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序章
ほんとに、うっとうしい。
“メイリー”は不機嫌に紅茶のカップを持ち上げて口をつける。 美味しい。……だが、それが尚更“彼女”を苛立たせる。
「いかがですかお嬢様? イギリスから取り寄せた新葉の紅茶です。 お気に召しましたか?」
「……ん」
「これはこれは。 お褒めいただき光栄です」
深々と、わざとらしくお辞儀してみせる執事。 そう、彼こそがメイリーを苛立たせる原因の人物だ。 エルナンと名乗るその男は、24時間365日片時もわたしの側を離れない。 そういう、契約らしい。
ーーこれは、甘く見ていた。
彼女は深く深く、自分の考えの甘さを後悔し始めていた。 しかし、 なんとしても最後までやり遂げねばならない。 なぜならこれが、“彼女”の使命なのだから。
読んでくださる皆様の期待を常に裏切ることが目標の執事お嬢様のおはなしです(^^) いかにうらぎることが出来るかを頭に入れつつかいていきたいです←言ったな