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チョロい、チョロいッ、チョロ過ぎるぞ、悪魔って。

ぅpの順序が間違ってました・・・目次見てびっくりさぁ。


二人同時に口を開く。


「「願いを叶えないと──」コキ使えるンだろう!」魂、取れないのよッ!」


見事にその声はハモったのであるが、後半は二人で全く別の事を叫んでいた。

デュノワは勝ち誇ってにんまりと口の端を吊り上げて笑い、イグジストは悔しさより絶望を突きつけられて信じられないとの思いからかとうとう涙を浮かべている。

それにも気付いた風もなくコキ使うと耳に入れると、幼い少女の姿でイグジストが激昂した。


「矮小の分際で!コキ使う?我をッ?」


有り得ない事だった、イグジストに取って只の暇潰しに出てきてみれば、足下を蠢く蟲ぽく思っていたニンゲンが、寄りによってイグジストを指差してコキ使うと言ったのだ。


目の前の御馳走(汚い魂)に眼が眩んで甘々な算段になり、頭の中を覗いてイケると判断し、大した罠を巡らせるでもなく願い事を早く早くと迫ったのは棚上げするイグジスト。


何を言ってももう優位は覆らないと解っていても言わずには居られなかった。

見た目通り、只の少女の泣き言にしか見えないとしても。




「願いは『力を貸せ』だからな!存分に働いて貰う。」


「きぃぃっ!・・・、る、ルールは絶対だわ、従う、従うわよ、ふんっ!けどね、我を使う=アナタ、魂をすり減らす事になるのよ?・・・魂、食べる頃には飴玉(キャンディー)程度のカスになってんじゃないの?等価取れないわよ?地獄落ち。決定よ!」


「何を言おうと、願いなら力を貸せ、だ!地獄、ふん!落とせるものなら、落としてみろ!何なら・・・ふむ。」


頑として力を貸せ!と言う願いを変えないデュノワを見詰めてヒステリーめいて叫ぶと、今更であるがイグジストは悪魔を使う事の危険性を声を荒げて口にするのだが、本当に今さらだった。


デュノワに取ってそんなのはオマケに過ぎなくなっている、何故なら新たな野望が芽生えた、芽生えてしまったから。

首を傾げて明後日の方向にデュノワが何を視たのか、それは。


「な、・・・何よ?何を考えた、矮小の分際で!」


「地獄、乗っ取ってしまうとゆーのは。どうか?と思ってな。悪魔、お前の力を得て、地獄に乗り込んで何もかもをやっつけてしまえば、地獄で好き放題出来るな、と思うんだが。」


いやらしい笑みを浮かべているデュノワに気付いたイグジストは小さな掌で顔を覆ってアチャーと言いたげに、あわてふためいてデュノワに問う。

何となく、バカな事を言うな?と思いながら。


訊ねられたデュノワがあっさりとはにかみながら口にした、地獄を乗っとると言う事に、


「あ、アナタばかあ?・・・悪魔の力を地獄で使う?死ななきゃ行けない地獄に落ちてる=魂抜かれて、アナタただのカスなのよ?」


そう言いながら茫然とイグジストはデュノワを只見詰めていた。


『こいつ、まじ何を言ってるんだ!乗っとるだと?地獄を?正気だとしたら、掛け値無しのバカだ!でも・・・、まてよ?乗っとるか──退屈しないな。それに魂は味見くらいなら出来るし。』


と思いながら。

内心、イグジストに心の変化があったりするのだが、それにイグジストは気付けないでいた。


使われるという事に嫌悪感バリバリだったのにほんの少し経っただけで、良いように自己完結してしまってどうにもワクワクしてきている自分に。


(ごちそう)を食べるのもフワッと諦めて味見でいっかあ!になってしまっている自分を。


悪魔、イグジストは悪魔ゆえにチョロかった。

いつ終るとも解らない生を与えられた悪魔である。

ニンゲンの一生など、その悪魔から比べれば水滴が一滴零れ落ちるみたいな時間でしか無く、些末な事の様にしか思えないから。


「・・・ふ、ふふふふ!ならば、地獄でも何でも連れていけ!その代わりに、落ちるまではクソ悪魔っ!奴隷のように、畜生のように働かせるからな!満足の行く死に様で地獄に落ちてやる!落ちるまではっ、何もかもが俺の意のままだあっ!」


「バカ・・・?っていっても、ルールは絶対だし。アナタ、名前は。」


そんなイグジストだったからいやに気合いが入って立ったままガッツポーズを決め、イグジストを服従させてやると息巻くデュノワに対してホントにもうどうでも良かった。


何をしても覆らない程にはルールは絶対で横目にデュノワを見ながら、


『この矮小の身に我は少しの間、長い生の流れの中のほんの一粒程度。この矮小の男に力を貸してやるのだ。』


と考えながら、うん、うん!とデュノワの迫真の語りに付き合うイグジスト、もとい、デュノワのすぐそばまで近寄りいつの間にかぺたんとゴミの山の上に座り込む幼い少女。


「名はデュノワ。バカで結構だ。イグジスト、お前は奴隷だしな!」


「奴隷?・・・ふん!貸す、貸してあげる!けど?忘れないで。魂、我の存在にいつまで耐えれるかしらぁ?魂無くなったらその時点で、契約は無効になるから!」


名を訊ねられデュノワが答える。

奴隷と言う言葉の意味にひやっとした寒気を感じたがイグジストは渋々と、それでいて反抗心もある様にしかデュノワに思えないように振る舞った。

もうそんなのはイグジストはどうでも良くて、実際にはにへら、にやにやと笑っている。


契約して願い事を言われてしまったらなら、それを叶えるまでは破棄も出来ないし、新しい汚れる(ごちそう)を求めてフラフラする事も出来ないという、不条理なルールだとはイグジストも思うが精一杯願い事を叶える他無いのだから、それならばうじうじ悩むよりパァっと楽しく過ごした方が良いと考えたからだ。


それにこのデュノワに対して妙な安心感もあった、


『デュノワとかいうこの男、性欲とか無いのであろうか?我、ニンゲンの女に呼び出された時は・・・“犯して、襲って”と、ま。せがまれたものだったりしたのにな?だってそうでしょう。

意中の者の姿で悪魔は過ごす、契約者との時を。意中で無くても頭で思い描いた通りの理想のパートナーとして、なのにデュノワ、アナタは。特にどうしようともしないし、ううん、少し・・・ホンの少しだけデュノワの心は揺らいだ。それは解る、繋がっているから。なのに襲うともしないし。うーん、この部屋だからか、・・・な?』


とはいえ、この様にデュノワという男を計りきれず混乱の網の中で思考の糸に絡まって抜け出せずにあーでも、あー違うの?等と迷走していたイグジストだった。


チョロかった悪魔がデュノワの思考を計れずに逡巡している中、デュノワが宣言する。


「魂が無くなるまで。好き勝手にやらせてもらうさ。イグジスト、クソ悪魔の力を使ってなあ!」


それはイグジストを少し傷付ける事になった。

チクリと。


だがしかし、これでデュノワとイグジストの過去について一応の区切りとさせて貰って──ぐーちゃん対、フード姿の男、もといデュノワと同化したイグジストとの戦いの場面に話を戻そう。

回想おしまい!





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