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秘密の花園2〜イーリス教団との邂逅〜

イチャイチャ感が出てたらいいな。


「・・・でね。」

「ふんふん。」

「・・・なんだよ。」

「へえー。」

「それにね。」

「何々?」

「モンスターなんて居ないんだ。」

「でも、その世界でも戦ったんでしょ?」

「うーん。世界の中の異世界とゆうか、ゲームの世界なんだよ。」

「解んない。」

エクトはシャリアに自分の世界の事を話しながらNOLUNの事にも触れていく。ノルンという名前のゲームの中の世界だけど長い間旅をしたことやその中で出会った人、ギルマスやpartyを良く組んだ人。へまをして死んだ事やダンジョンを理解する為に何度もデスマラソンをする羽目になったこと。レアアイテムが出なくて夜はずっとボス部屋の前で待機してた話など、少し脱線しながらも詳しく説明していった。シャリアには、死んだのに大丈夫なの?と心配されたり。


「うわー。この世界とゲームの世界って良く似てるね、確かに。ノルンまで・・・何等の干渉を感じるわ。死んでも大丈夫ってゆうのはちょっと解んないけど。そういうものなのよね?」


死んでも大丈夫って事に強く噛みついてくるシャリアにそういうものとして何とか理解して貰う。ゲームで死んでるので実際には死んでない事を説明するもののシャリアには受け入れられないからだった。一応、デス・ペナがあって経験やグリムを犠牲にすることも説明するエクト。


「イーリスの奴らとも会ったんだよ。クエストの最中だったけど。」


寝転がったまま遠くの空をエクトは見詰めながら突発的だったブルボンでのクエストを思い出している。


いい経験値稼ぎの出来る場所を探していた時に酒場で会った男から紹介された攻略サイトにも載って無かった隠しクエスト。どのような隠しクエストでもかなり高い確率でレアアイテムが手に入る為に当時のギルマスに相談すると完遂する様に言われるほどレアなイベントだ、ただし内容はピンキリでもあるらしい。エクトに取っても非常にむず痒い道中だった。イーリス教団に雇われて教団から逃げた人間を探して連れ帰ると言う依頼だったはずが、勝手にpartyまで組むことになり挙げ句に小国を相手にする上、後ろ楯として大国サーゲートの領内でも一波乱あった。シャリアに話してどうすることでも無いから濁して話したのだが。エクトもpartyを組むことが気に食わなかった為、クエストに関係無い場合常に教団メンバーは死んだまま放置していた事を追記しておく。


「会った・・・だけだよね?」急にテンションが下がるシャリアに、

「クエストだから、組んでやることをやる。」シャリアを引寄せると彼女の前髪を上げて強く見詰める。すると、さっき以上に素早い動きでエクトの手を払いぷぃと横を向いた。暫し間をとってシャリアが口を開く。

「さっきからくえすとって何?しなりおも。」

シャリアにクエストの説明をすると、

「ふうん。そのクエストのせいで被害者出てるよね?」


振り向くとテンションがそれまで以上に下がって死んだ魚の様な目でエクトを睨み付けるシャリア。


「クエストは完遂しないと報酬がでない。NPCの問題に興味無かったし。強くなりたかった、ただひたすらの強さが欲しかっただけなんだし。」


確かに小国・エンデヴルでは沢山、死んだ。イーリス教団の狂った本性をずっと見続ける事に嫌気が差して運営にエクトは文句の問い合わせをしたぐらいだった。

「奴らと組んだんだ・・・」


彼女の言う通りエクトは小国で教団と共に暴れていた。そういうクエストだったのだからどうすることも出来ないのであるが、シャリアは納得出来ないようだ。余りにも似た世界と言っても、此方の世界で彼女の憎むべき仇敵と、気を許しそうになっていたエクトが手を組んで余り知らない小国とは言え好き勝手したという事実。彼女に取って面白くなくて当然である。クエストの経緯の説明をエクトが続いているにも関わらず、シャリアは思案していた。強くて優しいいい奴だけど陛下の為に冗談でなく始末するべきか、と。


「そのお陰でアーベンラインが手元にある。」


このクエストの最中通り掛けに二度と来れないかも知れない古い霊廟を発見し、連日連夜攻略に費やしやっと手に入れたのが呪われたアイテムかつ装備制限が55の強くて装備出来ないのに装備を外せないアーベンラインだった。困った事に鑑定が成功しない上装備出来ないので暫くの間表示上は只の筒?で片手の装備枠を埋め続けたので、ギルマスやpartyメンバーにもご愁傷様と言われた経緯があり、どちらかというと踏んだり蹴ったりでもある。それからと言うもの狂った様に割りのいい狩場には必ずエクトの姿が見られた事は言うまでもない。勿論、アーベンラインは只置かれていた。といった代物ではなくレアドロップですらない、封印された禁断の武器をエクトが持ち出したのだ。封印されていたなどと言っても、二度と辿り着けない場所で強力な武器に封印がされているのはゲームでは問答無用で破りがちではないだろうか?コレクター欲も擽られるものだが何より禁断の武器=強力という図式などありがちだろう。誰にもエクトは責めれ無いのでないか。

「封印解いて勝手に持ってきたくせに。」彼女にそういった経緯を話しても納得はやはりしてくれなかった。禁断の封印を解く=悪の諸行とシャリアの中では確約されていたからでもある。


古代の神々の争いの時、冥王が三槍に数えられたアーベンラインはサロとも激戦を演じた末、時の神によりいずこかへ封印された―――それがシャリアの知っていた歴史であり常識。冗談でなく害悪なのだ、封印を破るなどという行為は。しかし、封印を解かれた当のアーベンラインがあのあっけらかんとした態度で闇の蛇を拒絶した事も考慮に容れればエクトが持っている間ならアーベンラインはサロ様やグロリアーナ陛下の敵に回る事は無いかも知れないなど思案した処で自己完結に至る。


「こいつから物凄い強そうなオーラが出てたんだ。スルーできるわけ無い。」

「続ける続ける。で?」


エクトが必死に弁解しようと頑張るが暖簾に腕押し、釈迦に説法、彼女に取って自己完結しているアーベンラインの事などもうどうでも良かった。興味はイーリス教団の蛮行に移っていた。

「イーリス教団は・・・その山を焼き討った。反乱分子が逃げ込んだって。」


この経緯の少し前からはイーリス教団からホントに逃げた男など居たのかエクトは疑問に思いながら同行している。それが確信に変わったのが焼き討ちだった。この隠しクエストの目的が『狂信的な教団による侵略の為の協力』なのだと。それでも報酬を得るには居もしない男を捕らえ、連れ帰らなければ失敗になってしまうのでエクトは仕方無く同行し続けた。が、その先に教団大幹部が現れる事であっけなくクエストは終りを迎える。その大幹部は教団メンバーから小国の宝剣を受けとるとあっさり、その場に居た教団員全てを有無を言わさずあるものは焼き、あるものは一刀に付した。そして、エクトに報酬を渡して去って行ったのだ。ブルボンを発ってエンデヴルを経由しサーゲートに及ぶ長期クエストの末に彼が行き着いた答え、それはイーリス教団には関わっては行けない。と言うこと。教団には得体の知れない気味悪さが付きまとう。


「グレナンテ山が燃えたのか・・・ぶつぶつ、それは・・・でも、ぶつぶつ。」


シャリアにはクエストは焼き討ちで終りだったと話す事にした。教団の事を話すだけなら最終的に出逢ったあの周囲を凍りつかせる雰囲気を纏った大幹部の事で更に彼女の感情を煽らなくてもいいとエクトは考えたのだ。焼き討ちの事だけでも目の前で物凄く難しい顔をして俯き、自分の世界に入り込んで考え込むシャリアを見るにそれは正解だったと言えるかも知れない。誰に言うでもなく彼女は声に出して何事か呟き続けている。


「それってさ。似てるだけで違うんじゃない?グレナンテ山はメルヴィ様の加護が強力で連中じゃ入り込めないよ。」


考えが纏まったのか顔を挙げエクトを何事か含んだ視線で見つめれば、


「だから俺が行ったんだよ。」


サーゲートに入る以前から、考えてみればメルヴィ関連の妨害はあった。と言うよりは進む先には常にメルヴィ神殿庁の騎士や魔術師に毛が生えた程度の神殿職員が次々に道を塞ぐように現れ時には命を狙われる事もあった、それをエクトは来れば来るだけ撃退していった事を思い出す。教団の傭兵的に見られていただろうし、見られて当然なだけの働きを彼はしていた。

「むぅ。。。話してたらここでエクトを始末した方が世界の為な気がしてきた。」


そう言いながらシャリアは難しい顔をしていたかと思えば真剣な顔になり傍らの剣に手を伸ばす。


「グレナンテ山はまだ燃えてないんだろう?何の為に始末されるんだよ?」


それを見てヤバイと思ったエクトは後退り、必死に釈明をする。


「イーリスに協力した時点で世界を敵に廻してる気がする。」


エクトをロックオンした彼女は逃がすものかと、ずいっと近付くように追う。剣こそ手離しては居たのだが。


「ふぅ。。。それだけじゃない、シナリオで鉄の森近くで争いが有ったんだよ。」


シャリアの手から剣が離れたのを見ると一息付いて、話を続ける。正直、焼き討ちの後の事に言及されなかった事で胸を撫で下ろしたエクトだった。


「・・・本気で始末しなきゃ。わたしに関係あるでしょ。」


怨嗟の色が瞳に浮かんでくるシャリア。


「そう。・・・グロリアーナが相手だった。シナリオ内容は両陣営の指揮官の撃破。そこでギデオンの名を見たよ。」


彼女に恨まれようとギデオンの事を話す上で避ける事の出来ない話題である。ブルボン、グロリアーナ両大国の緊張がどうにもならなくなりぶつかり合った結果、戦争に突入したのだった。このシナリオはそれまでのシナリオの中で特に難度の高い、partyを必要とする物でギルドメンバーと同行してやっとクリア出来た事を思い出すエクト。出現するのもモンスターでなくNPCばかりで非常にやりづらく、かつなかなか逃走が成功しない鬼畜シナリオ。言わば少数精鋭で一点突破し、両指揮官を撃退した上で両軍を引き下がらせねばならないのだ。この時はシナリオの最終章になったら世界征服してフィナーレを迎えるのではと攻略サイトでもギルド内でも噂に上がった程で。あながち間違いでは無いのかも知れない。などとシャリアに話して聞かせながらエクトは思うのだった。


「指揮官の名前、言える?」

「ブルボンはルーベンスのグロリアーナはコルドールージュ。」


シャリアの問いに少しの間思案しエクトは出てきた名前を口に出す。


「騎士団長だ!・・・。続けて?」


知った名前が出てきた事に吃驚して声を張り上げ話を中断したシャリアは少し考え込んだが、気を取り直すと彼を見詰めそう言って掌を上下させると話の先を促す。


「ルーベンスは始末したがコルドールージュは部下に逃がされたって内容だったかな。この争いは俺だけじゃないぞ。シナリオだから、ユーザーなら誰でもやらなきゃ。」


話がギデオンから脱線していくがエクトは軌道修正の仕方が解らないでいた。そのうえ、彼女が怨みがましい瞳で睨み付けてきたので弁解を始める。


「ふうん。・・・わたしだったかも知れないね。」騎士団長の部下だもん。と小さくトーンを落として続ける。いつの間にか視線がエクトから離れ、俯いてぶつぶつと何事か呟き続けている。


「続ける続ける、シナリオ終わるとイーリス教団と戦闘になる。そこにもギデオンが居たんだよ、白髪だったけどな。」

「!?それって。大臣はグロリアーナを裏切ってる?」


彼女の視線が離れた事と話に噛み付いて来ない事が解るとエクトは軌道修正に踏み切った。経緯は解らないが戦闘になったイーリス教団員の傍らに確かにギデオンが居た。それを聞くとシャリアは吃驚してエクトを見上げ問い掛ける。下半身豚であるが悔しい事に仕事では稀有な人材と、グロリアーナ陛下も認めたくないものの認めて居る存在だった。その大臣がブルボンと通じている感があると彼は言う。


「解んね。言えることは争いでギデオンを見て、終わったらギデオンは教団と共に居たってことくらいか。」


エクトもギデオンが裏切って内通しているとは言い切るには残念な事に情報が少なかった為、肩を竦め彼女に出来るだけの答えを返す。

「教団は信徒以外には容赦無い。信徒であってさえもイーリスの教典に逆らえば容赦無い。ホントに大臣が?」

「両陣営で見たんだからそうだろうな。もうひとつの可能性は、偽物。」

「偽物?」

「大臣の偽物を教団が差し込んでるとすれば。」


エクトの推測混じりの言葉の全てを信じることは出来ないし、イーリス教団は信徒以外は躊躇なく殺せる狂信的集団だ。それが大臣と同行しているという事になれば限りなく大臣はクロである。疑問の声を挙げるシャリアをよそに平然とエクトは大臣であったと言い切る。が、思っていたもう一つの可能性がある事を告げた。シャリアにも大逆転の醜聞であるが、今一つ決め手が足りないのも事実。相変わらず推測混じりのエクトの言葉についつい疑いの色が混じった瞳で聞き返すのもしょうがないのかも知れない。



「大臣が連れさられたってことは?」


彼を信じることは難しく無い。が、事実で無かった場合とんでもない不敬になり、その先は考えたくも無かった。だからか、別の可能性をエクトに提案してみるシャリア。


「ふふ、有るわけ無い。ブルボンは大敗したんだ。グロリアーナも引き下がったが、カルガインやメルヴィ兵団の追撃を受けて潰走した。というシナリオだったな。逃げ惑う教団の討伐なんだよ、シナリオ的に。」「その話だとブルボンにグロリアーナに第三勢力が噛んでそうだけど。」

「カルガイン。」


彼女の提示した可能性が一欠片も有り得ないと一笑に附し平然と話を続けるエクト。それを怨みがましく聞いていたシャリアだったが両大国に横槍を入れた存在がある事に気付くと声を荒げて彼に問い掛ける。返してきた答えは予想外過ぎて頭に浮かんですら無いものだった。


「カルガインは争いを止めに入るわけ。そこにメルヴィ兵団も絡んで、メルヴィ兵団は教団憎し。って感あるなあ。」


言葉を失ったシャリアをよそにエクトは話を続ける。

「カルガインの田舎兵団が?どうやってグロリアーナとブルボンの間に入れるってゆうの。」

「シナリオだから、カルガインとしては巻き込まれない内に両陣営の弱体化を狙うってとこなんだろうな。」


心底吃驚した表情で彼女はエクトに食って掛かる。有り得ないのだシャリアの中ではカルガインとグロリアーナでは差が有りすぎて並べる事も出来ない。エクトが説明するものの聞こうとしない。


「田舎兵団にグロリアーナが負ける、と?」

「うちのギルドならグロリアーナとタメ張るんじゃない。それにカルガインにはユーザーが沢山いるからそれじゃ無いの戦力。それにメルヴィ兵団も最初から援助してるから。」


彼女もグロリアーナの騎士の端くれだ、誇りも感じているし、何よりも兵の数で圧倒できる。ブルボンの信徒と争ったって引けを取らないで居るのが証拠だ。そのグロリアーナが開拓地でしかないカルガインに撃退され、引き下がらせられたとエクトは言う。冗談じゃない。わたしたちはそんなに柔じゃない。シャリアの心からの叫びを、エクトは少しイラっとして本心をポロッと溢すが気を取り直し彼女でも理解出来る様に説明に戻る。


「不本意ながらエクト級の兵士が何人も居たなら引き下がらないと全滅するかも。」


苦虫を噛み潰すような顔をして呟き、小さく一息吐く。ギルドの説明は受けていた。エクトに及ばないものも居るがエクト以上のギルマスと言うのが居ると言う事だった。そんな戦闘集団とグロリアーナが戦えば全滅の可能性が無いことも無いとシャリアは考える。


「シナリオも後半だからなー。ユーザーもそりゃ強いよ。」

「メルヴィ兵団の名前は聞いたこと無いなあ。カルガインだって住人は精々2万人よ。グロリアーナは全国で100万以上。」


エクトは軽口を吐いただけだったが彼女はその軽口に本気になって返す。それにしてもメルヴィ神殿庁なら聞いた事もあるがメルヴィ兵団は今まで噂にも聞いた事が無い。


「少し、後の世界がゲームの舞台だとしたら?」


にやりと彼は笑って推論を告げる。エクトの見たギデオンは白髪で今のギデオンはふさふさとは行かないまでも白髪が目立って気にする、と言った素振りもなかった。ただひたすらにふてぶてしい奴だと言う意見しか出てこない。エクトはシャリアの頬に手を添えて落ち着かせる。ふいに、彼女が吃驚し過ぎたのか震えだしたからである。


「大丈夫よ・・・納得。。。つまりメルヴィ兵団もカルガインの戦力も今はまだ無いんだね。」

「今の年代が解んないけど、そんなとこじゃない。」


少し、呼吸が早くなっていた彼女だがお礼を言い、落ち着くと自分の意見をつらつらと話して深呼吸を一つで胸を撫で下ろす。そんなシャリアを見ながら年代が解らないと付け足すエクト。


「わたしエクトと戦って死んでそう。」

「NPCとは言え女に即断出来ないよ・・・引いて貰う程度には傷つけるかも。そのくらいさ。」


ふいに真似をして彼の前髪をかきあげじぃと意志強くエクトを見詰めるシャリア。口から吐き出すようにそんなこと無いと、有ったかも知れないと耳元で小声で囁く。それを受けて彼は彼女の両肩をぐいと掴むと真剣な瞳で諭すように告げた。


「甘いね、甘ちゃんだ。エクトは。」

「刃向かわない敵に剣抜けないだろ。」

「わたしは出来るよ、グロリアーナ陛下を守るためなら、信徒共を根絶やしにするくらい。」


エクトが余りにも甘ったれな事を言ったので我慢仕切れず吹き出してしまうシャリア。彼女は知っている。殺らなければ殺られると言う事を。騎士は兵士と違い名誉と誇りの為ならば戦える。陛下に危険が及ぶなら根からでも構わずに樹を切り落として燃やせる気概があった。例え剣を握っていなくとも斬れる。信徒と闘うと言う事は女子供とも根刮戦えねばならないのだ。それがグロリアーナ騎士団の決定でもあった。


「極端な事言うなよ。」

「そこは解り合えないとこだね。あー、お腹空いたー。隊舎行けばまだ残ってるよ、きっと。」

「そゆことでいいよ。」




お腹が鳴った事で随分話し込んでいたことに気付き隊舎に向かう二人。もうすっかり深夜でシャリアの背を追いながらも帰り道を歩きながら、彼は思い出す。シャリアは微笑んで解り合えないと言った、真剣な瞳で子供だって斬れと言う。そう言うものなのかも知れない。でも、エクトはそんな非道は嫌だった。話し合って解らないんなら、中から変えればいい。イーリスの一方的な侵略が始まる前に、乗り込んででも。思案するエクトにシャリアが声を掛ける。



「遅いぞー。置いてくよー。隊舎まで競争だーっ、それっ。」


声を合図に駆け出す二人の上では5つの月が見詰める様に佇んでいた。






お待たせしました(誰も待ってないって?ええー?


プロットより大幅肉付けすることになり秘密の花園一つで終わるはずが2話分になっちゃいました(笑) 主に、イーリス教団の話なんですけどねっっっ

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