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協力を試みてみた僕ら



ダグの後にナビの中でも仲の良いフローブがあっさり、こてんとステージ上で倒された所で僕は隣に座ったトッジを見る。


そこで僕の、トッジの、二人の瞳が合って静かに頷くトッジ、それを見て勿論、僕だって頷き返す。


「「次こそ僕らがっ……。お姉ちゃんを倒すっ!」」


その場でトッジと二人で思わず叫んでいた。

そしたらもう止まらない。

その後は自然に軽くなった足が動く。


観客席からステージとは低い塀で隔てられてるだけだったから、しゃがんで跳び上がる。


畳んだ足をバネみたいに伸ばして。

そして、気づいたら僕とトッジの二人は頭に?マークしか浮かばない、名前もまだ知らないお姉ちゃんを何とかして倒したい一心でステージの上に居た。


絶対倒す、倒してやる。

ここでナビに初めて来たばかりのぽやーとした冒険者にも見えない、ただの商人の娘にしか見えない、そんなお姉ちゃんにだよ?

ナビの誰だって勝てないなんて事になったら、ナビで毎日、修行してる皆の……、僕のナビに懸けた月日が何でも無かったみたいになる、そんなのは我慢できない。


僕は全身の血が燃えるみたいに熱くなって、どうにも押さえが効かなくなってて。

一人で倒せないなら、二人で───そう、……思ったからだったかも知れない。




「トッジ、回り込めっ! いくぞ、うぉおおおっ!」


「ようし、二人同時でしかけるぞっ」


迷いが無いなんて言ったら嘘になる。

勝てるって決まったわけじゃない、一人よりは勝ち目があるってだけ。


トッジがお姉ちゃんの背中を取り、僕が正面から仕掛ける。


「うーん、次は二人がかり? いいよ。わたし、それくらいじゃあ……なんて事になんないと思う、しっ」


挟み込んだけど、お姉ちゃんは全く焦ってる風に見え無くて表情は貼り付いたシールみたいに特に変わらないまま、微笑んでるまま。







余裕かよ──!







こっちが有利になったのに。

お姉ちゃんの瞳は前後を挟んだ僕とトッジ二人、同時に映す事はないのに。

一人を見ていたら、もう一人は隙だらけのお姉ちゃんを相手に出来るってゆうのに。

───結果。



背中を取ってたトッジが振り上げたマテラシをお姉ちゃんに打ち付けた瞬間、あっさり振り切られて、


「なっ!? 速いっ、どこ行ったー?」


「トッジ、横だっ! 屈めっ」


「お、……ひぃっ!」


僕の声に反応したトッジの頭目掛けて、横凪ぎにお姉ちゃんが振るったマテラシが鋭く通りすぎていく。

屈んでなかったら、トッジは完全にアウトだった。


トッジは悔しそうな表情でキッとお姉ちゃんを睨んでから、思い出したみたいにクルッと前転してその場を離れたんだ。


その後は二度と背中をトッジ一人の攻めじゃ取れなくなった。


「フローブ、来いっ! やるぞっ、お前が必要なんだ」


二人でもお姉ちゃんに全く敵わない悔しさに、僕まで熱くなって咄嗟に叫んでいた。

自然に思わず力の隠った視線を観客の一人に定めて、声に出して呼んでいた。

ナビでも特別仲の良い友達の名を。

二人の動きは見切れても、せめてもう一人居たら……隙を作れるんじゃないか?


「よっ、よおし。トッジ、ササミン! 三人ならやれるぜ、俺達ならな!」


何が起こったかわからずに数コンマ、ぽかんとしていたフローブ。


それが正気を取り戻すと、一気に熱の籠った叫びを口に出してステージに飛び上がって来た。

誰だって、負けっぱなしで居られないんだ。


だけどもう、トッジと僕の二人じゃ隙を誘ってもお姉ちゃんは乗ってこない。


「あ、いてっ!」


僕がやられて。


「うわっ」


トッジもやられて。


「チクショーっ! うわぁあああぁあああっ!」


そう言ってマテラシを振り上げてお姉ちゃんに向かっていく、フローブ。

一人じゃいいとこなしであっさり負けちゃう癖にだ。


僕は足を払われて転がされた後、トッジの声のした方を向くと額にマテラシを打ち付けられてて、フローブは踏み込んだとこを半身で躱わされた上で勢い付いたまま、お姉ちゃんに背中を押されてステージから落とされる。



三人でも……勝てない……。





非常に間が開いちゃってゴメンナサイ。

手が手が………………冷たいの。

だから、どーもおフトンに入って即寝ちゃう……あはは……。

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