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第八話

ある日の休日、俺はトレーニング室で汗を流していると、部屋に入って来た坂下は

「ねぇ祐樹、私にちょっと付き合ってくれない?」

と切り出した。

「お出かけですか?」

「そうよ」

「目的は?」

「気分転換よ。あなた私の家に来てから学校以外に外出たことないでしょ」

「そうですね」

「だから私と出かけるの!いくわよ」

「着替えて来ますのでおまちください」

「メイド服と首輪は持っていくからね」

「えっ」

「始業式の日に私に迷惑かけたお仕置きだから。文句ある?」

「ありません・・」

「大丈夫よ、メイド服でも恥ずかしくない所に行くから」

「まさか・・秋○原ですか?」

「正解〜!しかも私そこで注文してた品物を取りに行きたいから」

「何をですか?」

「秘密!」

やっぱりか・・・。

「では玄関でお待ちください」

俺はクローゼットを開けて始めて外出用の服を来た。そしてメイド服を紙袋に入れて玄関に向かった。

「お待たせしました。」

俺は首輪が目立たないような服を着たがやはり恥ずかしい。

 そして二人で秋○原に向かった。俺の手にはメイド服が入った紙袋が握られている・・・。電車を乗り継ぎやっと秋○原に着いた。坂下は早速俺に

「あそこの喫茶店に入らない?」

と喫茶店を指差し提案する。俺は

「はい」

と小さく返事をして二人で喫茶店に入った。やはりそこはメイド喫茶だった。入口の扉を開けて中に入ると、

「いらっしゃいませご主人様〜」

とお約束の挨拶で向かえられた。席に着いて飲み物を注文すると早速坂下は

「着替えて来なさい」

と命令する。

「はい」

と小さく返事して紙袋を持ってトイレに入った。そして個室で服を着替えた。着て来た服を紙袋に入れて席に戻った。席に着くとすぐに飲み物が来た。飲み物を飲んでいると回りの客と店のスタッフさんの視線を感じた。 そして彼女は

「じゃあ行きましょうか」

と立ち上がった。

「はい」

と俺は力無く返事をした。

レジで会計をするときに彼女の財布の中が見えたが、お札がギッシリ入っていて、クレジットカードが何枚も入っていた。金色のカードが数枚と黒いカードが一枚入っていた。(まっ、まさかテレビで見た事のある数千万円単位でしか使えないあのカードか?)と坂下の財布の中に目を奪われていると彼女が会計を済ませたので慌てて一緒に店を出た。やはり休日の秋○原、色々な所でコスプレしている人が歩いていたり、ビラを配ったり、写真を撮られていたりしている。

確かに俺と同じくメイド服を着ている人は見かけるが、首輪を嵌めているのは俺しかいない。当たり前か・・・。(しかも首輪がまる見えである)

そのためやたら注目されてかなり恥ずかしい。たまに写真を撮られたりした。そのたびに坂下の顔には一瞬だけ怒り表情が現れたので、俺は恐怖した。

しばらく歩くと彼女は狭い路地に入っていった。秋○原のこのような狭い路地にある店の多くは電子部品が大量に売られている。ちなみに俺は秋○原にたまに来る事があるが、主に電化製品の売ってある大きい店しか入らないため、このような店を訪れるのは電化製品を修理するための部品調達位なので余り来る事がない。しばらく歩いているが坂下は一度も立ち止まる事なく歩いている。

恐らく俺よりも秋○原を知り尽くしているハズだ。

しかも目的の店の常連なのだろう。そしてある店の前で止まった。やはり電子部品を扱う店らしい。そして彼女は店主らしい人と会話を交わし、小さい紙袋をうけった。そして坂下は財布の中からあの黒いカードを店主に渡した。そして彼女は紙袋を大事に持って黒いカードを店主に返してもらい財布にしまって店を後にした。

「何ですかそれ」

「ひ・み・つ」

あの黒いカードで支払うのだから相当高い物に決まっている。しかも彼女の目は輝いている。

この時の状況から導き出される答えは

「坂下は何か良からぬ事を考えている」

だ。俺は一抹の不安を覚えた。そして歩くこと数分、ある店に着いた。一歩店の中に入るとコスプレ服が大量にある。彼女は店主と話している。しばらくすると店主は店の奥からかなり大きい段ボールを持ってきた。かなり重いらしく店主は息を切らしている。

そして彼女は金色のカードで支払って俺を呼び、彼女は俺にこの段ボールを持つように指示した。

俺は軽々と持ち上げて店を後にした。

店主は女の子(しかもメイド服を着ていて、首輪をしているか弱そうな俺)が段ボールを軽々と持ち上げた事にビックリしていた。

中には恐らくコスプレ服が大量に入っているのだろう。調度お昼ご飯の時間なのでまた俺と坂下はメイド喫茶に入った。(しかもさっきと違う店)中に入りメニューの中から注文すると彼女はさっきの小さい紙袋を取り出し、中から金属の輪を取り出した。色は銀色だったが金属の輪は俺のしている首輪より小さい。腕輪みたいだ。

「ねぇ祐樹、これ腕輪なんだけどどっちに嵌めたい?」

やっぱりか・・・。

「左手でお願いします」

「じゃあ手を出して」

「はい」

俺は素直に左手を彼女の前にだすと金属の輪を俺の左手首に取り付た。腕輪は俺の腕にピッタリだった。 実は祐樹が手術を受けた際に坂下が全身の至る所のサイズをミリ単位で細かく計測している。

「学校とか行く時とかお風呂の時は首輪は外すけど、腕輪は外さないから。勿論だけど腕輪の防水は完璧よ」

坂下が話し終わると、俺ははぁ〜とため息を着いた。彼女に見つからないように外そうとしたが、腕輪の結合部分のすぐ横には小さい鍵穴があった。(だからあの店に頼んだのか。確かに電子部品の他に鍵とか売ってたしな)

「ちなみにその腕輪は特殊な合金で出来ていてちょっとやそっとでは傷一つ着かないから。恐らく大型の機械でも使えば壊せると思うけどあなたの左腕は大変な事になるわよ」

と俺に囁く。

「ちなみに首輪も革製みたいに見えるけど実は同じ合金に革をコーティングしてるから腕輪と同じよ」

そう言って彼女は俺の首輪の鍵や玄関の鍵などが着いた鍵束に腕輪の鍵を追加した。つまり彼女の持つ鍵がないと絶対に外せない事を意味していた。そして注文した料理が来たので食べた。すると坂下俺に手招きをして

「この店の料理も美味しいけどやっぱり祐樹の料理のほうが美味しい」

と耳元で囁いた。俺は嬉しい気分になった。そして俺頭の中にある疑問を彼女に聞いた。

「あの、何で私に腕輪を付けたのですか?」

「かわいいから」

果てしなく胡散臭い。もし理由がそれだけだったらあんな店でわざわざ注文してまで買わないだろ。

「本当ですか?」

「文句あるの?」

「いえ・・ありません」

(恐らく漫画とか映画とか見て付けたくなったのだろう。いい迷惑だ)祐樹は当然知らないが実はこの腕輪にはGPSが内蔵されていて精度が世界最高レベルという恐ろしいシロモノである。つまり祐樹が世界中どこにいようが居場所が解ってしまう。言わば見えないリードである。そして朝食を食べ終わったので金を払って店を出た。すると坂下が

「どこか行きたい所ある?」

と聞いて来た。

「いえ、とくに」

「あなた電化製品の店横切る度に目が輝いていたわよ」

うっ・見られてた。

「少し見て見たいです・・・」

「じゃあこれを宅配便で家に送って、別行動を取ろうか?」

「はい!」

早速荷物を宅配便で送る手続きをした。

大きさと重さがハンパでは無いのでかなりの料金がかなりかかっている。

そして俺と坂下は集合場所を決めて別行動を取った。

俺は電化製品を売っている店に入り商品を見た。

しかし最近は家電や家具に関しては坂下の家で最高級品を見ているので余り見る気がしなくなった。

仕方なく店を出てゲーセンに来た。

実は俺はゲームが大好きで坂下の家に来る前までは暇さえあればゲームをしていた。

才能があるのかオンラインゲームでかなり上位にランクインした事があった。

そしてゲーセン定番の格ゲーを始めた。ここ最近やっていないので勘が鈍っていたが直ぐに勘を取り戻した。暫くすると俺の回りに人だかりが出来きた。恐らく俺のこの姿(メイド服、首輪、腕輪)でゲームが凄く強いからだろう。後ろから携帯で写真を撮っている音がする。そして後ろから聞き覚えがある声がした。

「楽しそうね」

「何故ここに!」

「偶然ここに入ったら人だかりがあって見てみたらあなたがいたのよ」

「そうだったんですか・・・お恥ずかしいです・・」

「ねえ、私と勝負しよ?これでも私結構ゲーセンに来てるのよ」

「えっ?」

「どちらが多く勝てるか勝負よ!勿論ガチンコで勝負よ!」

「わかりました。全力でお相手します!」

そして俺と坂下はゲーセンでの真剣勝負が始まった。そして結果は俺が僅差で勝利した。(実は俺は圧倒的に坂下より強かったのだが、わざと僅差に持ち込んだ)店を出て駅に向かって歩いていると坂下は怒っていた。

「あの・・・」

「悔しい!祐樹!家で勝負の続きよ!」

「でもご主人様、家にはゲームがほとんどありませんけど・・・」

俺が家で掃除してもゲームらしき物が少ししか無かった。

「だったら買うまでよ!」

俺は坂下に腕を引かれ家電製品の店に入った。一時間後俺は彼女が買った大量のゲームのハードとソフトを持って歩いていた。そして家に着くまで

「ゲーセンで私に勝ったからお仕置きね」

ということでメイド服と首輪を付けたまま帰宅させられた。かなり恥ずかしい。しかし不可解な事がある。

「なぜ俺の居場所が解ったのか?」

という事だった。暫く考えて

「恐らく彼女が俺を尾行したのだろう」

と言う答えが導き出された。

一方坂下は(祐樹の腕輪のGPSと携帯の位置検索ソフトはしっかりと機能してるわね。

しかし凄い精度、ゲーセンの中のどこの席にいるかまで解るなんて。

高かったけどいい買い物だったわ)彼女の携帯には祐樹の腕輪のGPSの位置が表示出来るソフトがインストールされている。別行動したのは携帯にソフトを入れてからテストしたいためだった。そして家に着いた俺と坂下は彼女の部屋のテレビにゲームを接続して対戦をした。(なぜか彼女は首輪にリードを接続して逃げられないようにした)俺はまたお仕置きされては困るので僅差で負けた。そうしたら坂下は

「やった〜祐樹に勝った〜」

ととても嬉しそうだった。と言い放つ。その後結局俺は彼女とゲームをすると勝つとお仕置きを受けるので極力家で坂下とゲームをしないようにしてこっそりゲーセンに行くのだがなぜか必ず見つかってしまい対戦すると俺は必ず僅差で負けた。恐らく俺は今後一生彼女にゲームで勝つ事はないだろう。

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