第二十三話
ある連休の初日、坂下はまた俺に我が儘をぶつけて来た。ちなみにバイトの女の子達はもうすぐ来る。
「ユキ〜ちょっとこれ身につけてみて〜」
とカチューシャを手渡す。
「カチューシャですか、これ?それなら今してますよ」
と俺は頭の上を指差す
「カチューシャだけど今あなたがしているのと違うでしょ」
「違いますね」
「ネコミミよ。早くつけてみて!」
「わかりました」
そして俺は坂下に背中を向けて今してるメイドさんがするカチューシャを取ってネコミミがついたカチューシャを身につけた。
「つけました」
振り返ると俺を見た坂下は顔が赤く息が荒く体が震えている。(ヤバイ!)俺は逃げようとしたが無駄だった。
「可愛い〜ユキ〜萌えるわ〜」
坂下は俺に抱き着いて来た。俺は力を込めて坂下を引きはがした。坂下が落ち着きを取り戻した所で
「あの・・ご主人様・・?」
「ごめんね・・漫画でネコミミしたメイドさんが出て来て・・。ユキがしたら可愛いかなって・・そしたら・・」
(いっつもどんな漫画読んでるんだ?)
「じゃあもういいですね。ネコミミ取りますよ」
「・・だっ、駄目よ!可愛いんだからそのままでいて!」
やっぱりか。しかし俺は答を考えている。
「でもネコミミしている俺をクラスのみんなが見たらきっと抱き着かれて仕事できませんけど・・」
「うっ・・」
(困ってるな。もう一押し!)
「それに俺が仕事出来なくなるとご主人様も困りますよ。万が一倒れた人が出たらどうするんですか?」
「そうね・・」
(やった!俺の勝ちだ!)と思っていると
「・・だったらネコミミを自由に出し入れ出来ればいいのね。そうすれば・・」
と俯いて小さく呟いている。
「ご主人様?」
と声をかけた。そして坂下はゆっくり俺を見る
「・・わかったわ・・」
「ご主人様?何をわかったのですか?」
「あなたにネコミミをつけるわ!」
「はい?」
「だからあなたにネコミミをつけるわ」
「だからネコミミのままだと仕事が出来ませんよ」
「あなたはネコミミが嫌なの?」
「本音を言うと・・どうでもいいです」
「そう・・ユキ、手術するわよ!」
「何をですか?」
「あなたにネコミミをつける手術をするわよ」
「そんなの無茶苦茶ですよ」
「大丈夫よあなたの中のナノマシンを使って・・」
(だから、どんどん話をSFに持って行かないでください・・)
「じゃあユキ、行くわよ」
「わかりました・・」
そして以前俺が睡眠学習を行った研究所?に来た。
「ここって手術もできるんですか?」
「そうよ!ちなみにあなたの体を女の子にしたのもここよ。この研究所には世界最高レベルの研究者とお医者さんがいるわ」
(だからナノマシンとか睡眠学習装置とかあるのか・・)
「じゃあ中に入りましょう」
「はい・・」
そして中に入り俺と坂下は別れた。坂下は医者と研究者と話している。俺は手術着を着て待合室みたいな部屋で待っていた。(そういえば家が留守だけど大丈夫かな?それに・・)と考えていると坂下が現れた。
「ユキ、お医者さんと研究者と話したらネコミミつけれるって!」
「そうですか・・」
嬉しくない・・
「じゃあ手術するわよ。手術室に行きましょう」
「はい・・」
俺は坂下と一緒に手術室に向かった。手術室の前に着くと
「じゃあユキは部屋の中のお医者さんの指示に従ってね。私は家に帰ってバイトに来ている女の子達に指示するから」
「はい」
そして坂下は首輪と腕輪を外して帰って行った。
はぁ・・とため息をして部屋に入った。
「そこのベットに仰向けで寝て下さい」
と医者の一人が指示したので俺は素直に従った。
「では麻酔をします。ゆっくり深呼吸をして下さい」
すると俺は眠りの世界に引き込まれた。
・・・そして目が覚めると坂下家の俺の部屋だった。
(あ・・手術終わったんだ・・おそらく研究所の人が運んだんだろう・・)
そしてゆっくり鏡をみると頭の上に髪と同じ黒いネコミミがあった。
(夢だったらよかったのに・・つーか鏡を見るまで気がつかなかった・・まるで昔からあったみたいな感覚だ・・)
ネコミミに関してまったく違和感がないのだ。違和感がないことに気分を悪くするとネコミミが微かに垂れた気がした。
それを見た俺はネコミミに意識を持って行った。
すると微かだがネコミミ動く。
(動くようにまでしたのか・・まあ坂下の指示で手術したならそこまでするよな・・)そしてベットから起き上がるとお尻の辺りに異変を感じた。(まさか・・)俺はお尻の辺りを触ると尻尾があった。ネコミミと同じで黒い毛で覆われている。尻尾に意識を持って行くと微かに動いた。俺はネコミミと尻尾を触るとくすぐったい感覚があった。
(感覚まであるのか・・)そして部屋にあるカレンダーをみると連休の二日目で時計は昼を過ぎたあたりだった。俺はメイド服を着て向かいの坂下の部屋の前に来た。
「ご主人様?いますか?」
返事がない。(おそらく昼飯を食べているのだろう)と考えた俺はリビングに向かった。昨日手術した事もありネコミミと尻尾は触らずに向かった。リビングからは賑やかな会話が聞こえる。
「ご主人様?いますか?」
「ユキ?入って来て」
そしてリビングに入った。
するとリビングには坂下とクラスの女子が数人と先生が来ていた。俺は坂下に近づく。
「ご主人様、ネコミミと尻尾の事ですけど・・」
「ユキ!可愛い!!」
と抱き着いて来た。抱き着いて来た坂下を見たクラスの女子達は俺を見て興奮している。
「坂本さん〜ネコミミ可愛い〜!」
と坂下に抱き着かれている俺に言いかける。しかも隙間があれば抱き着いてきそうで怖かった。しばらくして坂下をひきはがす。するとみんなに質問された
。
「そのネコミミはどうしたのですか?」
「このネコミミはご主人様につけてもらいました」
みんな納得していた。
「先生、学校にネコミミはまずいですよね?」
と先生に質問すると
「・・えっ、たっ、確かにまずいけど・・ご主人様がしたなら・・でも・・」
と慌てている。本当に先生か?
「大丈夫よユキ、ネコミミと尻尾は自分の意思で隠せるから。ちょっとやってみて」
そして俺はネコミミと尻尾に意識を持って行くと隠れた。
「あっ、本当だ」
「先生、これで問題無いですね?」
「はっ、はい!」
先生は俺を見て興奮しているようだ・・。
「ちなみにネコミミと尻尾は自由自在に出せるから。別々に出したり出来るわよ」
意識すると尻尾やネコミミが別々に出たり一緒に出たりした。しばらく練習すると自由自在にコントロール出来た。
「ちなみに神経を繋いでるから感覚はあるわよ。当然ネコミミで音も聞こえるわ」
俺はネコミミを出して耳をしっかりふさぐがネコミミから音が聞こえる。むしろネコミミの方がよく聞こえる気がする。
「どう?」
「凄いですね。しかし尻尾はどうしてですか?」
「ネコミミつけたら尻尾もつけなくちゃ」
(はあ・・)
・・・そして賑やかに連休は過ぎていった。