第二十七話〜前編
ある日の休日の朝食を二人で食べていると家の呼び鈴が鳴る。どうやら宅配便らしいが荷物は結構大きく運んで来た人は白衣を着ている。
「ご主人様、宅配便らしき物が来ましたけど、ちょっと妙です」
「妙?」
「宅配便を持ってきた人が白衣なんです」
「・・もしかしたら研究所から来た人かもね・・私が出るわ。呼んだら玄関に来てね」
「わかりました」
そして坂下は朝食を食べ終わり玄関に向かった。俺は朝食の続きを食べ始めた。しかし坂下と白衣の人は話し込んでいるらしく、俺は食器を洗い、片付け終わり掃除に取り掛かると
「ユキ〜玄関に来て〜」
と催促されたため
「今行きます」
と返事をして玄関に向かった。
玄関には大きな段ボールが置いてあった。白衣の人は帰ったようだ。
「ユキ、さっきの人は私に凄いものを持ってきてくれたわ」
「それがこれですか?」
「そうよ、開けてみて」
「はい」
そして俺は段ボールを開けた。すると中には黒毛の犬が入っていた。よく段ボールをみると呼吸するための小さい穴が無数に開いている。今は眠っているようだ。
「犬ですか?」
「そうよ。しかもただの犬じゃないわ」
(そりゃ白衣の人が連れて来た犬だぞ。それくらいはすぐにわかる)
「どうゆう事ですか?」
「さっきの人の話によるとかなり賢い犬らしいわ。ちなみに女の子よ」
「そうなんですか」
「この子は犬の遺伝子と人の遺伝子を掛け合わせて作ったらしくて、体は犬で頭脳は人らしいわ」
「凄いですね。聞くからに賢そうです」
「ちなみに人の遺伝子はユキの遺伝子らしいわ」
「なぜですか?」
「私が頼んだの」
「頼んだの・・って、まさか・・」
「私があの研究所に犬を飼ってみたいと頼んだらすぐにこの子をくれたわ」
(あの研究所はいったい・・)
「犬を飼うのはいいですけど・・誰が躾をするんですか?」
「ユキ、あなたに任せるわ」
「・・ご主人様が飼ってみたいと言ったじゃないですか」
「主人のペットを管理するのはメイドの仕事よ」
「そうですか・・じゃあこの子に名前をつけてあげないといけませんね。どうします?」
「ユキと姉妹みたいなものだから・・」
(俺の姉妹は種別さえも超越したか)
「ナツでいいんじゃない?どう?」
「ご主人様がお決めになられたら反対はしませんが・・」
「じゃあこの子の名前はナツね」
「わかりました」
そして俺はナツを見て
「よろしくね、ナツ」
と挨拶した。
「躾や管理はすべてあなたに任せるわ。私好みにナツを育ててね。あと研究所にも行ってもいいわよ」
「わかりました」
「じゃあナツに首輪つけてあげましょう」
と坂下はどこからか真紅の首輪を取り出した。
「ご主人様、それも私達と同じですか?」
「そのとうりよ。そのかわりあなたのしている首輪と違って、この子の首輪にはGPSが内蔵されているわ。迷子にならないようにね」
そして坂下はナツの首に首輪をつけて鍵をかけた。
「ユキ、お揃いね」
「嬉しいです。姉妹そろってますから・・」
そして俺には歳と種別が違う妹ができた。
そして早速ナツを躾たが坂下の話どうり恐ろしい程賢く、教えた事をすぐに覚える。バイトに来たクラスの女子(今日は長瀬さんだけらしい)が来るまでに一通りの事は覚えてしまった。どうしようかと考えていると長瀬さんがやってきた。
「坂本さん。おはようございます」
「おはようございます。長瀬さん」
と挨拶を交わした。
「どうしたんですかその子?」
「今日ご主人様が連れてきまして、私に躾と管理をするようにと命じまして」
「可愛いですね、名前と性別は何ですか?」
「ナツと言いって女の子です」
「ナツちゃんですか・・しかし可愛いですね」
「しかも凄く賢くて数十分で一通りの事は覚えちゃったわ」
「こんなに可愛くて賢くて・・反則ですね」
「そうですね」
そして長瀬さんは仕事に取り掛かった。俺は自分の部屋にナツ用の檻を置いてナツを檻に入れて餌を与えて仕事に取り掛かった。そして仕事中にあることを思いつき長瀬さんに仕事を任せて坂下の部屋に走った。
「ご主人様、居ますか?」
「なに?」
「ちょっとナツを研究所に連れて行きたいのですが・・いいですか?」
「いいわよ」
「ありがとうございます」
そして坂下はナツの首輪を外して俺はナツを抱き抱えて研究所に向かった。
研究所の中でナツを届けてくれた研究者の人を見つけて話を聞いた。話によるとなんとナツは人の言葉を理解し話したりできたり他にも色々と可能性が秘められているらしい。それを聞いた俺はナツを
「ご主人様好み」
にしようと研究者と綿密な打ち合わせを行い、計画どうりに事を進めた。・・計画と言っても俺が坂下にされた事をナツにして、他にも坂下が好きそうな事をするだけだ。
ナツに肉体強化液とナノマシンなどを投与しながら睡眠学習をした後に手術を施した。(ナツは犬だが頭脳が人なので出来るらしい)
「ナツ、ご主人様好みに生まれ変わるのよ・・」
と悪の科学者みたいな台詞をナツに言う。そしてお医者さんがナツの手術を終えて俺の元に来た。
「手術は成功です。目が覚めれば大丈夫です」
「ありがとうございます」
そして間もなくナツが目を覚ました。俺はナツに駆け寄り言葉をかける。
「ナツ、私の言葉がわかる?」
「・・う・ん・・」
凄い・・計画どうりだけどやっぱり驚いた。犬が人の言葉を理解して人の言葉を話している。
「あなたの名前はナツよ」
「・・わた・し・は・ナツ・・」
「私の名前はユキよ。呼ぶときは・・そうね、お姉様と呼んでね」
「お・ねえ・・さま・・」
「よく出来たわ。偉いわナツ!」
「あり・がと・う」
何度か話している内にしっかり発音が出来るようになり手術の結果を見る事にした。
「じゃあナツ、手術の成果を見せてみて」
「はい、おねえさま」
と言った途端にナツが光り輝いた。眩しさで目を閉じる。そして目を開けるとそこには同い年位の女の子が立っていた。
「ナツ・・なの・・?」
「はい、おねえさま」
「予想以上だわ・・凄く可愛いわ、ナツ!」
ちなみにナツは私の顔や体をモデルにしており、双子のようにそっくりである。
「ありがとうございます。おねえさま!」
「じゃあ犬に戻って屋敷に帰りましょう。ご主人様が待ってるわ」
「はい」
そしてまたもやナツは光り輝いた。そして俺はナツを抱き抱えて屋敷に帰った。