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第二十四話

 俺がネコミミと尻尾をつけられた連休が終わり学校に行く事になった。ベットから起きた俺はパジャマのままキッチンで朝食と二人分の弁当と昨日頼まれたクラスの女子の昼食を作り重箱に入れた。すべてが出来上がり坂下を起こそうとした。部屋の扉を開けて坂下を起こす。

「ご主人様、起きてください。今日は学校ですよ」

坂下はなかなか目覚めない。俺はズボンの中から尻尾を出して坂下をくすぐった。(この尻尾は太さとか長さとかを若干だが変えられるようだ)そして尻尾と両手で坂下をくすぐった。すると坂下はくすぐったそうな顔をしてベットに俯せになった。しばらくすると坂下はベットの上で飛び上がった。

「・・ユキ、私を窒息死させるつもり・・?」

「申し訳ありません。おはようございます、ご主人様。朝食が出来ていますので冷めない内にお食べ下さい」

「わかったわ・・」

俺は部屋の扉に向かって歩いた。

「・・しかしおそろしいわね・・その尻尾・・」

と小声で呟く。

「お望みでしたらもっとくすぐりますけどどうします?」

俺は立ち止まりネコミミを出して扉の前で坂下に背中を向けて聞いていた。普通の人には聞こえない小さな声でもしっかり聞こえる。

「ユキ、あなたお仕置きされたいの?」

「いえ、ご遠慮させていただきます。ではご主人様、朝食を」

「今行くわ・・」

そして二人で朝食を食べながら話した。

「ご主人様、なぜこの尻尾とかネコミミとかに神経が通っているのですか?」

「それはね、あなたの中のナノマシンが神経の代わりをしているからよ」

「このネコミミと尻尾はどうやって作ったんですか?」

「あなたの細胞を超急速培養して作ったの」

そして質問も終わり学校へ行く準備をした。玄関で首輪を外してもらい扉に鍵をかけて学校へ登校した。今はどちらも隠している。

「そういえばそのネコミミと尻尾は感情の高ぶりで出てくるかも知れないわ」

「そうなんですか?」

 すると後ろから先生が近づいて来た。先生はもちろん坂下が与えた腕輪をしている。

「坂本さん、ご主人様、おはようございます!」

「おはようございます、先生」

と挨拶をかわす

「ねえ坂本さん、ちょっと言いにくいんだけど・・」

俺は先生の言いたい言葉を察知した。

「先生、これですか?」

とネコミミをひょっこり出す。すると先生は興奮し始めた。俺は別に先生に恨みは無いがトドメをさすことにした。

「先生?大丈夫ですか?」

と坂下に見えないように先生にとびっきりの笑顔で声をかける。すると先生は興奮がピークを越えて倒れかかった。

「ユキ、先生に恨みでもあるの?先生気絶してるわよ」

「先生に関してまったく恨み等はありませんけど」

俺は先生を起こして何とか学校まで連れて行った。

 恒例になった玄関の靴箱に入っているラブレターを鞄に詰め込んで教室に向かった。

教室に入り机をみるとやはりラブレターが詰め込まれていた。すべてのラブレターを鞄の中に詰め込んだ。クラスの友達と話しているとチャイムが鳴って先生が入ってきて朝のホームルームが始まった。先生はチラチラと俺の方を見るので朝のような笑顔で答えるともう見なくなった。ホームルームが終わり授業が始まった。

 一時間目は数学で抜き打ちテストを行った。

しかし俺は楽勝だった。

坂下も余裕らしく授業の最後に採点が終わったテストが返ってきた。もちろん二人とも満点だった。俺は嬉しくなってネコミミと尻尾が出そうになった。(感情がたかぶると出るんだったな。あぶねえ)二時間目は国語だった。みんなは机の上で寝ていたが俺はしっかり起きていた。(クラスの七〜八割位が寝ていた)授業が終わるとみんなから

「坂本さん、ノートを見せてくれない?」

と言われまくった。三時間目は英語の時間で俺は睡眠学習のおかげで楽勝だが無難にこなした。

 午前の授業が終わり昼食の時間になり先生が教室から出ると同時に女子のみんなは机を寄せ合った。俺は寄せ合った机の中心に重箱を置いて

「みなさんのお口に合えば嬉しいです」

と言い蓋を開いた。ちなみに中身はすべて俺の手作りである。(なぜなら坂下が冷凍食品を入れるのを拒んだ事と俺の料理へのささやかなこだわりだ)蓋を開けた瞬間にみんなは重箱の中に我先にと箸を突っ込んで食べ始めた。みんなは料理を食べる度に俺を凄く褒めてくれたのでまたネコミミと尻尾が出そうになった。

 しばらくすると重箱の中に微妙に料理が残ったので弁当を食べ終わった坂下は重箱を持って

「坂本さんが作った料理だけど買わない?」

とクラスの男子に料理を売り始めた。クラスの男子は我先にと坂下にお金を払い食べていた。男子も料理を食べて舌鼓をうっていた。すぐに重箱の中は無くなり坂下の手には空の重箱とお金があった。人気ぶりを見た坂下は俺を見た。

「ユキ、思っていたより人気あるから明日から男子の販売用の料理を作ってね」

「はい、ご主人様!」

俺は男子の財布の中を心配しつつ嬉しくなってネコミミと尻尾を出して坂下に返事をした。すると坂下は抱き着こうとしたので素早くネコミミと尻尾をしまうとすると坂下はとても残念そうだった。そしてクラスの男子に

「明日坂本さんが作った料理を売るからね」

と言う。すると男子達は歓声をあげた。(こりゃより早起きしなきゃな)

 そして四時間目は体育の授業である。授業は陸上競技で俺は 本気を出さないようにしようとしたが坂下は俺に話かけた。

「ユキ、ちょっと本気で走ってみて」

「いいんですか?」

「私あなたの全力を見てないのよ。しかもみんな見てないから大丈夫よ」

男子と女子は別れて走っていて今先生は男子を見ているし、女子のみんなはお喋りに夢中だ。

「わかりました」

そして俺は百メートルを全力で走った。もちろん記録は世界記録を遥かに越えるタイムだった。計測した女子は俺とストップウォッチを交互に見る。

「どうしたの?」

「いや・・ストップウォッチが故障しているのかな?・・凄い記録がでています・・」

「もう一度走るのは疲れるから適当に記録しておいて」

「わかりました・・」

そして俺の記録は他の記録の平均の若干上のタイムになった。

「凄いわ、さすがね!」

「ご主人様のおかげです」

 そして五時間目と六時間目は家庭科だった。

しかも調理実習だった。

こうなると必然的に俺は注目を浴びる。

調理が始まると班のみんなはともかく他の班まで調理を放棄して俺を見ていた。班のみんなは俺を見続けたため俺が一人で料理を作った。料理が出来上がると他の班の人も料理を食べに来たため、俺は料理を一口しか食べられなかった。そして授業が終わり掃除に取り掛かった。俺の注目はこの時間にも及んだ。なんせ掃除のスピードが物凄い速いし効率的だからだ。ちなみに同じ掃除の班の坂下はサボって女子と話しをしていた。

「ご主人様、掃除してくださいよ」

「掃除しようにもユキがもう全部しちゃったじゃない。しかもピカピカに」

「そうですけど・・」

そして長い一日を終えて坂下と一緒に帰った。

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