第十四話
二度の秋○原に行った次の週の休日、彼女が興奮して俺の部屋に入ってきた。
「祐樹、お願いがあるの」
「どんなお願いですか?」
すると彼女は台本らしき本を取り出した。
「この台本どうりにしてほしいの」
俺は台本をパラパラとめくって一言。
「・・・わかりました」
本当は嫌だ。しかしどうせ拒んでも首輪嵌められて協力させられるのだから俺は協力することにした。では坂下の台本を書いた劇をご覧ください。
私はこの屋敷に潜入している世界を股にかける女泥棒である。
この大富豪の家の地下金庫にあるファイルを盗みに来たのだ。私はメイド服を着て屋敷に潜入している。地下金庫を襲うのは今夜決行する計画である。そして深夜に警備が交代する時間に警備員がいる警備室に睡眠ガスを換気扇から部屋に充満させた。警備室がガスで充満されたのを見計らい中に侵入して警備システムをOFFにした。そして地下の金庫に向かった。金庫前の警備員をすばやく気絶させて部屋の中に入った。そして金庫を開けて中を確認すると中はすべて白紙だった。
「そんな・・白紙?まさか!」
その瞬間警報装置が鳴り響き後ろの扉から警備員が銃を構えて中に入って来た。すると後ろからこの家の主人、坂下美紀が現れた。
「捜し物はこれ?」
「すべて筒抜けだったのね」
「西遊記のお釈迦様の気持ちがわかったわ」
「ではあなたの手から抜け出してあげる」
そして私は警備員に銃を発砲して襲い掛かる警備員を倒した。警備員をすべて倒して彼女の前に立つ。
私は銃を彼女に突き付けて言う。
「さあ、ファイルを渡して」
「こんなものが欲しいのね。はい」
彼女がファイルを空中に放り投げる。私がファイルに気を取られた瞬間に彼女が私に銃を撃つ。
「無駄よ。私に銃はきかないわ」
身体から銃弾がでてきて床に落ち傷口が塞がる。
「わかってるわよ」
「なに・・」
私は急に眠気に襲われた。
「なに・を・した・・」
「麻酔銃よ。おやすみなさい」
「くっ・・・」
そこで私の意識は途絶えた。
私は目が覚めるとメイド服姿に首輪をされて檻の中だった。(私としたことが・・)
私は檻を壊して脱出を試みた。鉄の檻くらい私は簡単に壊せる。私は檻に力を加えた。しかし檻はびくともしない。(私が破壊できないなんて・・?)
何とか檻を壊そうとしていると扉が開いた。
「起きた?」
「私に何をした・・」
「あなたは天下無双の怪力と聞いてるわ。そんな檻くらい簡単に壊せるでしょ?だからこの首輪よ」
私は首輪を外そうとするが鍵がかかっている。
「無駄よ。首輪には鍵がしてあるわ。その首輪をしているとあなたの力は普通の女の子と同じくらいの力しか出ないわ」
「くっ・・私をどうするつもりだ?」
「あなた可愛いから私が飼うことにしたの」
「飼う・・だと」
「駄目よ女の子がそんな言葉使いしたら。いい子にしてたら出してあげる」
「わかったわ・・」
そして彼女は部屋を出て行った。私は脱出のチャンスを待つことにした。
しばらくして彼女が食事を持ってきた。
「はい、ご飯だよ〜」
「・・・」
私は黙々と食事を食べた。
「あんまり中にいると暇でしょ?外に出してあげる」
彼女が首輪に鎖を繋いで私の入っている檻の鍵を開けた。私は檻から瞬間に彼女に拳をくりだした。しかしあと数センチで拳が止まる。
「なぜ・・・」
「あら躾がなってないわね」
彼女はどこからか出した鞭を私に振り下ろす。
「きゃっ」
私の足に赤い筋が浮かび上がりその場に座り込んだ。
「不思議そうね。疑問に答えてあげる。あなたがしている首輪が私に対する一切の攻撃を封じてるの」
「そんな・・・」
落胆する私。
「そうだ。名前を聞いてなかったわね。あなた名前は?答えないともう一度鞭よ」
「・・忘れたわ」
「えっ?」
「世界中を偽名で渡り歩くうちに本当の名前は忘れたわ」
「じゃあ私が名前をつけてあげる」
「・・・」
「あなた肌が凄く白いからユキって名前にするね」
「・・・勝手にして」
「じゃあユキ、おやすみ」
「ああ・・・」
彼女はすぐに眠りについた。私は髪からヘアピンを取り出し(このヘアピンは鞭を受けて座り込んだ時に見つけた)首輪の南京錠に差し込み鍵を外し、首輪を取って檻の鍵も開けた。
試しに南京錠を握り、力をこめるとバラバラに壊れた。そして彼女の首に力をこめて殺そうと手を近づけた。その時に彼女の寝言が聞こえた。
「ユキ・・大好き・・・」
私は自分が好きと言われた事が記憶に無い。私は思い留まり静かに部屋から出て外の闇夜に消えた。 次の日に坂下は目が覚めると檻の中にある外された首輪を見て呆然とした。
「ユキ・・どこにいったの・・・?」
しばらく彼女は泣いていた。
「・・・これでいいですか?ご主人様?いくら何でも鞭は酷いですよ」
「鞭はごめんね。うーん、まだまだね。私全然萌えてないわ。次からはもっとストーリーを凄く激しくしないとね」
「ご主人様。これ以上凄くすると大変なことに・・・」
「何が?」
「これ以上表現が過激になるといろいろと問題が発生します」
「どんな問題よ」
「いや・・何でもありません。それよりあの警備員とか金庫とかどうしたんですか?」
「それはね私がこのために準備したの」
「こんな大掛かりなセットを使って全然満足してないなんて、ご主人様の萌えはいったい・・・」
「なんか言った?」
「いえ。何でもありません」
「そういえばこの劇やって思ったんだけど女の子なのに祐樹っておかしいわね。あ〜なんか引っ掛かっていたのはあなたの名前だったのね。これからはユキって呼ぶね。じゃあユキ、夕食をお願い」
「・・畏まりました。ご主人様」
(後々名前を変えよっと。いろいろ手続きがいるのよね名前変えるの。まっ性別変更の時みたいに何とかするか。・・ユキに鞭を振り下ろした時凄い萌えた・・。またやってみよ・・・) 以前彼女が祐樹の性別を短期間で変更した方法についてはご想像にお任せする。ただ一つ言うと彼女は大金持ちである・・。