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人間やめてる、……ってよくよく考えたら獣人はマシマシで。どっちと言えば人間より溢れてるのよね

ジョシフォーヌを背に、痛い視線に見送られながら扉を開けた門の向こうは代わり映えしない通路。


出たよ出たよ、変わりがない通路なんだから……はぁ。

でも、次こそはコレよコレ、って展開を希望します……頼むよ、ホント。


ドキワクと心臓を、鼓動を跳ねさせて今度こそは!って期待する思いで一分ほど歩くと、道がスロープ状に段々と下がっていく中、地下に向かって歩かされた。


嫌でも胸が弾む。変わっていく周囲のシチュエーションに、この先に強敵が……、って。

歩く歩幅が大きく、早くなる。


ふんふん、ふ〜ん♪

き、ぃいやぁあああ〜♪


しばらく思わず歌でも歌ってしまいそうな、奇声をあげて駆け回ってしまいそうな変なテンションが続いて、目の前に現れた門に向かって思わず、


パンツァースラストです!


あ。

はい、剣握ってないので発動もエフェクトも当然のように無くって、シーンと。

虚しい、しばらく静かに虚しく時間が過ぎてく。

変なテンションだったから。


だから、おもっきり叫んでて。

そんな、変なテンションだったんだ。


「………………………………はッ!」


叫んで、そのまま握りこぶしを門に向けて固まる。

ハッと視線が門に吸い寄せられて止まった。

勿論、門に何の変化も無いよ。


ぷ、……くくくく。


いやぁ……笑うしかないわよね?皆さん。

とても、とんでもなく恥ずかしい真似をしちゃったんだもの、あーあ……。


瞬間、冷や汗がタラリと流れていったのを感じて、やっと冷静さを取り戻し次はゆっくり。

今まで通り門に触れた手に力を込める。


ゴ、ゴゴゴゴゴゴ………………。

金属同士が擦れる重い音が響いて、次の番人が中で待ってるはずの門を押し開いた。


わたしは慎重に足を踏み出す。


「む……?」


一歩目、そこは金網だった。

足元も金網なら通路も金網。

短い通路の向こうには扉がある……嫌な予感しかしてこない。


「ムムッ……」


二歩目、踏み入れてから周りを観察するようにその場で上下左右に目を動かす。


「鳥籠……、ここで闘うのか……? 次の相手は鳥でもないでしょうに」


そして、気付いた。

鳥籠。

これは、鳥籠上に鉄の柱を組み合わせて作ったバトルフィールド。


わたしのいる場所は鳥籠の一番下。

次の門は鳥籠の上部。

さっきの通路のスロープの意味はこれか、なぁるほど。

それで。


この鳥籠、肝心の鳥は居ないようだけど。

番人が鳥とか?


ふふっ、それはないわね。


「なんだあ……? 無傷であいつらは通しやがったってのかよ?」


三歩目、声は鳥籠の上の方からして来た。

ちょうど振り仰ぐかたちで天を向いて、声のしてきた方向に視線を動かすとそいつの姿が見える。


何なの───忍者か何かなの、こいつ?

鳥籠の天辺より少し下、十字を切るように鉄の棒が交差して延びている。


鳥籠を形づくる幾本の鉄の柱の隙間から確認できた。

その鉄の棒に『片足で』ぶら下がるようにわたしを見ている鳶色の双眸。


胴着というよりは普通に一般的な貫頭衣って言っていいような服を着てて、その服の上からでもわかる筋骨隆々でガチムキのがっしりしてそうな体の上に視線を戻すとニカッと剥き出しの歯を見せて笑ってて。


つまり、鎧は着てなかったりするのよ………こいつ。

動きを制限されないようにって事なんでしょうよ、その考えはよーく解るけど。


なるほ……なるほど、武術の達人なのかもね。

白い布地以外何も付けてないこのガチムキが次の相手なんだ……。


北欧に住んでいる人のような肌色、というよりは白が勝った肌から血管が浮き出るような筋肉に目がいきがちだったけど、顔から上に視線を変えると金色の髪をオールバックに後ろに流し、数本の髪の束が並んで垂れていた。


筋肉だけ注目してみてると何と無く格闘ゲーの何かのキャラみたい。


自信ありげなギラギラ、爛々と輝く瞳とか、人体を越えた足の握力とか……そう、よーく瞳を凝らして目に集中させて視界をズームさせるスキル・狙射眼スカッドで見ると、足の指全部で吸い付くように鉄の棒を握っている。




人間やめてる………て、もともと獣人なんだけども。

………………それでも異常よ、重力を無視したみたいに。

憎らしいのが、何も無理なんてしてないって思わせるあの余裕の表情。

地に足がついてないんだから常識なら、全身の体重を足の指だけで支えているって事になるのかしら。


と、いうことは。


棒を掴む、足の指が相当鍛えられてるってことで──。


スカッドを使うと、視界をズームさせてくれて遠くの小さくて見えなかった標的が見えるようになる、かわりにズームさせた視界の周囲はぼやけて見え辛い。

目が疲れると言うのが正しいかもね、これって。


このスキルを使いにくい所がそこにある。


モンスターが居るとこでまたはモンスターに囲まれてる状態で、視界が制限される上に瞳が乾いたみたいに痛くなる副作用。

そうまるで、長時間PCの前で作業をしてたってくらいに。


ゲームの時にはそんな事は有り得ない追加効果なんだけども。

はっきりいってこのマイナス効果は要らないんだけども……。


「………………奴等は骨が無かったようだな」


じっくりと見続けた観察も終わり、そう言えばと思ってから声のした方に返事をすると。


ガチャンッ!と、言う金属の鳥籠の枠組みを蹴った音が聞こえ、


「言っておくが、俺はあいつらとは違うぞ───」


その勢いで引き延ばしたゴムの片端のように、ガチムキが目の前まで飛び降りてきて腕を伸ばし掴み掛かってくる所だった。その瞬間。


「何が、かな?」


わたしの視界は歪んで見えた。

それも当然のことよね。

一体、その受け答えの何が気にくわなかったのか解らないわたしは。


視界からガチムキが消えたからズームさせていたスキル、スカッドを即解除して視界をリセット。



えぁああああぁああああっ!


気合い一閃。

反射的に左に体半身を沈ませそのまま、勢いを殺さずに右足の足の甲はガチムキの頬を蹴飛ばす。

迎撃できた………………はずだった、明らか。

当たった感覚はあった。


頭の中で計算したイメージ通りなら、弧を描くようにしてわたしの右足は確かにガチムキの頬の辺りを捉えたはず、なのに。


自己採点でも9.9999ってこれ以上無い完璧な半月。

それを躱さず、手で受けた。弾いたんだ。


「なに…? 直撃はしないか。あれを防ぐとはなっ」


蹴りは決まらなかったみたい。

けど、


「?───はぁっ」


鋭い蹴りを見せつけられて思惑が違ったみたいで、後ろに低い起動の蜻蛉返りで弧を描くようにぴょんぴょん跳んで距離を取るガチムキ。

地面を蹴りながら声にならない叫びが思わず喉から溢れる。


「この……、舐めた口叩きやがってよ。俺を今までのと一緒にすんなよ?

一緒にしてると、……この先には何があろうといけねえかんな!!」


空打ってと風切り音を上げただけだったけど、わたしが追撃で左の蹴りをもう一発放ったから、それに気付いて変な声を出したんでしょうね。


右足を軸にぐるりと腰を回転させて左の後ろ回し蹴り。

回転させて威力を増し、体重を乗せた。

ビュンと風を切る音が響く。

当たれば骨がグラつくくらいのダメージを与えたとは思ったけど。


「フッ、見えてないはずだと思ったんだがな。こいつまで躱すとは」


「こっちこそ。やるじゃーねえの、お前。先の奴等が無傷で通したのも納得……つっても俺はな、奴等とは違うんだってーのっ」



更新停止が、停滞が長引いてすいません、週一くらいはあげていけたらな……と、頑張ります。


マンガ読んだり、ラノベ読んだり、アニメぶっ続けで見たり、……しなければ可能なスケジュールーのはず。

しばらくは。

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