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朝、曇天。外はこんなに澄み渡っているのに、僕の内はジメジメ雨模様

唐突だけど僕の名は、ササミンゴ。

髪の色は濃い茶がかった金髪をしていて、瞳の色はエメラルド・グリーン、歳は十と、もうすぐ末日だから歳を取るから十一歳と言っても間違いって事もない、かも知れないけど。


十と一つの僕の身長はいわゆる普通。

周りよりものすごく高いわけでも低いって程でもない、ほら普通だろ?








今日は朝早くに家を出て、たまたま馬車で乗り合わせたオディナルドさんと軽く会釈をしてお互い挨拶を交わした、『おはよう』って。


馬車は中央市街で乗り替えを済ませて、リオグリス区に着いたらもう一度乗り替える。

その間、勿論オディナルドさんと顔を付き合わせる、事になるわけで。


なんか色々ダメ出しされた、思い出すのも嫌になるくらいにね。


『腕の振りが甘い、もっと自由に動けるはずだ。相手を観察しろ、相手を動かせ、コントロールするんだ。フェイントを使え、敵を騙せ。動かしたい先へ敵を誘導するんだ、何も難しいことなんかじゃない。出来ない自分を想像するな、出来る事だけをイメージしろ。それは、とても大切な自信になる。いいか?』


って、獣人の子だって言ってもまだ充分僕は子供です、もう少し長〜い目で見てください。

ホント、頼むよ?


『今のままじゃ獣化アニミテイジしても力を持て余すぞ。もう無理だっ、やめてくれ……ってくらいに自分を追い込む、その先にはササミンの知らない自分がいるはずだ。まあ、それはアイゾの言ってた言葉をそのまま使って聞かせただけで俺だってそこまでは出来ない。先のステージなんて見えてこないんだけどな』


話長いな、相変わらず。

僕の事をササミンって呼ぶ、オディナルドさんはいつもこんなで、……僕の、僕らの気の良い兄貴分って立ち位置。


容姿を言うなら、まあなんだ、細い体に筋肉の鎧を被せたみたいな感じで。

それに青白い髪を乗っけて褐色の肌には修練で絞り上げられた脂の無い筋肉があるべき場所にあるべき量が備えられてる、とか。

これぜ〜んぶオディナルドさんが自慢してた言葉なんだけど。

違うか、それでも後半だけは間違った事は言ってない。

オディナルドさんの自慢で褒めちぎってた、オディナルドさん自身の鋼に優り、血と筋肉が型造る、しなやかな芸術品みたいな肉体、なんだってさ。






荷台にしっかりと備え付けられた、長椅子に隣り合って座っている僕らはいつも通りに、いつもと変わらない朝の風景を見ていた。


「いやー。僕もオディナルドさんみたいに凄い体になりたいですー」


「ふふふ。そう、か。そうだよな、ふふん。修練をサボらなきゃいいだけだぞ」


「サボったりしてないですー。自主練ですよー」


荷台を分厚い板で囲っただけの客席は、それでもそれなりにいつものように客が座っている。

僕らだって客に変わりない。


「あれを自主練というんだったら、……楽して強くなれるな? 屋台で肉串を買ってたのを見たぞ」


「ですよねー。バレてますよねー」


「そりゃそーだ。帰り道は同じなんだ、来る道だって同じだろ。それにな、サボるのは何もお前らが初めてじゃないしな」


「ってゆーと?」


「俺だって。そう、一度俺達も通った道だからな。(ニヤリ)サボるのは構わん、バレるよーなサボり方はするな。頑張ってる者があれを見たら不愉快だと思わないか?」


「えへへ。……努力します」


「サボりに努力できるんなら、修練にその努力を回せるんじゃないか?」


「…………」


板には簡単な窓が空いていて外の景色が見えた。

青い、相変わらず蒼い空。その空にポツリポツリ浮かぶ小さな雲。

オディナルドさんが僕を追い詰め様として追い詰める訳じゃないのわかるけど、痛い。

鋭い棘みたいにチクチク刺さる、しかもその棘にはなかなか抜けない様に食い込む小さな牙まで生えてた。

サボるな……かぁ、求める目標が高過ぎると気づいて休憩してるだけ。

息抜き、息抜き。

そんな気持ちに気づいてくれないかなー。


今すぐに雨なんか降りそうもない快晴と言っても間違いじゃないか、暑くなるのは嫌だから昼前には曇ってくれると嬉しいんだけど、そう上手く天気が思い通りにいってくれるわけじゃないからって、肺に溜まった溜め息を一息に吐き出す。

『ハァーアアアア……』


静かに馬車が次に止まった先はリオグリス区の中央、アニミ宮やデュンケリオン城のあるエリア。


「よっ、と」


馬車の代金は先払いしているからここまで来て、城の門の前の大きな通りに着いたのが分かれば降りるだけ。




って、……なんで朝の事を今───思い出してるんだろ?





門の前の通りを西に十分も歩けばアニミ宮が見えてくる。

このアニミ宮を目印にぐるっと裏手に廻ればそこには広大な敷地を割いて、国王様が国の強化のために用意したダンジョンが広がっている。

そのダンジョンの名は修練の門。


僕もオディナルドさんも目的地はここ修練の門……、じゃなくてその更に手前に建てられた、人が五百人くらい軽く入る大きな建物なんだ。

僕は王都の修練所・ナビコースに通う練習生の一人。

そう、この全体的に白い建物は、ここは修練所。

ナビコース、簡単に言えば修練の門に挑戦する前に準備する為の鍛練を初心者が積んでいるとこなんだ。


うーん、オディナルドさんが言ってる事は耳が痛いです。


もっと頑張れるはず、指が動かない、動こうとしないのは思い込みで、かじかんでいようがいまいがやれないと思い込んだイメージを頭の中で浮かべてたらそんなの絶対動くわけないんだから、それってエタる一歩手前……。


九月に書いたプロットなんだよ、今何月だよ?


全然進んでない、もうカルガイン編も終わって次に行く、行ってるはずだったのに……どして、こうなった?

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