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黒翼とその一行、ダベる。




10日、たった10日離れればなれで会えてないだけなのに。


んと、話を戻すと。

今わたしと、京ちゃん、それにアスミさんは三人を乗せたシャダイアス、シロイの背に揺られながら目的地に到着した。


それは村に居る間に、ジャンケンで決まったんだったりする。


わたし、カルガインに帰る。

京ちゃん、メサイアの事があるし、一度デュンケリオンに行く。

アスミさん、一週間くらい村に残って近くを観光。


あの時の事をまとめるとそんなカンジで、結果。

そのまま周りを見てもらったら解るけど、ここはカルガインじゃないからわたしは負け、フィッド村にはとてもこんな立派過ぎる防壁は無いからアスミさんも負けて、ジャンケンに勝ったのは京ちゃん。

そんな大事なコトをジャンケンで決める辺り、京ちゃん含めわたし達の子供っぽさが解る。


話し合いだと決まらないし、多数決を取っても3人だとお互いの意見を曲げないから先に進まなかったり、ね。

不毛な話し合いは昼から夕食を跨がって寝る直前まで続いたんだよ・・・。


わたし達の今居るのは、サーゲート王国首都・デュンケリオンの東の端の通用門らしい。

そう、わたし達の目的地はデュンケリオン。


メサイアが、愛那の居たギルドのギルマスであるメサイアの事が心配って割りには、デュンケリオンが近付くと整った凛々しい顔が、緩んだにやけ顔に段々変わってちょっと怖かったりしたんだー、京ちゃんてば。


メサイアの事だけじゃない、他にも別に目的があったからデュンケリオンにきたんだって、その顔見ただけで解っちゃう。


ワクワクしてる時の、待ち遠しいって婀娜っぽい含みのある笑顔。じぃっと見てるわたしの視線なんかには気付かないのか、きゅっと閉じた唇に舌をちろりと這わせて何かを期待してる時の仕草。

何かまでは聞いてもはぐらかされると思うから、解らないけどメサイアの心配とか頭の隅に追いやってるよ、絶対。


そんなとりとめもなく長く広い思考の海を漂っていると、シロイがもう待てないって嘴でわたしの頬をつついてくる。

ごめん、って手を合わせてからメニュー画面から肉塊を取り出し、つまみ上げて白いシャダイアスの前にぶら下げる。


「シロイ、はい。偉かったね、お疲れ♪」


すると、待ってました〜と聴こえてくるみたいにはしゃぐ様に肉塊に飛び付いて、嘴で頭上に放り上げたらシロイが大きく口を開けてそこに肉塊が落ちてくる。


肉塊はそこそこ大きい。

それを一飲み。

呆れる食欲だよね、でもそれだけコキ使ってるってことでそ。

感謝して肉塊をもう1つ。

それをフルフェイスの上から、両頬に両の掌を当てて黙ったまま見ていた京ちゃんが口を開く。


「すーっかり、慣れちゃったわねー?コイツが喋るのも。」


そう言うとガポっと聞き慣れない音を立てて、京ちゃんはフルフェイスを脱いで外し、バサッ!


長くて艶のある黒髪を振り乱し、サラサラとそよ風に遊ばせる。

フルフェイスの換気がどんなものかは解らないからおかしいってまで言い切れないとこはある。

それでも不思議に一滴の汗もかいて無いけど、凍結するくらいの魔法を使える京ちゃんだから、中を快適になる程度には冷気を流してる、と思うしかないね。

後で聞いた話だと、やっぱり魔法を使ってるぽくて中はヒンヤリしてたんだって、ズルイ。

わたし、汗かいてたんだけどな?

フードは陽射し避けに必要としても、マントの下にケープってやり過ぎだってば。

ケープの下だってインナー着てるし、陽射しがキツい南国・サーゲートでこの格好は干からびちゃう。

こんなケープに、それからこのマントも要らない、わたしとしては。


汗が浮くほどびっしょりってワケじゃないんだけど、お風呂入りたい、シャワー浴びたい、そんなくらいにはじっとりインナーが肌に張り付いてるの、実感してる。


シャワー・・・無いんだったorz....




「──いやいや、会った日から喋ってたよ?」


シャダイアス達の話す言葉はにく、ニク、肉!って感じであの温泉に向かう途中に聞いてた。

最初、意思疎通が出来るって解ったのは愛那だったっけ。


京ちゃん、シャダイアスの急加速、猛スピードに酔っちゃってリヴァースしてた時だったかな?


「そうだっけ?ほんのこの前まで、知らなかった気がしたんだけど。ま。いっか。」


視線はわたしを射しながらも、シャダイアスの話題には興味が無いみたい。

さくりと、そこで話が途切れて京ちゃんは視線を壁の高い所に向けるみたいに首を動かして見上げる。

アレ?

京ちゃんの反応の薄さに、ちょっとビックリ。


気ままに吹く風に撫でられ、遊ばれるまま京ちゃんの黒髪がゆれる。

ときたま前髪がバサバサと強い突風に当てられて、視界が覆われるわたし。

そうしてると、


「・・・あ。着いたんか?」


声のした方に振り向くとアスミさんを起こしちゃったみたいで、キョロキョロ周囲を窺いながらシロイの背の上で上半身を起こして伸びをする。

あくびまじりに。


「クマー、寝過ぎ。旅を楽しみなさいよ。」


「そー、言われてもな?ウチは夜中じゅう、戦闘してたんよ。疲れ取るにも寝るのが一番やんな?」


「ははっ。あれがー、戦闘ー?」


「しゃーないやろ。ゴキ嫌いなんやもん!」


ジト目でアスミさんを見る京ちゃんは、寝起きの寝惚けまなこのアスミさんに向かって茶化す。


すると、首だけ肩越しに振り向いたアスミさんもアスミさんで全身全霊で京ちゃん相手に、瞳をカァッって見開いてリアクション取ってる。


「ブブってゆー虫型モンスターだよー、ゴキじゃないってば。」


昨日の夜。

思い出してみる。

あ。やっぱり姿かたちは思い出したくない・・・ゴキか、あれが日本にわさわさ居たら余裕で引っ越すんだけど、止めてよね。


黒光りする姿は確かに、ゴキそのもの。

そう言っても大きさは、軽く中型犬くらいあったんだけど。


日本のゴキが小さなサイズでホント良かったって思う。

サイズが変わるだけで、見た目が大して変わらないってなかなか凶悪。

トラウマなるよ、あんなのに夜道襲われちゃったら。


「凛子ちゃん、モンスターやろと何やろとウチがゴキやと思う外見やったらそれはゴキなんや!・・・て、わけでもちっと寝るわ、おやすみー。スヤァー・・・ZZz。」


ブルッと震えた様に見えて首を元に戻し、ブブと夜中じゅう激戦を演じた寝不足か、疲れからかアスミさんは直前に言った通り、また毛布を被って夢の世界へ・・・一瞬だった、寝るの早い。








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