第二十話
ある暑い夏の土曜日の事、バイトに長瀬さんと松本さんに来ている。
俺と長瀬さんと松本さんは現在リビングの掃除をしている。なぜならソファーの横のテーブルには飲み散らかしたジュースの空き缶や食べ終わったスナック菓子の袋などが多数散乱しているためである。普段はこんなふうに散らかってないが多分暑さで頭とか体とかがやられているからだろう。
「暑い〜私死にそう〜誰か助けて〜」
と、クラスの女子と俺のご主人様である坂下美紀はソファーの上で仰向けで寝て唸っている。(実際は倒れている)
「暑いですね。ご主人様」
と三人同時に坂下に言う。
「あなた達は平気なの?全然平気そうだけど」
「そんな訳無いじゃないですか」
と長瀬さん松本さん
「ユキは?」
「暑いですよ」
当たり前だ!このクソ暑い中にメイド服着て首輪と腕輪してるんだぞ!いくらメイド服が夏用?らしいけど限界があるぞ!
「あなたが一番暑そうに見えないわよ」
「お褒めいただきありがとうございますご主人様」
俺は頭を下げた
「別に褒めた訳じゃないのだけど・・」
「誤解を招く発言をお詫び申し上げますご主人様」
と機械的に答える。・・以前もだが俺はたまに坂下に機械的に受け答えする時がある。多分睡眠学習の時に何かしたのだろう。
「もういいわユキ、・・あ〜もう限界!私海に行きたい!」
「海ですか?」
「そうよ!今すぐに行くわよ!」
「じゃあ私はお留守番してますね」
「どうして?萌え担当のあなたがいなくてどうするの」
(萌え担当だったんだ俺・・)
「ご主人様、私この体に合う水着がありませんので」
「じゃあ買いに行くわよ。長瀬さん、松本さん、一緒に選ぶわよ。手伝ってくれたらあなたがたの水着も買ってあげる!じゃあ今日は水着を買って明日海に行くわよ!」
「はい!ありがとうございます、ご主人様!」
三人はノリノリだ。誰か俺を坂下から助けてくれ。
そして水着を買いに駅前の百貨店にやってきた。
(俺は外出用の服だが首輪を嵌められている。俺の逃走防止のためだ)やはり店の中は涼しく外に出るのが嫌になった。
俺は三人に水着売り場に連行?されて更衣室?に入れられて三人が選び持ってくる水着を次々と試着して見せた。サイズはピッタリなのだが中にはかなり際どい物もあった。(その殆どは坂下が選んだ。その上本気で買わせようとした)しかしそれより困るのは試着の度に水着を選んだ当人が水着姿の俺に抱き着こうとしてくるのだ。もちろんかなり恥ずかしい。・・本っ当に誰か俺を助けてくれ。
そして水着を買った俺と三人(長瀬さんと松本さんも坂下に買って貰っていた)は冷たいジュースを飲みながら家に帰った。
そして次の日(もちろんバイトの二人はお泊り)俺達はタクシーで海に向かった。さすがにシーズンにはまだ若干早いが暑いだけあって海には沢山の人が訪れていて海で遊んだり浜辺で日光浴をしている。
俺達は近くの更衣室?で服を脱ぎ、首輪、腕輪を外して(首輪と腕輪の金属は海水でも大丈夫だが念のためらしい。
俺は首輪が外れたため逃げようとしたが坂下が恐ろしいオーラを出しながら俺を見ているため諦めた)新調した水着に着替えて海に入った。やはり水着は恥ずかしい。(俺は以前顔は女で体が男だったため恥ずかしさから水着は買っていない。なので友達とかと海に来ると入らずに見学していた。ちなみに学校は水泳の授業がなかった)
「きゃ〜冷たい〜生き返る〜」
と長瀬さん松本さん
「みんな〜あそこまで泳いで競争しましょう」
と坂下は沖を指差す。
「はい!」
と三人
そして競争が始まる。
結果は俺が一位、坂下が二位、松本さんが三位、長瀬さんが四位だった。
「ユキ〜手加減してよね〜」
「申し訳ありません。ご主人様」
しばらく遊んだ後に海の家で昼ご飯を食べる事にした。
メニューは全員海の家定番の焼きそばだった。
なぜ海の家で食べる焼きそばはこんなにも美味しいのだろう。わかる人は俺に一報してくれ。
そして賑やかに昼食を食べ終わり俺達はまた海に行き遊んだ。
そして遊び疲れて夕暮れ前に近くのファーストフード店で食事をしてから帰宅した。帰りのタクシーの中は三人(坂下、長瀬さん、松本さん)はぐっすり眠っていた。
彼女達はこの後に用事があったらしく途中で別々のタクシーで半分寝ながら帰った。(手には坂下から貰ったタクシー代が握られていた)俺は彼女達から預かった腕輪を持って玄関の機械に認識させた。そして坂下をベットに担いで寝かせた。そして俺も疲れたので自分の部屋で眠った。(滅多な事でも疲れない俺が疲れるとは・・)
次の日に学校で腕輪と給料の明細書を彼女達に渡した。すると腕輪と明細書を受け取ると俺と坂下にお辞儀をして、明細書を確認すると自ら腕輪を嵌めた。(うーん、なぜ彼女達は自分では絶対外せない腕輪を好んでするのだろうか。俺なんて嫌で一度破壊した過去があるのに・・)俺は気になって彼女になぜ腕輪をするのか聞くことにした。
「なぜ自ら腕輪をするのですか?嫌じゃないですか?」
「嫌ではないですね。多分腕輪をしてるとご主人様と坂本さんに守ってもらっているような安心感があるのかもしれません」
ふーんそうなんだ安心感・・て、おい!ちょっと考え方が危ない方向に進んでないか?と不安に思った俺でした。
(しかしよく坂下はこの腕輪をクラスの女子全員にプレゼント?したよなたしかコレ目茶苦茶高いはずなのに・・つーか海で坂下と遊んだだけでバイトしたことになるとは・・) 一方坂下は(腕輪は高かったわね〜。いくらユキみたいにGPSを搭載しなくても同じ合金に鍵の細工とICチップを中に入れてもらったからね〜。まあ夢でもあった私だけのメイド達ができたからいいか。私の夢が叶うならいくらお金を使っても構わないしね。特にユキには莫大なお金かけてるけどもっともっと使って私の限りない欲望を叶えてもらいましょう。・・次はユキをどうしよっかな〜)と全然気にしてはおらず、それどころか更にユキにお金を使う計画を立てていた。