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闇の炎が。






「何の、つもりなんだ?」


ぐーちゃんに火の粉のように降りかかってくるレッサーデビルを、


「こんなもの、こんなもの!」


ぐーちゃんは苦もなく目にも止まらぬ速さで左手だけを動かし、


「児戯に等しい、ゾッ!」


一斉に飛び掛かってきたバイ菌型小悪魔を全て塵に帰す、しかもノーダメ。

何かをされた風でも無い。



それを間近で見てはさすがにイグジストもぞッとした。

背なに首筋に嫌な汗が浮き出る。

召喚によって呼び出したレッサーデビルが事もなくあっさり全て消されてしまったのは少し考えが甘かったかとも思ったが、


「ち、雑魚は束にしても雑魚か!でもね──」


既にレッサーデビルは、充分に役目を果たしていたから、特にどうと言う事も無かった。


「後ろがお留守ですよ!」


女の声音でボソっと呟く、イグジスト。

レッサーデビルを左手一本で相手をしつつ、イグジストの警戒にも細心の注意を払い、怠らなかったぐーちゃんにも、一瞬。

ほんの刹那。

イグジストを視界から外してしまう。


最初からそれが、それだけが狙いでレッサーデビルを召喚したフード姿の男。


イグジストが『竜王だろうと、触れれば持ち得る白黒の炎で焼き尽くす!』、と踏んでの作戦だった。


1セットに及ぶレッサーデビルを召喚して、『只の目眩ましにしか使えないというのも、ぐーちゃんの桁違いのマナの強さのせいであり、イグジストだって攻撃を喰らわないのが精一杯なのだから』とフード姿の男は理解していたし、それでも良かった。


目の前に居る竜王とかいう化け物に、イグジストは確実に一刺し、与えたのだとその手に感じたから。




「ふふ、ッハ、ハハハハッ!竜王に一刺しいれたぞッ!」




「──邪魔い!」


我慢仕切れないイグジストの声に、思わずフード姿の男の笑い声が重なる。

しかし。


それも僅かの時間だけ。

何かしたっけ?と言いたげにぐーちゃんは無表情で、今の今まで残像のようにかき消えて、手応えが全く無かった同化イグジストの顔に渾身の裏拳を叩き込み、吹き飛ばした。


すぐさま、ぐーちゃんは吹き飛ばしたはずのイグジストの真後ろに素早く回り込み、追撃に中段蹴り(ミドル)を三発ぶちかましたが、それは以前のように手応えが無かった。


不意打ちを一発貰っても、やはり簡単に追撃までイグジストも喰らってやる訳にはいかない、それは今まで通り残像のようにかき消える。


「くそっ!どうしてだッ!我、闇の焔が竜王の中から焼いているのにッ!」



動揺の色を隠せないでいるイグジストは、鎌首の様な爪の先に黒炎を轟々と燃え上がらせて『此れが!竜王の中で!燃えているんだぞ!』とアピールするかのように。


一方、そのアピールに対して『ああ、そう言えば』と気付いた風なぐーちゃんは少し俯いて体内をスキャンでもしているのか少し、棒立ちになったが、イグジストは襲い掛かる事は出来なかった、


『効いてない、闇の炎が、(あるじ)様の炎が!・・・ブツブツ・・・。』


既にぱにっく中だったからだ。


顔を上げて、ケロっとした表情のぐーちゃんが発した、


「焔──、特に気にはならないぞ。そう言えば燃えているな、その程度の事だ。」


一言で更に大きなショックを受けたイグジストは、後ろに『ガーン!』という吹き出しでも出ているかのように、みるみる内に額から鼻筋に掛けて大量の縦筋が入り酷く落ち込む。


『何をすれば、目の前に居る竜王のダメージになるの? あの雑魚を殺せば、うん、殺すより刺して、叫び声を撒き散らした方が効果的? ううん、・・・手詰まりね。』


チラと視界に映ったクドゥーナを見詰めて悪巧みをするも、防がれた上でクドゥーナを刺そうとして、実体を晒さなければいけないイグジストは、怒りに任せたぐーちゃんの『逆鱗の一撃』を喰らうイメージしか浮かばず、脳内で自己完結していた。

その結果、導きだされたこの後の行動は逃げの一手。

手詰まりが解ってるのに危険すぎる竜王と闘い続ける意味などイグジストには無かった。


「さて・・・、もうお喋りはすんだか?我を愚弄せし悪魔よ・・・。」


「埃ほどにも残さず焼いてやる!」


爛々と光るぐーちゃんの瞳が白目が金に、金の部分が黒に変わって、


『実力も解った、もうそろそろいいか。仕留める事にしよう。』


ぐーちゃんが心の中でそう思った時、フード姿の男の声で売り言葉に買い言葉でも無いだろうが、散々やって何にも成らなかったのに、それをまだ相手をすると言うのだ、これにはさすがに諦めムードのイグジストがキレた。


ぐいっ。

鎌首の様な爪を同化しているフード姿の男の口に引っ掻けて、


「あー、あー。ムリムリ。折角力を与えてやっても、ニンゲンじゃこんなもんか。さて、退散しますよっ、と。」


「イグジストッ、俺はッまだやれる!」


そのまま次元逃避しようと半身を異次元に吸い込ませた所でフード姿の男が悲鳴めいた叫びを上げた。






──そうだろう?

あの時。

俺とイグジスト──お前が契約した時になんて言ったか。






短いです。

徹底的にイグジストの攻撃はぐーちゃんに効果は無かったですね──的な、それだけ。


ぐーちゃん、竜王と表記がまちまちなのはどっち表記?と迷った挙げ句なのです、ご自愛を・・・

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