持ってる、自分達のテリトリーに入ってくる異なるものを攻撃してしまう性。
それが実情、小学生だって持ってるし……やってるんじゃないかな?
だからして、でもそんなのやられた方は受け入れられるわけない。
アッチでもコッチでもそうだから!友達のアレがああ言うんだから!お前たちを攻撃します!
なんてのは。
何て言うのが正しいのか難しいけど、そんなのは無いに超した事は無い、でもそれは意思が通った生物には無理です。
なんたって正義と悪意が同居してるんだし。
そんな訳で……人間より獣人たちは優位と言うピラミッドorカーストが建っちゃうと。
……ほんのさっきまでわたし、何の事をヒートアップしてたか忘れちゃった。
きっと、今のわたしには”どーにも出来ない事“だって解ってるのに何熱くなってんだろって気付いちゃったからかも知んない。
獣人たちはだから、そんな可哀想な聖ナディアの人たちに、人間の姿をしてるわたしを重ねて憐れみの視線を突き刺して来てたのかもね。
って、そんなのはわたし、望んで無いんですけど?
深く深〜く刺さってるよ?今も……ずぶの、ずぶっと!
こんな裏側があって、それを知っちゃったら。
「出来れば……神様、チート能力が欲しい……っ!や、無理なら──」
モールとか、ヴァンパイアとか、ありがちなエルフでもいいや!
やり直しを希望します!
リセットはどこですか?
リセットぼたんは見当たりません!
難易度高くないですか?
それより、なに……?
人間を選んだわたしが悪いの?
このファンタジーな世界はどこまでもわたしに厳しいようです……。
「──無理なら!変身スキルをっ、授けて神様……ぁっ」
虚しい……。
獣人が人間を差別する、この世界の理由がそんくらいの軽いものだってことが解ったですか?
立場が逆転。
くるっと入れ換えられた。
見下されていたシンボルはそのまま強者の証と昇華。
エルフが獣人より上なの理由はまぁ時がくれば……。