沸き上がる疑問
デュンケリオンの昼にはまだ早い時間。
ぐーちゃんと愛那と、無事再会した。
泊まっていた宿の一階はロビー……といってもカウンターと廊下だけで殆どの敷地面積を別の用途に使って別料金を稼いでいる、つまり、この雪豹の恵み亭は宿だけをしてる訳じゃ無かったんだよね、京ちゃんにとっては宿の料金よりもどっちかってゆーとコレがある事でこの宿が気に入ったってカンジ。
そうなんだ、雪豹の恵み亭の一階は全フロアーがかなり大きめな酒場になっていて、しかも夜遅くに閉まって朝にはもう開いててモーニング・アルコール何てメニューもあるくらい。
少量のアルコールとコッペパンみたいな焼き物・バケットと重くない程度の料理のセット……なんだけど、京ちゃんは勿論そんな半端なお酒に満足しないし、わたしは好き好んで飲みたく無いから関係無かったり。
わたしは昼くらいまで寝てたかったのに、朝からわたしの隣には京ちゃんが寝てたりしてね、何故かって程珍しくもない事だけど寝てられないって、危機を感じるの。
全身からまるでオーラみたいに。
だから、わたしは京ちゃんに連れられてまだ昼にもなって無いのに酒場が経営する宿なのか、宿の経営する酒場なのか、その両方だったりするかも知れない雪豹の恵み亭の人気の余りない、昨日の喧騒が嘘みたいに静かな酒場の隅のテーブルに二人で座って、わたしはバケットとミルクで朝食、京ちゃんは勿論ってくらいに当然に朝から空のボトルをテーブルの上に並べながら、それでも『こんなの、まだ朝食でしょ?』って言い張ってるとこだった。
そんな時、何処からかぐーちゃんが現れて。
その後ろには愛那が。
しばらく無事の再会を喜び合っていたら、アスミさんが気だるそうに部屋から降りてきて。
どうしてか、京ちゃんが言い出したアスミさんの歓迎会を兼ねた、ぐーちゃんと愛那の二人との再会を祝う会が始まったんだ……でもコレ、そんなの建て前でただ京ちゃんが騒いで楽しく飲みたいだけって何と無く解ってた。
解ってはいたんだけど。
……オモチャにされるわたし、暴君・京ちゃん、調子に乗ってやりたい放題の愛那、そんなの見えてませんって風に黙々と料理にがっつく、ぐーちゃんとアスミさん。
テーブルにずらっと並べられた料理を食べるだけ食べて、満足したらアスミさんはさっさとどっか行っちゃうし、ぐーちゃんはわたしが二人から何されても助けてくれないし、あのさ? わたしだけ悲惨じゃない?
ダイジェスト的な回想おしまいっ!
「それは──」
酒場のホールの床の上。
わたしはわたしの上に乗った形で跨がった愛那の抵抗を受けながらも、なんとかそこから抜け出そうと愛那の気を逸らそうと会話を続けてもがいてる。
そうしてると愛那がこの世界の竜の不思議を語り出したので、さっきの抵抗が嘘みたいに楽々と、愛那の下から這い出して抜け出せた、やったね!
抜け出してからも愛那は跨がった形のまま竜について話続けてる、でもわたしは全くそっちの知識が無いからまるで呪文でも唱えられてるみたい。
今、愛那が喋ってる事をどうにか記憶する。
それをわたしが理解するにはそう、図書館に行ってこの世界についての本を何冊か読まないと難しいかもしれないかな。
「──ってーワケ。解る?」
「「なるほど。」」
思わず京ちゃんとハモった。
全て愛那が言ってる事が解ったみたいで手拍子を打って答えた京ちゃんに、わたしはと言うと対照的に解ったふりをしてただけだから『ん?』と首を傾げて苦笑いしてたんだけど、……ね。
その後。
ぐーちゃんが飛んでったのを見送って──
翼も無いのに、飛べちゃうようになってたのも吃驚だけど──
昨日まで、ぐーちゃんも愛那もフィッド村に居たんだって。
何日か前にこの街の近くまで来て、それからフィッド村でわたし達を探したり、子供達と遊んだり、子供達とはしゃいでエンジョイしてた──
どんだけチートなのよ?
シロイの足でも、あちこち寄り道したって言っても七日間掛かってデュンケリオンに着いたのに。
それはそうと、わたし達より子供達とエンジョイしてる絵の方が楽しそうなのは何でかな?
愛那からまだまだ、子供の無邪気さが抜けれてないから?
ぐーちゃんが人間世界に馴れてなくて、まるで小さい子供みたいな精神だったりするから?
わたし達とか、なんてーかさ。
……、ゲーテ達と別れて……実際は逃げてきたんだけど、少しでも長居してたら英雄にされちゃいそうだったから、みやこちゃん。
そんなだったのに、1日掛からずに村からデュンケリオンまで飛べちゃうって。
ジェットエンジンでも積んで飛んでるんだろーか?
噴射式○ー○ヤとかで地球をぐるっと一周出来ちゃう○○ル○ー○でもそんなに早く翔べないと思うんだけど・・・。
更にその後。
わたしは。
まだお昼だしなってコトで、愛那が喋ってる事を頭で覚えてる内にって図書館に向かったんだけど……。
何処かでシロイが道を間違えて迷子になった先で、大人しく大通り探そうって出た先が。
なんと……