第九話
ある日の豪邸にて、この家の主人がその家で働くメイドに声をかけた。
「ねえ祐樹、今日一日私と交代しない?」
「はい?」
この豪邸の主人こと坂下美紀は俺と違うメイド服を着ていた。
「私もメイドの仕事体験してみようかなっと思って」
「いいですけど大変ですよ?」
「大丈夫よ」
「解りました」
「メイド服と腕輪は任せるわ」
と言うと彼女は俺の首輪を外して俺に首輪を嵌めさせて鍵束を渡した。「これで私は祐樹のメイドよ。よろしくお願いします、ご主人様。それと私に手助けは無用よ!」
(大丈夫かな・・・) こうして彼女は俺と一日だけ交代することになった。
とりあえず俺は坂下の事を心配しながらメイド服を脱いで坂下に渡した。
俺のメイド服を受け取ると彼女は素早く部屋を後にした。
腕輪を取り外し、外出するときの普通の服を着た。
しかしどうも腕輪が身体に馴染んでしまっていたらしく、違和感を感じたので結局腕輪を嵌めてしまった。
そして以前秋○原で大量に買ったゲームを始めた。
しかし大好きなゲームをしているのになぜか集中出来ない。今まではそんな事は一度も無かったが理由は解っている。現在俺のメイドとして働いている坂下の存在である。どうも彼女の事が気になってしまうのでこっそりと様子を見に行くことにした。 今彼女は洗濯を終えてキッチンで昼食を作っている。料理をする手つきは流石に俺が来る前は一人で暮らしてるだけあって良かった。(俺の取り越し苦労だったか・・・)そして俺は出来上がりそうなタイミングを狙ってキッチンに入った。
「ご主人様、ご飯出来ましたか?」
「今できました。それとご主人様?私を呼ぶときはご主人様って呼ばなくていいですから。解りました?」
かなり強めに彼女は発言する。(一体どっちが主人だよ・・・)と俺は思ったが出かかった声を何とか飲み込み席に着いて食事を取ることにした。坂下が作った料理は美味かった。反対の席に着いて料理を一口食べた坂下は泣きそうな顔だった。
「あの、ご・・坂下さん?どうしたの?」
「ご主人様が作ったご飯より美味しく無い!」
「いや、美味いよ。ありがとう坂下!」
「本当ですか・・・?」
「本当だよ。坂下は俺が嘘がつかない性格なの知ってるだろ?」「はい、存じております。ありがとうございますご主人様!」
そして昼食を食べ終わると彼女は食器を洗い掃除に向かった。
一方俺はトレーニング室で汗を流すことにした。
しかしいつも俺は思う事なのだがスタイルは普通の女子高生だが身体能力がありすぎる。
どうすればこのスタイルでこんな力が出せるんだ?調度いい機会なので試しに体力テストを全力で行ってみた。
(学校で行った体力テストは全ての項目で女子高生の平均的レベルに調整した。
ちなみに坂下は全国の女子高生の中でもトップクラスの実力だった) テストが終わり結果をパソコンで確認すると全ての項目でオリンピックの金メダル選手を遥かに凌ぐ結果が出た。何度確かめても同じであった。(しかしいくら坂下の家で働いているとは言え、こんな結果が出る訳が無い。坂下が俺の身体に何かしたのか・・・?いや物凄くしている!)しかし思い当たる節が全く無い。
そうこうしているとお腹が空いた。時計を見ると夕食の時間少し前のだったので俺はシャワーを浴びてキッチンに向かった。キッチンに入り席に着くと坂下が夕食を作っていたが彼女の表情を見ると疲労が貯まっているのがすぐ解った。(相当マズイな。これでは倒れて動けなくなる。明日が日曜日でホントに良かった。これは仕事が終わった後にマッサージをしてあげないといけないな)と考えていると夕食がテーブルに運ばれた。そして夕食を食べ終わり部屋を出ようとすると突然背後から何かが割れる音がした。振り返ると坂下が皿を落として割っていた。
「申し訳ありません。ご主人様!」
坂下は直ぐさま割れた皿を片付け始めた。
「大丈夫ですか坂下さん?顔が真っ青ですよ」
「大丈夫です。ご主人様」
「余り無理はしないでくださいね」
「ありがとうございます」
そして彼女は割れた皿を片付け終わり、皿を洗いを続けた。俺は心配になって椅子に座って彼女を見守っていた。
「どうしたんですか?ご主人様?」
「メイドを守るのは主人の仕事です」
「ありがとう・・ご・ざい・ま・す・・・」
と呟き彼女は床に倒れた。俺は坂下に駆け寄って
「坂下!おい大丈夫か!坂下!」
と叫んだ。・・・そしてしばらくして彼女がベットの上でゆっくりと目を覚ました。その横には俺がいた。
「気が付きましたか?」
「ご主人様・・申し訳ありません・・」
と俺に呟いた。
「私はもうご主人様ではありません」
「えっ・・・」
「時計をご覧下さい」
時計は十二時をまわっていた。
「そうか・・私・倒れちゃたのね、メイド失格だね・・祐樹・・・」
俺は首を振って答えた。
「いえ、ご主人様は大変頑張りました」
「ホン・ト・に・・?」
「はい、ご主人様」
俺は笑って答えた。
「祐樹・・大好き・・・」
「私もです。ご主人様・・・」
そして俺と坂下は暫く抱き合った。その後俺はベットの横の机の上にある首輪を持って坂下に近づいた
「さっご主人様、メイドの私に首輪を私に嵌めて下さい」
「そうね・・・」
そうして彼女の手は俺の首に首輪を嵌めた。
「ご主人様、今日頑張られたご褒美に私からマッサージのプレゼントです」
「ありがとう・・祐樹・・」
そして俺は彼女の全身をマッサージした。マッサージをしている間に坂下は寝ていた。 次の日坂下は俺のマッサージのおかげがあって全く筋肉痛になっておらず少し疲労が残っているらしいので体力のつく料理を作って食べさせた。
「メイドの仕事ってホントに大変ね。偉いわ祐樹」
「そうですね。ありがとうございます」
「あなた仕事をこなした後によく私の我が儘を聞けるわね」
「ご主人様の喜ぶ顔が見たいですから・・・」
「ありがと、祐樹・・・」
「ご主人様・・・」
俺達は時間を忘れまた暫く抱き合った。暫くして
「やっぱり薬の効果あるわね。私が倒れるくらい大変なのに全然平気な顔しているもん」
「また私に何か薬を投与したのですか?」
「うん。祐樹、以前より力が強くなったと思わない?」
「思い当たる節が沢山ありますね」
「実はあなたが寝ている時に肉体強化液を投与してたの」
ネーミングが薬の効力を表しているので無用な質問をしなくてすんだ。
「なんのためですか?」
「決まってるじゃない。私でも倒れるくらい大変な家の仕事をさせるためよ」
確かにそうだ。このくらい体力がないと仕事が出来ない。
「ありがとうございます。ご主人様!」
「そういえばトレーニング室で体力テストしてたらしいけど結果はどうだったの?」
「全ての項目でオリンピック金メダル選手の身体能力を遥かに越えています」
「あなたが望むならもっと強靭な肉体にできるわよ」
「ご主人様が望むのあれば私は構いません」
「だったら私が望むなら某映画のキャラクターみたいに怪力になってもいいのね」
「はい」
「わかったわ」
・・・その後俺は更に強靭な肉体を手に入れた。しかし身体のスタイルはそのままである。彼女のこだわりらしい。
(か弱き女子高生は実は某映画みたいに怪力・・。ギャップが萌える〜!)
これは彼女が望んだことであり俺には答える義務がある。別に俺が彼女のメイドとか奴隷だからなんて微塵も思っていない。それで彼女が俺を好きになれば俺はそれでいい。なぜなら俺は彼女が好きだから。