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守るも攻めるもその意気や良し! ザコは雑魚だと認めてから成長できる、そうは思わない?


「ぐぅっ……!」


唸ったジョシフォーヌは一瞬、停止ボタンを押したみたいに止まった後、痛いはずのを堪えてわたし目掛け真横に剣を線引くみたいに振り抜く。


堪える元気があるなら考えて、感じて切り込んでくればいいのに。


実力差を感じたなら、まずは距離を取って様子を見るものでしょう?

本能だって働かせないと勿体無いわよ。


「狙いはいい! だがっ───」


また一つ覚えみたいに魔法を剣の刃に帯びさせてたのね、宵闇のマントがそれに反応してゾ……って動いているのを感じた。


「無駄な足掻きだっ! ふふふっ我はすでに貴様の動きを見切っているぞっ」


それを見てとんぼ返りのように宙で身を捻り、弧を描いてわたしは後ろの空間に跳ぶ。

ついでにハッタリを噛ましてやるの。これまで以上に不敵な表情で。


で、跳んだ先にまたダダダッと距離を詰めてきたジョシフォーヌは、


「当たれっ、当たりさえすればーっ! 俺の魔導双剣が負けるはずなどないのだー!! 見切っただと?有り得ん、有り得ん有り得んーっ」


ハッタリに動揺したのか焦ったみたいに取り乱して火が着いたみたいに何度も両手に握った剣を振り上げ、振り下ろす。


それだけの作業をするオモチャみたいになっちゃった。


「◆⊿※☆っっっ!」


気合いを込めてるのか、よく解らない意味の無い言葉の羅列を叫びながら。


うーん……不完全燃焼。


「あは、あはははははははは……………………! 見切ったと言っただろう? 我の肌にお前の剣が届く事は無いっ」


ジョシフォーヌが縦に切り込んでくるなら身を捻って躱し、体スレスレのとこに剣風がぶうんと巻き起こるけどね。それでも危なげ無く空を斬っただけでノーダメ。


一歩踏み込んで重い一撃を狙ってくるなら真横に一歩跳んで躱し、先までわたしの居た床を、地面を重い衝撃音を響かせて双剣が叩く。


そんな感じで首を振って袈裟斬り気味に下りてくる白刃をその逆方向に躱し……、まあ見切ってしまってそんな感じの連続でわたしが躱して、躱し捲ってるだけで──ジョシフォーヌは伸びちゃった、つまんない……。





ハァハァ……………………。

息切れをして動くのも辛そうなジョシフォーヌ。

そんな全身鎧姿に目を落としながら、


ザコだったなぁ。


本心からそう思った。

剣は思い切りしつこく振り続けてたけど、敵わないのわかってるならそうする事って賢く無いなー。


体力は温存すべき。

まぁ……、命のやり取りにならないって逃げ道があるから、限界を越えてでも抗おうってのが伝わって来たみたいなとこあったけども。

引き際を知るべきじゃないかなと。





がちゃりと金属同士がぶつかるようなそんな音がして、俯いてた青銅色の全身鎧のヘルムが持ち上がり、バイザーの奥から恨みがましく呪っているかのような暗いオーラを帯びた、凍り付くような冷たくわたしを睨みつけてくる視線を感じて。


うっ、と声にならない気迫に()され。

訳が解らないまま一歩下がる。


暗い暗い憎々しげなオーラがそこから漏れて、聞こえてくるのは呪詛のような念仏にも似た意味不明な言葉の羅列。

まるで渦を巻いて全身にまとわり付いてくるのが映像として浮かぶ、それはわたしの自由を奪うみたいに。


ジョシフォーヌだっけ、そんなに悔しいんなら──もっと付き合ってあげるわよ?

結果は見えてるけど───。


「………………」


魔法が全てってわけじゃないみたいだけど、魔法に頼った戦い方をする以上、宵闇のマントにはジョシフォーヌの魔導双剣では絶対勝てないんだもの。


「そう、……一つ言うなら。エンチャントをがんばりましょう、だ」


「はいはい……」


そのままマントを翻して床に跪いたままのジョシフォーヌに背を向けて歩きながら、そんな思い付いたような助言にもならない言葉を、全身鎧乙女ちゃんに残して門に向かっていくわたしの背中にジョシフォーヌの力の抜けた声が返ってきた。




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