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京ちゃんは成金。だけど、ボッタくられるのは嫌みたい




わたしは、門の前で今の今まで大人しくしゃがんで待っててくれた、シロイにオーク肉をあげて……寝てたんじゃない、待っててくれたんだよね? っとみんなの待つ宿に帰還。


だんだん、だんだんと辺りは暗くなっていったけど、見覚えのある景色を、記憶頼りに、手繰り手繰りでなんとか宿に迷わずに帰れて一安心。


わたし、方向音痴って訳じゃないもんね。


だよね……、初めてのとこだったから行き先がわからないだけで、行き先さえハッキリ解ってて道も見覚えがあれば迷子にはならない……はずなんだけど。


第4東大通りの一角、大通りって言うだけあって馬車だって並んで片側二台ずつ行き交えるくらいの広さが有ったりする、そんな第4東大通りで割りと人の入りのいい、路地に面した交差点に建つ《雪豹の恵み亭》、ここは一階はホール付きの明るくて賑やかで、昼から騒いでる酔っ払いまで居るような大きな酒場もあって、その上の二、三階は宿になっててわたし達は三階に一つずつ部屋を取った。

今日の取り合えずの寝場所。

と、思ってたら。

どーやら、


「そう、そーなのよ」


「えー、街の中心部ってそんなにするの?」


「よそ者を居着かせない為、とか言ってるけど? 素性がちゃんとしてたら、こっちの値段。見てよ、コレ」


「え、ええーっ!」


最初に京ちゃんに見せられたのは、街の中心部の宿と一食辺りの値段が走り書きされたメモ。

ロビーのとこに居た、宿のオーナーから話を聞いてこのメモを受け取ったらしいんだけど、わたしが引き気味に京ちゃんに同意したのを見た後で更にもう一枚のメモをぴらっと鼻先に突きつけられちゃう。


「…………わ……っ」


メモを見比べると……十倍以上の値段。

宿に泊まるのだったり、一食を宿で食べるのだったり、つまり。

それが、ね。

十分の一くらいに値段が下がるって事なのかな……素性がちゃんとしてるってだけで、そんなに変わってきちゃうのかー。


食事は屋台で済ませればいいけど、泊まるとこが確保出来ないと街の中心部で野宿って事になるわけで。


それはそれで楽しいかも知れないけれど……、愛那にモンスター肉とか、魔獣肉でバーベキューして貰ったり、拾った手頃な石を積んで石窯を作ったりして、豪快に地面に串を差して肉を焼いたり……とか。


地図上には街の中心部で有りながら、何にも無い区域も有るんだよね。

ナーデル区。


魔法の研究所があるだけで、広い区域に枝道の一つ通ってなくて見る限り、ここって人の住んでる感じじゃなくて、うーん。

あるがままの野山が広がっているみたいな、そんな印象を受けたんだよね。


イライザ様のお父さん、……この国を治めてる王様の居る(?)アニミ宮とか、デュンケリオン城の立ってるリオグリス区から、ちょっとブロック二つぶん離れただけなのに。


それはそーと、……日本で言う所の身分証明的なものなのかな?

『素性がちゃんと』してるって言うことは。


それはきっとゴロツキ……じゃなくて、よそ者を居着けさせない為?

宿を高くすればするだけ、素性がわからないよそ者は寄り付きづらいだろうし、防衛策をしっかりさせてるだけって事なんだろうけど、デュンケリオンって街を守る為……そんな勝手な。

京ちゃんの凍り付くような笑顔を横目に、そんな事を考えてるわたし。


「でしょー? おかしくて、ふふ。なんでかなー、でもー、怒りとか湧かないわ。逆に、なんかおかしい、……うふふ」


「え、けど……その顔……って」


「ん? 何か付いてる? ん、ふふ」


「ううん。何でも、ない」


京ちゃんが敵を見付けた時のあの、いつもの嫣然とした周囲を魅了する笑顔じゃんか。

それを見たら、わたしだって察しちゃうよ、そっち方面に向かって楽しんでて、おかしくて微笑んでるんだって。






それよりちょっと前。

宿に着いたからシロイを裏庭に連れていって、


「夕食なにかなー、おなかすいたよぉー」


取り敢えずごはん、ごはん、って部屋にやっと向かってたそんなわたしの腕を、階段の上から歩いて来た赤い何かががっしりと掴んで、引き摺る様にロビーを抜けて酒場にまで連れて来られた。


途中、気付いたけどその赤い何かはドレスアップした京ちゃんで。

……そんなのまであったんだ?


「それ、ガチャ?」


「うん」


「課金ガチャ?」


「うんっ」


今、京ちゃんの全身を包んでるのは腰から足元までスリットが入った、真紅のチャイナ風ロングドレス。


ふつーにチャイナドレスかも知れないけど。

よーく見てるとやっぱり見事な鷹や、虎の動物を表した細かい刺繍がドレス全身に入ってるのとかを見ると。


「さすが課金ガチャの装備。……凝ってるねー」


「そんなことはどーでもいいの。ちょっと聞いてよ」


「あ。うんうん、なぁに? お酒でも飲みきっちゃったとか?」


「……そーゆーノリじゃないの、今そんな空気じゃないってわかんないかなー、わ・た・し・の態度でっ!」









京ちゃんが言うことをわたしなりに解るように纏めると、


「宿は泊まらせるつもり、無いんでしょ」


デュンケリオンの街の中央に向かうに連れて宿の料金も上がるし、


「お酒だって、瓶ボトル一本がこっちで酒樽買うのと替わらない。ボッタクリなのよ」


京ちゃんが飲んでるだけだけど京ちゃんには欠かせない酒代、


「食堂は……ね、高い金払えば食べれなくは無いみたいなのよ。 良いレストランには身分証明出来ないと入れてもくれなくて……門前払いだとか、それで……その上で、ド高い金払わないとスープ一杯食べれないみたいなのよね」


それに宿もそうだけどレストランとか、食堂で払う一食分の食事代なんか何から何まで、


「金は腐らせてるし、売れば金に困らないだけのアイテムだって。……でもね? こんなの、こうなったらもう、お金だけの問題じゃないのよ! 気分、気持ちの問題。ボッタくられるの分かってて中央になんて行きたくないわよってコト」


東大通りの今居るこの辺りとは、まるで違う値段になるみたい。







なるほど。

一方的に話して聞かしてくれた京ちゃんの言葉を胸に刻む、脳に焼き付いて食いこむように脳内で刺さる。

言葉のひとつひとつ、良く噛み砕いて、頭の中で整理して。


「ボッタくられるっ……て。……相当ボッタくられるの嫌なんだ?」


一言だけ言い返して、理解しちゃった。

住んでる人間が優先されて他所から来た旅人とか、決まった住居を持たない冒険者なんかは、門周辺の辺りを転々と拠点にしてデュンケリオンを巡るのか……。


「デュンケリオンって。広いよねー、東から西まで直球で行っても一日掛かるのにー。馬車だって乗り継いでも……全部廻ってたりしたら、それって何の罰ゲームってカンジ? あはは……」


ちょっと酷いと思うけど、すでに住んでる人間からしたら、やっぱり余所者って嫌だろーし、安心出来ないだろうし。

そもそも胡散臭いかなー。

酷いとは思うけど決まり、なんだもんね。

思わず、声に出ちゃったや。

染み出しちゃった、漏れだしちゃった、溢れる思いが。


「そーゆーことならぁー、しょーがないー」


うん、頷いた。

ちょっと笑って。


「ここ。わたしは悪くないと思うし、まいっか」


しばらく、この雪豹の恵み亭が拠点でデュンケリオンを楽しむ事にしよう。










久々です、忘れられてたかも知れないけど、お久しぶり。

更新できました、忙しくて毎日一日が短く感じるって言うのもあるけど、やっぱり。


………………指が。

冷たくて。

かじかんで。

キー打ち間違いとか。

そもそも動かない。

そんな、指の問題が多大な影響を受けて久々の更新となったわけ。


最近、そこそこ寒くないし……。

けど、……お布団LOVE。

なので、睡眠時間が夏よりだいぶ増えてる気……、ううん、確実に確定で増えてるんだけど。

携帯をお布団に持ち込めなくなってる時点で、更新速度は落ちちゃうわけで。


あと、詐欺じゃないけど”一円詐欺“。

アマのあれですよ、送料で結局、結果高い買い物になっちゃうってアレに見事嵌まって、ずーっと見てたり。

アレも、コレも、それもって。


あんなのブコフの方が遥かに安いですよねー。





ああ、それにアニメ観たいからで。



ではっ

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