第六話
長い夏休みも終わりに近づいて俺は不安を抱えていた。
この身体の変化である。
坂下から投与された薬によって身体が夏休み前より女の子の身体になってしまった。(おまけに声もかなり高くなった)恐らく俺の外見は完璧に女の子であろう。俺の男の部分は戸籍と遺伝子と考え方ぐらいしかない。(遺伝子すら今や怪しい)今や俺は完璧な女の子体型なので学校の男子の制服を着ると胸とお尻が出てしまう。そこで坂下に相談した。
「あの、ご主人様」
「なに?」
「学校の制服着ると少し問題が・・」
「ああ、それなら私が手を打ってるわよ、ちょっと待っててね」
「はい!」
坂下は部屋を出ていった。よかった。まぁこんな身体にして手を打っていない訳無いか。そして彼女が服を持ってきた。
「はい、これ着て」
見ると学校の女子の制服だった。
「これを着るんですか?」
「そうよ。文句ある?」
「ありません・・ありがとうございます、ご主人様・・」
そして俺は今着ているメイド服を脱いで女子の制服に着替えた。
「サイズはどう?」
「ピッタリです」
しかしスカートが極端に短い。屈むと中が見えてしまいそうで怖かった。
「あの、スカートが短いのですが?」
「祐樹ならそれくらいが調度いいの」
「でも・・・」
「文句あるならもっと短くしてもいいのよ?」
「ありません、ありがとうございます」
「わかればよろしい」
そして俺はまた疑問が浮かんだ。
「あの、私が女子の制服着ると先生方から質問されたりすると思うのですが」
「大丈夫、学校には私が言ってあるから」
「あ、ありがとうございます!」
そしてその日の夕食後
「そういえばあなた学校が始まったら家で働けないわね」
「そうですね」
「だったらこの家にずっと住みなさいよ!そうすれば働けるでしょ」
「はぇっ!」
「何その返事、文句あんの?」
「いえ・・・」
「なら良いじゃない」
「でも私の家の事とか・・」
「だったら私が手配しておくから、何にも心配いらないわよ」
駄目だ、坂下は完全に俺をこの家に住ませる気だ。断っても無理矢理住ませるに決まってる。遂に俺は決心した
「わかりました・・」
「じゃあ手配してくるわね」
坂下は部屋から出て行った。・・・これから坂下の家に住むとなると気が重くなるな・・・。次の日の朝に朝食の準備をしていると坂下が
「祐樹、ちょっと手伝って」
と玄関から聞こえてきた。
「今行きます」
俺は玄関に向かった。玄関には荷物があった
「何ですか?」
「ここに暮らすのに必要な物を持ってきたのよ」
「随分少ないですね」
あるのは段ボールが一個だけだった
「だって日常生活に必要なものは私が用意しているから、必要最低限あればいいでしょ。さて運ぶわよ」
「はい」
段ボールを運ぶと坂下はある部屋で止まった。その部屋は彼女の部屋の廊下を挟んで真向かいだった。
「今日からここがあなたの部屋よ」
「ありがとうございます」
彼女は鍵を取り出した。この部屋のらしく鍵は三個あった。
「一つはあなたの、一つは非常用ね」
「もう一つは?」
「私が持つの」
(それじゃあ鍵が意味無いじゃん)と出そうになった声を何とか押さえて部屋に入った。部屋の中は坂下の部屋に似ていてかなり広い。なぜかベットだけは坂下の部屋より遥かによりでかい。
「あの、何でベットが大きいのですか?」
「決まってるでしょ」
(夜中に来るつもりか!)しかし文句は言えない。文句を言うとまた坂下の部屋にお世話になってしまう。部屋を見渡すと大きなクローゼットがあったので開けて見ると学校の制服と今着ているのと違うメイド服が数種類と女の子の服が沢山入っていた。(この家でメイド服以外の服が着れる)と思っていると、坂下は女の子の服を指差し
「その服は外出用だから家ではいつもどうりメイド服ね。家の中で着たら没収するわよ」
やっぱりか・・。
「じゃあ引き続きお仕事頑張ってね。そういえば朝ご飯まだ?」
「あっ、もう少しおまちください」
俺は坂下に頭を下げて急いでキッチンに走る。(これから祐樹が私の家に住むのか・・楽しくなるわね)坂下は自分の部屋に笑顔で入った。